634 :taka:2013/02/17(日) 11:19:53

アヴァロンダム上空

特別試験飛行空域

「フゥーハハハハハハハハァー!!!」

絶好調でハイテンションな高笑いと共に、一機の赤と白と黒に塗装された戦闘機が空を切り裂く。
独特な機体のラインが特徴的なソレは、大出量の双発エンジンにより更なる加速が行われた。

高空から低空に降りていく。
カナードの翼構成に前進翼、内向き斜め双垂直尾翼で構成される機体は奇抜でありながらも美しさを感じる。
国防総省及び空軍上層部の一握り、北側に撤退した南ベルカ国営兵器産業廠の開発部のみが知る最新鋭の試験機。

名前はADFX-02モルガン。妖精郷(アヴァロン)の妖姫モルガンの名を冠している。

ADFX-02はダムの斜面に配置された目標目掛けてロックオン。
機体後方上部に設置された外装型レーザー砲ユニットから光線が立て続けに掃射され、次々と目標が破壊されていく。

戦略レーザーシステムTLS。
カリス・プランBに置ける光学兵器の研究が促進された事により、技術を流用し開発された新世代型兵装。
【史実】よりも予算が投入され技術も蓄積されていた為、荷重制限は【史実】よりもかなり緩和されていた。

荷重を気にしない機動で再び高空に舞い上がったADFX-02は、空中を飛んでいた十数機の小型無人機目掛けてミサイルを放つ。
ミサイルは丁度無人機の群れの中央で爆発し、驚くほどの範囲で炸裂し無人機の大半を撃墜した。

多用途炸裂弾頭ミサイルMPBM。
主なカリス・プランとは異なるものの、大気圏内に突入した小型隕石群を効率的に破壊するアイディアを流用。
その答えは開発コード「hypersthene」と呼ばれたポリ窒素を主体とする特殊な炸裂弾頭を搭載した多用途ミサイル。
対地対空対艦を問わず使用可能な万能振りと、広域を焼き尽くす制圧兵器として使用された。
ユリシーズ飛来時にはポリ窒素の安定性を格段に改良化した「SDBM」が実戦配備され、地上及び航空機による発射で隕石片の迎撃に使用される事となる。

残った無人機や、ダムの斜面に設置された機銃座から機銃弾が幾重にも放たれる。
中にはミサイルポッドから対空ミサイルすら射出された。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!」

高笑いが響き渡り、機銃弾は不確かな照準故に逸れ、ミサイルは誘導を阻害され全く見当外れな方向へと飛んでいく。

「正対状態以外の攻撃がこのモルガンに追いつけるかーッ!お前らはこのモルガンのとってのモンキーなんだよジョジョォォォーーーッ!!(意味不明」

電子妨害ポッドECMP。
morganiteと呼ばれた機体内蔵型ECMポッドであり、あらゆる照準・誘導システムの動作をほぼ完全に妨害する。
【史実】通り機体のエアインテーク部のみがこのジャミングポッドの保護から外れているが、企画中のADFX-03ではこの点の改良も行われるとされている。

残った迎撃システムと無人機をレーザーとミサイルでさっくりと片付けたモルガンに通信が入った。

『ADFX-02の乗り心地はどうですか参謀長』

その問いに参謀長は酸素マスクで隠された口元をニヨニヨと歪めながらこう答えた。

「全ての愚民もといパイロット共よ。このモルガンもといハルシュタイン閣下に、恐れ、ひれ伏し、崇め奉りなさい!!」

その電波な答えを聞いた開発部主任は「?」な顔をして後ろを振り向き。
後ろから大型スクリーンでADFX-02の性能評価を見ていた灰色の男達の幹部は「恥をかかせおって」な渋面をしたり。
何でF22にじゃないんだ春香って言えばラプタンだろと憤ったり。
つーか、閣下()とか死ねよ春香たんdisってるんじゃねえよと激怒したり。
試作機に公式春閣下のノーズアートってどうよ、塗装パターンまでハルカイザーと同じとは……やってくれた喃!!

財務省のあの人が笑顔で呟いた。

「あのばk、参謀長……降りてきたらダムの底に穴掘って埋めて差し上げます」

どうでもいいけど、ユキドリル乗ってるタカネのコスチュームってマジエロいよねと思いながら。

そんな彼らの上を、ADFX-02が通過する。
ADFX-02の主翼にデカデカと描かれた閣下の不敵な笑みは、太陽のジェラシーを嘲笑するように全てを見下していた。



ベルカ戦争末期において、この機体は『そのまま』ガルム隊二番機のラリー・フォルクへ託された。
新鋭機受領で期待を胸に踊らせていた彼が、デカデカと描かれたノーズアートを見てどう思いどう感想を口にしたか。
それは、ハルシュタイン閣下の微笑みだけが知っているかもしれない。

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最終更新:2013年02月24日 21:01