835 :ハニワ一号:2013/01/30(水) 15:52:11
「蒸気機関事始」

日本大陸はとにかく広大で人口も多い。だからこそ史実では見られなかった発明や発見が誕生する例は多い。これはその有名な発明の例である。

「蒸気で動くこの船と車こそが日本を変える・・・。」
感慨深く言った男の名は田沼意次。徳川幕府の実力者であり田沼時代と呼ばれる一時代を築いた男である。

田沼が見ているのは日本大陸で初めて完成した蒸気船と蒸気機関車の模型であった。

「天才のおいらでさえも大変苦労しましたからね。蒸気機関を生み出した職人の村の協力がなければ完成しませんでしたよ。」
天下の奇才として知られる平賀源内は苦笑しながらそういった。

「ヘロンの蒸気機関」の例にみられるように古代から蒸気機関の発想はあった。そしてこの日本大陸でもとある職人の村で蒸気機関の概念を思いつき原始的であるものの形にすることに成功した。技術的好奇心から年代をかけて改良・発展した蒸気機関で蒸気機関を利用したからくりを生み出して評判となり模倣する他の職人もあらわれた。

こうして誕生することになった蒸気機関を社会に役に立てるという発想がなく、単なる蒸気で動く珍しいからくりで終わるはずだった。
だが、蒸気機関を利用する発想を持った男が現れた。それが、田沼意次だった。彼は、平賀源内や職人たちに蒸気機関を利用した社会の役に立つ発明を命じて支援した。

その成果が彼の眼の前にある模型の元になった蒸気機関車と蒸気船であった。

「平賀源内よ。蒸気機関はこの広大な大陸の距離を短くするだけでなく蝦夷地の開発も促進されるだろう。乗り物だけなく他の方面でも応用されて日本大陸に変革が起こるぞ。」
「田沼さまの語る未来を見てみたくて頑張ったかいがありましたな。」

後に田沼意次は失脚することになるが、松平定信の時代でも蒸気機関は広まり活用されて発展することになる。田沼嫌いの松平定信でさえも蒸気機関の利便性を無視することはできなかったのだ。

幕末に日本大陸を訪れた外国人たちは、日本人たちが蒸気機関を独自に発明して活用している事に驚愕したという。

836 :ハニワ一号:2013/01/30(水) 15:53:08
あとがき

日本大陸で「もしも」蒸気機関が開発されたらのSSです。日本大陸なら蒸気機関が誕生してもおかしくないかなあという妄想から誕生したSSです。
実際に日本大陸世界の江戸時代で転生者なしで産業革命が起きる可能性がどのくらいあるのか筆者にはわからないのでこれが日本大陸世界の史実なのかネタなのかは読者の判断にゆだねます。

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最終更新:2013年03月07日 21:34