927 :taka:2013/03/09(土) 13:26:23



俺にとって戦争とは日常だった。
家族を奪い、故郷を吹き飛ばし、人を殺さねば生きていけない俺を生んだ。
国境線の傍にいた、ただそれだけの理由ですべては破壊された。

俺はベルカ戦争に参加していて、同じ虚無を抱えている。
俺の乗ったベルカは着実に勝利しつつある、だが、俺の中でくすぶっているものの熱は収まらなかった。

結局、これも所詮は戦争だ。俺のすべてを奪ったものと大して変わりはしない。

「そう、ならば……私が与えてあげましょう。国境の線も、戦争を起こす国家も存在しない世界を」
「あんたは……」

赤い覇王は笑いながらそう言った。全ての枠組みをリセットし、新しい唯一を、理想郷を作り出すと。
俺は……彼女の誘いに、答えた。


「さぁ、この世界の破壊と再生を始めるわ! 全ての人民、否、愚民どもよ、私を恐れ、ひれ伏し、崇め奉りなさい!!」

新生国家アマーミ総統ハルシュタイン閣下。
彼女の宣言による世界侵略作戦「太陽のジェラシー」が決行された。
ベルカとの戦争に集中していたオーシアは、各拠点に出現したロボット軍団と戦闘機軍団になすすべもなく蹂躙されわずかな期間で屈した。
国境をなくし、全てをアマーミへと還すための侵攻は、ついにベルカへと迫っていた……。

『ガルム1、君だけが頼りだ。ほかのエース達は敵幹部の攻撃を凌ぐ為出撃している。
 ベルカを裏切ったピクシーが乗るADFX-02Morganにはベルカを屈服させる恐るべき兵器が搭載されている。
 エルジアの首都ファーバンティに投下され、全住民を愚民化させた超兵器だ。
 首都ディンズマルクに向かう奴をなんとしても阻止してくれ。君が抜かれたらベルカはアマーミに屈することになる。
 頼んだぞガルム1!!』

そしてなんとなく凹凸の少なくなだらかなF-15Eは、遂にADFX-02Morganと遭遇した。

「ここから境目が見えるか?国境は俺達に何をくれた?」

激しいドックファイトを交えつつ、青と赤は何度もせめぎ合う。

「奮い立つか? ならば 俺を落してみせろ。こいつらもまとめてな!」

さらに数機の戦闘ロボットが立ちふさがろうとするが……紅白の複座型タイフーン戦闘機がロボットをさらにさえぎる。

「お前は……でm」
「ち、違う! 今の私はマスク・ド・イロンデールだ!」
「あ、私はマスク・ド・ピヨキチです。ガルムさん、こいつらは私達の共同作業でどうにかしますのでピクシーさんを懲らしめてあげてくださいね!」

思わぬ友軍の到来に、再びドックファイトは激化する。

「歪んだパズルは一度リセットするべきなんだよ相棒、この超兵器で全てをアマーミへと還元し、ハルシュタイン閣下に未来を託そう」

そして、発射される超兵器。
果たしてガルム1は間に合うのか、世界はアマーミへと還り、人類は愚民と化してしまうのか!?


劇場版「ACE COMBAT ZERO ~お空の果てまでイッテきM@S~」 乞うご期待!!



「……てな夢を最近見るんだ。あのADFX-02を受領してから。何か取り憑いてるのかねアレ」

スクランブルエッグを突きながらそうぼやくピクシーに、肩を竦めながらサイファーは珈琲を差し出すのであった。
ピクシーの夢が正夢になるのかどうか……それは誰にもわからない。

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最終更新:2013年03月09日 18:27