162 :提督の憂鬱×恋姫無双 続き:2013/03/30(土) 23:21:41
提督の憂鬱×恋姫無双 続き

今のところの判明
嶋田繁太郎=袁紹『麗羽』
東條英機=文醜『猪々子』
辻正信=???
倉崎重蔵=???

163 :提督の憂鬱×恋姫無双 続き:2013/03/30(土) 23:22:11
流星が各地に降り注いでしばらく日にちが経ったある日。

「はぁ、今日の執務はこれで終わりですの?」
「はい。ご苦労様です袁紹様」

執務室にて書類を処理し終わった袁紹は軽く背伸びをしていた。
その様子に書類を受け取りに来ていた文官が苦笑する。

「お疲れになられたのでしたら、お休みになられては?ここ最近忙しく、羽を伸ばしておられませんし」

文官が心配そうに宇野も仕方がなかった。
何せ前まで我儘言い放題の上に、仕事をしなかった。しかし流星にうたれてからというもの、「誰この人?」と言われるくらい精力的に働き、休みもほどほどで豪快な買い物すらしなくなったのだ。
仕事をしてくれるのはうれしいのだが、前世の時のデスマーチが影響しているのかなかなか休まない為、吊られた文官達も休めないでいたのだ。
一応女官からその話を聞いていた袁紹は、これも主の務めと思い警邏がてらの散歩に行くことにした。




町に出ると、活気あふれる街並みが見える。
以前までは重い税のせいでここまでの活気はなかった。
しかし、善政を始めた袁紹のお蔭で人々の顔に笑顔が現れ始め、商人が更にやってくるようになり、きちんとした警備により治安が向上しており。
以前よりも住みやすい街となっていた。

「あ、袁紹様だ!」
「ええ、元気ですわね」
「おお、袁紹様!いい果物が手に入ったのですがどうでしょうか!」
「ならば城に届けて下さいな。お代はちゃんとにお支払いしますわ」
「袁紹様!」
「袁紹様!」
「袁紹様!」

袁紹の周りに人々が集まり、一目見ようと更に人が集まる。
流石にこれはちょっとまずいと思った時。

「はいはい、皆下がってくれ。袁紹様が通れないだろう」

護衛の一人としてついてきた文醜が人々を抑えた。

「た、助かりましたわ」
「いえいえ、護衛ですからね。いきましょうか?」

袁紹が頷くと先頭に文集が立ち、親衛隊五名が左右と後方について歩き始めた。

「久しぶりに外に出たけれど・・・やっぱり以前よりも活気がありますわね」
「そうですね・・・あたいも、そう思います」
「流星にうたれる前の無知無能ぶりが・・・ああ、穴にはいりたいですわ」
「逃げないでくさいよ。あたいだってあの剣持てるのが不思議なんですから」

そういって文醜は愛剣をなでた。

「ほんとこの細腕、見た目に反していますし」
「それを言うなら私の髪もそうですわ。整えないと尖がりドリルになりますのよ?」
「あははは。そうですね・・・って、あれ?」

ふいに文醜が止まったので全員が止まり、彼女が向いている方向を見た。
そちらにはいい匂いのする煙が充満している場所で、そこには沢山の移動可能なお店が並んでいた。

「・・・屋台?」

食べたいの?もうお昼だっけと思っていると、どうも様子がおかしい。
目をごしごしこすり、目を瞬かかせてみたくないものを見たような・・・、見つけたかったモノを探し当てたような表情をしていた。

「ちょっと、どうしましたの?」
「麗羽様・・・あれ読めます?」
「なにが?」
「あの幟です」

文醜はそういうと指差した。一軒のお店でどう見ても普通だ。しいて言うならば「くはははははは!」という奇声が聞こえるくらいか?
そして幟を見た瞬間違和感を覚えた。

(なんですの?お好み焼きって書いてあるだけではありませんか・・・お好み焼き?)

もう一度幟をよく見てみる。
なるほど、幟には『お好み焼き』と“日本語で”かかれている・・・

「え!?」
「あれ、日本語ですよね?」
「ええ!!」
「ちょっと行ってみましょう!」

二人が急いで屋台に向かうのを見て、慌てて親衛隊も追いかけた。
二人が到着したとき、鉄板の上では確かにお好み焼きができていた。
食欲をそそるソースの香り、具だくさんのそれは確かにおいしそうだった。
しかし、それはここにあるはずのない食べ物のはずだ。
呆然としていると、店の主人が声をかけてきた。

「あははははは!もうすこし待っててね!いい感じで焼けるよ!!」
「え・・・」

顔を上げた袁紹は主人の顔を見た。屋台の主人も袁紹を見るとにやりと笑った。

「あ、あなたは・・・」
「やぁ、ひさしぶりだね。“嶋田繁太郎首相”・・・それとも袁紹様かな?」

屋台の主人、劉備玄徳こと北輝次郎。マッドシェフ北一輝がそこにいた。

164 :提督の憂鬱×恋姫無双 続き:2013/03/30(土) 23:22:51




「つまり。この方は袁紹様と同じで、前世の御知り合いですか?」

あれから猛り嗤う(誤字にあらず)劉備を問い詰めた後、急いで城に帰り情報交換して袁紹・文醜・顔良・劉備は同じ食卓を囲んで夕食をとっていた。

「そうなんだよ。麗羽ちゃんとは前世の御知り合い」

そういって呑気に料理を取り分ける劉備に、頭を抱えた袁紹が問いかける。

「ちょっと桃香、作りすぎじゃありませんの?」

目の前には十品ほど並んだたくさんの料理。どれも湯気があがっていてとてもおいしそうだ。量がどう見ても十人前であるのを除けばだが・・・

「いやぁ。今までお金がなかった分できなかったから、反動が出ちゃった」

そう言って嗤うが、その笑顔はとても原作のような愛らしいものではなく、どちらかと言うと狂気の方だった。
その笑顔にビビった顔良が、袁紹に詰め寄る。

(だ、大丈夫なんですか?!)
(大丈夫ですわ。料理に関して暴走はしますけど、程度はわかっていますわ・・・多分・・・)
(ふぇぇぇぇぇぇ)

ヒソヒソと話していると、取り分け終わったのか劉備は席に座った。

「さぁ食べよう。熱々で食べるのがおいしいからね」
「おう!頂きまぁーす」
「ちょっと文ちゃん!」
「斗詩さん、諦めましょう。とりあえず目の前のものを食べましょう」
「うう・・・負けないんだからぁ!」

叫んだ顔良はさっそく手元に分けられた一品を手に取り食べた。

「お、おいしい!!」
「そうでしょう!食料庫にあったのから厳選したものを使ったからね!」

四人は美味しい料理に癒され、結局劉備は料理長兼農業指導員として雇われることになった。

その夜・・・

劉備にあてがわれた寝室に袁紹がやってくると、彼女はやってくるのがわかっていたのか用意されていた椅子に座っていた。
袁紹も向かい側に座る。

「桃香さん、お聞きしたのですけれど・・・」
「お供のこと?それともほかの転生者のこと?」
「両方ですけれど、まずはお供の方からお願いしますわ」

劉備は良いよと答えると、思い出すようにしゃべり始めた。

「お供の方は会う前だったみたいで、めんどいから逃げてきた」
「めんどいって・・・一応武官として雇いたかったのですけれど?」
「どうかなぁ・・・私がこんな性格だから、ついてこないかもよ?」
「(自覚があるんですの・・・)それもそうですわね・・・」
「あ、でもね」
「でも?」
「趙雲は富永だよ。すでに美と正義の使者『華蝶仮面』を名乗って、悪党をぶちのめしているみたいだし」

嫌な情報だった。すでに頭が痛いが続きを促す。

「次は荊州かな?どうも張勲が辻正信っぽいんだよね。孫家からいろいろむしり取っているみたい」
「やっぱりいましたか・・・(美羽は苦労していそうですわね)」
「辻が居なくなるなんて考えられないよ。後、風の噂だけどどこかで飛行に成功した人物がいるらしいよ。誰だかわからないけど」
「もうそれだけでわかりますわ・・・倉崎重蔵ですわね」
「南雲さんにもあったよ」
「え!どこでですの!!」

一緒に苦労した海軍仲間だ。ぜひとも知りたいと思い身を乗り出す。

「白蓮ちゃんの所」
「白蓮・・・公孫賛の所ですわね?」
「うん。ちなみに白蓮ちゃんは山本五十六で、南雲忠一が甘寧やっていたよ」
「南雲さん・・・甘寧になっていたんですの?」

甘寧って呉の武将じゃなかったけ?と思っていると

「どうも仲間内から追い出されて、白蓮ちゃんの所に流れ着いたみたい」
「この世界でも苦労されているのですわね」

同僚の不遇さに涙したが、ある程度旅をしてきた桃香の情報は貴重だ。
これからを思えば桃香の価値はだいぶ高い、なにせ夢幻会の中でも農業に関して意見できる(食の探求の一環として言える)立場にあったのだ。
しかし予測できなくなったのは痛いことだと思う。

(とりあえず白蓮さん・・・山本五十六との合流が必要ですわね。他の転生者も気になる所ですけど・・・ああ、やる事が多すぎますわ)

彼女の苦悩は続く・・・

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最終更新:2013年04月07日 11:49