833 :名無しさん:2013/07/03(水) 20:58:47
唐突ですが、ネタとして一つ。
設定スレ艦艇編その12、934スレの高雄丸を投稿したものです。
ようやく船の設定中で出した映画の内容が固まったので、投稿させていただきます。
邦画 『南の星は瞬いて』

1950年代初頭。東アジア・太平洋を舞台に起きた太平洋戦争から、10年近い年月が経とうとしていた。
世界を覆う天候不順による不況も、ようやく一息つける段階にまで来たといえた。
そんなある日、紀伊州万ダニエル(ダニエル・キースマン)は日本郵船が世界に誇る豪華貨客船「高雄丸」の
南洋・オーストラリア航路に搭乗し、バカンスを楽しんでいた。
アメリカで中堅ブローカーとしてそこそこの名うてだったダニエルは、世界恐慌で職を失い、着の身着のまま
新天地として日本へ移住した数少ない一人だった。ブローカーとしての交渉術と観察眼で日本市場を又に掛け、
大きな躍進を遂げる。と同時に、孤児院などへの寄付など慈善事業にも力を入れた彼はいまや、元外国人ではあるものの
多くの日本人に“日本人”として受け入れられていた。
そんな彼は高雄丸の船上で、一人の女性に心を惹かれる。
彼女の名は高崎綾奈。日本領台湾の貧しい現地民農家に生まれた彼女は、奨学金を受けて女学園を卒業後、
この高雄丸の客室乗務員として働いているという。
ダニエルのアメリカ人らしい大胆なアピールに対して、女学園で学んだ「淑女たれ」から冷静にそれをかわす綾奈。
しかし、あきらめずに彼女に思いを伝えるダニエルの姿に、彼女もまた次第に惹かれていく。
互いの距離が縮まっていくと比例して、航海は最終目的地であるシドニー港へと近づいていく。
到着までの最後の夜。ダニエルは「次に君がこの船でシドニーへ来たら、渡したいものがある」と告白。次の乗船時を
教えてほしいとオーストラリアでの住所を渡す。
二か月後、日本に帰国し休暇を得た綾奈はそこで、ダニエルが白人至上主義者によって「裏切り者」として殺害されたと知る。
彼の遺品として彼女の名前が彫られた銀の指輪と受取人不在の判が押されたダニエル宛ての彼女からの手紙を受け取った
綾奈は、それを見て泣き崩れる――

1950年公開のこの映画は、今井正監督のもとで3年をかけて制作された。
監督は「この作品はプロパガンダ要素などない」と明言(1951年雑誌「映画評論」にて)しているが、作品最後のダニエルを
殺害した人物が白人至上主義者であることやセリフの中に反朝鮮的な内容があまり目立たぬように配置されている、
登場人物が(日本において)少数派の人種であることから、プロパガンダ作品であるとする評価もある。
しかし、あくまでメインは恋愛劇であり、「君は会うたびに美しくなるね」「会ったのはついさっきです、お客様」「その間に
美しくなったのさ」等の様々な名台詞がこの作品から生まれ、のちに恋愛映画に大きな影響を与える。
また、この作品に登場する客船高雄丸は日本郵船所有の同名の豪華客船を特別に使用させてもらい、特別ツアー(映画エキストラとして
参加できるというもの)をくみ上げて往復丸三か月の行程の中で大半を撮影。こうして完成した映画は女性を中心に大ヒットを記録。
特に高雄丸を保有する日本郵船では映画上映にあわせて特別ツアーを企画し、ツアー予約が即日満席となる、
高崎綾奈役の女優の髪型が流行する、この時期から各客船保有会社の客室乗務員採用倍率がそれまでの1.5倍から8倍以上に
跳ね上がるなど大きな社会現象になった。

私にラブロマンスのシナリオなどできるわけがなかったッ・・・
お目汚しを失礼しました。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2013年10月25日 11:41