199 :237:2013/05/24(金) 14:05:22
僕は、動くダガーを前にしてようやく一つの終点にたどり着けたことを実感できた。
シミュレーター上は完璧でも実物では予想だにしない不具合が出るものだ。
それなのに目の前にあるダガーが不具合一つも出ることなく滑らかに動き出している。
その様子に僕たちのシステム部門や材料・構造・メカ部門などの様々な部門たちと共に
歓声の声を上げ、泣きながら抱き合っていた。
彼らは、時には協力し合いながら、時には喧嘩を仕合しながら、ダガーと共に育ててきた戦友であった。
彼らにとっては、苦節と共に生み出された子供のようなものであった。
彼らは動くダガーを泣きながら見続けていた・・・・・・
「それでは、ダガーの試運転成功を祝って、カンパーイ!」
「「「「「「「「かんぱーーい!!」」」」」」」」」」
僕たちは体育館のような広いホールに集まって、開発主任の音頭の下、乾杯しあった。
ダガーは試運転できただけで、本当の完成とは言えないが、一区切りとしてお祝いが行われているのであった。
これからは実戦的に動いて、新たな不具合が出るかもしれないが、これまでの仕事と比べたら
だいぶ楽になれるだろう。
「よう!飲んでいるか!?」
「あっ、飛鳥主任。挨拶回りお疲れ様です」
「うむ。君には今朝助かったよ」
「いえいえ、みんなが協力したおかげです。とても僕だけではできませんでした」
「何を言う。君のお陰だということはみんな知っているぞ!」
実は、前日からOSのシステムの不具合・変更命令が来たのだが、突貫作業で
今日の式典に間に合わせることができたのである。
その作業に大きく貢献したのが僕であった。
「今日は無礼講だ!さあ酒をじゃんじゃん飲め!」
僕は、この後、ビール缶一本飲んでダウンしたのであった。
最終更新:2013年09月06日 21:03