676 :237:2013/03/19(火) 08:28:32
「俺は、お前が入って来た時から気に入らなかったんだ!今日は遠慮なくボコしてやるぜ!」





僕が、プロジェクト・ダガーに参加してから、数週間がたった。
その間には、OS改良を行ったり、整備しやすい構造・実戦的な装備などの助言を行った。

もちろん、あの世界にあった構造をそのまま当て嵌めようとしたり、大きさなどを無視した助言も当初は多かったが
参考になる助言が多く、より実戦的にすることができた。

その助言の一つには、腕・脚部間接などの摩耗しやすい部品を交換しやすい構造にしたり
最接近した時に咄嗟に攻撃が出来るように小型ナイフを携帯するなどであった。

逆にシールドを装備するべきなどの、やや頑迷な助言があったがシミュレーション及び試作などでテストを行いながら
双方が納得のいく形で進めている事が出来た。




だが、僕の行動に一人のテストパイロットが不満を持っていた。
彼からすれば、僕は本物のパイロットでないくせに、机上の空論ばっかりを押しつける生意気な奴にしか見えなかった。

その不満は徐々に大きくなり、とうとう現場でも平気で批判が出るようになった。
周りが諫めても、批判をし続けるので、開発主任が
「じゃあ、模擬戦をやってみてはどうですか?」

驚く周りに、止めるように言うが
「実は、彼は非公式ながらパイロットを行った事があるのですよ。そこで彼が現場を知らない机上論の人かどうかを証明するいい機会だと思いませんか?」

こうして、僕とテストパイロットが模擬戦を行う羽目になり、彼のセリフが冒頭の通りだった。

模擬選に用意された機体はお互いにグラスゴーでOSも同じものが使用された。
なお、コールサインに僕が01、彼に02が振られた

『えー、模擬選のルールを説明します。時間は無制限でどちらかが撃墜判定を喰らった時点で終了です。準備はいいですか?』

『いいぜ!』
相手のダガーから通信が入る

「・・・・どうぞ」
僕は、気の抜けた返事をする

『それでは始めますよ?・・・・3・・・・2・・・・1・・・・GO!』
その合図と共に2機は駈け出した。







模擬戦が始まってから30分が経った。
2機のグラスゴーは多少の損傷はあれど、撃墜されていなかった。

677 :237:2013/03/19(火) 08:29:05
(まさか、あいつがここまで強いとは)
彼は驚いていた。彼はテストパイロットというプライドにかけて、速攻で終わらせるつもりだったが、ここまで長く続くとは思わなかったのだ。
(あいつを見直さなきゃいけないか・・・・)

一方、僕も焦っていた。
(体が・・・・ついていけない!)
実は肉体が、あの世界の全盛期のころと比べて劣っているため、思考と反応に体が付いていけてないのだ。

(体が重い!もっと・・・もっと!速く!動いてくれ!)



だが、その長い闘いも決着の時が来た。
彼が刀を持って突撃し、僕も答える形で刀を持ち、そして2機は刺し合うかのように止まった。
ただし、僕は僅かにずらし致命傷を避けたのに対し、彼は胸部に真っ直ぐに刺さっていた。

『状況終了!この勝負は01機の勝利です!』
その瞬間、見学者から爆発の声が上がった。

「よくやった!二週間の食券ゲットだぜ」
「くそー。一週間の食券が消えた」
「おしかったなー」
どうやら、賭けごとをしていたようだ


僕がコクピットから降り立つと、向こうから彼がやって来た

「お前は強いな・・・どうだ、パイロットをやってみないか?」
「それは・・・・」
僕は、あの世界の体験から2度とやりたくないと思っていたのだ。

彼はその表情に気付いて、カラカラと笑いながら
「まっ、ムリに来なくていいよ。来たら、俺が失職してしまうよ。これからもよろしくな」
そういって、手が差し出されたので、僕も差し出してがっしりと握手をした。

こうして、雨が降って地が固まるという言葉の通り、開発チームはより一致団結するようになった。







翌日、僕が筋肉痛で死にかけたのは余談だろう。

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最終更新:2013年09月08日 14:14