334 :237:2013/07/14(日) 11:38:31

こうして、引きずられた僕は近くのデパートにまでやってきた

飾られた服は日本とは違ったから、めったに服を買わない僕にとっては新鮮な場所であった。

「すいません、一度こちらの服を覗いてみたかったんです」
「いや、いいよ。真由の可愛い姿を見せてくれれば十分だよ」
「もう、煽てても出ませんよ」
そう言いながらも嬉しそうな真由、服を何着か持って試着室に行く


「どうですか?」
「うん、似合っているよ」

「こちらはどうですか?」
「うん、似合っているよ」

「うーんと、これは?」
「うん、似合っているよ」

「ちょっと~、さっきから似合っているよ、としか言ってないじゃないですか」
「う~ん・・・本当にどれも似合っているんだよね。本当に可愛いよ」
「そうだったんですか!だったら、どの服が一番気になりましたか?」
「そうだね・・・」

ざっとみる。彩な様々な服があるが、一番気になったものがあった。

「これかな?」
それは、薄いベージュ色で落ち着いた色をしながらも、可愛らしいデザインを誂えた服であった

「これですね?ちょっと待ってて下さい」
そういって、真由は服を持って試着室に入る

暫くして真由が出てきた
「どうですか・・・・?」

そういった、真由は見違えていた。今までは可愛いという印象しかなかったが、その服を着た真由は
「・・きれいだ・・・」
僕は思わず本音が漏れてしまった。

「ほ・・・ホントですか!?」
「うん・・・ほんとに。綺麗だよ・・・言葉が思いつかないや・・・」
本当に綺麗だった

「良かった・・・・じゃあ、この服を買います」
「僕が、お金を出してあげようか?」
「いいんですよ。ここに連れてきたのは私なんです。そこまで迷惑をかけられませんよ。それよりもこの後も付き合ってね」


そういって、真由は服を買ってその服を着て、あちこちへと移動した
ゲーセンでアイスホッケーをやったり、クレープ屋でクレープ食べたり、ブリタニア名物のデカ盛り食事を体験したりと楽しい時間が続いた


だが、楽しい時間も終わりは来るもので、日は暮れ、辺りは夜になった


僕と真由は明るい夜道を歩いていた
真由は上機嫌な様子だった。僕も久しぶりに楽しかったなと思う事ができた。

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そして、僕はふと気になったことがあったので、真由に尋ねた。
「そういえば、どうして今日買い物に行こうと誘ったんだい?」


すると、真由がこちら向きながら言った


「私はね・・・前からあなたの事を手伝いたいと思ったの。あなたが難しいお仕事しているのは知っていました。
だけど、あなただけしかできない仕事が多く、無理をしてしまって体も壊してしまった。もう、あの思いはしたなかった。
ですが、私はパパのようにコンピューターに詳しい訳ではありません
ママのように料理や掃除が上手いわけではありません。」
そう言う真由は悲しそうだった。


「私にできることはないのかなと思ったのですが、今日のあなたは元気がありませんでした。何か・・・悲しいことにあったようで・・・大切な人をなくしたみたいで・・・
私は、いても居られませんでした!あなたを励ましたかった!あなたを大切に思っている人がここにいると伝えたかった!
だから!あなたがこれ以上悲しむ必要はありません!私がいますから!」
真由は叫びながら、僕に抱きついた




(・・・・知らなかった。真由がこんな気持ちを持っていたなんて・・・・)
僕よりも年下のはずの真由が真正面にぶつかってくるとは予想外だった。

(僕は・・・・・)
僕は、真由を抱きしめながら

「泣かないで、真由。君が泣く必要はないから。君には泣き顔なんて似合わない。笑ってほしいんだ」
「う・・・うん・・・うん・・・」
真由は、涙を拭きながら頷く

「確かに、僕は悲しいことがあった。心が折れそうだった。だけど、もう心配いらないよ。だって、真由が僕を治してくれたじゃないか
だから、ありがとう。傍にいてくれて」
「よ・・・良かった・・・わ・・・私でも・・・役立てたんですね・・・」
「そうだよ。だから、何度も言うよ。ありがとう・・・」


二人はしばらく抱き合って、やがて名残惜しそうに離れ、寮に戻っていた。
僕はその時、心は澄みきれ、新しい気持ちを抱くことができた。






翌日、僕はとある部屋に向かった

その部屋をノックし入る
「おはようございます!」
「おはよ・・・ああ、なんだ貴様か。後2日休暇があ・・・・・やれるんだな?」
「はい!ご迷惑をかけてすいませんでした」
「なーに、いいってもんさ。早い内に気持ちが切り換えることができてよかったと思っているぞ
お前の仕事が山ほど溜まっているから、覚悟しとけよな」
「はい!」

こうして、僕は再び戦いに向かった

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最終更新:2013年09月09日 01:09