956 :202:2013/08/19(月) 15:41:40
こんな童話があるかもな




昔々 西の土地に狼と豚が住んでいました。
鋭い牙と大きな体を持つ力強い狼と 牙を持たず柔らかい体をした力の弱い豚。
普通ならば両者の関係は 喰う者と喰われる者。
しかし この地に住む狼たちは外からやってくる別の肉食獣から豚たちを守り 豚たちは食べ物を採ってきて日頃から自分たちを守ってくれている狼に差し出すといった奇妙な関係を築いていた。

幾十幾百の年月を得ても両者の関係は良好な物でしたが あるとき一部の豚が言いました。

「狼たちを追い出して俺たちの国を作ろう!」

狼と豚は群れを作っている とても大きな群れだ。
一匹一匹が好き勝手をしていては群れを守れない。
誰かが群れを率いるリーダーとならなければいけません。
となれば 力の弱い豚ではなく 力の強い狼からリーダーが選ばれるのは当たり前のこと。
そうしてリーダーとなった狼たちが群れを率いることで群れは大きく豊かになって行きましたが 一部の豚はそれが気に入らなかったのです。

だから狼を追い出して 豚の豚による豚のための国を作ろうと 群れにいる豚の殆どを自分たちの側に引き込み反乱を起こしました。
狼は力こそ強かったのですが 優しすぎるその性格が災いしたのと豚の数には勝てず 群れを追い出されてしまいます。

追い出された狼たちは信じていた豚たちの裏切りに傷付き また仲間を殺されてしまった者も数多くいましたが それでも豚を憎むことは出来ませんでした。
やがて彼らは別の土地に渡っていった巨狼の群れに合流して細々とした生活を送りながら力を蓄えていきます。

狼たちを追い出して土地を奪った豚たちは 碌に皆を纏められずに狼が蓄えていた食料を食い潰しながら自堕落な生活を送っています。
そうやって体の大きな豚は小さな豚に食料を与えて言うことをきかせたり 肥え太った豚は更なる食料を求めて別の地にいる草食獣たちを襲ったりしながら自由を愛し皆で物事を決める白い豚こそ優等種であると益々驕り高ぶる悪辣さを見せていました。
新たな支配層となった大豚たちの酷い有様に 豚たちの中からも 狼たちがいた頃の方が良かったと嘆き悲しむ者も現れる始末。

そんな豚たちの惨状を海を隔てた地から見ていた狼たちは 当初は自分たちを追い出した豚がどうなろうが知ったことではないと考えていましたが
彼らに助けを求めに来る豚の姿や 祖先の地を汚し続け他の生物を差別する怠け豚の態度に次第に怒りがわき上がってきます。

一方 東の地に住んでいた黄色い体毛を持つ孤高の狼と勇敢な猪からなる群れと 世界一大きな体躯を持つ巨狼は相争いながらも遂に和睦し 共に生きていこうと新たな群れを作っていました。
巨狼の地に間借りしていた自分たちにも手を差し出してきた黄色狼と猪たち優しさに 仲間を失い失意にあった西の狼たちは元気を取り戻し 祖先の地を奪い返す事を決意します。

こうして黄色狼と巨狼に支えられながら立ち上がった西の白狼たちは海を渡り 怠け者な豚の支配者を追い出して西の地を取り戻し 
今度は自分たちが西の地を追われた怠け豚は東のハイエナと争い続けながら 狼がいればしなくて良かった苦労を背負い生きていくことになりましたとさ。


めでたしめでたし。

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最終更新:2013年09月15日 18:05