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――皇暦20XX年

シーランド本土奇襲戦を発端として、EUはユーロブリタニア・ブリタニア・日本の三大兄弟国から宣戦布告を受けた。
後の欧州解放戦争である


EUは、真っ先に裏切ったイギリス、イタリア地方からの部隊が流れ込み、更にはスペイン、中欧、南欧、地中海と様々な処からなだれ込み
EUの首都である、フランス州は包囲、孤立してしまう

ドイツ州もバルカン半島、西欧、バルト三国がユーロブリタニアに遮断され、ロシアとの連絡が不可能となり
北方も凄まじい勢いで侵攻されていた。


しかし、ドイツの南地方の軍勢は健在で、その中には精鋭部隊があった



その名はワイバーン隊と呼ばれた
彼らは、EUの最新鋭機KMFアレクサンダが集中配備されており、部隊隊員もフランス・ドイツ・ロシアなどから
選りすぐったエリートが選ばれていたのであった


            • そうであった





「リエラ?機体の調子はどうだ?」
「あ、クルト。問題ないよ。この子はすごく調子がいいよ」
「そうか、イムカは?」
「ない」
ここに配属された、クルトは、小隊メンバーを集めて話をしていた。

リエラはシベリアも一緒に戦った戦友で、腕は確かだ。北ドイツにいた頃に、ジンクスⅢを撃破するという大金星を上げているのだからな
死神だと周りは言われているようだが、俺は一切そう言うのには興味なかった

イムカは、南ドイツに移ってからは配属されたもので、一切コミュニケーションを取ろうとしなかった。
それでも、命令は一応聞いてくれるようなので、問題は無いだろう


「でも、クルト・・・・。この部隊大丈夫なの?」
「よほど、下手な作戦をしない限り大丈夫だろう」

ワイバーン隊はエリート部隊だと言われているが、実際は各地方からの敗残兵をかき集めた部隊で、ロシア部隊はロシア地方が遮断されて
とり残された部隊をドイツ州軍が編入した部隊でもあった。

当然ながら、士気は低く、荒れている者が多かった。

それでも、最優先でアレクサンダが配備されて、防衛線に努めれば大丈夫であった。



              • 大丈夫であった筈だった。







「最高軍司令部から命令が届いた。フランスの包囲網の一角を突破し、そこにいる部隊を救援と同時に
ドイツ地方との連絡路を確保することである」
クルトは、他の部隊長と集まって、大隊長である、ピエル・アノウ大佐の作戦内容を聞いていた。

EU州の連合軍がEUの首都フランスを救援に行く。厭戦気分が高まった民衆に
これほど民衆に分かりやすいパフォーマンスはそうそうないだろう

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だが、クルトは
「この作戦は反対です。我々の装備は進攻に向いておりません。防衛戦にこそ発揮するものです。
百歩譲って侵攻を行うとして、なぜ、態々部隊を撃破しながらなのですか?
情報を渡して、後続の部隊を伝えた方がよろしいのではないでしょうか?」

この作戦は、孤立したフランスとの部隊と連絡を再度取れるようにすることである。
ならば、一刻も早く、電撃進撃して敵が悟られぬうちに、進めていくべきだ。

しかし、アノウ大佐は
「この作戦はすでに決定済みだ。それに、部隊を撃破していくことによって後続部隊が進撃しやすくするためだ。
我々は、それだけ行える力がある」
「ですが・・・!」
クルトは尚も言い募ろうとするが

「黙れ!たかが中尉が作戦に口をはさむな!これは高度な戦略の下に立案されたものだ!
軍法会議に送りたいのか?」
「いえ、失礼しました」
クルトは、下げる他なかった



「あ、クルト!お帰りなさい。どんなお話だったの?」
「ああ・・・・フランス包囲網を突破して来いとさ。一々部隊を相手にしながらだ」

リエラは顔色を変えながら訊ねる
「ねえ、クルト。それって・・・・・」
「お前の想像通りだよ。この作戦は失敗する」




クルト達は悪天候を付いて、ツヴァイブリュッケンから進撃を開始した。
彼らは一団となってドイツ州とフランス州の国境線を目指して進撃する。


途中で、グラスゴー、ボーイ、スピオトフォズが少数機あったが全てが片づけられた。

「何だよ!楽勝じゃねえか!」
「ユーロブリタニアのKMFなんて目じゃないぜ!」
「ヒャーハッハッハッハ!!」
隊員達は勝手なかった、楽勝な戦いに興奮していた。


クルト達は戦いに加わらず、弾薬を温存していた。




こうして、国境線を突破し、フランス州に突入した。
なお、アノウ大佐は連絡を円滑に行うという名目の下後方で指揮を執っていた


そして、ロレーヌ地方のモランジュに来た時に天候が回復しだした。

「・・・・む!全機!急いで隠れろ!!」
クルトは警告を発ししながらイムカ機を引っ張りながら、近くの窪みの中に隠れる。

すると、次の瞬間には辺り一面が砲撃で爆撃され、隠れ損なった数機が爆発した。


猛爆撃が続く中、クルトは外の様子を見て

「なんだ。今日のは薄いな」
「ええ、私寝ているから、時間になったら起こしてね」
リエラからの通信が入って、実際に寝てしまった。

イムカはというと反応がない。無理もない。彼女にとってこの砲撃は初めての経験だったのだろう。
俺も初めて合った時は似たような反応をしたものだ。

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ようやく砲撃が終わった。


「さあ、俺の指示についてこい!」
「了解です!」「問題ない」
リエラとイムカの通信が入る






クルトは、近くの山の森の中で待ち伏せをしていたが、他の大隊隊員は見開ける場所で陣取っていた。
これは、大隊長アノウ大佐からの指示に加え、今までの戦いから慢心してしまったのだろう。
その結果を彼らは自分の命で支払うことになった


「な・・何なんだよ!これ!」
「うぎゃあ!!あ・・足が!」
「だ・・・誰か!たすけ」
「つ・・・強い!」「い・・命だけは!」

予想通り、真っ向から挑んで命が散らしていった


やってきたKMFはジンクスが無く、グロースターとサザーランドの通常部隊であった。
しかし、腕前が違いすぎた。

今まで相手にしてきた部隊は、EUからユーロブリタニアに寝返ったものや、警備部隊でそれほど腕は無かった。
しかし、今回はユーロブリタニアの正規軍であった。

4大聖騎士団ほどではないが、EUと比べたら凄腕を揃えた部隊だ。



そして、クルト達も見つかったようで数機がこっちにやってくる。

しかし、クルトは姿を晒すという愚を犯すつもりはなく、森の中で高速移動しながら、射撃を繰り返し
更に地面へ引きずりだしたKMFをリエラが接近戦で挑み、次々と撃破していった


こうした事を繰り返していると、後ろに爆発音が聞こえた。

後ろを振り返ると、サザーランドに馬乗りされ、ブレードで突き刺そうとするイムカ機があった。

「イムカ!」

クルトがすぐさま駆けつけようとするが、イムカが上手く隠し剣を当て、サザーランドを戦闘不能にさせる。

「イムカ!大丈夫か!?」
通信を入れるが

立ち上がったイムカからは
「問題ない」
と帰って来た


こうして、混乱の中、クルト達は撤退に成功し機体のエネルギーが減少したので
リエラ機とイムカ機のエナジーフィラーを抜き取って、爆破処分すると
3人はクルト機体に乗り、3人で交代しながら、警戒が重大となった
国境線を突破し、基地に帰ることができた。


しかし、待っていたのは、アノウ大佐からの叱責で、作戦に失敗したのは俺達現場のせいだと言い
最低と噂されるネームレスに纏めて送りにすると言いだしやがった。

俺は、責任は俺にあり、リエラとイムカは関係ないと言ったが
当の二人が付いていくと言ったので、観念するほかなかった。


こうして、俺たちはネームレスに行くことになった・・・・

626 :237:2013/09/08(日) 22:27:17
終わり。

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最終更新:2013年09月20日 16:15