912 :237:2013/10/03(木) 18:25:12

ストライク・プロジェクトが開始されてから1年以上が過ぎた

多くのトラブルに見舞われながらも、全員が協力して、トラブルを一個、一個ずつ解消して回り
強くなっていくのを実感しながら、開発を進めていった結果、ついに完成することができた。


ストライクトライアルTypeD
開発目標であった、安く・強く・頑丈・扱いやすいという、相反する要求を纏め
究極の汎用機を目指し、装備・コスト・操縦性能を高水準にバランスよく纏めることに成功した。

この機体を元に新型量産機を開発することになり、ストライク・プロジェクトは大成功に終わることができた。




「「「「かんぱーい!!」」」」
僕たちは、会場のような処で、お酒を飲みあっていた。

「皆さんのお陰で、このプロジェクトは無事に終わることができました。
今日は無礼講ですので、どんどん飲んで行きましょう!!」
開発主任が音頭をとってビールを開けていく

僕は、離れたところで酒を飲んでいくと
「今日はお疲れさまでした!」
「あ、スザク君。お疲れ様、君も飲んでいるかい?おっと君はまだ未成年だったな」
「ええ、危うく巻き込まれそうになりましたので、逃げてきました」
そういってスザクは苦笑する


こうして、二人は雑談に入る

「そう言えば、君はどうしてテスパイになったんだい?」
「・・・・恥ずかしながら、僕は守りたい女性がいるのです。しかも、その女性は僕の地位とは比べ物にならない所にいます
僕は、その女性を一生守りたいのです!そのために力をもっと身につけたいのです!」
「・・・・そうか・・・」
僕はその純粋すぎるその気持ちに眩しそうになる。

前世の僕は友達を守るためとはいえ、成り行きで人殺しの戦争に参加して壊れそうになった。
その気持ちはこちらに来て、暖かい両親やこちらでできた友人たちのお陰で治ったと言っても過言ではなかった

「その気持ちを大事にしろよ。力に溺れて僕の様になるなよ・・・・・」
「・・?何かおっしゃいましたか?」
「いや、何でもないよ。僕も皆を国を守りたいから、この仕事に就いたからその気持ちは分かるよ」
そういいながら、脳裏には一人の女性が浮かび上がる。僕を救ってくれた人だ・・・・・・

913 :237:2013/10/03(木) 18:26:05

こうして、会話を続けていくうちに、スザクが突然身を正して言ってきた。

「すいません。僕の我儘を一つ聞いていただけませんか!?」
「うん?願いに程度によるけど、何?」






翌日、僕とスザクは演習場にいた
これは、スザクの我儘、僕と戦ってほしいというものだった。
スザクは厳谷さんと模擬演習をしたり、僕とペアで組んで試験をしたことはあっても
僕と模擬演習はしたことがなかった。だから、僕と戦いたかったという

僕は返事をする前に、いつの間にか背後にいた主任が「面白そうですね」という一言から
あれよあれよと言う間に用意されてしまった。


スザクはストライクトライアルTypeDで、僕はストライクイーグルであった。
演習場の名目はストライクトライアルTypeDの稼働試験である。


『本日は宜しくお願いします!』
「よろしくね・・・」
通信からスザクの大声が聞こえてくる。僕はそれを返事しつつチェックを進める
機体は正常を知らせてはいるが、所々が怪しい反応を知らせていた。
「持ってくれよ・・・・ストライク」

演習場に2機が並ぶ、暫く待っていると、演習開始の合図と同時に音楽が流れ、2機は激突した

何故、音楽が流れてくるのかというと、ストライクイーグルに搭載されたsongシステムであった
このシステムはスイッチがいつの間にか壊れたのに、戦闘がはじまると勝手に歌が流れるようになったト言う
そのプログラムを修正しようと粗探しをしたことはあったが、そのプログラムはついぞ見付かる事はなかった
しかし、周りが大受けしていたため、そのまま放置された


―――漆黒の夜空に浮かび上がる

2機のストライクは、小手調べと言わんばかりにヴァリスをお互いに発砲する。
ただし、避け方が対照的であった。

スザクが小きざなみに動いて、避けていくのに対し、僕はヴァリスに向けられた銃口の角度を瞬時に見抜いて
最小限の動きだけで避けていく。

2機は、高速で機動しながら蛇のように絡み合うが中々致命傷を与えられない


――――神秘なる真艶の月

そして、それを良しとしなかったスザクが接近し、僕が外しようもない
ヴァリスを発砲するも、常人には考えられない反射でブレイズルミナスを展開させて
砲弾を反らす。そして、スザクのすかさずヴァリスを撃ち返し、ヴァリスを失ってしまう


――――宴は今宵だけ開かれるの

僕はすかさず、スラッシュハーケンを地面に当てて垂直に逃げて、ヴァリスの追撃をかわすと同時に
MVSを抜き、スザクのヴァリスを破壊する。そして、すかさず蹴りを放つもスザクも同じタイミングで蹴りが来て
脚同士がぶつかり合い、甲高い金属音を奏でる


――――体の奥深くに

その反動で離れる2機にスザクもMVSを抜き、最接近し鍔迫り合いをする。
拮抗状態のまま競り合ったが、僕が引くと同時に左右に振るうがスザクは辛うじてかわす
そして、スザクからパンチが飛ぶが、僕はそれを掴み取り背負い投げをする

914 :237:2013/10/03(木) 18:26:45


――――絡み合い 昇り往く空へ

空中で立て直したスザクはスラッシュハーケンを飛ばすが、僕は空を飛ぶことで逃れる
スザクも空を飛び、空中で接近戦を行う


――――遥か らめえ そういうの

何度もMVS同士が交差するかのようにぶつかり合う。
そして何度目かのぶつかり合いにお互いに横凪をするも
ブレイズルミナスを展開した腕で受け止める


――――舞え歌え

すかさず、離れた2機だったが、スザクがここで腰に取りつけたロケットを発射する
簡易式で使い捨てながらある程度の追尾式が搭載されており、事実、ロケットは追尾してきた。
だが、僕は重力と慣性を利用して舞うように避け、ロケットがあらぬ方向で爆発する


――――溢れる 痛みと歓声


管制室では、とても静かだった。それはそうだろう。2人がやっている演習のレベルが
今までの中で最高レベルだったからだ

「すげえ」「あの坊主やるじゃないか」
「なんで、あの二人が軍人じゃないんだよ」

細々とした声が飛んできたが、大勢の人はこの演習を見逃すまいと目はモニターに向けていた


――――刻めよリズム

何度か交差し続けたが、ついにお互いのMVSが折れたが、2機は止まらない。いや止まれない

スザクがスラッシュハーケンの切っ先をつかって斬り裂こうとするも
僕は頭を屈めることでかわして、スザクに体当たりして、そのまま地面に向かって突進する


――――全てを忘れて

地面に衝突する寸前でスザクがもがき離れることに成功し、衝突は避けることができた。
僕も受け身を取って、スザクと対峙すると同時に最後の武器、ナイフを持って突進する
スザクもナイフを持って突進してきて、ナイフを突き合う


――――蒼い朝が来るまで・・・・・

ナイフは・・・・・僕は、動力炉に突き刺していたが、スザクはそれて肩に突き刺していた
これが、最後の演習の結末であった・・・・・・






僕達が格納庫について降り立ったら、興奮した人たちによって囲まれてしまった

「すごかったぞ!」「よくやった!」
「俺の賭けが当たった!奢ってやるぞ!」
「感動をありがとう!」「やらないか」

大勢の人が僕を称賛してくれる。僕は対応しながら歩いていると向こうからスザクが来た

915 :237:2013/10/03(木) 18:27:20

「あっ・・・・今日は無理を言ってありがとうございました!」
「いいよ、いいよ。僕も君と戦ってみたいと思っていたから」

僕はスザクを見ながら言う

「今日、戦ってみてどうだった?」
「いえ・・・・上には上がいるんだなと思いました。もっと精進せねばと思いました」
「何のために強くなりたいの?」

突然の問いかけにスザクは面食らうもスザクははっきりと答えた。

「守るためです!」「誰を?」
「女性です」「その女性は君にとって?」

さらなる問いかけにヤケを起こしたのか

「僕が守りたい好きな女性です!」

その言葉に格納庫は一瞬静まり、その後からかいの言葉が飛んできた

「ひゅーっ。かっこいいぜ!坊主!」
「青春だな!」「応援するぜ!スザク君!」
「頑張れよ!」

その励ましの言葉の中、僕は言う

「その気持ちを忘れずにいたら、君はきっと僕を超えることができるだろう」
「えっ・・・とてもですが、あなたを超えれるとは思いませんが・・・」
「今日は、紙一重の戦いだった。もしかしたら僕がやられていたかもしれない。
だから、謙虚することはないよ。誇っていいよ。だから!頑張れ!」

そういって、手を差し出す。スザクはびっくりしたが、はっきりと手を握り返す。
その様子に周りの人は拍手していた・・・・・






こうして、ブリタニアでのプロジェクトは全て終わることができた。
僕も片付け作業をしなければいけないのだが、主任がご褒美として、休暇をくれたため一足先に日本に帰ることができた。
日本に帰った僕はある決意をしていた。


ストライクイーグルは合計4機作られたが、最も有名であったのが1号機であっただろう。
特徴ある蒼い塗装に、鬼神のごとくの力を演習で発揮した為

『蒼い死神』『ローレライ』『蒼い鳥』『ディーバ』

などと異名が付けられることになった。

しかし、有名になりすぎたが故に、他の機体を出すことができず、演習に連続で駆り出され
結果、摩耗しきってしまい、スザクとの演習を最後に動かなくなってしまう。

その結果、解体することになり、使える部品は取り外され、ボディは倉崎の博物館に飾ることになった。
また、不思議なことに、博物館が閉まった後の人気がいない展示場で歌声が聞こえるという警備員がいて
ストライクイーグルが歌っているのではないかというのが専らの噂であった・・・・

916 :237:2013/10/03(木) 18:29:45
終わり

ブリタニアのストライク・プロジェクトは終わりました。
正直終わり方に悩みました。

厳谷さんと戦うのも良かったし、スザクが勝利するのも良かったかもしれないし
戦わんでよかったかもしれないしと色々悩みました。

だから、皆さんが納得のいく終わり方に出来たのかなと思います。

では、これにて

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最終更新:2013年10月21日 12:59