610 :yukikaze:2013/11/09(土) 23:22:21

では講和条約締結以降のアメリカ。いやぁ・・・経済って怖いですね。

1936年の大統領選挙は、共和党のアルフレッド・ランドンの圧勝で終わった。
民主党はどの州でも勝利することが出来なかったという最悪の結末で、殆ど押し付けられる形で大統領選挙に出馬させられたガーナーは、
「ナッツ」
という下品な言葉を残して政界から完全に引退をすることになる。
(なお、彼の回顧録が残っているが、基本的に自分以外の全てに対する呪いの言葉で書かれており「回顧録ではなく呪詛の祈祷書」呼ばわりされている)

さて、大統領になったランドンの初の仕事は、戦争によって有名無実と化したニューディール政策の完全な廃止を決定した。
実の所、ランドンはニューディール政策そのものは共感を覚えていたのだが、財政均衡主義者の立場として、財政赤字の増加と政府の効率の悪さの観点から廃止せざるを得なかった。
国家工業復旧法が違憲判決を受けた事もあいまって、ランドンのこの行動は共和党支持者から諸手を挙げて歓迎されることになるのだが、問題はランドンが掲げ、共和党支持者が賛同した「財政均衡主義」と「企業の自助努力」が、好景気時ならばともかく、不景気時においては、自殺としか言いようがない政策であったという事であった。

よくよく考えてみればいい。
企業の自浄努力に頼るという場合、業績が低迷した企業が採る手段は、徹底的なコスト削減である。
採算の取れない工場は閉鎖され、労働者は路頭に迷う。そうなると購買層は減少し、ますます企業の業績は悪化するという悪循環に陥るのである。
そして財政均衡主義は、収入が減ればその分支出も減るので、政府による公共事業政策が極めて限定的になり、企業がもらえる仕事がますます減るということにも繋がるのである。

もうお分かりであろう。
世界恐慌以前の過剰投資で供給力が完全飽和状態だったアメリカは、戦争による海外市場の大幅喪失と、財政均衡主義並びに政府救済策がなされないというコンボ攻撃によって、完全に止めをさされることになったのである。
町には失業者が溢れ、職を求める抗議デモが起き、銀行は自らの利益を確保する為に、貸し渋りや貸し剥がしを強行し、それなりに体力のあった企業さえ命脈を絶たれることになった。
そうした死屍累々の大地にあって、一人ほくそ笑んでいたのは日本の企業マンだけであった。後に「シャイロックですら奴らに比べれば善人だ」と、アメリカの大企業の重役が吐き捨てたように、彼らはアメリカ経済界の残骸から心行くまで墓荒らしをすることになる。
優秀な人材の引き抜きや、将来有望な特許を持つ企業の買収などまだかわいい方で、酷いケースでは提携を断ったライバル企業を株価操作で潰すわ、新聞社やラジオ会社をペーパー会社に買収させて共和党の政策を賛美するキャンペーンを張り、更に経済を悪化させるという悪魔な所業までしている。まさに好機とあらば徹底的に攻める日本の恐ろしさを示す行動であったと言えよう。


612 :yukikaze:2013/11/09(土) 23:25:08

今日はこれまで。
ちなみに今回の日本側の行動は、辻と商工省の岸がタッグを組み、
日本のビジネスマンが嬉々としてそのシナリオに乗ったという流れです。
 

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最終更新:2014年01月19日 23:53