521 :わかる?のひと:2013/11/20(水) 23:28:20

ドテラ撫子さんでわかる?戦間期~日露戦争 戦争編(4)


バルチック艦隊「あと一息で日本だな…俺、この戦争が終わったらバルト海に帰るんだ…」
信濃丸「我、中印半島沖にて極めて大規模な排煙見ゆ。位置送る」
第19特設哨戒母艦「通信中継す」
鳳山無線電信所「南支那海にて哨戒中の仮装巡洋艦よりバルチック艦隊と思われる報あり」
バルチック艦隊「我々はこの美しく温かい海のことを忘れない!絶対にだ!」

ドテラ撫子さん「これは…来ましたか?」
小人さん(タイミング的には、僕らが知るよりはかなり前倒しだけど…英蘭からの情報には符合するね)
軍令部「これが誤報だったとしても、哨戒網が想定通り機能したことは事実。ならばいずれ捕らえられるでしょう」
ドテラ撫子さん「それは前向きですねえ」
軍令部「前向きになれる程度には、人事は尽くしているつもりです」
ドテラ撫子さん「ふふ。頼もしいですね」

バルチック艦隊「……ん?」
第313特設哨戒艇「……」
バルチック艦隊「……なんだ、漁船か。驚かせやがって!」
第313特設哨戒艇「ふう。見逃されたか。次の定時連絡で打電だ。我、ロシア艦隊を発見せり。位置、針路、だ」
第23特設哨戒母艦「通信中継す」
鳳山無線電信所「ルソン海峡西方にてバルチック艦隊発見の報あり」
バルチック艦隊「なんだかあちこちから無電らしき電波が飛んでるが…まあ大丈夫さ!それよりウラジオストクについたら一杯やろうぜ!」

こうして北上しつつ鮮やかにデスノボリを乱立させていたバルチック艦隊でしたが、ついにノボリが回収されるときがやってきました。

聯合艦隊「ここは、通行止めでもす。通しもはん。通いたければ…」
バルチック艦隊「なんでっ…なんでっ…手前っ……ウラジオ一歩手前っ…!許されないっ…許されない待ち伏せっ……!地球半周…半周してきてっ…辛い…苦しいっ…腹黒っ……全部耐えてっ…ずっと耐えてっ…もう少しで……もう少しという希望……破壊っ…破壊するっ……悪魔っ…悪魔っ!!助けてっ…助けてっ……!(ぐにゃ~~)」
聯合艦隊「魂(たま)、徹してみせい」

(日本海海戦)


522 :わかる?のひと:2013/11/20(水) 23:28:53

ドテラ撫子さん「勝ってくれましたか。感謝を」
小人さん(うん。余計な言葉はいらないね。勝ってくれた)
ドテラ撫子さん「敵主力艦のほとんどを撃沈破。えぇと…あれ?軍艦ってこんなに沈むものでしたっけ?」
小人さん(んー、それについては、新型砲弾の効力もあるかな。実現に苦労した甲斐はあったか)
ドテラ撫子さん「(首かしげ)例の隠し球ですか?」
小人さん(うん。独自開発の12インチ砲用被帽徹甲榴弾さ。それも二重帽構造。英ハドフィールド社や仏シュナイダー社あたりが聞いたら驚愕するかもね)
ドテラ撫子さん「んー、よく分かりませんが、とにかく勝利に貢献したのなら、それでいいです」
小人さん(まぁこれがなくても、通常の徹甲榴弾でも勝てたと思うけどね)
ドテラ撫子さん「いえ、私は小人さんの事を信頼してますよ?」

目標装甲の表面硬化層を粉砕する硬い先端部と、目標装甲と砲弾本体の間で潰れることで衝撃応力を分散し砲弾本体の破砕を防ぐ柔らかい後方部。
この二重の被帽に助けられた砲弾は、
・命中角度があった場合でも滑りにくくなる。
・命中時に砲弾本体が砕ける現象が起きにくくなる。
・装甲の表面硬化層を前もって粉砕するため、貫通力が上がる。
といった嬉しい特典が一杯なのです。その分、最適な構造を見いだすための研究実験が大変ですが。

実際のところ、近くて遠い平行世界では、これらの着想自体はこのあたりの時代に産まれています。しかし、これを東洋の帝国が独自に開発・実用化し、それも戦艦の大口径砲に適用したとなると……ま、今のところは秘密兵器として機密のベールに隠されるのですけれど。
また炸薬も少しばかり先取りしてピクリン酸アンモニウムを使用しています。ピクリン酸よりは運用に手がかからないし遅延信管とも組み合わせられるとかで。小人さんが夜なべしてチートしてくれてたんですね…

ドテラ撫子さん「これで少なくとも勝ちは決まりました。後はどれだけ拡大できるかですね。ふふふ……念願の引きこもり生活まであと少し…」
小人さん(遠足は変えるまでが遠足だよ)
ドテラ撫子さん「分かってますよぅー(ぷー)…というわけで、今日は日本本土で最も過酷な『戦場』といわれる大本営陸軍部の兵站総監部にきてみました」
小人さん(日本本土で唯一『戦死』しかねない職場ともいわれている…)
ドテラ撫子さん「参謀本部といえば、少数のエリートが詰める陸軍軍令の中枢という印象がありますが…すごい人の数ですねー」


523 :わかる?のひと:2013/11/20(水) 23:29:41

課員A「第6能登丸が大連に入港してない?遅れてるのか?現在位置は分かるか?」
課員B「その件については郵船(日本郵船)と海護(海上護衛本部)にも照会中だ!少し待て!」
課員A「待てといわれても、あれの積み荷には最優先の30糎榴弾だぞ!大連の起重機と蒸気牽引車も手配済みで待機中なんだ!」
課員B「俺に言われても困る!くそ、一般船舶にも無線通信機が普及してりゃ位置くらい…」
課員C「そりゃ10年後に期待だな。ついでに通信が多すぎて海軍の通信部が悲鳴を上げるだろうな!」
課員B「はは、そりゃいい!…まあ海軍は海軍ですでに大変だからな…」
課員C「あー……うん、悪かった」
課員A「起重機と岸壁は解放させるか?いや、いま能登丸が来るとまずい。あと2時間だけ待つ」

ドテラ撫子さん「大変そうですねー」
小人さん(100万を軽く超える軍隊への兵站・輸送・通信を管理しているからね。10年前にこの光景を10年後だって見せたって、だれも信じないだろうね…)
ドテラ撫子さん「要は、私の引きこもりのためにこんなたくさんの人が…なんだか照れますね?」
小人さん(それはちょっと違うよ!?)

課員D「もういやだ!俺は戦場で殊勲をあげるために軍人になったんだ!こんな三菱の番頭のようなことをするためになったんじゃない!!」
課員E「馬鹿野郎!確かに俺たちは算盤と線表をいじり回すしかできない石ころだ!英雄になんかなれやしない!だが俺たち石ころがいないと、満州に渡った連中が飢えて死ぬんだぞ!」

ドテラ撫子さん「そこここでドラマが生まれてますねー」
小人さん(みんな仕事が大変で自制心が吹き飛んでるねー)

課員F「該当地域に分散する旅団を大連まで輸送のこと?独立機動第一旅団…こんな部隊あったか?」
課員G「あー、樺太だか新須賀あたりで出来た部隊だっけか?第13師団か第13軍かどっちか関係だろ」
課員F「最近は部隊が多くなりすぎてさっぱり把握出来んよ」
課員G「同感だが把握できないと不味いだろう常識的にいって」

ドテラ撫子さん「実は私も把握してませんっ!」
小人さん(胸を張っていわないで欲しい!僕も把握できてないけどっ!)


524 :わかる?のひと:2013/11/20(水) 23:30:23

課員H「おい!今日の特配が来たぞ!」
課員I「おお、そりゃいいな!今日はなんだ?」
課員H「今日は汁粉だ。餅は餡入りだぞ!それと酒だ。こっちはいつも通り一杯までだ」
課員J「汁粉の餅に餡入りはくどくないか?」
課員H「じゃあお前は餅抜きでいいな」
課員J「阿呆、くどくても甘味取らなきゃ倒れちまわ。これでも足りんくらいだ」
課員I「足りなけりゃ酒保にいきゃいい。何か残ってればだが」

ドテラ撫子さん「うん。軍人さんも意外に可愛いですね」
小人さん(……この死屍累々三歩手前の光景を可愛いといわれても困るんだけど)

課員K「おい!みんな!朗報だ!奉天が陥落したぞ!我が軍は露軍を包囲撃滅!大勝利だ!」
課員F「そうか、やってくれたか!」

「「「「「「「「「「「ばんざーい!ばんざーい!ばんざーい!」」」」」」」」」」」

課員C「……だが明日からまた仕事が増えるな…」
課員B「……そういえばそうだな…」
課員H「……もう少ししたらまた補充が来る。それまで耐えれば…」
課員D「……来たら来たでまたそいつらを教育しなきゃならんのだぞ…」
課員E「なぁに。文句を言うのは終わってからでも出来るさ」

課員A「能登丸はまだかー…」

ドテラ撫子さん「これはひどい」
小人さん(君がいうなよ!僕が言ってもいけないけどさ!)

しろくまくん「(がばっ)クマ!?なんか大巻きに巻いた具合に一瞬でとんでもないことになったような気がするクマ!?」
しろこぐまさん「くまー?くま?」
しろくまくん「クマ。おこしちゃったクマね…ごめんクマ。寝ちゃいなクマ…」
しろこぐまさん「く、くー…ふにゃ」
しろくまくん「この子のためにも、頑張らなきゃいけないクマよ…」


525 :わかる?のひと:2013/11/20(水) 23:31:29

以上です。wiki転載OKで。

鳳山は台湾高雄にある海軍の無線電信所です。史実ではもっと後に稼働する施設ですが。なお台湾から本土への連絡は、台湾~沖縄~九州間の海底ケーブル経由です。

聯合艦隊とバルチック艦隊の対比が酷い?それは仕様です。諦めて下さい。

それと戦地ばっかり日が当たるのもあれなので、後方の管理組織的な描写をちょっとしてみました。コミカルになるよう書いたつもりですが、中の人は実際かなり大変だと思います。日清から10年ほどしか経ってないんですし。「長の陸軍」が崩れていく端緒になったりしないだろうか…

また以前に書いた「隠し球」の伏線は弩級戦艦ではなく、新型砲弾でした。いやこれ、時期的に面白いタイミングではあるんですよね。史実日本海軍が12インチ被帽徹甲榴弾(英ハドフィールド社製)の射撃試験をしたのが、日露戦争終結から5年後ですので。

この世界では、ハドフィールド社砲弾やシュナイダー社砲弾を実射試験して『性能面でも価格面でも見るべきところなし』と評され両者が憤然として帰国し、その後WW1時に日本製砲弾の性能が彼らの目の前で実証されることになり『あれは値切りのためのフカシじゃなかったのか!』とどちらも愕然とするとかありそうな……


534 :わかる?のひと:2013/11/21(木) 00:08:50

>>526 >>527 >>529
みんなしろくまにやさしくしてあげようよ!!(超いけしゃあしゃあ)
ちなみに、しろこぐまさんは熊耳ロシアン幼女のイメージです。前スレにてインスパイアされて急遽登場です。

>>530
大規模な黒煙を発見し緊急回避していたら航路が延びて遅れただけですんだ模様です。
そのまま突っ切っていたらバルチック艦隊に撃沈されてしまい、積み荷が積み荷だけにこの後の陸軍の北進に結構な影響を与えていた可能性がありますね。

>>531-532
この辺は、小人さんの尽力だけでなく、いろいろな方面から持ち上げられると思います。
実際、ここで実績を積みあげ、分析され研究され戦訓へと昇華され、将来の『軍』のあり方を示す青写真になってくれませんと、WW1での大規模派兵とか夢のまた夢になりかねませんから。

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最終更新:2014年01月25日 21:59