299 :yukikaze:2013/11/16(土) 23:29:12

アカン・・・今日は何か調子に乗りすぎているような。
これは何か起きる予兆だ。

1944年。アメリカは偽りの繁栄を謳歌していた。
ロングが政権を握って以来、アメリカ経済は回復軌道に乗り、国内総生産や失業率も大きく改善されていった。
艦隊再建法により、アメリカ海軍の悲願というべき「Break Kii」を成し得るモンタナ級(史実モンタナ18インチver)も完成まじかとなり、彼らのプライドは大いに満たされることになった。誰もが「アメリカの復活」を確信していた。

だが、前述したように、それは偽りの繁栄であった。
積極財政と大規模な公共事業によって短期的には経済回復に成功したものの、合衆国には未だ新たなフロンティアを獲得することはなかった。
彼らが最も期待していたフランス市場は、未だ本土奪回を成し得ていないことから、自由フランス政府の求心力は碌になく、アメリカとの約束を果たすことなど夢のまた夢であったし、ロシアにしても、内戦の傷跡が深いのと、ナチスロシアの経済政策の無能ぶりから、市場としての価値は無きに等しい状態であった。
つまり、アメリカにとっては、戦争が継続している内はいいが、戦争が終わり次第、現在の生産量が、市場規模に比べて飽和しかねないという現実が、依然として横たわっていたのである。

当然、この状況にロングは焦りを覚えていた。
圧倒的な支持により2選を果たしていたロングであったが、それは現在の景気の良さにあるのであって、不景気になれば前任者と同様、不人気の内に蹴落とされることをよく理解していたのだ。
だからこそ彼は、アメリカ市場を満たすことが出来る新たなフロンティア探しに躍起になるのだが、安定した市場は悉く日英の物となっており、アメリカが入る余地はどこにもなかった。

故に彼が出来ることは、海軍再建の更なる促進と、半ば八つ当たりともいうべき、日系企業への嫌がらせであった。
日本政府の猛烈な抗議により、公共事業資金への強制的な取り立てこそやめたものの、「アメリカ企業にも行っている」ことを盾に、アメリカ国債の強制的な購入を強いるのはやめなかったし、更に日系企業に対して、難癖としか言いようがないレベルでの訴訟を支持者に起こさせ、司法にも手を回してそれを勝訴にさせるということまでしている。
このあまりにも露骨な行動に、アメリカの大衆は不景気時に日本企業(並びに合弁会社)が1人勝ちしていた事から溜飲を下げていたのだが、ウォール街のビジネスマン達は、自分達の利益が確保されたことを喜ぶ半面、幾分青い顔でつぶやくことになる。

「ツジとキシが黙っていないだろうな・・・」

彼らの懸念は大当たりする。
度重なる嫌がらせに対し、日本政府は、遂に日系企業に撤退を指示。涙を流して帰る彼らに「JAP Go home」と叫んでいたアメリカ市民たちは、撤退が無事に終了した直後に、日本政府が発表した声明に文字通り止めを刺される。

「日本政府は、サウジアラビア政府とクウェート政府との協定により、日英石油合弁会社中東石油が、ガワール油田、ブルガン油田の採掘権を得たことを発表する」

これまで世界的の産油量を支配していたアメリカ合衆国が、オイルゲームから完全に叩き出された瞬間であった。
この日、ウォール街は、かつての暗黒の木曜日に匹敵する大暴落を記録した。


300 :yukikaze:2013/11/16(土) 23:30:05

本日の投下はこれまで。
さて・・・戦後編の陸軍の規模か、イギリス海軍の新型巡洋艦
ネタでも考えるか。

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最終更新:2014年01月28日 21:10