667 :yukikaze:2013/12/04(水) 01:19:33

皆様方更新乙です。では懲りずに英国戦艦史その4

ロンドン海軍軍縮条約によって間違いなく最大級の勝利を得たのは英国海軍であった。
彼らは軍縮という美名の名のもとに日米海軍のこれ以上の強化を制限したのは勿論、いささか古さが目立ち始めていた自国海軍の新調も、条約によって早い段階で可能になったのである。
特に彼らが重視していた軽巡洋艦群は、日米海軍とは異なり、1934年には大半の艦の代艦建造が出来るという成果を上げている。
また、空母については日本海軍との技術交流により、インヴィンシブル級航空母艦が竣工することになり(憂鬱版蒼龍とほぼ同じ)、第二次大戦中「英国最高の武勲艦」として、姉妹たちと獅子奮迅の働きをすることになる。

しかしながら、こと戦艦に関して言えば、完璧に期待はずれであった。
英国海軍は軍縮条約に則り、42,000tクラスの16インチ砲高速戦艦を整備する予定を立てていた。
仮に竣工すれば、攻防走揃った良艦として歴史に記録されたであろうが、貧乏神の呪いと、排水量で比較した場合日米海軍に攻撃力で劣るという点から、せっかくの高速戦艦プランはあえなくお蔵入りすることになる。
後の事を考えると、正に痛恨としか言えない決定であった。

そして、それの代わりとして出たプランが「基準排水量35,000t、25ノットで18インチ砲6門艦」という代物であった。
確かに紀伊型もサウスダコダ級も強力な軍艦であるが、強力な攻撃力を発揮する為に、防御や速度を犠牲にしていると見なされており(紀伊型に関して言えばその予想は大分外れていたが)、それならば、サウスダコダよりも一発あたりの威力が上で、紀伊型よりも防御は固く、更に大半の戦艦と互角の速力を持った本艦ならば、総合的には上(且つお財布にも優し)と思われたのである。

こういうのを世間では「捕らぬ狸の皮算用」「失敗フラグ乙www」となるのだが、ネルソン級と呼ばれる本級2隻もそのフラグから逃れることは出来なかった。
集中防御を重視するあまり、艦首にビラミッド上に主砲を集めた結果(史実妙高の艦首部砲塔と同じ)艦首のバランス悪化による航洋性の悪さ、機関重量軽減の為に高圧力高馬力機関を積んだはいいが頻繁な故障と燃費の悪さが生じ、前述の航洋性の悪化もあって、速度は24ノット程度しか出せず、航続力も大幅に低下した。
しかも主砲の爆風により艦橋に悪影響を及ぼし、全門斉射がほぼ不可能。とどめに砲弾が妙な干渉を及ぼし、命中率まで悪いという散々な出来であった。

英国海軍の期待を込めて建造されたネルソン級であったが、余りの酷さに2隻で打ち切られ、英国海軍は一から計画の見直しを図られることになる。
だが、英国に残された時間は、彼らが考えているほど長いものではなかった。

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最終更新:2014年02月06日 21:43