629 :ひゅうが:2013/11/27(水) 21:20:14

――「比叡」型高速戦艦

全長:251メートル
全幅:35.1メートル
喫水:10.6メートル
基準排水量:4万5000トン
満載排水量:5万1000トン(計画時)
機関:艦本式ディーゼル(8基) 艦本式タービン(4基)混載4軸22万馬力
速力:32ノット(最大)
主砲:45口径41センチ砲3連装3基

同型艦:「比叡」「榛名」「朝日」「湯殿」

【解説】――ジュネーヴ海軍軍縮条約にのっとり建造された戦艦、いわゆる「比叡代艦型」である。当初は1925年建造開始を予定されていたものの、1924年の関東大震災によって1930年起工へと変じ、ロンドン条約においても起工済みであることから建造が続けられた。
そのコンセプトは、来るべき新型戦艦(超白根型)のテストベット兼、巡洋艦部隊の旗艦という「筑波」型超甲巡の親玉的なものであった。
このとき2隻が在籍し、旧式化しつつあった金剛型高速戦艦を予備艦化するために4隻が建造された。

大きさこそ条約にのっとり基準4万5000トンにおさめたものの、速度に関しては開発されたばかりの高圧缶とタービン、そして航続用の大出力ディーゼルエンジンの混載によって30ノット以上を実現。球状艦首を採用したために抵抗の削減につながり公試時32ノットという良好な速度性能を実現した。
主砲は、長門型や加賀型用に開発された1年式41センチ砲を改良した80式41センチ砲。口径は変えずに薬室の改良や尾栓の半閉鎖式への改良などで装填速度を向上させ、かつ大質量弾頭の発射を可能とした。
また、装甲材もヴィッカーズ鋼よりも量産性と粘りに優れた「室蘭鋼」を用い、大面積一体型鋼板を組み合わせた全面溶接方式によって建造が行われた。
航空機による洋上攻撃にも対処すべく予備浮力も多めにとられている。
(そのかわり、装甲は集中防御形式となり46センチ以上の大口径砲に対する防御力は限定的となっている。)

結果、戦艦としては標準的(ただし日本の標準的)な性能でありながら、バランスのとれた高速戦艦として世に出ることとなった。
同様のコンセプトで建造された「スペルオル」型高速戦艦が紀伊型戦艦に対抗するために装甲に無理を重ねたうえ改修前のパナマ運河の幅にあわせて細身であり、改装後も航行性能に制限があった(実質的な最大速度が30ノットにとどまった)ことを考えれば、本級は成功作であるといえよう。

だが、本級をはじめとする日本海軍の高速戦艦群への恐怖心からロンドン条約脱退以後のアメリカ海軍が巨大戦艦の量産に舵を切ったこともまた事実である。
本級の運用データを踏まえ、日本海軍はポスト条約型戦艦の建造に移行することになる。
命名基準は、近代日本海軍における殊勲艦。(比叡・榛名はユトランド沖開戦、朝日は日露戦争、湯殿は第1次ソ連ポーランド戦争)

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最終更新:2014年02月14日 17:06