657 :ひゅうが:2013/11/27(水) 22:04:53

――高速戦艦「スペリオル」級

全長271.0メートル
全幅33.0メートル(改装後36.1メートル)
喫水10.4メートル
基準排水量:4万5000トン(実際は4万9000トン 改装後5万3000トン)
満載排水量:5万4000トン(実際は6万200トン 改装後6万7000トン)
機関:ウィルコックス缶&タービン4軸23万5000馬力
速力:35ノット(改装後32ノット)
主砲:42口径46センチ砲3連装3基(新造時47口径41センチ砲3連装3基)

同型艦「スペリオル」「ヒューロン」「ミシガン」「エリー」「ジョージア(建造中止)」「オンタリオ(建造中止)」

【解説】――ジュネーヴ軍縮条約にのっとりアメリカ海軍が建造した高速戦艦。
建造目的は日本海軍の紀伊型戦艦への対抗と、高速戦艦部隊をさらなる高速で抑え込むことにあった。
そのため、計画当初はダニエルプラン艦隊計画のレキシントン級高速戦艦の設計を発展させた37ノット(!)という高速戦艦として構想された。
しかしながら、日本海軍への対抗のために開戦前に長砲身41センチ砲を46センチ砲へ換装するという構想にパナマ運河通行可能とするという無理を加えたため設計には大きな無理が出、「装甲甲板の上に二段目のボイラーを搭載する」というレキシントン級と同じ巡洋戦艦のような配置をとってまで速度を増加させた。
さらには絞った艦体が災いして高速時の凌波性は中部太平洋においては最悪に近く、実際の運用上の速力は30ノット程度に過ぎずそれを超えれば艦体に大ダメージを負う可能性すらあった。
さらには、特注の46センチ砲はわざわざ同一砲身長にあわせて極秘裏に搭載されたにもかかわらず斉射に大きな制限が加えられ、発射速度も限定的となってしまった。

こうした現状を受け、6隻予定だった建造は4隻で中断。
ロンドン条約を脱退後に大改装を受け機関換装やバルジの装着を受けた。
しかし、燃料の液層(高速発揮のために大量搭載)による間接防御や装甲配置の見直し、司令塔の配置を日本海軍にならって艦橋中央から艦橋下部へ移し塔型艦橋をはじめて採用、副砲も砲塔に配置しフィリピンなどの遠洋での運用を考慮し居住性にも留意するなど見るべき点は多い。
ロンドン条約脱退後の改装を受け、「46センチ砲戦艦に生まれ変わった」本級はアメリカ国民の期待を一身に受け「ビッグ4」と称され、大恐慌後のアメリカの復活を象徴する艦となった。
実質的に当初の欠陥品を実際の運用に耐える戦艦に仕立て直したこと、そして、惜しげもなく投入できる46センチ砲戦艦を有したことはアメリカ海軍の戦術に大きな余裕をもたらしたといえよう。

結果から批判されることが多いとはいえ、軍縮条約期のアメリカ戦艦のエポックメイキング的な艦であることに疑いはない。
本級の「失敗」を受け、アメリカ海軍は経験を積み、条約明け後の初の18インチ砲戦艦「サウスタゴタ」級と、強力な「プレジデント」級戦艦の「量産」に着手することができたのである――

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最終更新:2014年02月14日 17:06