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「お父様、大丈夫ですか?」
「ああ・・・・何とかな・・・」
嶋田さんはようやく精神放心状態から戻る事ができた。
「信じられないのだが・・・・君は本当に俺の娘なのか?」
「世界が違いますが、あなたの娘です」
そういうと、コクピットに入っていた僅かな荷物から、写真を見せる
そこには、家族で撮った写真があった。嶋田さんを真ん中に、モニカさんが寄り添い、自分、次女、弟が映った写真である。
「・・・確かに俺だな(にしても隣にいる人は誰だろう?サクラちゃんのお姉さんか?)」
「納得していただけましたか?」
嶋田さんは驚きの顔をしながらも、サクラにうんうんと頷く
「そうだな。サクラちゃんは俺に似ていないという事は母がすごい別嬪さんだったんだろうな」
「あのー・・・・お父様。私がこういうのはなんなんですが、怪しいと思わなかったのですか?突然、知らない人から貴方の娘ですと言われて・・・」
「確かに、俺はお前との面識はないさ・・・・だが、子供を信じられなくて何が親だ!誰が何を言おうとも、俺の娘だ!」
「お父様・・・・」
「だから、不安にならなくてもいいんだ」
サクラは、その言葉に不思議と安心感を覚え、泣き出してしまった。
そして、嶋田さんは泣き出した子供をあやすかのように背中をさすってくれた
それからしばらくして、落ち着いたのか、サクラは顔を赤くしながら離れた
「みっともない所をお見せしてすいません」
「なーに、いいんだ。我が子なら関係ないさ。所でサクラちゃんがいた世界について教えてくれないかい?」
「そうですね・・・・」
こうして、サクラは語る。
日本とブリタニアが家族のような関係であること、日本が超大国で技術の日本・力のブリタニアと称されていること
そして、シャルル陛下が子供を愛し、世界中に駆け回っていること、嶋田さんが隠居できていること
なによりも世界が平和であることを語られた
「そうか・・・そんな世界があるのか」
そういうと、嶋田さんは手を顔において、くっくっと笑い始めた
「お父様どうしたのですか?」
「いや、なに。そんな世界があるんだと、羨ましくて堪らなくてね・・・・
平和でお互いが家族のような国か・・・・まさに夢物語な国だ」
「お父様・・・」
「俺たちはつくづく無能だと思い知らさせてくれるよ。身売りするしか日本が存亡できなかったんだ」
「あの・・・・聞くのも憚れますが、この世界はどうなったのですか?」
「そうだな・・・・サクラにとっては残酷な世界になるかもしれないがこの世界は・・・・」
サクラはショックを受けた。日本とブリタニアが対立している、ブリタニアも平和主義な国ではなく
弱者を切り捨て、植民地の人間を差別し、世界相手に侵略戦争を続ける冷酷で非常な国となっていた
そして、それを先頭に取っているのがシャルル陛下であることだった
「嘘ですよね・・・?」
「嘘じゃないんだ。だから、サクラの話に出てきた家族の様なブリタニアが出てきたとき何かは眉唾ものだと思ったものだ
そして、平和にすることができなかった、俺たちは無能だと・・・・」
そういって、背中を向けて窓の外を見る
それは、サクラがいた世界も含めて、始めてみる無念に染まったお父様の背中であった・・・・
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終わり
最終更新:2014年02月22日 14:52