875 :598:2014/01/09(木) 23:18:05

流れを切ってすみません598です。大晦日に投下したTRPGネタですが、皆さんのご意見を聞いてるうちにさらにネタが出来てしまったので第二段を。いつも通り転載等はご自由にどうぞ。

卓上演戯所
卓上演戯所は江戸から明治に掛けて作られた卓上演戯(TRPG)を行うための遊戯場である。
一般的な卓上演戯所は、襖でしきられた4~6畳程度の子部屋を一間として10文程度で借りる事が出来た。演戯所ではその他に炬燵や筆記具の貸し出しや、菓子の販売などを行っており、長く借りる場合は、参加者全員が菓子を購入することが不文律となっていたようである。

密閉性があり、かつ骰子を使用することから「賭場として使われる危険性高し」として岡っ引きがよく訪れたようであり、当時の演技録本(リプレイ)の中でも【御用聞きの無粋によりて中断】という箇条書き度々出てくる。また卓上演戯やりたさに御用事と称して
卓上演戯所に出入りする岡っ引きというのは、江戸落語の定型人物の一人である。

時代が進むと公民館等の出現で徐々に廃れていった卓上演戯所であるが、この場所で遊ばれた作品には現在にも受け継がれている物が多数ある。ここでは主要な作品について解説を行う

三目八面下 作・紀貫之
あの「土佐日記」の作者である紀貫之が綴った竜穴記(D&D)の脚本教則(シナリオ集)であり、仮名文字で作られた始めての演戯本である。
内容は三目と八面を持ち人を食らう土佐の妖怪「三目八面」を退治するという、竜穴記の王道的なシナリオであるが、土佐の申山に篭もる三目八面を、同じく妖怪でありながらやや間の抜けた「山爺」の力を借りて(あるいは騙して)下山させ討ち取るというトンチの効いた脚本や、当時の土佐の状況を反映した登場人物達は現代でも通用する出来であり、妖怪や舞台を変えた写本が100以上も存在するという古典脚本教則を代表する一作である。


876 :598:2014/01/09(木) 23:20:06

演戯教則・好色一代男 作・井原 西鶴?
元禄文学の最高峰であり、現代で言えば「ハーレム系アダルト小説」の大作「好色一代男」をベースにした教則である。
作者は井原西鶴本人とされているが、この教則が広まったのは西鶴の没後であるため、別人作の可能性が高い。
所謂ところのエロTRPGの元祖としてカルト的な人気を誇る同作は、他の演戯教則とは違い、色街の道具屋などで「大人のオモチャ」として販売されていたようであり、本来の遊戯方法は遊女を演者として行う、現代で言う「イメクラ遊び」の様なものであったようであるが、他方でこれを通常の卓上演戯として遊ぶ猛者も多かったようであり、20冊にも及ぶ個人作成の「演技録本(演者は全員男性)」も見つかっている。
後に陰間茶屋用の「好色一代男色記」も作られた。こちらの脚本教則には風来山人の名義で平賀源内が参加しており、自身の男色と金髪への情熱をタップリと脚本に込めている

南総里見蒸気譚 作・曲亭馬琴
江戸時代最大のベストセラー作家であり、プロ作家の先駆けとも言える曲亭馬琴が自身のライフワークであった「南総里見八犬伝」の世界観に蒸気草子(スチームパンク)を大胆に取り込み創りだした卓上演戯教則。
蒸気甲冑を纏って妖怪変化を倒し、戦を駆けぬける事を主眼にした本作は、江戸期の演戯教則の中でも傑作の呼び声が高い。またそれだけでなく「美女に变化する剣歯虎」や「童女に化身して持ち主を守る妖刀」など、後年の創作物に多大な影響を与えたと思われる設定が多いことでも知られる。

Hide and Seek Role-Playing Game 作・コナン・ドイル
名探偵シャーロック・ホームズの生みの親であるコナン・ドイルが、イギリスに輸出された「大江戸捕物帳演戯教則」をベースに、より演者の推理力や演技力を活かした形に再構築した「推理型卓上演戯」の名作。
ロンドンで起こる数々の事件を操作する探偵の手足となって動くという斬新な手法と、何よりシャーロック・ホームズシリーズのヒットによって欧米で大ヒットし、日本にも逆輸入された。
なお初版、および演戯管理者(GM)の操る探偵役に「シャーロック・ホームズ」の名前と数々の設定が追加された第三版は、現存する演戯教則の中で最高値が付いている物の1つである。

日清戦争異常あり 作者不明
名前の通り「日清戦争」を舞台にした卓上演戯であり、本格的な図上演習盤を付録とした「ウォーシミレーションRPG」の開祖ともいえる作品である。
その出来から開発者は日清戦争に従事した将校ではないかと言われている本作であるが、とくに図上演習部分は白眉の出来であり
「伝令の遅延による情報の錯綜」
「混戦時の敵部隊誤認」
「補給路の伸長によって生じる物資不足と突発的な敵部隊による補給路の寸断」
など日清戦争で実際に起こった、あるいは起こり得た数々の出来事の見事に再現した公式脚本集と相まって、ただの遊戯を越えて「近代戦」というものを広く市政に伝えた傑作であり。日露戦争において農民出の兵士が、持ち込んだ「日清戦争異常あり」の演習盤で演習を行っているのを見た観戦武官が呟いたとされる
「帝国軍、一兵卒に至るまで将官の頭脳を持ちたるや」
は、あまりに有名である。

 


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最終更新:2014年05月25日 21:11