177 :New ◆QTlJyklQpI:2014/01/13(月) 02:15:27

※これはハニワ一号氏の(ネタ)大陸日本江戸幕府夢幻会ルートSSの設定を流用しています。
大鎖国日本ネタ ~日沈まぬ国~

大英帝国メルバーン子爵内閣は保守党などからの反対を押し切りアジア地域への遠征軍派遣を決定。
巷は伝え聞いた東洋最強の戦士、サムライを相手にすることに胸が滾り、資本家たちは広大なアジア地域を獲得して得る巨万の富を想像して早くも投資の話が弾んでおり、一部知識人の長年の同盟国と戦うことへの嘆きとアジア帰りの人々の不安視する声を覆い隠しつつあった。

「パーマストン卿、いよいよ開戦だな」

執務室のソファで寛いでいる大英帝国の首相メルバーン子爵は向かいに座る妹婿でもある内閣の外相パーマストン子爵は声を掛けた。多少執務態度に問題があるがヴィクトリア女王陛下の寵愛を受ける首相と英国の国益を損なうことを良しとしない強硬外交を実施する外相。
この2者が産業革命により欧州随一の列強となった大英帝国を支えていると言えた。

「はい・・・」

上機嫌なメルバーン子爵とは対照的にあまり機嫌がいいとは言えないパーマストン子爵。

「やはり不満かね?」
「情報が少なすぎます。出来ることならもう少し時間を掛けておきたかったのですが」
「そうか、だがもう賽は投げられた。過ぎたことを悔やんでも仕方あるまい」

日本からの情報が少なすぎることに難色を示していたが首相の言葉により表向きは納得することにするパーマストン子爵。
だが内心は言い知れぬ不安感で一杯になっていた。

まだブリテンがイングランドなど複数に分裂していた時代に接触してきた極東の大国。
ローマへの遣欧使節団に紛れてやってきた彼らはイングランドとの同盟を提案した。
イングランドは変な英語(アメリカ型英語)を扱う黄色人種を訝しみながらも
チャイナに匹敵する巨大国家が東南アジア地域に進出することを知るとスペイン(この時実質ポルトガルを併合)やオランダを出し抜いてアジアとの交易を独占できることが出来ることから同盟を受諾した。

その後、徳川幕府は夢幻会の構想した大鎖国戦略、それに戦国時代の終了で余剰となった膨大な軍事力を一気に吐き出すかのように東南アジア各地に侵攻、ヨーロッパ諸国がアジアから叩き出されるのを横目にイングランドはムガール帝国などのインドの植民地化に専念しつつ、アジア地域との交易を独占出来たことに笑いが止まらずフォークランド諸島や北米植民地などでの多少の衝突はあったもののグレートブリテン王国となった後も同盟関係は継続していた。

しかし、英国で産業革命が起こった頃から関係に歪みが生じ始める。
工業化により更なる市場を求めた英国であったが北米植民地には独立されアフリカや南米では欧州列強との衝突が必至であったことから忌避され、必然その目は鎖国を実施しているアジア一帯、日本に向くこととなる。
しかし、日本が求めるのは書物や芸術品などの手工業品が中心であり、しかも最近になって日本製の工業製品が英国側に輸出され始めた事から衝撃が走ることとなった。
いつの間にか日本が産業革命を行っていること、それが英国と比較しても優れた品質を保ってることからこのままでは英国経済が日本製品に蚕食されるのではないかと資本家を中心に脅威論が浮上。
更にナポレオン戦争の傷から立ち直った東欧や対岸のフランスでも産業革命の波が押し寄せてきており英国は自国が優位である今の内にアジア圏を手に入れることを要求されていた。


178 :New ◆QTlJyklQpI:2014/01/13(月) 02:15:59

「しかし首相閣下、何故これ程の対日同盟を?」

不安を紛らわせるようにパーマストン子爵はこれほどの大同盟を組んだ意図を首相に求める。
確かにアメリカから欧州、拒否されたがチャイナに至るまで同盟を組めば一時的に日本を超える兵力を手に入れることが出来ただろうが統率や利害対立から足並みが揃うか怪しいところであった。

「アジアに手を出すとなるとやはり英国だけでは少し苦しく、また他国からの無用な横槍が入るもの嫌った・・・というのが表向きではあるが、パーマストン卿。君は本当にこの同盟で日本に勝てると思うかね?」
「それは・・・どういう意味で?」
「君は我々が日本大陸まで侵攻できうると考えてるかね?」

試すような目で見るメルバーン子爵。そしてパーマストン子爵は首相の意図を知り返答した。

「無理ですな」

まだスエズ運河もパナマ運河もないこの時代、ユーラシア大陸の果てにある近代化してるだろう資源豊富な大陸国家に侵攻するなど素人でも無理とわかるだろう。

「首相は日本への侵攻を想定してしないのですね?」
「日本へは侵攻する。ただし、日本の植民地へ、であるが」
「そして目指すはチャイナ、ですか」
「その通り。アジアに植民地を手に入れる。そして他の列強が日本と睨み合いになってる間にチャイナに進出する。いくら日本でも対日同盟との争いで疲弊するだろうからそうそう手出しは出来まい。上手くすればチャイナと日本を食い合わせることも出来るやもしれん」

人の悪い笑みを浮かべる首相に呆れた顔の外相。

「大丈夫だパーマストン卿。いくら日本が強くとも侵攻するのは植民地や保護国だ。いくら近代化し始めたサムライでもシベリアや北米にも兵を割かねばならぬ以上増援を送るまでは時間が掛かる」
「わかりました。日本との手打ちの交渉は私にお任せを」
「頼む」

上司の構想を聞いて不安も払拭されたパーマストン子爵は冷徹な外交を司る者の顔をしていた。
だが彼らは根本的な間違いを犯していた。
極東の大国が既に1600年代には蒸気機関を運用を開始しており既に近代社会を形成してることを。そして日本のお人よしな性格と大鎖国戦略から日本だけでなく植民地や保護国の各地でも近代化され欧州でも比肩しうる軍備を持っていることをこの戦争によって
否が応にも知ることになる。

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最終更新:2014年06月18日 02:06