ここに来て数日が立った、ネームレスはスカウト達が忙しく走り回る。
スピオトフォズや生身などの潜入を試みて、情報を集めていた


そんな中、イムカは

「王手♪」
「ぐっ・・・待った!」
「もう、待ったなしよ。イムカったら弱いね~♪」
「も・・・もう一度だ!」
「いいわよ」

リエラと将棋をやっていた。どうも、シベリアで流行っていた遊びだと言うが
イムカは負け続けていた

この後もえんえんと将棋をやったが、終ぞ勝つ事は無かった




一方とあるテントにはクルトが机の前に立っていた

彼の前にはこれまでの偵察でもたらされた情報が集まっていた
偵察報告には、何箇所かは穴が出来ていたが、大規模的に利用できるものではなかったという

「時間が・・・足りない・・・何か・・・手は・・・」
クルトは頭をガリガリと掻く

この要塞攻略戦は速攻が求められていた。
なぜなら、長引けば長引くほど、北側からはムルマンスクから、南側からはサンクトペテルブルクの増援が来て
逆にこちらを包囲殲滅されてしまう可能性が高かったからだ

かといって、防御施設を破壊しまくって、今後北欧軍が防衛戦に持ち込む際に修理が長引いて
要塞が使えなくなって、逆に再占領されてしまったら、攻撃した意味が無いであろう


「くそ・・・何か・・・・無いのか?」
クルトが呻いていると、一緒に作業をしていたヴァレリーがふと思い出しかのように呟く

「そういえば・・・・ペトロザウォーツクには地下道があったような・・・」
「何!本当か!ヴァレリー!!」
クルトが肩をガシッと掴んで詰め寄る

「え・・ええ・・落ち着いて頂戴。昔読んだ古書に古地図があったのよ。
確か・・・・」



その場所を聞いたクルトは急いで偵察を放し、その結果報告を聞いて
作戦をまとめ上げてバルドレン・ガッセナール大佐に作戦を上告する

「・・・・正気か?」
「これしかありません。犠牲を最小に速攻を求めるなら」
「そうか・・・・好きに行いたまえ。私も合わせておこう」
「ありがとうございます」
そういうとクルトは急いで自分の部隊に戻る

その様子を見たバルドレンは呟く
「・・・この作戦は博打だ。失敗する可能性が高いだろう・・・だが、それでも私はこの1%でも縋らなければいけないのだ・・・・
寒い時代だと思わないかね?」
「ええ、お兄様・・・」

私は食堂にいた。なんでもクルトが作戦説明するらしいそんなのは後でいいから、飯食わせろ
暫く待っていると、クルトがやってきて、作戦の説明が始まった
「さあ、この要塞を速攻で陥落させるぞ」
「そう、簡単に言うができるのか?」
「ああ、俺らが偵察した時には蟻が入る隙間もなかったぜ」
隊員の各々が意見を言う


「そう、簡単ではない。だからこそ、この作戦を行う」
そういって、プロジェクターを起動する・・・・







翌日、要塞攻略隊の最前線にバルドレン・ガッセナール大佐の姿があった
名目上は視察と打っているが、この後の事を考えてだった

「・・・以上で、このようにいつでも攻略可能な状態にあります」
「ご苦労。我が軍が頼もしく見えるよ」
「はっ!ありがとうございます」

敬礼する兵士を見ながら心の中で思う
(そろそろか・・・・)
バルドレンがそう思っていると、地面が揺れたかと思うと大音響が響き渡る
見れば、要塞が大爆発を起こしていた


――――

「第一段階として、ヴァレリーが発見した地下道を利用して、要塞地下から爆弾を仕掛け、爆発させる
この時に爆発させる場所は、西側のこことする」
「ふむ、その地下道での作業は大丈夫なのか?」
「KMFでも通れるから大丈夫だ。その総指揮はダイトにやってもらう。やれるな?」
「・・・・・いつまでに?」
「開始時間マイナス30分にはすべて終えてくれ」
「・・・・開始時間は?」
「翌日の午前10時を予定している」
「・・・・時間が足りない」
「何の時間だ?」
「・・・・全てだ」
「間に合わせろ。それとも・・・」

クルトはダイトを見ながら言う
「本当にやれないのか?」
「・・・・・」

ダイトは懐から煙草を取り出して、暫く吸う
そして、ゆっくりと吐き出すと
「・・・・どうなっても知らんぞ?」
汗を一つタラリと流しながら笑みを浮かべた


――――

そして、ダイトが率いるクラフトメンバーが突貫工事で要塞守備隊が気づかぬうちに爆弾を仕掛けることに成功した
数発は弾薬庫真下に設置され、派手な大爆発と化した

要塞に覆われていた黒煙が消え去ると
要塞守備隊が頼りにしていた、要塞壁が消滅していた

それを、北欧の将兵達は茫然と見ていたが、バルドレンが大声を上げる
「見ろ!EUは間抜けにも弾薬庫を自爆させるという、自滅的な行為で壁を態々開けてくれたぞ!!
敵が混乱している今がチャンスだ!総員突撃せよ!!」
「「「「「う・・・・・うおおおおおおおお!!」」」」」

バルドレンの怒声に北欧の将兵が、装甲車・戦車・KMFなどの兵器と共に突撃開始する
その突撃を見た、EUが残った防御火器で攻撃しようとするも、ネームレスが電線を切断してしまったため、
防御火器が動かず、効果的な反撃はでき無かったため、北欧軍は要塞内に突入することに成功する

要塞司令部では、突然の大爆発に北欧軍の攻撃に混乱しながらも、迎撃の指示を出す
守備隊が西口から突入した北欧軍と戦闘に入ったと報告を聞いた途端、新たな報告が入る

「東監視塔から連絡です!多くの輸送機が東から現れてきたそうです!
その輸送機から多くのKMFを空挺している模様です!」

――――

「第二段階として、東へ空挺作戦を行い、敵戦力を二分させる」
「この空挺で司令部を落とすのか?」
「・・・いや、落とさない。敵司令もそう考えているだろうから、逆手に取る」
「逆手に取るって・・・まさか!」
「そうだ、敵を誘引する為に防衛戦闘と陽動を行う」
「タハー・・・頭が痛くなる任務だが、誰がやるんだ?」
「この任務は・・・・」

クルトは言葉を切ると、一人の女性に注がれた
「マルギットのスカー隊に任せたい。できるか?」
「お任せ下さい!必ずや遂行して見せます!」
「頼んだぞ」
マルギット・ラヴェリが自信満々にお答えする

――――

マルギットが乗るサザーランド指揮官機は、輸送機から陸地に降り立つと
「総員!武器・資材の回収後、本機周辺に集合!」
「「「「イエッサー!!」」」」

その言葉通りにマルギットの部隊、スカー隊員が集まり
スカークラフトが資材を用いて、即席のトーチカを作り上げ、その上で輸送機から
降ろした武器の梱包を解くと中から重機関銃やロングバレルコイルガンを取り出し、設置する

更には、建物の陰にはスカーガンナーが狙撃銃やバズーカなどを持って、待ち伏せする


建物の上にはクモモドキが走っており、常にマルギットに情報を提供する
すると、道の向こう側からEUの守備軍が10分後に到着するという情報が入る

「うふふふふ・・・・お客様をおもてなしするのも淑女の役目でして?」


こうして、スカー隊の死闘が始まった









(・・・・・暗い)
それが、私の偽らざる心境だ。

私達は、とある場所にいて、クルト達と一緒に待機していた
戦闘をやっているのか、爆発音が聞こえるが、震動はそれほどではない

リエラはこんな状況なのにいつものように寝ていた。
なぜ、寝れるのか謎だ

と、通信が突如入ってきた
『総員、もうすぐ時間だ。予想では、司令部周辺の敵は少なっている筈だ。
俺に着いてきて、そのまま司令部突入、司令官を捕まえる』
そういうと、クルトのグロースターSが立ちあがり、着いてこいと指示する
私はそれに従う


そして、壁の様な場所に辿り着き、クルトが静かに確認をとり
そのまま押し込むように壁を破壊する。壁は簡単に崩落し、久しぶりの太陽の光が入って来て
しばし目を焼くが、私は無視して、前進を続ける

目に入った光景は、パンツァーフンメルが後ろ向きに待ち構え
周辺の装甲車や歩兵達が驚愕の目で見ていたのが見えた


司令部の近くで使われていた公園には、EU時代以前には、巨大な王様銅像が立っていたが
EUに編入されてからは銅像が倒され、台座だけが残っていた。

司令部はここを最終防衛ラインとして部隊を纏めていたが、歩兵達は緊張していた
彼らは、スカンジナヴィア王国が突然独立宣言と共に宣戦布告をしてきたので、現地徴兵として
徴兵されたのである。当然のことながら、士気は低い

彼らが、死にたくないという思いを抱えていると背後から轟音が聞こえてきた
びっくりして、振り返ると、王様台座の根元から

北欧軍のKMFが次々と現れ、パンツァーフンメル達を破壊していった
彼らは破壊して回ると、彼らはどこかへ去った

歩兵の周辺は地獄絵図な光景が生み出されていたが、何故か彼らは無事であった
やがて、彼らは北欧軍の捕虜になるまで、呆然として動く事は無かった





(くっ・・・!敵が多い!)
イムカは建物の陰から次々とやって来るパンツァーフンメルやボーイを破壊して回るが
その数は尋常なものではない。

やはり、戦力が釣られたと言っても、数が多いのは要塞都市だろう
多くの隊員が自分と同じように奮戦している

向こう側では、リエラがトンファーで建物の角から出てきたボーイを後部に突き刺して
そのまま、前方へ一転してトンファーを抜き去ると同時にもう1機のボーイの銃撃をかわすと同時に
足払いをして、ボーイが崩した所で、起き上がりエルボードロップでコクピットに突き刺す
そして、スラッシュハーケンで上がるとオルレアン編隊の後ろを取ると、ジャッジメントで掃射する

このように、建物を利用して、EUのKMFを殺しまくっていた


歩兵達が司令部の中に突入して数分立つが、連絡は無いと思っていた所
『司令部に突入したが、もぬけの殻だ!捕虜に尋問した所、既に脱出してヘリで逃亡する所だ!急いでくれ!』
どうやら、司令部は既に逃走していた模様だ。
クルトからも、自分が飛行場に一番近いから行ってくれ!という命令が届く

私はスラッシュハーケンを使い、建物の上に上ると、建物から建物へと
飛び渡るように走る。


飛行場にはオルレアン1機とボーイ2機が護衛に着いて
滑走路にはヘリがローターを回していた

私は飛行場に突入し、まずはボーイをアサルトライフルで破壊する
崩れ落ちるボーイの横を走ると、オルレアンが武器を構えて銃を発射してくるが
私はスイスイとかわすと接近して、ヒートソードで一刀両断させる
最後のボーイも振り向き様、ヒートソードを投げて、胸部に突き刺す
突き刺されたボーイは暫く立っていたが、やがて力無く崩れ落ちた


それを見届けた私は、滑走路に突入し、ヘリの下へと行く
ヘリは既に数十m浮上していたが、私はアサルトライフルでローターを破損させるように撃ち落とす

ローターを撃ち落とされた、ヘリはキリモミ回転して、地面に墜落する
やがて、ヘリから勲章をジャラジャラ着けた人が出てきたので、私はそれに向けて
アサルトライフルを突き付けて
「・・・・降伏しろ・・・」
と、ただそれだけ言った


やがて、司令部からの降伏が届けられ、一部の部隊が投降を拒否し、徹底抗戦したものの
ついに、ペトロザウォーツクは陥落することに成功した


クラフトメンバーは破壊した電線を急いで修理し直し、破壊した要塞壁も一晩で修理したかのように
張りぼてを作り上げ、航空偵察に来たEUが要塞に穴が無いと錯覚させることに成功したのである


この功績を以て、バルドレン・ガッセナール大佐は少将に昇進し、ペトロザウォーツク要塞司令官となり
幾度となく、EUと激戦を繰り広げるも、ついに陥落させる事は無かった。


要塞の爆破もEU軍の事故と片付けられ、司令官もバルドレン軍の部下が捕らえたことになっていた
戦後、あなたは名将軍ですね。と褒め称えた記者がいたが、バルドレンは「いや、私一人功績じゃない。友人のお陰だ」
記者は友人を問い質そうとしたが、終ぞ友人の名を明かす事は無かった・・・・・・



終わり
        • 長かった。頭に構想が浮かんでるのに、文章が書くのが・・・・
本当は、要塞全てを爆破する予定でしたが、今後も要塞を利用すると聞いて、一部分だけにとどめました
次は何にしましょうね?

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最終更新:2014年08月17日 17:43