北欧軍がペトロザウォーツク要塞を陥落したという知らせを聞いてもEU軍の上層部は慌てなかった。
彼らは、冷静に国力の差を理解しており、海軍基地の一部は何者かに破壊されたが、それでも、EUがまだ上であると
彼らには今は勢いだけはあるが、いずれ途絶える。モスクワにまで侵攻してくる力は無いと冷静に判断していた
ここは、補給を絶って、戦力を再編してペトロザウォーツク要塞を最奪還した後に、じっくりと攻略していけばいいと考えていた


しかし、その考えを覆されたのは、政治家達であった。
彼らの主観からすれば、反乱宣言をしてきた上で、一気に進撃してきて、我が軍が無様な戦いを見せつけていると
そして、彼らの政治中枢である、モスクワにまで一気に攻めてくるのではないかと、恐慌に駆られていたのである。
不味い事に、民衆にもこれらがばれており、連日政治家に責任を追及するデモが起きており、自分達が失脚するのではないかと考えていた
更に、北欧の独立騒ぎに、他の地区までも独立騒ぎになるのではないかと恐れていた。そうなれば、既得権益・財産などが一気に失ってしまう
そのために、早急に反乱鎮圧を指示してきたのである


この決定に軍部は反対したが、政治家達が反対を押し切ってしまった
軍部はクーデターを起こしてやろか?と不穏な事を考えたが我慢し
与えられた条件を最大限に達成しようと努力し、次の目標を立てた

1.早急に戦争を終わらせる事。その手段の為には継戦能力を奪う事を主目的とする
2.その際に発生する損害は無視する
3.1の目標を達成するためには首都ストックホルムを攻撃するのが望ましいが、距離が遠い為、次善のヘルシンキを目標とする
4.バルト海軍とサンクトペテルブルグ駐屯軍の2軍が、海路・陸路の二通りの進撃を行い、占領を目指す

これは、北欧軍がペトロザヴォーツク周辺に戦力を集めているという情報が入り、ヴィボルグ周辺の戦力は薄いと聞かされていたのである
そこで、ヴィボルグを速攻で攻略し、陸路ヘルキンシに一直線を目指す。また、海軍も呼応するように艦砲射撃・上陸を目論んでいたのである


        • しかし、これは、北欧軍の罠であった。
彼らは、確かにペトロザヴォーツクに戦力は集まっていたが、大半はカレリア軍で、防衛のためにかき集めたものだった。
更に、北欧のスパイが欺瞞情報を流しており、その情報の誤りを加速させる結果となった。

北欧軍もEUの動きを掴んでおり、ヘルシンキ周辺、ヴィボルグに戦力が集められた。sの中には切り札と呼ばれる部隊も含まれていた


戦史に残る大激突は間もなくだった・・・・










「・・・・・寒い」
私の口からポツリと漏れる

季節は秋を過ぎ、冬に突入した。
その為に雪が降り、チラチラと積っていた

私は寒いのが苦手で、厚着を何枚も重ねてきていたが、まだ寒いと思った
近くにいるリエラは「お昼寝できないのは残念ねー」と残念がっていた
それでも、私から見ても服が少なく、見ているだけでも寒そうだ

私は、ネームレスからの代表者と言う事で、クルトやリエラ達と一緒に歩いている
そんな面倒な事は嫌だが、おいしい食べ物が出ると聞いて、仕方なく着いていくことになった



          • 本当に仕方なくだぞ!!


私がどうでもいい事を考えていると、向こうから男がやって来た
その男はまっすぐクルトに来ると、がっしりと握手した

「よう!久しぶりだな!シベリア以来か?」
「ああ、そんなになるな。短い時間なのに長く感じるよ」
「俺もだ!・・・おっと、君達スマンな。俺達だけで盛り上がっちゃって」
と、私を見ながら男が謝る

「第3大隊隊長ウェルキン・ギュンター少佐だ。気軽にウェルキンと呼んでいいよ」
「・・・・イムカだ」
私はこの軽そうな男に、名前だけ短く告げる

男は気にした様子もなく、リエラに声かける
「君も無事だったか!シベリアの後からが気になってな」
「えっと・・・・ごめんなさい。どこかでお会いしましたか?」
リエラが言いづらそうに答える

その答えに、クルトと男は沈痛そうな表情を見せる
「クルト・・・」
「ああ・・・まだだ」
「そうか・・・・いや、いいよ気にしなくて。こっちが見掛けただけだから」
そういうと、どこかへ去った。何なんだったんだ?


私がそう思っていると、新たな人がやって来た
「私はセルベリア・ブレス大佐だ。ブリタニア本国より、義勇軍として馳せ参じた。お前達の噂は聞いておるぞ」
「リディア・アグーテよ。よろしくね」
「よろしく」
クルトが手を差し出して、握手をしようとする。それにセルベリアが応えようとする



―――その時、風が大きく吹いた
セルベリアは、北欧の様に雪が積もる所に来たのは初めたっだのか、一歩踏み出した所、足が滑ってしまったのだ
滑ったセルベリアはそのまま正面にいたクルトとキスをしてしまった


その瞬間空気が死んだ・・・
二人は口付けしたまま固まっていた



「うえ」「おお!」
「なんと・・・」
「・・・羨ましい」
周りが騒がしくなった頃に、二人は勢い良く離れた


「あ・・・ああ・・・・うわあ・・・・」
「すまない、避けようと思えば避けれたのに、避けれる事が出来なかった」
「い・・いや・・・・いいんだ。滑った私も悪いんだからな」
クルトは普通に話しているが、セルベリアは顔を赤くしていた



「むぅー・・・・」
リエラは顔をフグみたいに膨れていた



          • そして私は


「・・・どうしてだ・・・クルトがあの女とキスするのはどうでもいいはずなのに・・・・
どうして、こんなに胸がズキズキと痛むんだ・・・・」
初めて味わう痛みに困惑していた・・・・




終わり

次は、激戦に行くか、激戦準備かはまだ考えてない

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最終更新:2014年08月17日 17:38