447 :名無しさん:2013/11/20(水) 22:07:09
(憂鬱版)映画キャプテンアメリカ 予告編
『遠近感を失わせるほどに白い氷河の上』
『姿も、思想も、魂の有様すら正反対な二人の男が対峙している』
────「彼」が眠ったとき────
『星条旗をまとった男が丸盾を構え直し、指を突きつける』
「鉤十字に等しいナチスの代名詞よ、もはやお前に逃げ場はないぞ!」
『赤いドクロを被った男が憎々しげに吐き捨て拳銃を抜く』
「放埒な自由主義者め…………我が総統の千年帝国のために、君には死んでもらわなければならんようだ」
────世界はシンプルで────
『拳が、盾が、銃弾が飛び交う息もつかせぬ攻防の中、ついに丸盾が赤ドクロの足を打ち、男はクレバスへと足を滑らせた』
『だが赤ドクロは星条旗の男の足を掴み、一人では死なぬと引きずり込もうとする』
『二人はもつれ合いながら氷河の裂け目へと姿を消した』
────誰もが為すべきことを知っていた────
…………70年後 加州共和国 北部海岸
「すまないが、ここはアメリカの何処なんだ?」
「アメリカ?ここはカリフォルニアだぞ!?それになんだその格好は?」
────「彼」が目を覚ましたとき────
「ええっと、名前はスティーブ・グラント・ロジャース。生年月日は…………1922年ぁ!!?イカレてんのかこいつ!?」
「格好をみろよ。星条旗のタイツなんて、イカレてなきゃ着れねえよ」
────世界は混沌とし────
「あのツナミと東部風邪さえなきゃ、今頃は故郷で家族とよぉ……」
────何をすべきなのか誰一人として知るものはいなかった────
「そんな……政府が……祖国が……そんなことを……………」
448 :名無しさん:2013/11/20(水) 22:08:10
『かつての祖国の今を知った彼は、国境線を越えて西へと向かう』
「私は知らなければならないんだ。祖国の為した罪とその真実を」
『だが、彼の肉体に秘められた超人血清の秘密を手に入れんと、列強の追っ手たちが彼に迫る』
『銀色の鎧をまとった侍が、力場に輝く刀を振りかぶる』
「この銀甲冑と超時粒子刀の錆となれい!」
『アダマンチウムの鉤爪を収めた小男が、自嘲混じりに吐き捨てる』
「俺は猟犬、あんたは獲物。どっちも人間扱いはしてもらえねえのさ」
『そして宿敵レッドスカルとの再びの対峙』
「我が総統のみならず、君とも再び会うとはな。フォルトナ(運命の女神)もずいぶんと洒落を効かしているものだ」
「失われた国の名を名乗り、失われた国の旗を身にまとう。君はもはや亡霊にすぎないのだよ」
────彼は────
────スティーブ・グラント・ロジャーズは────
────キャプテンアメリカは────
────祖国の名前すら失われた今、何を成すのか────
「アメリカはあまりに大きな過ちを犯し、その罰を受け、地上から姿を消した」
「だが、掲げられた理想は間違っていなかったと、私は信じる!」
終
最終更新:2015年02月13日 20:15