「待たせたな!ひょっ子供!!」
イムカはそんな事を思いながら、自分に向かってきたボーイを両断する
戦況は、北欧軍はヴィボルグに集結し、その周辺に幾重にも重ね合わせた陣地を作り
たとえ、一箇所から穴が開けられても他の箇所からすぐ様カバーが出来るように構築された高度な陣地であった
一方、EU軍はヴィボルグの周囲をゆっくりと包囲し、いざ攻略といった段階で対立があった
すなわち、ドリルのように一点突破を主張する者と全体で包囲殲滅を主張する者がいたのである
この対立は数日間も続き、結局両方の作戦を取ることになったが、虻蜂取らずで精彩に欠けたのが北欧軍にとって幸いしたのである
一点集中突破の軍隊にはセルベリア義勇軍がその勢いを喰い止めるように大暴れし、包囲殲滅の軍隊には
ウェルキンギュンターがその流れを流して浦に回すことで、逆に包囲殲滅し袋叩きにしたのであった
建物の陰から勢いよく出たオルレアンの砲撃を軽くかわすと、イムカはランドスピナーで左右に揺さぶりながら詰め寄ると
ヒートソード改でオルレアンの両足を切り払うと同時に、アサルトライフルでコクピットに向けて集中的に攻撃する
この至近距離からの攻撃ではさしものの頑強なオルレアンでも沈黙するには十分であった
「次!」
だが、イムカは決して油断することなく、周囲に目を配り、すぐさま走る
この状況で、ネームレスは後方撹乱に打って出た
主な目標は、敵の補給路である
ネームレスは、敵の補給ルートを調べ上げ、それを狙って襲撃を繰り返ししたり、航空攻撃を要請して、地上攻撃に打って出たのもあった
勿論、護衛や罠も仕掛けられていたが、クルトは綿密な偵察を行う事で、そのリスクを下げることに成功していたのであった
EU軍は補給が少なくなった事によって、指揮官達が物資の奪い合いになり、酷い所では同志討ちも起きたという
それによって、一点集中突破派と包囲殲滅派の軍の溝は深くなり、ますます連携も取れなくなったのである
イムカが走ると次にやって来たのは、大きなガードシールド構えたボーイだった
アサルトライフルで発砲しても弾かれるばかりで、反撃の銃撃が飛ぶ
だが、イムカは慌てることなく、旋回すると同時に腰の脇に取りつけた、使い捨て式のロケットランチャー「シュツルムファウスト」を取り出し、発射する
発射したシュツルムファウストは狙い違わず、シールドに命中し、左腕ごとシールドが破壊され、転倒するボーイに
イムカが高速で接近し、ヒートソード改を構えながら、斜めに斬り落とす
ボーイは胴体が斜めに斬り落とされ、崩れ落ちる
「うん・・・グロースターも悪くない!」
そう、イムカが乗っていたのはグロースターソードマンであったのである
前のカレリア作戦後に補給を受けたが、その時にグロースターやグロースターソードマンが入って来たのでエースに優先的に配備されたのである。
グロースターはサザーランドよりも性能の全てが向上しており、エースが乗れば第七世代機に勝るという性能が実感するほどだった
ただし、リエラは相変わらずユーロ・アレクサンダに乗り続けていたが
イムカはこれまでは、サザーランドをネームレスで改修したサザーランドソードマンに乗っていたが、かなり無理がある改修だったのか
カレリア作戦後には廃棄処分となっていた
グロースターソードマンはイムカの無茶な操縦にも追随することが出来、イムカ本人には満足のいく結果となった
そして、もう一つイムカ機だけ施している改修点が・・・
「ふっ・・・せやあ!!」
ランドスピナーを回し、建物と戦車の残骸の間をすり抜けながら、自分に向けて砲撃していた
オルレアンに向けて接近すると同時にジャンプして、両手で構えた大剣ヒートソード改で一刀両断する
サザーランドソードマンの時は正規の片手持ちのヒートソードを使用していたが、イムカにとってはなんだかしっくりと来なかったのである
で、マザーナンバーに頼んで色々と武器を試してみたところ、両手持ちで普通のヒートソードよりも長いヒートソード改が一番しっくりと来たのである
これにはイムカも大満足であった。
そのため、イムカ機には関節強化などと地味な改修を施してあったのである
イムカが次の目標へと移ろうとしたその時
『目標に爆弾を設置した。これ以上いる理由が無い、全力で撤退だ!』
どうやら、作戦が終わったようだ。
イムカはガンスリンガーナンバーの支援の下、全力で後退し、森の中へと姿消す頃には背後に大きな爆発音が轟いた・・・・
最終更新:2015年05月28日 16:23