776 :わかる?の人:2014/05/22(木) 00:34:44
ドテラ撫子さんでわかる?戦間期 平和にぬくぬく編(7)


ネーデルさん「新型戦艦の建造を依頼したいんだけど」
ドテラ撫子さん「はあ…へ?ドイツに発注してたんじゃなかったんですか?」
ネーデルさん「いやあ、キャンセルしちゃった。エーゲ海でドイツ製の新型戦艦があっさり沈没したのが偉い人たちの心に響いてね。かといってコンペに落ちた他の案でもどうも違うという気もするしで」
ドテラ撫子さん「なるほど…ていうか、仮想敵はうちなんじゃないんですか?場所的にいって」
ネーデルさん「ち、ちがうよ!それだったら戦艦を何十隻建造するかって話になるよ!破産するような相手を仮想敵にしないよ!」
ドテラ撫子さん「ほーんとーにー?(すりこみすりこみ)」
ネーデルさん「ほんとほんと!東インド防衛のために、まあ、周辺に植民地を持つ国が血迷わない程度の戦力が欲しくてね」
ドテラ撫子さん「ふむふむ。でも全面戦争になったら辛いですよ?」
ネーデルさん「ふふん。もしそういうことになったら、牽制くらいは期待していいよね?」
ドテラ撫子さん「ええ、まあ。古くからの友好国ですしね。輸入が途絶えたらちょっと困るものも少なくないですし」
ネーデルさん「いま、そのお肉にすり込んでる香辛料とかね?」
ドテラ撫子さん「うふふふふ。おいしくなーれ、おいしくなーれ…」
ジョンブルさん「ごきげんよう。おや、準備中だったかね?」
ドテラ撫子さん「こんにちは。いえ、今終わったところですよ」
ネーデルさん「うーん、今から胃が躍る思いだね」
ジョンブルさん「ふむむ。今日も楽しみだ!」
ドテラ撫子さん「久しぶりのお食事会ですからね!さてと、まずは食前酒から」
小人さん(まずは日本酒から。甘口だけど芳醇で薫り豊か…うーん、これが前世のこの時期にあればなあ…)
ネーデルさん「おっ、サケだね。今日のこれは、常温か。おかげで香りがふんわりと…」
ジョンブルさん「おお、まるで果実酒のような…(ごくり)うむ!甘くて、不思議な味わいだ!食欲を刺激するな。どれ、おかわりを…」
ネーデルさん「おっと。サケは軽そうに見えて思ったよりアルコールが強いんだよ。ワインと同じくらいにはね」
ジョンブルさん「ほお…それは意外だな。では二杯までで我慢しておくか」
ネーデルさん「口当たりが優しいから軽いカクテルと勘違いして飲むと翌日、後悔するよ」
ジョンブルさん「ふむ、どこかの国のようだね、それは」
ドテラ撫子さん「んー?(首かしげ)次は前菜です」
小人さん(床伏とアスパラガスのバターソテー。床伏の肝と醤油を少量だけバターに加えて、彩りにクレソンを添えてみたよ)
ジョンブルさん「これは、貝か?…うむっ!心地よい歯ごたえと深い味わい…これは…素晴らしい!」
ネーデルさん「クレソンの日本名はオランダ辛子…ふふふ。おもてなしって奴だね」
ドテラ撫子さん「んー、ふふふ?次は汁物ですね」

777 :わかる?の人:2014/05/22(木) 00:35:43
小人さん(次は舌休めの汁物として、蟹を使った吸い物。三つ葉を浮かせて)
ジョンブルさん「ほう、透明なスープか。この漆器に浮かぶ赤と緑の対比。うむ……」
ネーデルさん「蟹の香りと味わいが生きてるねー」
ドテラ撫子さん「いい感触ですね?次は魚料理です」
小人さん(鮭の塩麹西京漬け、貝割れ大根ミョウガ和えだ)
ジョンブルさん「む、魚のソテーか?単純な…いや、違う!この香ばしい香りはなんだ!?」
ネーデルさん「これは、たまらない!ご飯が欲しくなるね!」
ジョンブルさん「この、身に浸みこんでいるソースは一体…甘いのに複雑で…むううう!」
ドテラ撫子さん「はいご飯どうぞー」
ネーデルさん「これこれ!これがないとね!(はむはむ)」
小人さん(そして主菜だけど)
ドテラ撫子さん「これはわたしが調理します。下ごしらえ済みのお肉に軽く塩を振ってと」
ジョンブルさん「ほほう。色が濃い…これも期待できるな!ミディアムで頼むよ!」
ネーデルさん「涎で口の中が大洪水になりそうだ!こっちはミディアムレアで!」
ドテラ撫子さん「はいはい。表面に火を通したあとは、温度を下げて、丹念に丁寧に…中に熱を通して」
小人さん(そこでさらに、出てきた肉汁をとって、醤油と少量の大蒜、砂糖にみりんとお酒を合わせてソースにする)
ジョンブルさん「くっ、わざわざ目の前で調理すると思ったら、こうやって食欲を刺激するとは!」
ネーデルさん「日本の料理は、目でも香りでも楽しませるものなんだ…(ごくり)」
ドテラ撫子さん「では、シンプルに肉そのものを味わっていただきましょう」
ネーデルさん「これは、戴かざるを得ないね!(はむッ)ん!?これは!!」
ジョンブルさん「う……うーまーいーぞー!!!」
小人さん(穀物を食べさせることで臭みを下げた赤身肉を乾燥熟成させた一品だよ。前世のこの時期に、これがあればなあ…)
ドテラ撫子さん「醤油の旨味も欠かせません。旨味は複数種類を組み合わせることで、相乗効果になるのです」
ジョンブルさん「そうか!これが旨味という奴なのか!」
ネーデルさん「しあわせ…ご飯おかわり!」
ドテラ撫子さん「はいはい。一緒にワインもどうぞ?」
ジョンブルさん「おお、これはまたボディの強い赤だな」
ネーデルさん「これは、どこのワインかな?」
ドテラ撫子さん「国産ものですよ。甲州産ですね」
ジョンブルさん「ほお、ワインといえばフランスに限ると思っていたが、なかなかだ。この肉にも負けていない」
小人さん(僕らの中にもワイン好きが多いからワイン造りも奨励しているんだ。それに、葡萄からはアレがとれるしね…)

778 :わかる?の人:2014/05/22(木) 00:36:37
ジョンブルさん「ふうう…これほどのディナーはなかなかない。心底感服したよ」
ネーデルさん「はふう…おにゃかいっぱい…」
ドテラ撫子さん「そういえば、新型戦艦の件は…」
ネーデルさん「あー、うん…んー、コンゴウ型くらいの攻防性能は欲しい。航続距離は妥協してもいいから、排水量で26,000トンくらいに納めて欲しい。数は四隻で」
ドテラ撫子さん「ふむふむ…36センチ砲でいいんですか?次に41センチ砲も控えてるんですが」
ネーデルさん「うん。予算の問題もあるからね。このくらいが精一杯かなあ」
ジョンブルさん「ほう、ドイツへの戦艦発注を取り消した件かね」
ネーデルさん「うん。東インドに配備するんだし、いっそ日本製にすれば維持補修が楽かなって。いいよね?」
ジョンブルさん「構わんよ。どうせ我がヴィッカース社も最終入札で負けているからな。ドイツへの発注が取り消されたから、それだけでも嬉しいところだ」
ドテラ撫子さん「えーっと、こちらも次期海軍拡張計画があって、海軍工廠の船台やドックの余裕は少ないですけど……民間の船台なら空きは作れますね。大型客船とかを建造してたところになりますが」
ネーデルさん「乗り心地が良ければ嬉しいんだけどね」
ドテラ撫子さん「まあ、それなりには、ですけどね。軽巡洋艦や駆逐艦は大丈夫なんですか?」
ネーデルさん「うん、それくらいならうちでも建造できるからね」

ドテラ撫子さん「話は変わりますが、対ドイツの戦争計画ってどんななんですか?矢面に立つのはフランスとロシアになりそうですが…」
ネーデルさん「あ、同盟国同士の話になりそうだから、僕はあっち行って本でも読んでるね」
ジョンブルさん「うむ、すまんね。…いったか。ロシアのは分からないが、フランスからは聞いている。たしかな…」

マリアンヌさん「流麗に総動員し、鮮烈にアルザス・ロレーヌを奪回し、あとはベルリンまで、雄々しく、華麗に!前進あるのみ!ですわ!」

ドテラ撫子さん「え、え?えっと……ぐ、具体的な計画は?」
ジョンブルさん「いや、それだけだが?」
ドテラ撫子さん「………あ、えっと…その計画?…ドイツ軍のことが考慮に入っていないような…気が…(ぴくぴく)」
ジョンブルさん「うん。要するに、動員計画しかない」
ドテラ撫子さん「お、おかしいですね。100年前と比べても退化してないですか、ねえ?」
ジョンブルさん「だってふらんすだもの。(悟った目)」
ドテラ撫子さん「あやまれ!ナポレオンにあやまれ!」
小人さん(……うわあ。もうだめだぁ……)

フランスの対独戦争計画、プラン17です。
ちなみに対するドイツも改訂シュリーフェンプランなる別の意味でかっ飛んだアレな戦争計画を練っていますが。

779 :わかる?の人:2014/05/22(木) 00:37:13
ドテラ撫子さん「っあー…そういえば、そちらには戦争計画はないんですかね?」
ジョンブルさん「うむ。動員して戦力配備する程度の、普通の計画しかない。一応、私案レベルのものならないわけではないが」
小人さん(……な、なんとなく聞きたいような聞きたくないような…)
ドテラ撫子さん「まあ、ないよりはいいと思いますが…どんなのです?」
ジョンブルさん「うむ!フランス軍とロシア軍がドイツ軍を吸引している隙に、我が陸海軍の総力を結集して北海、スカゲラク海峡、カテガット海峡、バルト海まで打通し!ドイツ北岸に強行上陸!そのままベルリンへ進軍!戦争を一撃で終わらせるのだ!希有壮大!勇壮無比な計画だよ!そうは思わないかね!」
ドテラ撫子さん「………………」
ジョンブルさん「さらにこの作戦を沿岸砲撃で支援するための秘密兵器!15インチ砲を装備した大型軽巡洋艦も構想中だ!」
ドテラ撫子さん「………………(ピキッ)」
ジョンブルさん「どうだね。私案にしてはなかなか悪くない。これを元に骨つけしていけば…」
ドテラ撫子さん「ばかなの?」
ジョンブルさん「えっ」
ドテラ撫子さん「しぬの?」
ジョンブルさん「ええっ!?」
ドテラ撫子さん「その妄想、完全成功しても、英国海軍が大打撃?少しでも失敗したら陸軍ごと藻屑?狭い海域で機雷原?水雷艇出没?壊滅?壊滅して回復不能?フランスも泣きます?わたしも泣きます?」
小人さん(あまりのリアル火葬戦記!こんなの出したら編集さんに『無理がありすぎて現実的じゃない』といって切られるレベル!というかあまりの馬鹿さ加減に壊れた!?)
ジョンブルさん「だ、駄目かな…意外にいいと思ったんだが…浪漫にあふれてて」
ドテラ撫子さん「駄目ですっ!国家の命運をかける戦争で丁半博打をやるなんて何を考えているんですか!他に選択肢がないとでも!?」
小人さん(んー…んん。他に選択肢があるのなら、選んではいけない道がある…うん)
ジョンブルさん「う、うむ、そういうわけではないが…」
ドテラ撫子さん「ならもうちょっと考えてください。頼みますから、ねっ!」
ジョンブルさん「(´・ω・`)」


つづく?

780 :わかる?の人:2014/05/22(木) 00:38:16
本来の時系列では、この超火葬計画と超火葬巡洋艦(グローリアス型)の案を温めているフィッシャー閣下が現役復帰されてないので、実際メタネタとなりますが。

フィッシャー閣下は、駆逐艦の父であり、弩級戦艦の父であり、巡洋戦艦の父であり、潜水艦導入の立役者であり、航空母艦の建造にも関与し、海軍戦備の近代化を断行し、英国海軍の人事教育改革を行い…と、もうこの人だけでいいんじゃないかって位の実績を残した大人物です。近代英国海軍の父といっても大げさでないほどです。

しかし、彼ほどの人物でも、イギリス人であるという宿命からは逃れられなかったのです。

先のグローリアス型、なりは基準20,000トン程度(改グローリアス型のヒューリアスは22,000トン程度)とそこそこ大きいですが『装甲を張らなきゃ軽い。軽いから速くなる。速くなれば回避率アップ』と、回避万能ゲーム世界ばりの皮算用全開で設計されています。しかも本来用途は対地支援用高速砲艦。お前は何を言っているんだ。誰か止めなかったのか。

さらに戦争が進展していく中『これからは潜水艦の時代らしい。ならば急に浮上して砲撃すればドイツの沿岸要塞たたき砲台じゃね?』と巨砲搭載潜水艦M1が建造されたのもフィッシャー提督のおかげです。お前は何を言ってるんだ。誰か止めなかったのか。

その上、20インチ砲を6門搭載した超高速巨大巡洋戦艦インコンパラブルなるトンデモ艦もフィッシャー閣下の思想の元に構想されました。フィッシャー式巡洋戦艦だけあって、防御は安心の薄さです。46,000トンもあるのに舷側装甲の最厚部が11インチって元祖弩級戦艦ドレッドノートと同等じゃないですかやだー!

まあこれはさすがにこれはフィッシャー閣下が辞任されたおかげで止まったんですが。
もしガリポリ戦が起きず、辞任のきっかけがなかったら止まらない可能性が微粒子レベルで…
チャーチル閣下と相打ちになって倒れることを期待しましょう。気分は正に怪獣大激突(をい)

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最終更新:2015年06月01日 21:06