監禁される未来が秒読み風味な病みネタ。
玉城はクララに金借りてるって話だったからそれを元にしてる。






玉城inキスver.クララ



「る~るる~~♪」

クララが畳の上でうつ伏せになり足をぱたつかせながらのんきに鼻歌を歌っている。

(俺コイツになんぼほど借りてんだっけな?)

困ったときのクラえもん。
古くからずうっと続いている夢の猫型ロボット漫画をみて大きくなった日本の子供の例にもれずみて育ったから知っている。

(クラえも~ん今月ピンチだから金貸してくれ~なノリで借りまくってっからなァ クララのやつもことわらねーしつい頼っちまうンだよ)

彼女に頼み事をするとき自分がいじめっこに泣かされる猫ロボの友人になったような気分になる。
漫画の猫ロボはしょうがないなあと口走りながらも情けないダチを手助けするのだ。
彼女も漫画の猫ロボと同じで頼むといつでも金を貸してくれる 無利息に無期限で青天井といった借金するやつには最高の条件で。
調子に乗って借りてばかりいたから相当な額にまで膨れあがってきたと思われるもなんのその やっぱり頼めば頼むだけ余裕で貸してくれる。

(借用書無しの信用貸しは助かンだけど気軽に貸してくれるから積もりつもってやべェ金額になってそうで怖ェェ)

親しい間柄な以上に彼女の父親が金持ちだからか借金でトラブルにもなったことがない。
金の貸し借りには小うるさい父親とちがって金に重きを置いてないらしいクララが借金に寛容だったところも揉めない要素の一つだ。
借りてる物はいずれ返そうと思ってる でもクララがとくに催促してこないので総額がわからなくなっていた。

(素直に聞くか)

わからないならそうするより他ない。
サラ金の姉ちゃんでもあるまいしうそっこな金額を口に出したりしないだろうといった感じに気軽に話し掛けてみた。

「なあなあクララさんや 俺の借金っていまどれくらいになってんですかねえ?」

漫画のページをめくりながらポテチをかじっているクララはさらっと教えてくれた。
もうテキトー 投げやり どうでもいいみたいにボソッと。

「100いってるよ」

げッ?!

「ひ ヒャクエンっすか?」

ちょっと誤魔化してみた。
100円なわけありゃしないが真実100エンだったらうれしいなと思って。
でもそんなもんが通用するわけない。

「はぁぁ~?なにヒャクエン?クララのことなめちゃってんの~~?ヒャクマンエンにきまってるじゃんヒャクマンエン もっとはっきりさせるなら108万円だよバータレ」

煩悩の数と同じだけの借金が三桁の大台にてできておりました。
30万くらいだと本気出せば簡単に返せるぜと勝手に思い込んでおったとさ いやァめでたしめでたし。

「ってめでたかねーーよおおっ!!」

「きゃっ!」

現実逃避したくなった一人ツッコミにクララが驚きの悲鳴をあげた。

「もーっ急に大きな声出さないでよびっくりするじゃない」

「悪い 100万までいってるとは思わなくて なあマジで俺そんなに借りてた?」

100万円も借りた覚えはないと言い張ってみる。
でも駄目だった。

「マジで借りてるよ 何年何月何日何時にいくら貸したかまで覚えてるから細かく説明したげようか?」

社会経験のない女子高生のクセして無意味なくらいに記憶力がいい。
借用書がないので忘れてくれてたらいいなとずるい考えに到達してしまえる俺とは大違いだよゴメンナサイ。

「でも俺ちゃんと返してンじゃん それなのになんで三桁もいっちまってんだよオイ おめーは悪徳高利貸しかクララさんよォ」

バーカーヤーローウ。
俺だってなあ 俺だってちゃんと毎月返してンだよ。
借金踏み倒して開き直ってるクズたァデキが違うンだよ。
たまる一辺倒のはずねーんだよ。
出るとこ出てやってもいいんだぞくらぁ。

「確かに返してくれてるねぇ~ でもお兄ちゃんお金返してくれてもすぐにまた貸してっていうしぃ 返しては元より多く借りての繰り返しだしぃ」

一撃で論破!?

「クララは毎月ちゃんと貸してあげてるんだよ 100万なんてあっというまだよ エラソーな言い訳するヨユーがあるんなら出るとこ出ちゃってもいいんだよバカたれ」

「ゴメンナサイスミマセンクララお嬢様どうか勘弁してくださいませ」

駄目なやつといわれる自分の現実をこれでもかと教えられた。

どうォすんだよこれェー!
VVのおっさんからもなんぼか摘んでるしなんでこんなに借金しちまってンだよ俺ェー!
借金が借金を生み出す借金スパイラルを無利子の借金でやっちまってる。
気付いた時には手遅れだったとならないのは相手がサラ金でないからであって構図は借金の大連鎖と変わらない。
もう気分は某パズルゲームの必殺技ばよえ~んを連発で喰らったときのような絶望的な気分だった。
しかも何に使ったかまったく覚えてねー。

「クララちゃん 俺ってやつは人として終わってると思いますか?」

正直に答えてくれといってみた。

「ウン終わってる 馬鹿なのはいいんだけどそれ以外が全部終わっちゃってる」

正直に答えられました。

「優柔不断だしお金にだらしないし無計画だし借りたお金で競馬競輪競艇いってるし不細工だし馬鹿だしエラソーだし」

人間失格だそーです。

「クララじゃなかったら縁切られちゃってるよ 反省してから死んだほうがいいくらいに終わっちゃってるよ」

ズバッといわれたら逆にすがすがしい。
思い出してみると確かに競馬いってた。
競輪も競艇も日本で合法なギャンブルは全部やってる。
一攫千金は男の夢なんだから大目にみような?

「借金でするなっていってんの」

はいそうですねクララ様のゆーとーりでごぜーますですね。

「普通縁切るよな ツレを選ばない俺でもそんなダチとは縁切るぜ・・・・ハァ 鬱だ」

だってそんなやつはまず絶対にたかってくるから。
自分が金無いのに金無いやつにまでたかってくるやつなんざこっちから願い下げだ。
俺は俺みたいなやつとは絶対友達にはなれねェわ一生無理だわむしろ死ねやってゆーわ。
でもって俺みたいなやつと変わらず仲良くしてくださるクララサマのお心の広さに平伏してしまいますですよ。

「わかってるなら正していかなきゃ とくに借金でギャンブルしてるのがよくないね パパにしられちゃったらクララでもかばえないもん」

クララの言うとおりあの親父に知られたら俺まじでヤバイっすわ。
いつも俺の味方を公言してるだけあってクララはしょうがないなあで許してくれるんだがしかーしチビ親父様は別なんだぜ。

「おっさん怒らせたらアパート追ん出されて野宿生活に転落するよな」

「たぶんね パパは容赦ない人だからバレたら今すぐにでも家なき大人誕生だよ リュウはいないからひとりぼっちくんでがんばってね」

「うへぇ~~いやだソレ~この年でのさまよう自由人は勘弁してくれェ~死にたくなる~」

「じゃあ切り札使う?使えばクララからの借金についてはチャラになるよ パパから借りてる分だけは自力でなんとかしてもらうよりないけど」

えっマジ!?

「そんなもんあンのか?!」

「あるよーとっておきの切り札 お兄ちゃんにしか行使できない裏技がねー」

クララは風呂上がりで着替えていたパジャマのポッケからなんぞ取り出してきた。

「じゃじゃーんトクセイレイカード~~!コレにサインするだけでなんとぉぉ-!お兄ちゃんの借金がチャラになりますっ!すごいでしょっ!」

クララちゃん金融代表取締役のランフランク社長サマが取り出してきたのはお役所に出す用の紙っきれ。
名前を記入する項目にはもうクララ・ランフランクと書かれている。
あとはもうひとつの空白に玉城真一郎と書けばそれだけで借金は清算されるのだという。
わーいやったぜこれで俺サマもキレーな身に生まれ変われるんだぜ!

って・・・ざっけんなァァァーーーー!!

「バッカやろそれ婚姻届だろうがッ!」

婚姻届だった。
名前書いて役所に提出すれば夫婦になれる契約書だ。

「いえ~す こ・ん・い・ん・と・ど・け でも徳政令カードでもあるよ クララと結婚してくれるなら借金は帳消しにしたげる」

飢えた狼クララが借金羊のか弱い俺に飛び掛かってくる。

「えーい!!」

「うわっ!」

無理矢理にでもサインさせようというのか小柄な体で馬乗りになってきた。

「さあお兄ちゃんは大人しくコレにサインしなさいッ!借金チャラにしてムコにもらったげるから!」

女の子あいてに乱暴できない俺は簡単にマウントポジションの体勢へ持ち込まれてしまった。
どけええークソガキーー。

「ふっふっふっ さあさあなにも難しく考えることはないよ判子ひと捺しでいいんだよひと捺しすればそれだけで借金は帳消しで晴れて自由の身になれるんだからあとはパパへの返済だけになるし楽勝でしょ」

クララは満16を超えてるんで俺がこの紙っきれに捺印すりゃ有効となる。

「ほら捺せいま捺せどんと捺せ 自由のためにポンだよポン」

自由になれるどころか捺したら人生の墓場行きじゃねえか。
物しらんなりにでもそんくらいしってるっつーの。

「ンでおまえと結婚せにゃならねェンだよボケっ」

信じられんがコイツ本気で俺のことが好きらしいんだ。
女に好かれたことなんか一度だってなかったから嬉しいっちゃ嬉しくはあるんだがでもな俺にだって好みがあんの。
コイツの従姉のコーネリアみたいなボンキュボンがいいの。
いくら美少女でも幼児体型のちびっこなんかお呼びじゃねーのよアホンダラ。

「ほらほら~押したら借金チャラなんだから押しちゃえ~」

「い~や~だ~ッ!俺サマは年上のボインな姉ちゃんがいいんだって前から言ってンだろ貧乳!」

「だからもうちょっとしたらクララだってボンキュボンになるって言ってるじゃない!お兄ちゃんだってここ最近クララが引っ付いたら嬉しそーにしてるくせにぃぃ!」

ぺったんこが育ってきたのは間違いじゃねえ ぴとだったのがムニュにもなってる。
乳くせェガキの匂いからいっぱしの甘い女の匂いを漂わせるようになってきたのも確かだ。
貧乳つったが撤回 いまや微乳を超えて普乳に近付いてきてる 身長のほうもまあそれなりに伸びてきてる。
んなコイツに引っ付かれてくらっとなってっこともある。
認めますよ ええ認めてやりますともクララさんよー。
でもなー でもいっこだけ絶対おまえにゃあねーモンがあんだよ。
このいっこがすっげー重要なの とってもとっても重要なんでごぜーますの。

「おまえガキっぽくて全然色気ねーもん 色気ムンムンな姉ちゃんが好きな俺にどうしろっつーのよ」

どこまでいってもガキはガキだ。
クララには色っぽさの欠片もない。
ふっ 所詮おまえはお子サマなのさ。

「ムっ ムカツクぅぅぅぅぅ!!好きだって言ってるのになんでそんな腹立つ言い方ができるのッ!?」

「おまえが俺のこと好きでも俺おまえのこと女としてみれねーンだもんよー みれねーもんはしかたねーだろぉ」

「借金大王のくせして生意気いうなーーーーッ!!!」

ノーリスクの借金にもとんだ落とし穴がある。
ひとつ学び賢くなった俺様なのであった。


もいっこだけ撤回。
絶対コイツにゃいわねえけどよ。
やわらけーし あったけーし。
やっぱいい匂いしてやがるわ。



―――


結局サインしてくれなかった。
名前を書けば終わり。
全て清算してあげるといってるのに。

「お兄ちゃんのバカ」

寝ている 手足を伸ばして無防備に。

「いいよ ひとまずのところは引いてあげる だけどね 自分が誰のものなのかはそろそろ自覚しよ?」

口を開けていびきを掻くお兄ちゃんの顔を電灯の光から隠すのは私の肩から流れる桜色のカーテン。

「んがーッ んがーッ」

「ばーかばーかあほー」

ムカツクことばっかり言ってさ。
ホント乙女心をわかってくれないんだから。

「んがーー・・・・」

睡眠時無呼吸症候群のように止まるいびき。
一拍の間だけ酸素を取り入れられなくなる。
かわって取り入れられるのは肺の中で処理された二酸化炭素と僅かに粘性を持つ水分。
外部から入る二酸化炭素は肺に 水分は胃に それぞれ染み渡っていく。
送り出すのはもちろん私 お兄ちゃんの顔を隠す桜色のカーテンも二酸化炭素も水分も全部私のもの。
私が覆い隠すお兄ちゃんっていう人そのものが私だけのもの。

「どれだけつけてきたかわかる?」

唾をつける 匂いをつける 所有者として当然の行い。
長い時間をかけて胃と肺の隅々まで染みこませてきた。
解剖して検査をすれば私のDNAが検出されるくらいには唾液を飲ませきてる。
しらないのは当人だけで私が触れてない場所なんてもうない。

「お兄ちゃんはもうクララだけのものなんだよ」

だらしなくいびきを掻いているこの唇にも散々唾をつけてきた。

「クララの匂いがしない場所なんてないんだから」

ここまでしてるのにまだ名前だけがつけられないというのはもどかっしい。

「シンイチロウ・ランフランク 玉城クララ ねえお兄ちゃんはどちらがいい?」

お兄ちゃんの頭を抱え込むと逆立つ髪の毛が頬をちくちく。

「はむっ」

二酸化炭素を吐き出していた器官でお兄ちゃんの聴覚器官を噛む。
起こさないように甘く噛む はむはむ噛む 噛んで噛んで噛みまくっても飽きないから噛み続けてあげる。
血が出たら舐めるよ バイ菌が入らないように舐めるよ お兄ちゃんの血を飲んでクララはお兄ちゃんと一つになるよ。
そのかわりクララの唾も血も飲ませてあげる。
クララの傘の下で一生平穏無事に過ごせるようにもしてあげる。

「かぷっ」

おいしいなあ。
お兄ちゃんの味とってもおいしいよ。
世界でいちばんおいしい味だよ。

「・・・」

おいしいのによけいな匂いがついてるのはよくないなあ。
味が落ちて気分悪いんですけど。

「クララだけの耳なのに他の女の匂いをつけてくるなんてなに考えてんの?」

女の匂いがした。
キャバクラやスナックに飲みに行ってるのはしっていたけど勝手に匂いをつけないでほしいな。
そういうとこ行くのは別にいい ああいうとこの女って商売でしてるだけだから脅威になったりしないもん。
ヘンなことしたら許さないけどお兄ちゃんみたいなヘタレじゃそうそうヘンなことにはならないし。
でも時々ヘンに接触して匂いつけてくるからいつもこうして消毒するはめになるんだ。
消毒するのは好きだよ?だけど他の女の匂いがお兄ちゃんの体についているのはやっぱり気に入らない。

「あーもういやんなっちゃうなぁ お兄ちゃんを好きに触っていいのはクララだけなのに」

お兄ちゃんはクララのものなの。
だから勝手に触っちゃ駄目なの。
いくら商売でも人のものに手を出すのは悪いことだよ?
しかも今日の香水の匂い中々取れないしひさしぶりに殺意覚えちゃった。
現場をみてたらギアス使ったかも。

「お兄ちゃんもお兄ちゃんだよ クララって者がありながら平気で他の女の匂いをつけてきちゃったりしてさ」

お兄ちゃんにも困ったものだ。

「ああもうムカツクからもういっかい消毒しておこうっと」

チュっ


彼女はグチグチ言いながらも唇を合わせたまま幸せなひとときを楽しんでいた。

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最終更新:2015年06月14日 16:11