163 :ライスイン:2015/09/10(木) 22:13:50
1916年12月18日 東京 夢幻会会合場所

「やっと戦争が終わりましたか。でもまさかあの皇帝が王宮ごと自爆するとは思いませんでしたよ。」

「国はボロボロで軍もボロボロ、おまけに息子は戦死し王宮まで包囲されればな。」

「まあ降伏による終戦であったことで色々とやりやすくなるでしょう。」

「ペストにインフルエンザで欧州、特にフランスはボロボロです。油断はできないでしょう。」

皇帝の意外な最後について語りつつも明るい雰囲気が漂う会合場所。

「ですが油断なりません。中華民国の代表が我が国に絞って旧枢軸国領土の返還を求めてきましたしロシア帝国が接収資産の返還と国内資源の
   共同開発といった利益供与を主軸とした関係改善を図っています。」

無断で連合から離脱した挙句に支配領域内の連合各国の資産を接収していたロシア帝国はそのせいで何所からも支援を受けられず孤立困窮していた。
その為、可能な限りの資産返還や賠償として国内利益を供与することでの関係改善を図っているとの事であった。

「わが国に対しては頑なに東露州(※1)の返還を求めるだけか、何か企んでいるな。」

「それと講和会議ですが参戦条件であった枢軸側の大陸領土・利権の譲渡は確実になりました。他にも兵器や一部特許の譲渡などが望めるとの事です。」

講和会議に出席していた本野外相からの報告が読み上げられる。一時は中華民国大使の甘言に惑わされかけた英仏だが日本を敵に回すリスクを侵してまで
受け入れる利点は無いと判断し当初の通りの措置に落ち着いていた。

「まあ当然だな。」

その通り、連合への貢献度からすれば当然の事であった。一部の国がうるさく言ってはいたが大した貢献もしていないので無視されていた。

「遣欧総軍については占領地域の治安維持や拠点警戒及び一部連合国の暴走を牽制するのに必要な数を除いた地上兵力は即時帰還させます。
  また海軍も地中海・インド洋・大西洋の各艦隊の配置替えを行いつつ、同じく牽制用の艦隊を除いて帰還させます。」

次に欧州に派遣している兵力の今後についての報告がなされる。地上兵力についてはドイツ国内の占領地の治安維持や拠点港となっているダンケルクからの
補給路の維持、そして暴走しそうな国への牽制に必要な兵力を除いて帰還させるとの事であった。
海軍についても長期駐留していた欧州方面の各艦隊との艦艇入れ替えを実施。そして同じく牽制の為の戦艦を含めた艦隊を残して
帰還させる方針であった。

「英仏も消耗しきった状態で我が国と敵対するような真似はしないと思うがな。なんにせよ講和会議の結果待ちだな。」




                    孤立大陸 第21話「怒りの講和会議、そして新たなる戦争」




 この未曽有の戦争の講和会議は1916年12月24日よりイギリスの首都ロンドンで始まっていた。
当初はフランスの首都パリで行われる予定であったが戦火と疫病の影響が激しすぎて急遽ロンドンへと変更して開催されたのだ。
欧州及びアフリカの枢軸領土や賠償金額は比較的早く決着がついたのだが厄介な問題がいくつか発生していた。

164 :ライスイン:2015/09/10(木) 22:14:25
「我が国は日本が占領中の大陸における枢軸領土の早急なる復帰と日本軍の撤退を求めます。」

戦争終了間際に参戦し、枢軸に対しては事務手続き費用以外の損害を与えられなかった中華民国が日本軍が占領している大陸の枢軸領土の
自国復帰(返還)と日本軍撤退を求めていた。

「トルコが枢軸に協力していた疑いがあります、連合軍による早急なる懲罰を求めます。

トルコが密に枢軸側に協力していたとギリシアが主張。併せて連合軍による懲罰行動と領土割譲を軸とした賠償を行わせることを言い出していた。
これはアルバニアとマケドニアが近々独立するとはいえ、バルカン半島に未だ広大な領土を有する(※2)トルコを潰して領土を得ようとする
野望から来たものであった。これにはセルビアとルーマニアが熱烈に支持していた。

「山東省と江蘇省は貴国が戦争に負けて割譲した土地、いわばドイツとオーストリアの領土です。参戦条件にもあり、そして多くの血と多額の費用を
  かけて占領したのは我が大日本帝国。何もしていない貴国に何か要求する権利はありませんな。」

と代表として出席していた本野外相は中華民国の主張を切って捨てた。
またギリシアの主張に関しては日米英仏が揃って

「「「「お前らよりは遥かに活躍しとるわっ!!!!!」」」」

と盛大な突込みが入った。戦争の原因を作った挙句、一方的に負け続け全土を占領されたセルビア。同じく全土を占領されたルーマニア。
そして海軍を叩き潰された挙句にトルコやその自治領に経路を閉ざされて兵力の大半が遊兵化し、少数を西部戦線に派遣しただけのギリシャ。
それに比べて日本軍指揮下で派遣した義勇軍が活躍、特にベルリン近辺での戦闘で多大な戦果を挙げたとる事では比べようも無かった。
もっともトルコは正式に参戦していない為、枢軸側に賠償請求はしていなかったしする事も出来なかったが。
ただ連合各国は知らなかったが戦争終了後に日本から廃棄される旧式兵器を格安で譲渡される事になっていた。そして同時に防衛力強化や
産業育成の為の友好支援条約が締結される予定だった。
他にもオーストラリアが日本への報酬が過大だとごねたり朝鮮人国家問題など多くの課題があった。
また連合国から無断で脱退した挙句、内戦の為の資金源として粗餐を接収したおかげで制裁を食らっていたロシアだが、連合国への賠償を表明していた為、
会議を見学することは許されていた。もっとも既にドイツと白紙講和していた為、本当に見学しかさせてもらえなかったが(ソ連は無視)。
それでも時間をかけて交渉を継続した結果・・・。


 1917年2月25日 大英帝国 首都ロンドン

前年の12月24日より始まったロンドンでの講和会議はこの日、主要議題である賠償問題についてやっと決着した。
オーストリアとブルガリアに関しては史実と同様の賠償となったがドイツに関しては容赦がなかった。
全ての海外領土と利権を放棄した上で2000億マルクという膨大な賠償金を分割で支払うことになり本国の一部も放棄させられた。
特筆すべき内容としては

東プロイセン→信託統治領としてアメリカに譲渡(ジャスティス船団壊滅への賠償)

ダンツィヒ→独立したポーランドへ譲渡(敗北した事をドイツ人に深くわからせる為)

中国における領土・利権→日本へ譲渡(当初の通り)

トーゴランド→朝鮮人独立国家の建設(厄介払い)

ベルリンとハノーファーの中間に新たな都市を建設し朝鮮人10万人を移住させる(※3)

以上の4つである。この内3つ目については中華民国が執拗に反対し、他の連合国への利益供与を匂わせて自国へ返還する様に嘆願していたが
それをすると日本を完全に敵に回す上に自分達の大陸利権も返還しなければならなくなる為に相手にはされてなかった。
またアフリカ植民地の分割もトーゴを除き史実と同じ内容になったがベルギーとポルトガルに譲渡された分に関しては本国疲弊による資金・人材不足の為、
適正価格でアメリカに売却される事になった。
そして朝鮮人に関してだが当初はセルビア王国領内に移住させる予定であったが現地での民族問題がさらに悪化する為に断念。嫌がらせとしてドイツ国内に
新都市を建設して10万人を移住させる事が決定。残りの全朝鮮人はトーゴランドに移住させて独立国家(※4)を建国させることになった。
また騒ぎ立てる中国を宥める為、英仏はショーシャ機関銃20000丁やルノーFT17(機銃型)100両を始めとした旧式兵器を決定。日本は表向きは抗議に止めたが
密に大陸駐留軍の増強を計画し始めた。

165 :ライスイン:2015/09/10(木) 22:14:56
「全べてが合意に達しました、この場において講和の成立を宣言します。」

各国代表の調印が終わり、ロイドジョージ首相が宣言を行うのを日本側代表である本野外相と秋山大将は複雑な面持ちで聞いていた。
何故なら情報部からの報告で英仏外相と中華民国代表やロシア大使が盛んに接触し、兵器供与とは別に何らかの合意に達した模様との報告が齎されたからだ。

「おそらく領土に関する物でしょうな。」

「そうでしょう」

2人が話し合っているとロイドジョージの隣にフランスのブリアン首相が並び、懐から紙を取り出した。

「これは講和条約に付随する特別声明です。」

「極東及び大陸における日本・中国・ロシアの領土問題は当事国同士による平和的な解決を望む。」

この声明を聞いた瞬間、ロシア大使と中華民国代表は歓声を上げた。これは大陸の枢軸領土は日本側に譲渡はされるが領土問題は存在し、話し合いで解決するよう
求める内容だからだ。中華民国側としては日本に渡されるのは避けられないが自分達の領土であると主張できることに満足していた。それはロシアも同様だった。
一方英米としては利益を拡大する日本を牽制しつつ中華民国を宥め、同時に日露中と国を限定することで自分達の大陸権益に害が及ばないようにする
高度な政治判断のつもりであった。

「ふざけないでいただきたい。直ちに撤回を要求する。」

怒り心頭の本野外相が大声で撤回を求めたが英仏はすでに正式発表したことだとして拒み、特別声明として正式に組み込まれてしまう。
更にこの事態を知った日本本国が英仏に制式に抗議するも同様に黙殺された。この事態に日本中が激怒し改めて英仏が敵国であり裏切り者の背徳者であることを
思い起こさせた。そして英仏は後にこの決定を悔やむことになる。


 1917年3月1日、イギリスは戦後の復興計画と同時に新たな艦隊建設計画を発表した。これは汎用巡洋戦艦と主力巡洋戦艦(改インコンパラブル級)
及び超インコンパラブル級と支援空母ハーミズ級を中核とした艦隊を1930年までに建設するという野心的すぎる計画であった。また接収し沈没したチリと
ブラジルの戦艦の代償としてチリにドレーク級戦艦(元米デラウェア級)2隻を譲渡し支払い済み代金の一部を返還。ブラジルに対しても
ブラックプリンス(元独デアフリンガー)を譲渡し支払い済み代金の一部を返還した。両国としては最新鋭戦艦が手に入らなかったことには落胆したが
おまけとして旧式巡洋艦や駆逐艦多数を譲渡された為、一応は矛を収めた。

 またフランスも海軍拡張計画を発表したがこちらはあまり注目されなかった。しかしもう一つの発表、対戦終結に伴う恩赦が行われたのだがそれによって
嶋田を撃墜したパイロットが無罪放免で釈放され、しかも軍務に復帰したことが日本を徹底的に激怒させた。日本は直ちに抗議したが今後高まるであろう
国民の政府不満や活躍しすぎた日本に対する劣等感からくる不満のガス抜きに必要と判断したフランスは日本の抗議を無視した。これによって国民の政府に対する
不満や日本への劣等感はある程度解消されたが逆に日本の対仏感情を極度に悪化させる結果になった。

1917年3月10日  東京・夢幻会会合場所

「やってくれたなジョンブルにカエル野郎共め。」

会合の場は怒りが支配していた。英仏が行ったサプライズ特別声明で勢いづいた中華民国とロシア帝国は外交ルートを通じて日本に対して領土の返還を要求。
同時に国境に軍隊を配置しての挑発や他国での宣伝を盛んに行っていた。

「あの声明は察知できなかったのか?」

「内容は英仏が独断で決めていたとこのとです。」

特別声明の事を察知できなかったのかとの問いに外交関係者が応じる。特別声明は英仏が独断で決めていて他国が知ったのは発表の瞬間であった。

166 :ライスイン:2015/09/10(木) 22:15:33
「奴らへは直ちに報復しなければならないな。だがあまり予算はかけられん。」

「対抗する建艦計画は必要だがな。それとベトナムとインドネシアの件もな。」

参加者達は不気味な笑みを浮かべた。

「臣民も報復を求めています。早急に何かを実施する必要があります。」

発言者の言葉の通り、今回の英仏による特別声明に日本国民全員が激怒していた。散々敵対していたにも関わらず、利益の為とはいえ献身的に助けたのに
手酷い裏切り行為を働いた。この事により国民の対英仏感情は地面に潜り込んでいて地殻を貫通しマントルに到達する勢いだった。

「精々奴らを驚愕させてやりましょう。」


 1917年3月21日、この日に行われた日本の発表は世界を激震させた。
内容は旧フランス植民地インドシナ(ベトナム)にてベトナム王国(阮朝)を再建させ保護国とし、同時にインドネシアでの現地行政組織の整備を含めた
外地整備計画。そして先のイギリスによる艦隊建設計画海軍再編計画であった。
 外地整備計画では本来はインドネシアとベトナムで住民投票を行う予定であったが英仏による工作(※5)やオーストラリアの嫌がらせ、そして難民を自称する
中華移民の増加傾向から実施を断念。ベトナムについては阮朝を再建させ保護国とし、インドネシアでは総督府を含めた現地行政組織や警備隊への現地住民の
登用と各種教育(※6)やインフラの整備の実施を決めた。また他の外地について同様の改革を実施していたが満住人全てが日本人となった
任那半島(旧朝鮮)については除外としていた。各国、特に未だ多くの植民地を持つ英仏(※7)は自国への影響を危惧して懸念を表明し、自国の近くに
日本の友好国が建国されるオーストリアも非難声明を発表した。

 海軍再編計画については建造中の播磨型戦艦の改良型や大型空母、そして超甲巡や防空巡洋艦を軸とする将来の脅威に対抗する為の大規模な建艦。
そして各艦隊の再編成と北欧やタイ、トルコなど友好国への軍艦売却も含めた非常に大規模な計画であった。特に英仏が危惧したのは46㎝砲を装備する
快速・重装甲の巡洋戦艦全てが欧州に配備される事であり、トルコが強力な戦艦を手に入れる事によって友好国のイタリアやギリシャが脅威に晒される事であった。
この為

「日本の発表は世界のバランスを崩す危険な行為であり直ちに全て撤回されるべきである。」

と英仏を中心とした欧州各国が外地整備計画と合わせて日本を非難し撤回を迫った。

「わが国の貢献を無視して講和条約にふざけた特別声明を組み込んだ挙句、我が国を標的にした海軍拡張計画を策定した英仏に対する報復である。」

との声明を発表。同時に地中海艦隊によるイタリア・ギリシャ近海での演習や南方艦隊によるオーストラリア沖での演習という示威行為にでた。
更に英仏に対して内密に

「お前らの植民地の人々に対して物資(軍需)の支援や教育(軍事)の支援に自立(独立)の為の支援を行うぞ。」

と脅迫。自分たちの今までの所業から日本は本気でやりかねないと判断した英仏を始とした各国は非難声明の撤回と謝罪に追い込まれたのだった。
ただしフランスは嶋田を撃墜したパイロットの再処罰は拒否した。

167 :ライスイン:2015/09/10(木) 22:16:06
1917年4月1日 大日本帝国 帝都東京

この日、東京・・・いや、日本中が沸いていた。様々な苦難を超えて多大な功績を打ち立てて国威発揚に貢献した遣欧総軍が帰還し、それを記念する
式典が行われていたからだ。厳かに行われた式典は終了後に隊列が組まれ皇居まで行進。その後、遣欧総軍司令や幕僚に加えて特に目立った功績を挙げた者が
参内し陛下に対して報告を行うことになっていた。そんな中で・・・

「胃が・・・胃が痛い。」

「我慢しろ嶋田君。」

69式装甲兵員輸送車の座席で胃を抑えながら呻く嶋田大尉を隣に座る閑院宮親王大将が励ます。嶋田は彼が挙げた多大な功績や記録が陛下の目を引き参内に
同行を命じられていたのだ。
そして一行は皇居内に入り陛下に謁見し報告を行う。そして遣欧総軍司令官上原元帥から順に陛下よりお褒めの言葉を頂いていった。

「嶋田大尉、前へ。」

侍従長の言葉が響き、嶋田は緊張しながら陛下の前へ進み出て礼をする。

「嶋田よ、その方は日ノ本を守護する兵として多大な功績を挙げた。よってそれに報いる為、朕は嶋田繁太郎に男爵の位を与え華族に列する。」

とのありがたいお言葉を頂き、男爵を授爵されてしまった。しかもそれだけでは終わらず霞ヶ関の海軍省前でも式典が行われ、少佐への昇進が言い渡される。
これによって”帝国海軍少佐 嶋田繁太郎男爵”が誕生した瞬間だった。またその日の夜には夢幻会の会合の場に呼ばれ、重鎮たちの”励まし”を
受けるに至り、”前回”以上の苦労と胃の荒廃が約束されたのであった。


 こうして英仏の裏切りともいえる行為に激怒しつつも拡大した勢力圏の整備に明け暮れつつ平和を謳歌する日本。しかしその平和は突然崩れる事になった。
1917年10月5日、多数兵器(英仏の旧式やドイツの賠償兵器)の受け取りが完了し急造の徴収兵を含む120万の兵力を揃えた中華民国が満州・遼東半島・青島
山東省・浙江省など大陸の日本領に宣戦布告なしの同時強襲攻撃を敢行。
また同年10月6日には30万のロシア帝国軍が日本領となった東露州(旧極東方面)へ宣戦布告なしの攻撃を実施。
これによって大日本帝国は未曽有の大戦からわずか数か月で新たな戦争に直面する事になるのであった。


※1:ハバロフスク以東(東経135度より東)のロシアより得た領土に与えられた日本名。

※2:時期に独立する自治領のアルバニアやマケドニアを除いてもバルカン半島や中東に広大な領土を有していた。

※3:ドイツ人への嫌がらせと同時に英仏へ向かう反発が少なくなるようなサンドバックとしての役目がある。都市名はテソウル(大ソウル)

※4:ロシアへ連行されていた王家の生き残りを皇帝とした帝政国家で国名は大朝鮮帝国。人口は300万人前後。国内の利権は欧米各国が握っていて
   独立国とは言うが実態は保護国以下である。戦車や航空機の輸入配備が許されず、軍隊の装備は旧式小銃に小口径野砲といった軽装が殆ど。

※5:好条件をチラつかせての自分達の側への勧誘や反日勢力の組織に親欧州化した現地人による対日テロなど。

※6:各種学校の建設を始めとした教育水準及び識字率の向上を通して日本との結びつきを強める事を目的としている。同時に夢幻会の某派閥によって 
   女学校の整備も盛んに行われていて聖ステラ女学院(ウラジオストック)、水鏡女学院(大連)など日本勢力圏各地に特徴ある女学院が建設されている。

※7:戦争の敗北などで過去に日本に譲渡した地域を除いても広大な植民地を未だに有していた。

168 :ライスイン:2015/09/10(木) 22:16:36
おまけ1 イギリス海軍艦隊建設計画~1930


○ブリタニア級巡洋戦艦(汎用巡洋戦艦)

31200t 38.1㎝42口径連装砲×4、15.2㎝45口径連装砲×8、4.7インチ高角砲×8 速力:33kt

01:ブリタニア  02:ハイバニア  03:コモンウェルス  04:ドミニオン  05:アガメムノン  06:アークエンジェル

07:ロビン・フッド  08:デューク・オブ・ウェリントン

イギリスが建造予定の汎用型巡洋戦艦。当初の案とは違い建造費の抑制と工期の短縮を狙いQE級の設計を流用。艦体を拡大し機関を
出力の大きい物を搭載する予定。
主砲は予算削減の為に既存の38.1㎝砲を流用。また高速を発揮するために装甲が削られていて最厚部でも対30.5㎝と薄い。


○ネルソン級巡洋戦艦(主力巡洋戦艦 改インコンパラブル)

46500t 50.8㎝42口径連装砲×3、15.2㎝45口径連装砲×10、4.7インチ高角砲×10、速力:32.5kt

01:ネルソン  02:ロドネー  03:ブラック・プリンス  04:センチュリオン  05:セント・アンドリュー  

06:セント・パトリック

イギリス海軍が今後の艦隊の主力として設計した巡洋戦艦。インコンパラブルを改設計した物だが主砲を日本の早池峰型に対抗する為に
42口径にしている。ブリタニア級同様に攻撃力と速力を重視した為に装甲は薄く、最厚部でも対34.3㎝である。


○フッド級巡洋戦艦(超インコンパラブル)

56000t 50.8㎝42口径連装砲×4、15.2㎝45口径連装砲×12、4.7インチ高角砲×12、速力:32kt

01:フッド  02:アーバスノット・フィッシャー

日本の早池峰型だけでなく設計中と噂される新型戦艦(播磨型)を上回る事を目指したて設計された巡洋戦艦。
大口径主砲を連装4基搭載し、30ktを超える速度を発揮できれば如何なる戦艦も撃破可能であるという構想の元に設計された。
もっとも代償として装甲は最厚部でも対38.1㎝となっている。

○ハーミズ級支援空母

12000t 4.7インチ高角砲×4 29kt  搭載機:最大30機(戦闘機のみの場合、重量級の爆撃機を載せれば更に低下)

01:ハーミズ  02:カレイジャス  03:グローリアス  04:フューリアス  05:セントー  06:アルビオン

イギリス海軍が艦隊決戦支援用に設計した空母。戦闘機による艦隊防空と雷爆撃による軽快艦艇排除・敵戦艦損傷により主力(巡洋戦艦)による
艦隊決戦を優位に進めようという構想の元に設計された。主力部隊に追従できるだけの速度と航続距離に加え、航空機用の燃料弾薬を
搭載する必要から大きさに反して搭載機は少なく(戦闘機のみで露天駐機を含めて最大30機)防御力は皆無に近い。
イギリス海軍は当初建造や運用について日本からの支援を当てにしていたが政府の特別声明により不可能になった経緯がある。

 あまりにも野心的すぎる上に多額の予算が必要になる為、議会の一部「過大過ぎる」と反対しているが講和会議の特別声明の一件で
日本に恨まれたと自覚している政府・海軍は将来の対日戦を見据えて本気で推進している。また実現できるかは大いに疑問視されている。

169 :ライスイン:2015/09/10(木) 22:17:10
おまけ2 フランス海軍建艦計画~1930

○アキテーヌ級巡洋戦艦

28500t  35.6㎝50口径3連装砲×3、13.9㎝55口径単装砲×20、7.5㎝単装高角砲×8  32.5kt

01:アキテーヌ  02:オーベルニュ  03:リムーザン  04:ピカルディ

 日米英が建造・保有中の戦艦に対してフランスが自国で建造中(大幅遅延)のプロヴァンス級に不安を抱いた結果、急遽建造が決まった巡洋戦艦。
国内で製造できる艦砲が最大でも34㎝だった為、アメリカと交渉し50口径の35.6㎝砲を輸入することになった。
(40.6㎝、45.7㎝は売却拒否。英国は余裕がない為と断り、日本は門前払い)。
高速を発揮するために重量軽減に努めた結果、攻撃力はそれなりにあるものの、防御力に関しては最厚部でも対28㎝と非常に薄い。
なお予算不足かつ空母も建造する為に4隻分しか予算が認められなかった。

○ラファイエット級空母

9000t 7.5㎝単装高角砲×6 27.5kt  搭載機:最大15基

01:ラファイエット  02:ミラボー

 空母の艦隊決戦支援能力に注目したフランスが初めて設計した空母。
自国初の空母ということで同じ連合国であり、空母の運用経験豊富な日本海軍に支援を仰ごうとしたが特別声明の件で不可能になりすべて自分達で手探りで
建造することになった(英国は現時点でアーガスを建造中)。そのため性能はかなり低く、戦後復興に多額の予算が必要になり巡洋戦艦の建造数を削って
予算を捻出したがそれでも2隻しか建造が認められなかった。

フランスは大戦の疲弊で造船能力が低下しているので建造中のプロヴァンス級やその他の艦艇を併せると1930年までに全て建造できるか不明な状態である。


日本帝国海軍再編計画

●艦隊再編成

○本土防衛艦隊 

戦艦:播磨(建造中) 三河(建造中)、 加賀(改装予定) 土佐(改装予定) 

巡洋戦艦:天城 赤城 愛宕 高雄、 比叡 霧島

空母:飛龍、蒼龍  鳳翔

巡洋艦:桶狭間 白村江、 加古 古鷹、 青葉 衣笠、 最上 三隅 熊野 鈴谷、 吉野 浪速 新高 畝傍、 球磨 多摩 北上 大井 木曽

駆逐艦:初春型6隻 陽炎型9隻、朝潮型10隻、吹雪型3隻、初春型6隻


○南方艦隊

戦艦:長門 陸奥

空母:翔鳳

巡洋艦:九頭竜 天神、 鬼怒、阿武隈

駆逐艦:吹雪型8隻  


○インド洋艦隊

巡洋戦艦:金剛 榛名   

空母:瑞鳳

巡洋艦:清津 中津、 名取、由良

170 :ライスイン:2015/09/10(木) 22:17:48
駆逐艦:磯風型4隻、神風型8隻


○地中海艦隊

巡洋戦艦:白馬 黒部

空母:龍驤

巡洋艦:鳥羽伏見 壇ノ浦、 鶴見 麻生、 長良 五十鈴

駆逐艦:神風型4隻、綾波型10隻


○大西洋艦隊

巡洋戦艦:早池峰 大雪

空母:轟龍

巡洋艦:関ヶ原 三方ヶ原、 矢作 酒匂、 川内 神通

駆逐艦:陽炎型6隻、白露型10隻


○対独監視艦隊(大西洋艦隊分遣艦隊

巡洋戦艦:常念 穂高

空母:幻龍

巡洋艦:阿賀野 能代、 那珂

駆逐艦:暁型4隻、陽炎型4隻

その他、各艦隊に松型以下の護衛駆逐艦や海防艦が配備。


●建艦計画(潜水艦は省略)

○近江型戦艦(改播磨):80000t、46㎝45口径3連装砲×3、15.5㎝60口径連装両用砲×8、12.7㎝50口径連装高角砲×18、25㎜3連装機銃×? 速力:30.5kt

01:近江(1922年9月) 02:筑前(1923年8月)

現時点で建造中の播磨型の強化型。副砲に新開発の15.5㎝連装両用砲を採用。機関も新型になり若干だが速度が増した。排水量が
増大した分、装甲も厚くなり英国製50.8㎝42口径砲にも十分な防御力を発揮できると考えられている。
機銃については新型が開発中で暫定的に従来型の25㎜が搭載される。

○翔鶴型航空母艦:45000t 12.7㎝50口径連装高角砲×10 25㎜3連装機銃×14 32kt  搭載機:100機

01:翔鶴(1920年9月) 02:瑞鶴(1921年2月)

今までの運用・実戦経験を元に設計されたミッドウェー擬きの大型空母。将来を見据えて試作の蒸気カタパルトを装備予定。

○飛龍型空母追加建造  赤龍(1919年8月)  白龍(1920年1月)

○鞍馬型超甲種巡洋艦

30000t  41㎝45口径3連装砲×2 15.5㎝60口径連装両用砲×4 12.7㎝50口径連装高角砲×8 7.6㎝62口径連装高角砲×6 25㎜3連装機銃×12 32kt

01:鞍馬  02:伊吹  03:磐城  04:八雲 

大型化し軽々しく動かせなくなりつつある戦艦を見直し、汎用性と運用のし易さを求め計画された艦。
加賀型の改装で生じる41㎝45口径3連装砲を流用し、豊富な対空火器と快速が目玉である。装甲は薄く戦艦との正面からの殴り合いは厳しいが快速と
長射程を生かせば十分渡り合える

171 :ライスイン:2015/09/10(木) 22:18:21
○筑波型防空巡洋艦:11400t 15.5㎝60口径連装両用砲×4、7.6㎝62口径連装高角砲×8、25㎜3連装機銃×16、61cm3連装魚雷発射管×2、速力:34kt

01:筑波 02:生駒 03:浪速 04:日進 05:吾妻 06:出雲  1924年度までに就役予定

最上型巡洋艦の設計を流用した大型防空巡洋艦。雷装を減らし大口径両用砲と共に新開発の発射速度の高い7.6㎝高角砲を採用した。
排水量に対して一見軽装備ではあるが燃料・弾薬搭載量の増加による継戦能力の向上や将来に改装に対する余裕を残す為でもある。

○北欧向け海防戦艦

14500t 36㎝45口径3連装砲×2 15.5㎝60口径連装砲×4 12.7㎝50口径連装高角砲×6 機銃   21kt

スウェーデン(01:ストックホルム 02:カールスクローナ)

ノルウェー(01:オスロ 02:フィンマルク)

デンマーク(01:ヴァルデマー 02:マルグレーテ)

フィンランド(01:イルマリネン 02:ヴァイナモイネン)

日本が北欧諸国から領海防衛用の軍艦建造を打診され、それらの国の造船企業や海軍関係者と話し合い建造が決まった海防戦艦。
主砲は戦艦も撃破可能な36㎝砲を3連装2基搭載し副砲は最上型と同じ物を連装形式で採用。速度や航続距離は低いが外洋航行能力と砕氷艦としての
機能も併せ持つ。なお機銃や細かい艤装等は各国で差がある。全艦が1925年まで就役し各国に引き渡される予定である。

●改装計画

加賀型戦艦2隻の主砲を41㎝45口径3連装砲×4 から 46㎝45口径連装砲×4に換装。1920年度末までに終了予定。 

●売却計画

扶桑型戦艦 扶桑 山城 → タイへ売却。

 新艦名:チャクリ・ナルエベト(扶桑)  バンコク(山城)

扶桑型戦艦 伊勢 日向 → 南方艦隊ジャカルタ戦隊(後のインドネシア自治領警備艦隊)に配備。

金剛型巡洋戦艦 大山 剣 → ベトナムに供与(当面は共感を兼ねた日本人要員で運用)。 

トルコ海軍向けティムール級戦艦1隻追加建造 艦名 → サラディン


いかがでしょうか?
今回は講和会議の様子と新たな戦争への道筋を書いてみました
嶋田さんが活躍し過ぎたり極端に持ち上げすぎかもしれませんが憂鬱本編以上に苦労して貰うつもりですのでその為の布石でもあります。
戦争終結直後は日本を敵に回すリスクを恐れていた英仏が講和条約で凶行に走った理由は戦争終結により欧州での日本の戦力が減少した事と
日本の影響力が強くなりすぎて少しでも勢いを削がないと次は自分達が危ないと強迫観念に駆られた事。また国民の有色人種への差別意識も合わせた
反日世論の増大を考慮した結果・・・つまり自分達の都合を優先した結果です。それが高度な政治判断(笑)で中国とロシアを日本医けしかける事に
成功した事により増長し加速していきます。それと孤立具合が不足気味なのでそのうち出せるようにします。

~予告~

 宣戦布告も無しに攻撃してきた中華民国とロシア帝国。大軍を有し、しかも同盟も組まずにばらばらに攻めてくる彼らに日本は苦戦する。
しかも日本の本格的な犯行を妨害し、国力を消費させようと英仏が工作を開始する。

次回”極東の戦争と軍縮会議”

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最終更新:2015年12月27日 18:47