444 :ライスイン:2016/02/20(土) 12:52:02
注意:ネタが多数含まれています。



 1917年末に対中国・ロシアとの戦争における講和が成立した。
これによって日本は先の大戦やそれ以前の戦争によるものと合わせて大陸に広大な領土を獲得した。
新たに獲得した領土を日本化すべく、漢民族を追い出しながら開発を続ける日本。だが当然の事ながら治安は悪化した。
軍や警察(外地派遣特別機動隊含む)だけでは手が足りず、様々な民間組織が活動することになった。



                  孤立大陸外伝01  大陸の治安維持


~1923年末 山東省奥地 とある開拓村  自警団~


 「撃て撃てェ、匪賊共を追い返すんだ。」

開拓村の自警団長を務める初老の退役軍人が叫びながら軍払い下げの短機関銃を撃ちまくる。

「だけどよ・・・数が多いぜ。」

大量鹵獲後に払い下げられたモシン・ナガンM1981改造の狙撃銃を装備した自警団の狙撃手が匪賊の頭部を撃ち抜きながら愚痴る。
彼らの住む開拓村は警備強化拠点に指定されていて強固な高い外壁に囲まれていて備蓄食料や弾薬・水源も豊富に用意されていた。
だが現時点では広さに比べて人員が圧倒的に少なく全住民併せて1300人前後。自警団員や戦闘可能な者(老若男女問わず)合わせても
半数程度の600人。それに対して攻めてくる匪賊は1万人を超えていた。
大半が追い出された元住民(漢民族)で農耕器具や刀剣類で良くても猟銃ぐらいだが中には脱走した中華民国兵や密に参加した軍閥部隊
も含まれていて小銃や機関銃、少数だが軽野砲も装備していた。

「団長、南門に匪賊の砲撃が集中しています、更に増援多数。」

伝令の少年が齎した報告はこの場にいる全員に絶望を感じさせた。現時点で遅れる増援は無く本来は戦えないはずの少年や老人すら伝令や弾薬輸送を
行っている。此の侭では南門は破られ匪賊が内部に突入し皆殺しにされてしまう。
そう焦りつつも彼らは応戦するしかなかった。

445 :ライスイン:2016/02/20(土) 12:52:36
~匪賊側~


「いけぇ、我等の土地を奪った日本鬼子を皆殺しにしろっ!!」

威勢の良い叫び声と共に万を超える匪賊の群れが開拓村に向かって突撃を行っていた。

「ふんっ、計画通りだ。精々弾薬を消耗するがいいさ。」

突撃する連中の後方で中国軍閥より参加した部隊の隊長が冷やかに呟いた。実は今回の開拓村への襲撃は彼らの軍閥が主導していた。
難民化した元住民に食料と武器、ついでに麻薬を与えた上で憎しみを煽って攻撃させていたのだ。
彼らの軍閥が何故この様な凶行に走ったのかというと麻薬や武器の密輸や日本人誘拐といった行動が日本を激怒させ、徹底的な取り締まりのお蔭で
商売が成り立たなくなっていたのだ。更に麻薬畑や精製工場に爆撃を受け、重要資金源である麻薬の生産すらできなくなった。
そこで日本を逆恨みした彼らは復讐と物資強奪を兼ねて日本の開拓村の襲撃を計画し実行に移したというわけだった。
予想外の開拓村の防御力の高さに驚愕するも捨て駒達の突撃と軽野砲の砲撃で南門をあと少しで突破できる段階にまで来ていた。

「上等な女はおれの所に連れてこい、それとあまり殺しすぎるなよぉ・・・売り飛ばせなくなるからなァ。」

下種な笑みを浮かべながら部下に指示する隊長。彼は計画の成功を確信して楽観的になっていた。だが・・・

「ぐはぁっ」

隊長の隣にいた部下の一人が頭を吹き飛ばされて倒れた。

「ぐあぁぁぁああっ!!」  「痛ぇよぉぉぉ」

更に前方にいた軍閥部隊に擲弾が炸裂し多くの兵が悲鳴を上げて吹き飛ばされる。

「どこだ・・どこからだ?」

隊長たちは辺りを見回して攻撃の元を探る。

「う・・・後ろからだ。」

部下の一人の声に隊長が振り返る。すると何時回り込んだのか後方から自分達に向かって進撃してくる車両と騎馬の集団が目に入った。

「や・・・奴らは・・・。」

特徴的な黒く染めた革製の戦闘服を身に纏った集団を認識した隊長は自分達が獲物に転落した事を悟らざるを得なかった。

446 :ライスイン:2016/02/20(土) 12:53:07
~民間警備会社 蛇論社(タ○ン社)~


「ヒャッハ~、蛇論社だ~」

「匪賊共を皆殺しにしろ~」

独特な黒いコンバットアーマー(革製戦闘服)に身を包んだハイテンションな武装集団が匪賊たちに攻撃を加えていく。
匪賊の群れに車両で突入し、轢殺しつつ機関銃や散弾銃を者。騎馬で突撃しマチェットで首を跳ね飛ばしながら手榴弾をばら撒いていく。
彼らは民間警備会社の蛇論社の山東支社に所属する隊員達であった。数は200人と匪賊に比べて圧倒的に少数であったが火力と機動力を
駆使して次々と得物を狩っていく。そして更に増援として武装車両20輌と騎馬30騎が現れ攻撃を開始する。

「順調なようだな。」

そう呟くのは矢鱈と大きい黒い馬に跨り、特注の痛メタルアーマーを着込んだ男だった。

「社長っ」

「邪武棲弧(ジャブスコ)司令官。」

「我らが至高のオーバーロード・・・。」

彼に気づいた蛇論社社員たちは一斉に彼を称え始める。
その様子に蛇論社社長である至高のオーバーロード邪武棲弧こと富永恭二(※4)は愛馬の邪鬼眼王の頭を撫でながら社員たちに指示を出す。

「無理はするなよ、もうすぐ航空隊も到着するからな。」

邪武棲弧(富永)の言葉の通り、暫くすると30機程の編隊が到着し、匪賊たちに攻撃を加え始めた。


~傭兵航空隊スカーフェイス~


「各機、事前の指示通り軍閥部隊及び指揮官を優先的に攻撃せよ。」

航空隊司令のヘルマン・ゲーリングは愛機のレ○スが描かれた72式戦闘機から無線で指示を出す。
彼が率いる傭兵航空隊は本来は満州での治安維持や日本軍相手のアグレッサー、飛行学校経営を行っていたが大陸の治安維持に頭を悩ませていた
現地行政府の要請により山東省まで進出してきていたのだ。

「こちらウーデット、了解した。」

爆撃隊を率いるエルンスト・ウーデット(乗機はセ○ベリアが描かれた72式爆撃機)から返事が返ってきた。
彼らは日本軍から供給されたナパーム弾やクラスター爆弾を優先目標に向けて投下していく。そしてゲーリングも・・・

「その身に刻め・・・神技!ニーベ○ン・ヴ○レスティ!!」

セリフと共に機体を急降下させ機銃を乱射、そして放たれたロケット弾が軍閥部隊の司令部を爆砕した。

「貴様等に救いの道は無い。」

爆砕された司令部を冷やかに見つめながらセリフを決めるゲーリング。
その後、駆け付けた日本軍や自警団の逆襲もあり匪賊たちは一人残らず全滅したのだった。

447 :ライスイン:2016/02/20(土) 12:53:44
~1924年初頭 江蘇省 交差鈴市~

 「拿鳥班長、全員配置に付きました。」

交差鈴市内のとある酒場を警察が包囲していた。
この交差鈴市は欧州勢力の影響力が強い上海に代わる新たな大陸進出の拠点として江蘇省沿岸地域の一部を再編して建設した国際都市であった。
日本だけでなく友好国である米国やトルコや北欧、ロシア系の企業が多く進出してきていた(英仏系はごく少数)。
それ故に富目当てに多くの犯罪組織が乱立し治安を脅かしていた。そして今日も警察の一部隊がとある酒場を包囲していた。

「了解したガイ。」

警察部隊の指揮官である拿鳥警部補は部下のガイ・バニングス巡査部長の報告を受けた。
彼が率いる交差鈴市警察特務支援課は犯罪組織”黒月”の拠点となっている酒場の内偵捜査を行い、大規模な取引の情報を掴んで出撃していた。

「班長、本部のセルゲイ課長から突入命令です。」

大きな通信機を背負った女性・・・通信手のティオ・プラトーが本部からの命令を伝える。

「了解した。総員突入・・・ランドルフ、扉をブチ破れ。」

「わかりました、離れててください!!」

拿鳥の命令にランドルフと呼ばれた大男が障害物破砕用のバトルアックスで扉を破壊する。

「動くな、警察だ。武器を捨てて床に伏せろ。」

先頭を切って突入した拿鳥が大声で命令する。だがそんな命令を聞く筈も無い犯罪者たちは銃撃で答えた。

「仕方ない、制圧しろ。」

穏便な逮捕を諦めた拿鳥は隊員達に制圧を指示した。


「見切った・・・せいっ!!」

銃弾を躱しつつ接近した男、八葉・・・じゃなくて北辰一刀流を極めた間呉有男巡査部長が一瞬にして犯罪者を斬り捨てた。

「間呉さん、何やってんですか?」

犯罪者をトンファーで殴り倒して気絶させた新米巡査のロイドが躊躇なく切り捨てた間呉を非難する。

「安心しろ、峰打ちだ。」

ロイドの非難にしれっと答える間呉。斬られた犯罪者は出血はしていないものの激しく悶絶していた。

「危ないっ!!」

声と共に銃声が4回響き、彼らを狙っていた犯罪者が手足を撃ち抜かれて倒れた。撃ったのは特殊支援課の隊員の幕田絵里巡査だった。

448 :ライスイン:2016/02/20(土) 12:54:20
「畜生。」

次々と配下の男たちが制圧されていく様を見た黒月の頭目は焦った。ここに居ては捕まる、外も包囲されているだろう。
ふと入り口付近を見ると通信手の女性が護衛も付けづに通信機を弄っていた。

「動くんじゃねえぞガキィィィ!!」

青龍刀を振りかざしてティオに向かって突進する頭目。どうやら彼女を人質に取るつもりのようだ。しかし・・・

「放電モード、起動します・・・バッテリー出力最大、エー○ル・・・バスター!」

言葉と共に彼女の改造スタンガンから放たれた高圧電流が頭目を直撃、煙を上げながら昏倒させた。

「良いデータがとれました。」

こうして特殊支援課による犯罪組織制圧は成功した。

~その後~

「ロイド、これからどうするんだ?俺は有男と飲みに行くが。」

捜査が終了し後始末が終わり、署で下番した後の会話である。

「俺はアルカンシェルの公演を見に行くよ。」

兄の問いに最近人気の劇団の公演を見に行くと答えるロイド。

「ど~せ真央ちゃん目当てだろ、絵里に聞かれたらどうすんだ?」

ソファーに座って雑誌を読んでいたランドルフが話しかける。
真央というのは劇団アルカンシェルの新人女優リーシャ・真央の事だ。

「大丈夫だ、絵里はいま・・・」

話の途中で不意に背後に気配を感じたロイド。そして振り返ると

バンッ!!

449 :ライスイン:2016/02/20(土) 12:54:54
おまけ 用語解説

警備強化拠点:通常の開拓村と違い、高い城壁と分厚い門に囲まれ、数年分の武器弾薬と食料の備蓄がなされた開拓の為の拠点。

蛇論社:外地での治安維持などを行う目的で設立された民間警備会社(出資比率 政府4・夢幻会系企業6)。主な仕事は外地での匪賊討伐や
    身辺・施設警備など治安維持業務全般や友好国への軍事訓練など。退役軍人・警察官の再就職先としても人気。
    制服は黒い革製のコンバットアーマーである程度の対弾性を持つ。
     装備は軍から払い下げの火器の他に独自の装備として装輪装甲火炎放射器(通称:汚物消毒車)や軽野砲/対戦車砲搭載の
    装甲トラックがある。

至高のオーバーロード邪武棲弧:蛇論社社長の富永恭二の事。陸大卒業直後に研修名目で社長として蛇論社に送り込まれていた。
               愛馬は黒い巨馬の邪鬼眼王、愛用武器はジ○ギ様御用達のソードオフショットガン。

傭兵航空隊スカーフェイス:友人の嶋田の伝手を使って満州に渡ったゲーリングが対中華・ロシア戦争時に仲間を集めて結成した傭兵航空隊。
             当初は格安の中古機を使用していたが功績を上げた事から日本軍より新型機を供給されるようになった。
             現在は各地に出張して空からの治安維持(匪賊討伐)や日本軍相手のアグレッサーを行う傍らで飛行学校経営や 
             友人の技術者エルンスト・ハインケルと組んで航空機製造にも乗り出している。因みに本部の中庭には10m級の
             レ○ス像が建立されて名所となっている。

ニーベ○ン・ヴ○レスティ:ゲーリングが編み出した必殺の対地戦闘機動。機銃の乱射で標的を拘束しつつ大威力のロケット弾で爆砕する。


交差鈴市警察特務支援課:激化する犯罪に頭を悩ませた交差鈴市警察が本庁や軍と相談の上で民間からも人材を集めて新設した部署。
            現在の主要人員は 

 ○セルゲイ課長:階級は警部。元は日本に帰順したロシア秘密警察の工作員。元ネタ セルゲイ・ロウ

 ○拿鳥班長:階級は警部補で本庁からの出向。本名は拿鳥 有九(だどり あれく)。元ネタ アレックス・ダドリー

 ○間呉 有男(まくれ ありお):階級は巡査部長で北辰一刀流を極めた剣聖とも呼ばれる男で妻子持ち。元ネタ アリオス・マクレイン

 ○ガイ・バニングス:アイルランド出身の移民で階級は巡査部長。

 ○ロイド・バニングス:ガイの弟で新米巡査。

 ○幕田 絵里(まくだ えり):交差鈴市市長を務める幕田子爵の孫娘で階級は巡査。元ネタ エリィ・マクダウェル

 ○ランドルフ・オルランド:傭兵出身の北欧系ドイツ人階級は巡査。

 ○ティオ・プラトー:倉崎重工北欧支社所属の技術者で技官として出向中。主に通信手を務め、改造スタンガンを武器にしている。18歳。

 ○リーシャ・真央:ロイドが入れ込んでいるエルカンシェルの新人女優でスウェーデン人とのハーフ。正体は日本情報局の工作員で
          コードネームは”銀”



 孤立大陸初の外伝は如何でしたか?
ネタを多数無理やりブチ込んだ結果、色々とカオスになってしまいました。
因みに最後の銃声は空砲の物でありロイド君は一応無事です。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2016年02月23日 05:30