311 :弥次郎@帰省中:2016/08/05(金) 17:50:21 大日本企業連合が史実世界にログインしたようです 幕間 -Let it go around the cosmos!Over the pain!-


1936年5月14日 種子島

嘗てポルトガルからの宣教師が上陸し、日本に初めて鉄砲が伝来したとされる種子島は、現在は日企連が島の土地の一角を
一気に買取り、行政権も完全に握った島となっていた。島の住人は島の一角が急速に開発され、見る見るうちに見たこともない
建造物が構築されるのをこわごわと見守るしかなかった。そう、何かが轟音と共に空に飛び立っていったとしても、
それが見えないほどの高高度にまで飛んでいったとしても、それに対しては恐怖こそしても何の対応もできなかった。
政権を奪ってから短い期間で日企連はとある設備を構築していた。数週間という短い期間で建造できたのは、建造物を
フレームごとに分割し、突撃型AF『リュウグウノツカイ』によってそのまま運んできて、そのまま内装を組み込むという力技ゆえだった。
そこまでして急いでいたのは、日企連がこの時期をだからこそ、そして注目を浴びて邪魔されることなく行う為だった。

それは、ある種の犯罪であった。
眺めるばかりであった宇宙に、本来ならばありえない時期に、ありえないレベルの代物を打ち上げるために。
計画の主体となったのは、倉崎と新三菱などであった。投入されたのは、日企連が密かに建造を進めていた多段式ロケット。
性能はこの世界の住人が100年かかっても追いつけないほどのレベルで、打ち上げる物体もまた然りであった。
その秘匿性ゆえに、日企連は接収した連合艦隊の艦艇も動員して周辺海域を封鎖し、民間船舶も近寄らないようにし、
さらに海中に設置した水中ソナーなども使ったうえで、何者かに監視されるのを防いだ。そして、そうした監視の下で
建造された日本企業連合種子島航空宇宙開発研究所はとある建造物から多段式ロケットを発射していた。

「第二加速スタンバイ……3……2……1、点火」
「エンジン点火しました。エンジン燃焼はおよそ2分20秒」

誰もが管制室のモニターを食い入るように見つめている。
海上に浮かぶ船舶によって代行される追跡所の情報がリアルタイムでモニターに映っている。
既に打ち上げから4分余り。緊張によって喉が渇いている人間もいたが、誰も持ち場を離れずにいた。
やがて、発射官僚から10分が経過した。

「『サキガケ』第二エンジン燃焼終了。慣性飛行に入ります」
「エンジン切り離し完了。予定の機動で落下してきます。回収予定ポイントで回収できそうです」
「急いで回収しろよ」

誰かの指示が飛び、慌てて連絡を入れる。

312 :弥次郎@帰省中:2016/08/05(金) 17:51:18
「『サキガケ』、予定ポイント通過。『アマテラス1号』分離」

痛いほどの沈黙。そして、オペレーターが声を上げる。

「『アマテラス1号』、安定軌道に入りました」
「『アマテラス1号』より信号を受信『Hello World』。成功です!」

興奮した声でオペレーターが『アマテラス』からの信号を読み上げる。
その瞬間管制室が歓声と拍手で包まれ、万歳三唱が起こる。割れんばかりの歓声と拍手。
溢れる正の感情。笑顔。嬉しさのあまり泣き出すものさえ現れていた。その様子は日企連の広報担当がカメラに納めていく。
そんな様子を眺めながら、70を超えた日企連航空宇宙開発部部長は苦笑いする。

「我々の世界では骨董品の技術なんだがな……」
「しかし、いいモデルケースとなっていますよ。技術自体は残っていても、試したことがないというのは我々の世界において
 宇宙開発のボトルネックになっていましたし。こうした偵察衛星程度でも技術を復活させるにはありがたいことです」
「……確かにな。アサルトセルの排除はまだ先になりそうだし、先にこっちでやっておくというのもありか」
「こちらにとっても利益があり、大日本帝国にとっても利益がある。だとするなら、win-winでいいじゃないですか」

事実日企連側の世界では宇宙開発がアサルトセルにより事実上断絶していた。飛ばせてもクレイドルの高度までであり、
どちらかといえば航空機による偵察がメインとなっている。そのため、日企連ではシミュレーションによる実験や地表部での
技術試験を重ねることでしか技術を残していけなかった。ORCA旅団の決起以降は問題ないだろう。しかし、その時に
あまりに躓いていては士気に関わる。そして、史実側においては日企連の行動を行うのに必要なインフラが乏しく、
尚且つ技術的本来投入可能な戦力が投入できないという事情があった。それらが投入できるようになるというのは
今後の軍事的なプレゼンスの維持も考えれば、やっておくべきことだった。

「ま、ロケットを飛ばせればそれでいですけどねー」
「お前なぁ……」

さらっという部下に苦笑する。
良くも悪くも、日企連の航空宇宙開発局には変人が多い。長らく宇宙開発が出来なかったことがそれに拍車をかけていたかもしれない。
今のような「ロケットしか頭にない」という人間は多かった。

313 :弥次郎@帰省中:2016/08/05(金) 17:52:26
しかし、それを笑う局長の方も負けぬ情熱を宇宙に向けていた。
祖父の代から続く宇宙開発一家。しかし、それは企業が国家を唆して配置したアサルトセルによって徐々に終わっていった。
祖父は失意のうちに病死し、父もまた宇宙(ソラ)を夢見たまま亡くなった。自分も一時期荒れていた時期もあったが、
日企連とレイレナード社の支援の下で技術を残し続けた。やがては、子も孫も自分と同じように宇宙を眺めて、飛び立っていくだろう。
夢を見て、努力を重ね、やがて飛び立つ。何と素晴らしいことか。

「次は月に、その次は火星、木星と順次伸ばしていきましょう。
 そしてデータを蓄積して元の世界でも宇宙へと飛び立ちましょうよ」
「ああ。次は、もっと遠くだ」

より遠くへ、もっと遠くへ。
日企連の誰もが、それを求めていた。

「やったぞ、成功だ!」
「おい、あれやるぞーあれ!」

誰かが楽器を引っ張り出してきたのか『Cosmos new version』の演奏が始まり、スタッフが思い思いに歌い始める。
打ち上げの成功と、次の打ち上げの成功を祈り、そして宇宙進出の時代を待ち侘びるように。
バイオリンの奏でる優しい音色が管制室内部に流れていく。

「絶対誰か仕込んでいただろ……」
「いいじゃないですか、いい曲ですよ」

夢幻会メンバーが作詞・作曲したということになっているこの曲は、長らく日企連企業内部の宇宙開発の技術者達が
歌い続けていた。何時しかそれはORCA旅団にも伝わり、旅団内部でも流行り始めていた。静かに宇宙時代の到来を
願う歌は、世界を超えて歌い継がれていた。始まりはACプレイヤーだった転生者やバンドの経験者からだった。それはやがて、
日企連やORCA旅団の結束の証となっていたのだ。

「痛みを超えて、宇宙へと飛び立っていこう……か、感傷的になるな」
「泣いてますよ」
「やかましい」

局長が部下の頭を軽くはたくと、そっと目頭を押さえた。
数世代にわたって紡いできた夢が、ようやく実現した。

「さあ、これから忙しくなるぞ。衛星との通信体制と監視体制の構築、しっかりしておけよ。
 今夜勤務の奴以外は思いっきり騒げ!俺が許可する!」

その指示にまた歓声が上がる。今夜は長くなりそうだ。

314 :弥次郎@帰省中:2016/08/05(金) 17:53:27
「種子島宇宙センターから報告です。『サキガケ』は無事に打ち上がったようですよ」
「やりましたか……!」
「ええ、大成功です」

日企連の史実側の拠点である水上航行型工作要塞『アシハラナカツクニ』の会議室に、史実側に派遣されていた
大日本帝国統治委員会のメンバーが喜びをあらわにする。夢幻会メンバーだけではなく非転生者も混じっている。
誰もがもたらされた報告に興奮を隠せない。

「これで監視衛星による防衛網の構築は第一段階終了ですね」
「ええ。あとは、いくらかの中継衛星を配置すれば盤石な体制となりますよ」
「GPS機能の実用化、JDAMをはじめとする誘導兵器もこちらでも解禁。衛星電話の使用も可能となりますから、通信インフラのネックも解消ですね」
「……なんだか、すごいズルをしている気分です」
「なに、史実日本が勝利するにはこれくらいは必須ですよ。今後の為にもね」
「そうそう。これで戦略的にも史実日本は優位性を維持。暫くは怖いものなしですよ。ドゥーリットル爆撃などさせません」

この打ち上げ成功によって日企連は天空の目を持ったのと同義なのだ。
続く衛星の打ち上げが完了すれば、まさしく神の視点で世界を見下ろせる。
古来、空というものは別世界だった。空の上の神の国を目指して飛ぼうとした人間は数知れず。
また空の不可侵性を覆す鳥は、往々にして神の使いとして崇められているし、神話には必ずと言ってよいほど登場している。
そういう意味では、日企連はまさに神の如き権能を手にいれたのだ。神秘が否定され、技術が発展したが故に。
今さらながらに震えがくる者もいた。

「将来的には静止衛星ステーションの構築も視野に入れましょう。
 いずれはこの地球から飛び立つために役立つでしょうし、軍事プレゼンスにも重要でしょう」
「まずはスペースシャトルと宇宙ステーション。次に恒久基地。まだまだ先は長いですな」

しかし、浮かれている人ばかりではない。

「この事実が、アサルトセルの誕生につながらなければいいのですが……」
「いずれは通る道だ。だが、その行き過ぎを教えられていれば嫌でも危険性を理解するさ。
 だからこそ、非衰退調律進行計画は大日本帝国に優位性を与える」
「そして宇宙戦争を抑止できるだけの戦力を日本が抱える。あるいは技術的優位性を常に保つ。
 なにより、我々の存在が抑止となる。『我々と同じ轍を踏むつもりか』と」
「……事は慎重を必須とするでしょう。浮かれることなく、プランを実施しましょう」

ともかく、と代表代行がグラスを手に取ってメンバーを促す。

「ともかく、今は喜びましょう。二つの未来の先駆けとなる打ち上げの成功を。乾杯」
「「「乾杯」」」

グラスをあわせる音が、静かに部屋に響いた。
こうして、種子島に突貫で設置された『大日本企業連合種子島航空宇宙研究所』は、史実世界初の偵察衛星『アマテラス』を
打ち上げることに成功。順次打ち上げられた合計8の監視衛星が地上の住人に知られないうちに、監視網を構築した。
24時間365日、好きな時に好きな場所を遥かな天空から見下ろすことで、何をしているかを覗き見れるようになった。
そう、もはや日本に対して隠れての軍事行動をすることなど事実上不可能になったのであった。
そして、各国がこの衛星打ち上げに気が付くことはなかった。代わりに奇妙な天体が観測されるようになったのであるが、
些細なことであった。

315 :弥次郎@帰省中:2016/08/05(金) 17:54:20
以上となります。wiki転載はご自由に。
歴史犯罪の醍醐味。圧倒的に優位に立ち、下界を睥睨し、そこで這いずり回る者共らを眺める事。
神の領域を日企連は犯すに至りました。日企連の目をかいくぐっての軍事行動は事実上不可能となり、逆に日企連は
事前の偵察を大幅に縮小することができるようになりました。これまで仮想戦記では実現可能な技術ばかり模索されていましたが、
こうした遥か未来の技術を投入できるからこそできる大犯罪ですな。

今回打ち上げの『サキガケ』は史実H2Aロケットのブラッシュアップ版といったところでしょうか。
恐らく伝統の『小さく纏め上げる』技術が花開いて、燃料の量を少なくて済むようにしているかも。
あと重要なのは打ち上げに使ったエンジンの回収。史実においてもしっかり回収してまたつかわれるそうな。

あと『Cosmos new version』はマジで名曲です(ダイマ)。
痛みを超えて、あの宇宙へと飛び立とう。ゆっくりと息をついたら、準備をしよう。意味を考えれば考えるほど、
ORCA旅団のテーマではと思えて来ます。

天上人(ソレスタル・ビーイング)とはよく言ったものですが、圧倒的な差なわけですね。
大和ローマ世界並に発展が加速されるので、恐らく20年後には月面恒久基地建造開始でしょう。
スプートニクが撃ちあがったら、月面から撮影でもしてやりますか。

まあ、大戦争はやりたいところですがデモンストレーションを見せつけておしまいにしたいですね。
日企連側の世界を教訓にして、お前ら無茶すんなよ?と釘を刺すのが非衰退調律進行の骨子ですし。
そしてどうしようもないときに、日企連が力をぶつける。それが本来の政治の在り方なのに、なんで日企連が
史実日本をカバーをしているんでしょうかね……

1.史実ルート。なんか米帝がくちばし突っ込んできた。英国も多分敵に回る。なので速攻で降伏させましょう。
2.『綺麗なソ連』ルート。綺麗になったソ連さんが日企連と手を組んで社会主義国家を樹立。冷戦突入ルート。
3.『世界間大戦。世界は日企連に解体されますた』ルート。世界は平和になりました()。
4.ドイツとイタリア(とドイツに蹂躙されるフランスなど)を犠牲に世界の平和樹立ルート
5.第三次世界大戦ルート。ナチスが消えたらアメリカが突っかかってきました。蹂躙して分割しましょうねー。

あるとすれば以上の5つのルートですね。
日企連的には2か4がベストなんですが…やっぱし5になりそう。
ルーズベルト大統領は確かに英傑です。でも、英傑は長く続かないのです。彼が抑え込んでいたモノも、やがては
外に出てきてしまう。どうしようもなく。ルーズベルトが強敵だからこそ倒したいという欲求があるのですが、
それも叶わないかもしれない。正直、悔しいですね……

では次回をお楽しみに。

617 :弥次郎@帰省中:2016/08/06(土) 21:53:26
とまれ、これで史実世界に派遣する戦力は大体固まりましたね

615
くっそww
下のネクストあげるから大人しくしてw

JPNT-YATAGARASU-00

日企連の旧標準機SUSNOWOをベースに開発された可変ネクストのプロトタイプ。本機は巡航形態への変形が可能で、
単独での行動半径は非常に広い。しかし可変機構の存在から高いAMS適性を持つリンクスほど可変機構のフィードバックで
『羽が背中に生える』というイメージに耐えきれなくなりやすかった。そこでAMS適性が低い『アナトリアの傭兵』へと
提供されることになった。外付けの武装ブースターおよび複数のセンサーユニットの採用など、積極的に新技術を
投入している。しかし特注品ということもあり他のパーツとの組み合わせが難しく、可変機構ゆえの整備性の悪さが目立ち、
修理費も高くつきやすい。これらがアーマードコアの特徴である汎用性を大きく欠如し、操縦者をさらに選ぶことから
可変機ネクストの開発はこれを契機として停滞し、ハイエンドノーマルの可変機化へと方向を変えていった。
なお、本機の設計にはアスピナ機関から出向してきたアーキテクト アブ・マーシュの技術指導もあったとされる。

JPN-YATAGARASU-00H
本家ホワイトグリントをイメージしたヘッドパーツ。
カメラの切り替え機能により、近接戦闘時と巡航時それぞれに適した状態へ変形する。
AA発動時にはカバーがカメラアイを保護する機構を備える。

JPN-YATAGARASU-00C
独特の背部ユニットを持つコアパーツ。
OBおよびV.O.B.接続時には変形する独特の機能を持つ。

JPN-YATAGARASU-00A
独特の変形機構を持つ腕パーツ。
高めの負荷と引き換えに耐久性が十分にあり、扱いやすい。
反面、ショルダーユニットを装備できない。

JPN-YATAGARASU-00L2
独特の変形機構を持つ脚部パーツ。
安定性に優れ、軽快な運動性を持つ。

NMG-KUMANO
新三菱が製造した特注ジェネレーター。巡航形態におけるエネルギー消費に見合う出力を持ち、隙のない仕上がりとなっている。
名前の由来はヤタガラスを熊野大神に仕える存在として信仰する熊野三山より。

NMOB-NANASIGURE-A
新三菱が製造した新型AA内蔵型オーバードブースター。
PAに敵機が接近してきたのに合わせて自動的に発動する迎撃型AAを放つことが可能。

KSRG-009MB
如月技研の技術の総集たるメインブースター。
あらゆる要求に応える柔軟性を特性とする。

KSRG-YATAGARASU-00S
旧レイレナードの遺産である03-AALIYAH/Sの後継。高出力高消費。

NMBB-YATAGARASU-00
軽負荷高出力のバックブースター。巡航形態からの制動をかけるためにリミッターを解除することで対応する。

MM-56/FCS
射撃戦重視の汎用型。スペシャルスタンダートな性能であり抜けが無い。
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最終更新:2016年08月08日 19:31