946 :弥次郎@帰省中:2016/08/31(水) 19:40:16
大日本企業連合が史実世界にログインしたようです 幕間 -斯くして怪物は生まれた-


AF「アシハラナカツクニ」
居住区画の中でも最上グレードの会議室に二人の人間の姿があった。
一人は大日本企業連合『大日本帝国統治委員会』財務部顧問 辻堂。
そしてもう一人は、満州国総務庁次長であるはずの岸信介。

「満州の油田についての計画はこのように試算しています」

岸は机ごしに渡された資料を手に取る。
油田の必要な設備と、労働者が暮らすための都市の整備計画。それによって生じる好景気の予測値。
さらに必要となる資金の額や資材の見積もりも事細かに含まれていた。

「しかし、貴方方の情報は本当にありがたい。これで満州の屋台骨が増えます」
「日企連の技術とこちらの技術のすり合わせにももってこいですからな」
「ただ……」

岸の懸念は色々あった。
特に未だに抵抗を続ける地主や財閥。そして、財閥に従うことしか知らない社員たち。
そう、面白いことに人間というのは、自分に不利になると理解していても強力な支配者に支配「されたがるのだ」。
特にこの歴史においてはヒトラーが良い例と言える。自由になったからこそ、人々は逆に支配されたがった。

「大陸に入れ込んでいた財閥や地主などがどう動くか……」
「財閥は日企連の『適切な指導』を受けます。黙らせるのも容易いので、そちらは気になさらず」
「いや、しかし……」

財閥は権力がある。それは政治的な権力も含め、地域に古くからあるコミュニティに根深く張り巡らされた、根源的なモノ。
企業城下町と言われるように、時には目に見えぬ圧力をかけることで政治にさえも選挙を介して介入できる。
政治家に対して献金や政治活動のあれこれで関わることで、間接的に自分たちに有利な状況を生み出す。
例えば、企業を相手取った訴訟ごとが動きが鈍かったりするのも、それとなく時間稼ぎをするように行政に圧を掛けたりとか。
それはこれまで度々国家との思惑の不一致が発生して、目的を果たせないことが多々あった。

「ご心配なく。錦の御旗はこちらにあり、多くの労働者が我々に味方する。
彼らは仕事を辞めても構わない。すべての財閥は日企連に従業員を派遣してもらう立場なのですよ」

辻堂は黒い笑みを浮かべながら言った。

「なるほど……!会社は従業員を繋ぎ止めるために待遇の改善を行わざるを得ないわけですか!」
「そういうことです。無論企業側の声も反映させ、仲裁をします。しかし、これまで通り好き勝手は許さない。
劣悪な環境や待遇、差別、給与の未払い、女中工……そんなものを許さずに改善していく。全てをより良い経済に反映させるために」
「逆に社員が共謀してクーデターを起こしても、日企連がそれを認めなければ、逆賊となるわけですな。
企業内偵は中々に骨が折れますし、見習いたいものですな」

岸が羨ましさを隠さずにいう。
翻弄されてばかりの政府や政治に、彼は少なからず煩わしさを感じていた。

947 :弥次郎@帰省中:2016/08/31(水) 19:41:04
「まあ、いざとなれば手はありますからな。いくらかの資料や情報をつきつければ、あるいは後ろめたいところをつついてやればいい」

ふと岸の目は厳重に鍵がかけられた重そうなケースに引きつけられた。
明らかに頑丈な素材で作られていることがうかがえた。このケースも会談前に辻堂ではなく屈強な男が運んできたものだった。

「これは?」
「ああ、知らない方がいいですよ。ただ、これを嗅がせれば一発でしょう。必要なら言ってください」
「はぁ……?」

鼻薬を嗅がせるという表現がある。直球で言えば賄賂の事である。
だが、それはあくまで比喩表現。実際に臭いを嗅がせればよいというわけではないのだ。
少なくとも岸の知る範囲においては、鼻薬を嗅がせるとは比喩表現であった。
気を取り直して岸は手元の資料をめくる。資料はいわゆる排ガス規制に関するもの。
開発の方向性や、普及方法についてまでが事細かに描かれている。

「しかし、こんなものが商売になるのですか?」
「ええ。排出される廃棄物はこの惑星が封鎖された環境である限り、必ず我々に影響を与える。
あの映像をご覧になったでしょう?やがてこの国は公害に襲われる。それは1世紀以上の禍根となる。
イギリスなどの資料をお見せしましたが、嘗て産業革命の余波は国家の根底に致命的なダメージを与えました。
我々の世界において、コジマ粒子が致命傷となったように」

辻堂の言葉に岸は深くうなずいた。
既にコジマ粒子については知っていた。その利便性と、同時に危険すぎる性質を。
日企連側の世界は原作よりはましではあった。日企連の勢力圏はまだ保全がなされ、コジマ粒子汚染の拡大を食い止めていた。
GAもコジマ技術を日企連に半ば依存していたことが逆に環境負荷の低減につながっていたし、コジマ技術を補うべく
そのほかの技術の開発を進めたことで、むしろ発展さえしていた。

「日企連はこの世界が汚染されることを是としてはいません。
そうでなければ、我々がこの世界に投資した意味がない。我々が技術を提供し、見返りにこの世界を保全することで余剰を生み、
我々の世界の復興を後押ししてもらう。それでようやく釣り合いが取れます」
「確かに。そちらの世界という反面教師が存在することは、こちらの世界に良い影響を与えるでしょう」
「財閥だけでなく中小の企業にも広く指導を進めて徹底させます。環境ビジネスの樹立こそが、
急発展するからこそ必要となります。無論日企連の手助けも」
「そこについては追々話を進めましょう」
「期待しましょうか」

再びのにらみ合い。それは一瞬だ。妖怪とタヌキの腹の探り合い。
互いが持ち得る情報や技術などを手駒として、如何に利益を得るかの戦い。
銃などを撃ち合うよりも激しい戦いだった。

948 :弥次郎@帰省中:2016/08/31(水) 19:41:44
次の資料を辻が差し出す。

「石油代替燃料の製造プラントです。こちらでの建造はまだ難しく、遺伝子上拡散させるのがまずい植物も用いるので
こちらでは生産を行いませんが、別な植物を用いて行う予定です。生産高はこれくらいと見越しています」
「ほう!」

差し出された資料に岸の目は輝く。
年間の生産高はおよそ5000万バレル。一年の消費量がおよそ28万バレルならば、余裕で余るレベルだ。
というか、何の比喩でもなく百年輸入しなくてもいい。しかもこれは全力での生産ではなく、安定供給される量だ。
日企連側の世界で製造される量も含めれば、さらに何倍にも膨れ上がるだろう。日企連の情報で満州には油田があると
はっきりとわかっていることもあわせれば、下手をすれば石油の価格破壊が発生しかねない。
だが、それは石油という資源で首輪が付いている日本にとっては首輪を外す第一歩でもある。

「いいですね、素敵だ。なんてすばらしい」
「石油メジャーに大きな顔はさせませんよ。その気になれば億バレル単位での製造も可能。
これだけの量を市場に開放した瞬間、日本は任意のタイミングで市場崩壊を起こすこともできる。
そして、日企連は他国にこうも言える『環境汚染源となる石油の大量消費は規制すべきだ』と」
「向こうは反撃のために日本にも規制を掛けようとして来る」
「しかし、日企連の技術ならば汚染物質の拡散は抑えられます。
そういう実績のあるのが我々ですからな。当然訳も分からずに探す外国と異なり、進むべき方向は分かっている。
そして技術差から、他国は日本の後ろに着くしかない。いや、自らを縛る鎖を解きたければ、日企連にすがるしかない」
「だが、それは自ら日企連の首輪をつける行為である。なるほど、自縄自縛のループとなるのですな」
「日企連の生産力や価格競争力はこの世界を補うに足りるものです。すくなくとも、100年以上前の国家などには負けない。
 下手に抗えば、経済崩壊を起こされて国が亡ぶ。経済的戦争にかけて我々企業の右に出ようなどおこがましいですな」

そう、未来において、そして過去のいくつかの事例において、時に戦争とは経済的手段で行われた。
戦争の目的が経済的目的であることもあったし、戦争という大量消費を利用して経済や社会の立て直しを行った例はかなりある。
少し歴史書を紐解けば、誰もが知ることができるだろう。

949 :弥次郎@帰省中:2016/08/31(水) 19:42:15
まあ、どこぞの列島国家がどこぞの大陸国家にとある資源を差し止められた際にその資源に依存しない技術を生み出してしまう様に、
経済的な攻撃は技術的な手法で跳ね返されてしまうこともある。とはいえ、日企連と史実側世界の技術差は言うまでもない。

「そのほかの方法もありますからな。
例えばですが、日企連は水素燃料を実現しています。その気になれば海水からも精製可能。
発生するのは水のみ。やがてその水は巡り巡って雨となって降り注ぎ、再び海に戻る。
まだこちらではガソリンエンジンを使ってもらいますが、1950年代後半から順次入れ替えを行います。
技術的発達は一度始まれば止まりませんから」
「特許はどちらが持ちますか?」
「名義は日本政府や関連企業としましょう。実体としては我々が持つ事になりますが」
「そこは構いません。その分をこちらに還元していただければ。
ガソリンやディーゼルエンジン技術が十分に発達したら、ハイブリット方式という形で導入し、排ガス量を一気に削減します」

史実においても、環境ビジネスというものがあった。
それまでの大量生産大量消費のスタイルを改め、自然への負荷を下げ、生産を抑えることで利益を上げるというビジネスだ。
つまりそれは、将来的な好景気の発生の予言ともいえる。それだけではない、将来的な手札は未来を知るゆえに日企連は有していた。
それこそ、他国が喉から手が欲しがるであろう膨大な量。

「真空管、トランジスタ、IC、有機半導体、量子コンピューター。今後の技術発展の100年以上の航海図。
これらによって、日本は加速する。他国を置き去りにしてね。そうすれば、もはやノンストップ。
世界は日本のために回り続ける。余計なことをすれば、即座に潰す。そうでなければ、情報を盾として自己防衛ができる。
楽しくなりますな」
「ええ、まったく」

両者は、二匹のエコノミック・ビーストは、今後の算段を嬉々として話し合う。
斯くして、大日本帝国は経済学における必然的な、しかし制御された暴走を開始。
未曽有の好景気へと突入していくのであった。

950 :弥次郎@帰省中:2016/08/31(水) 19:43:40
以上です。wiki転載はご自由に。

どんだけ日企連が理不尽かって話でした。

さぁNAISEIだ☆!
あれですね、病人にいきなり輸血して飯食わせて一気に蘇生措置とったような感じですね。
というか、チュートリアルでラストエリクサーを100個配るような感じ。ついでにミニマム回復アイテムがわりに
ラストエリクサーがポンポン出てくるような別な意味でクソゲー。

たぶん、HoIとかだと日企連登場で手が付けられないレベルで化けてムリゲーになりますね。
いきなり全ステータスがカンストするレベルのインチキかもw

え?どうにかしたい?
地理的要因(欧州から遠い)と技術的縛りを解決した上で日企連が表に出てくる1936年までに
大日本帝国を完全に征服して登場する日企連を退けてみろ、話はそれからだ(白目

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最終更新:2016年09月04日 11:17