370 :弥次郎@帰省中:2016/09/03(土) 22:10:05
大日本企業連合が史実世界にログインしたようです 幕間 -熾天使計画-


ACが最強と言われる一つの理由が、その汎用性にある。
時代が経ようとも戦場の戦闘単位が突き詰めていけば人間に行き着くように、人型兵器とは人に近いが故に、あらゆる状況に対応しやすい。
極端に言えば、人にできることを大型化して再現できるのである。そしてACはその大きさ故に人を拡張した機能を持つこともできた。

今、露天の演習場で繰り広げられているのは、1機の赤いACと複数のMTやノーマルACの演習。実弾を使用した本格的なモノだ。
安全面の考慮のためにMTなどの標的は有人ではなく無人機。ターゲット役のMTも廃棄予定であったり鹵獲したものである。
発射されたパルスガンが容赦なくターゲットを破壊していく。

パパパッ! パパパッ!

反撃のマシンガンなどが発砲されるが、ACが両腕に装備しているシールドに防がれてしまう。
いや、淡く光りを放つシールドに命中する瞬間に弾丸そのものが消えていた。消し飛んだのだ。
シールド表面に展開された指向性レーザーが弾丸を瞬時に蒸発させていた。

腕のシールドが攻撃を防いでいる間に、機体背部にあるフレキシブルバインダーが展開。
天使の羽を思わせるその内部に隠されていた、強力な武装をあらわにした。有澤重工謹製のグレネードランチャー。
ネクスト用のそれが二枚のバインダーに1門ずつ、合計2門。間髪をおかずに発射されたそれは、MTもノーマルもまとめて焼き払う。

側面にノーマルが回り来んでレーザーライフルを発砲するが、素早く身をひるがえしたACにはあたらない。
逆にパルスガンの餌食になり、振るわれたレーザーブレードから発射されたブレード光波がノーマルを真っ二つにする。
綺麗に真っ二つだ。上半身と下半身が泣き別れし、しばらく間をおいて爆発する。

飛び上がったACは遠距離の敵にはミサイルを、近場の敵はパルスガンやレーザーブレードで対処していく。
その動きは滑らかで、一切のよどみがない。機体の性能を活かし、まるでダンスでもしているかのようであった。

飛行型ノーマルがミサイルやライフルを発砲。全方位から攻撃を掛けた。
しかし、ミサイルはチェインガンが迎撃し、ライフルは瞬間移動したかのような回避運動で交わされた。
飛び上がったACは素早く加速するとブレードでまとめて数機を切り落とし、振り返りざまパルスガンで直近に迫った攻撃ヘリを撃ち落とした。

そして最後に大型兵器クエーサーが姿を現すが、フレキシブルバインダーが前方へと向けられ、グレネードが発射。
その爆風でPAが焼失したところに、カァオ!という音と共に強力なレーザーが浴びせられた。
フレキシブルバインダーからは、僅かにレーザーの残光が走って見えていた。

『試験終了。帰投してください』

オペレーターの声にACは飛行翼も兼ねるフレキシブルバインダーのブースターを噴射させ、浮遊。
一定高度になってから、何と変形した。頭部が鋭角的だったコアパーツに飲み込まれて機首となり、脚部と腕部が邪魔にならぬように折りたたまれ、まるでジェット戦闘機のようになる。
そして、爆発的な推力をバインダーから噴出したACは、演習場から飛び去って行く。

371 :弥次郎@帰省中:2016/09/03(土) 22:10:59
「このように防御機構としてレーザー指向シールドシステム『セラフィム』を採用。
敵弾を展開されるレーザーによって安全な距離で蒸発させます。取り回しを優先してシールドにもなる背部のフレキシブルバインダーと両腕のシールドに採用。直接打撃にも転用可能になっています。他にも可変機構で巡航飛行形態時にはこの『セラフィム』が力場を展開し、PAのように空気抵抗を減衰させます」
「なるほど……」
「うむむ」
「以上が、熾天使計画の完成形となるAC『セラフ』に関する報告となります」

夢幻会の会合の場で、如月技研所属研究員のメンバーが報告を終えた。
誰もがタブレット端末で演習の様子を確認していた。コジマ技術を使わないながらもネクストの匹敵する性能。
フロムソフトウェアの開発したとあるゲームに出てきたナインボール=セラフのほぼ実物が、ついに完成した。
元々コジマ汚染をもたらすネクストではなくハイエンドノーマルやV系ACへの注目していた日企連だったが、
ここにきてようやく一つの極地へと至りついたのだ。

「やったな」
「ああ、パーフェクトだ」
「ただ、一つ問題が」

興奮するメンバーたちだが、研究員の表情は優れない。

「何かあったのか?」
「完成させることは出来ても、十全に性能を生かし切るにはやはり似たような性能を持つリンクスが必須であり、
パイロット保護の観点から見てもネクストのAMS関連技術の導入が初期には必須となります」
「つまりOS関連の問題か」

そう、高性能故にナインボール・セラフモドキはすさまじい要求をパイロットに対して突き付ける。
ネクストを動かすのは、本来ならば連携が取れる十数名の熟練のオペレーターを必要とする処理があり、
それを何とか解決するためにAMSという人体改造を行っている。ネクストに匹敵するがために、セラフモドキも同様であった。

「はい。ネクスト並の戦闘力を持つACとしてはこれは間違いなく優秀なのですが、同時にネクスト並のパイロットを必須としてしまいます。
特に高機動戦を行う際にはどうしても熟練のパイロットの操縦が必須となるため、AMSがやはり必要と汎案されます。
現在はUnKnownがテスターを務めています」
「UnKnownが?」
「是非ともセラフに乗りたいと」

あの気分屋が、と驚きを隠せないメンバー。
しかし、納得しているメンバーもいた。元リンクスの一目連など、実際にACを動かす立場にいたメンバーだった。

「あいつならどんな機体でも扱える。多分限界以上に扱うだろうな」
「イレギュラーにナインボールを任せるのもなんだか皮肉だが」
「量産型セラフであるセラフMPにおいては機体出力の抑制と機体サイズの縮小によってこれを抑える予定です。
流石に性能が高すぎては運用しにくくなりますが、一度どの程度いけるかを確認したうえで、安定したものに落とし込む予定です」
「了解しました。史実でも運用できる高性能機という点で期待しています。ほかに質問は?」
「なし」
「同じく」

ざわざわとしたが、全員が報告に満足したようで、質問などはなかった。

「ナインボール・セラフが完成したことは喜ばしいですが、油断は大敵です。
各員はそれぞれ全力を尽くして業務にあたってください。では次の議題に移りましょう」

進行役の神崎が次の議題を促す。
そして、夢幻会の会合は今日もまた、夜遅くまで続くのであった。

372 :弥次郎@帰省中:2016/09/03(土) 22:11:48
JPAC/X-9 『セラフ』

全高:13m
操縦方式:AMS接続方式
標準装備:
チェインガン
パルスマシンガン
レーザーブレード
グレネードランチャー
垂直ミサイル発射管×12

オプション:
大型レーザーライフル『KARASAWA』
大型レーザーブレード『MOONLIGHT』
電子妨害装置
対艦ミサイル
追加大型シールド

概要:
次期主力AC開発計画の一環である『熾天使計画』に基づいて建造されたアーマードコア。
コジマ技術に依存することなくネクストに匹敵するアーマードコアを開発する趣旨の熾天使計画は、企業連との決着をつける
第二次リンクス戦争の計画によって後続ネクストの開発を中断していた日企連の極秘の専門チームによって推進された。
コンセプトとモチーフはずばりナインボール・セラフであり、計画名もそれに由来する。
外見もほぼナインボール・セラフ(ACE:R仕様)である。

攻撃面においては標準装備としてパルスマシンガンを2丁携行。ブレード光波を放つことも可能なレーザーブレードを2本と、
2枚の飛行翼を兼ねたフレキシブルバインダーに内蔵されたグレネードランチャー1門ずつと垂直ミサイル発射管6基ずつ、
さらに対人・対小型兵器用兼飛行携帯時の主兵装となるチェインガンを装備している。史実側での運用を考慮しており、
痕跡を残すことになる実弾兵器よりも光学兵器を重点に装備されている。またオプション装備としてはロケット弾、
体全体を覆う追加シールドが開発されている。

防御面ではプライマルアーマーの排除が行われ、代替として指向性のレーザーを表面に展開することで『敵弾を着弾前に
瞬時に蒸発させる』というレーザー指向シールドシステム『セラフィム』を採用している。しかしこの『セラフィム』は
機体全体を覆うものとするためには技術不足であり、また展開されるレーザーに接触したもの見境なく蒸発させるという、
運用状況によっては致命的となる欠点があったため、両腕のレーザーブレード内蔵型の小型シールド表面と
レーザーキャノンを内蔵したフレキシブルバインダー表面にのみ装備されている。
この『セラフィム』は収束させることでアサルトキャノンのようにレーザーキャノンをうちだすことも可能である。
無論発射音は「カァオ!」である。技術部が無駄に頑張ってくれた結果である。

373 :弥次郎@帰省中:2016/09/03(土) 22:12:47
ただし、この『セラフィム』は被弾に比例して膨大な熱量の発生が伴うため、戦闘後の収容においては十分な冷却時間と
冷却の空間を必須とするために、運用する母艦の大型化を招いている。また高出力のレーザー兵器による損傷が響く
可能性も指摘されているため、扱いについては要注意である。現在はプラズマフィールドを展開してEPM効果ももたらす
防御幕の開発が推進中であるため、任務に合わせての搭載が検討中である。

また、本機はYATAGARASU-00で完成していた可変機構を採用しており、単独での行動半径は非常に広く、長距離侵攻も容易くなっている。
飛行時には『セラフィム』によって力場を形成することでネクストのPAのように空気抵抗を和らげることが可能である。
動力源についてはVシリーズ同様に水素燃料ジェネレーターを本体に2基、バインダー内部に1基ずつ搭載している。

操縦方式はネクストと同等以上の複雑さを持つことからやむなくAMSが採用されているが、本機のテストパイロットを担当した
日企連リンクス『UnKnown』の戦闘データを基にしたOSと補助システムの開発によって熾天使の量産型においては
これをVシリーズとほぼ同等のものにまで落とし込むことに成功している。

追記:
本機の運用計画の一環として、無人ネクスト計画で誕生した『神威』のAIをロジックを変更して移植して運用するプランが進められている。


JPAC-9PM 量産型セラフ

全高:8m
操縦方式:VシリーズACと同様
固定武装:
チェインガン
レーザーブレード

オプション:
大型レーザーライフル『KARASAWA』
電子妨害装置
脚部レーザーブレード
大型対艦ミサイル
追加大型シールド


概要:
量産バージョンのセラフ。
全体的にサイズの縮小と本体のジェネレーターを2基から1基へと削減、VシリーズACの武装との互換性を持たせたモデル。
変形機構も複雑だったオリジナルよりもシンプルな物へと改められており、運用のしやすさを実現している。
その代償としてオリジナルほどの戦闘力は持たされておらず、『セラフィム』も飛行翼を兼ねるフレキシブルバインダーにのみ搭載されている。

375 :弥次郎@帰省中:2016/09/03(土) 22:13:23
以上です。wiki転載はご自由に。

ナインボール・セラフ、解禁です。
さて、あとは伊400型を量産するだけだ。これでいつでも一夜のうちにハワイを焼け野原にできる。
でも、出番はないかもしれませんが(暴

防御機構『セラフィム』は熾天使が神への愛情で燃えているという描写から思いつきました。
展開されている部分に触ったらレーザーで一気に蒸発します。エネルギーは馬鹿食いしますが、実弾系ほぼ無効です。
爆発系の武器にはちょっと弱いかも…ま、装甲そのものはVシリーズACのそれの流用なんで、頑丈でしょう。
なんだか種ガンダムのPS装甲とラミネート装甲の融合版みたいになりました。

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最終更新:2016年09月04日 12:21