415 :弥次郎:2016/09/11(日) 10:45:07
大日本企業連合が史実世界にログインしたようです 「国防は軍人の……」8 -浮かべる城ぞ頼みなる-


旧帝国海軍 次期主力艦隊整備計画「マル3改」策定会議


「浮かべる城ぞ頼みなる。まさに浮かぶ城だからな、戦艦は」
「戦艦嫌いの山本が言うならば相当だな」
「言うな。戦艦は戦艦の仕事をして、空母は空母の仕事をする。それだけのことだ」
「しかし、戦艦の将来の姿か……航空主兵になるとはいえ、どうすればいいやら」
「対空砲を山ほど積んだハリネズミにするか、はたまたモニター艦とするか。
扶桑型のようにいっそのこと艦隊戦を捨ててしまうか。迷うところだな」
「あれには魂消たな」
「うむ」

扶桑型強襲揚陸戦艦。
その姿は、史実側の誰も想像しえなかった、無茶苦茶なものだった。
なまじ艦艇を整備した経験があるからこそその出鱈目ぶりと発想の飛躍ぶりがどれだけなのか理解できた。
三胴式。つまり胴体を3つ並べている。誰がやろうとしただろうか。

「大和型を見て見ろ。高々1隻で空母10隻を引きつけた。
もし対空システムが進化していれば、ことごとく敵機を撃ち落としていただろう。
アメリカの人的資源は多いが、かと言って無限ではないさ。時期ごとに見れば意外と拮抗している。
ということは、効率よく殺してやればいいのだ」
「撃墜対被撃墜比率、か」
「そういうことだ。技量と技術で勝れば、相手を一方的に打ちのめせる。
アメリカの人的資源をすりつぶし、戦争を継続することがアメリカにとって損であると思わせる。
打ち勝つというよりは、アメリカの圧力を技術や外交、状況で凌ぐ。それが我が国の方針となるだろう」
「戦争は高くつくからな。戦時とは言え、アメリカはやがて耐えきれなくなるわけだ」

そう、戦争とは莫大な消費活動。
資源と人の命と生産能力とあらゆるものを大量に使う。
故に戦時予算が組まれるのだが、やたらめったらに軍を拡大すれば、やがては破綻する。

「重要なのは、アメリカの圧力を自力で跳ね除ける力を持つことだ。その為の戦艦が必要だ。
空母と艦載機の時代が訪れるとしても、戦艦そのものに成り代わることはできない」
「目標は1940年。それで構わんな?」
「異議なし」
「異議なし」

416 :弥次郎:2016/09/11(日) 10:45:55
1940年。あと4年、日数から言えば3年と8カ月余り。
戦艦という大型艦艇を作るにはやや短い、しかし、やるしかない。
工期?ブロック工法と溶接がある。短くできる。
ドック?既にアシハラナカツクニという巨大なドックがあるではないか。
電探?研究自体は進められている。日企連が協力してくれる。
技術的な問題や未確定な技術は、日企連が補う。
資材も提供してもらえる。
燃料も何とかなる。
だとするならば、我々がすべきはどのような艦(フネ)を作るかを、幾多の資料を基に決める事。
そして、旧帝国海軍上層部の『臣民』達は一つの回答を導き出した。

「使い勝手の良い戦艦。『史実』金剛型のように艦隊行動に追従可能な速力と安定した火力、防空力。
それが新時代の戦艦には必要だ。徒に大きな砲を積めばよいわけではない」
「そうだな。電磁投射砲というのもあるらしいが、それについてはまだ我々がどうこうできるものではない。
堅実に41センチ砲を積めばよい」
「半自動装填装置の搭載もできれば、投射能力も上がる。国産化も急がなければな」
「船室はどうする?」
「比叡をベースとしたものを下士官にまでいきわたらせる。
艦(フネ)を動かす水兵が十分に力を発揮できる環境には労力を惜しむわけにはいかん。
今は、その余裕がある」

帝国海軍の艦艇は戦闘力ありきな設計があった。
それは、国力として、技術的にも賄えない所があった故の設計だ。
だが、現在帝国は日企連という外部援助を得られる。業腹であるが、利用するしかないならば利用するしかない。

「日本郵船などにも声を掛けよう。内装の技術はむしろ民間の方が必要だ」
「うむ。船舶を徴発して好き勝手に改造しては、流石に遺恨が残る。仕事を持ち込めば、嫌とは言わんだろう。
それと戦時に備えた輸送タンカーや高速輸送艦も建造しなければな」
「あと動力についてだが、人型機動兵器のものも搭載しようと思う。既に鳳翔で実現済だ」
「あちらの世界の動力はすごいのだな。飛行機1機分の空間で戦艦を動かせるとは……」
「蒸気タービンという彼らからすれば古臭い方法に頼らねばならんとはな……」
「堪えるしかあるまい。ガスタービンは技術としてまだ頼れん。
我々はまだマシなのだ。日企連が手を貸してくれるのだから。その上で、自分たちの力を磨くしかあるまい」

相手は200年以上後の時代の組織。
幕府の頃の日本から見れば、かなり進歩してきてはいる。比べる相手が悪すぎるのだ。
果てしのない道のりだ。しかも、相手は猛烈な勢いで走り続けている。這い蹲ってでも、帝国は追いかけねばならなかった。
それが苦痛だとしても、追いかけ続ける。それが、この国を担う「臣民」としての義務。

「ガスタービンはせめて1950年代から1960年代に入ってからだ。落ち着いた時代に開発を進めなければ、中途半端な技術で混乱する」
「1960年代か……『史実』ならば、キューバ危機や代理戦争が勃発している頃だな」
「宇宙開発と核開発の両方で激しい戦いが始まっている。我が国は何処まで行けるやら」
「話がそれているぞ」

417 :弥次郎:2016/09/11(日) 10:46:39
注意が飛び、話題は艦艇のものに戻る。

「それとだ、『人型』の動力を並列して搭載する。『人型』の動力を利用できれば燃料の消費を抑えることができる。
加えて電力にも余裕が出来て水兵たちに恩恵をもたらすだろう」
「空調や電探、電灯に……光学兵器は、流石にな」
「うむ、信頼性という点では、壊れたときに直せるものがいいに決まっている。ついでに、人型も艦載機とする」
「装備を変えれば対空戦闘から対艦攻撃、対地砲撃、対潜攻撃、揚陸時には突撃して楔を打ち込めて、さらに重機としても使える」
「反則だな。艦載機としてはまさに理想形だが」
「これはあくまでも保険だ。積極的には使わん。
話を戻すぞ。電探の搭載はしたいが、暫くは日企連のそれで代替する。
企業や大学を巻き込んで研究が急ピッチで進んでいるが、やはり信頼性が物を言う。そこは我慢だな」
「ああ。使い方も学ぶにはそれが一番だ」
「比叡での訓練をかなりきつめに組んで乗員を鍛えよう。暫く戦争にはならんのだ」
「あと4年か」
「ああ、まだ4年ある。比叡の改装は突貫でやれば半年から8カ月で終わるそうだ。
並行して空母の改装と搭乗員の訓練もやって、来年には起工を行う予定だ」
「どれくらいで紀伊型はできあがる?」
「日企連の技師の話では2年もあれば楽勝、と」

2年。その数字に史実側の誰もが嘆息する。

「たまげた話だ。2年。長門でさえ3年余りを必要としたのに、日企連はそれ以上の戦艦を2年で仕上げる気とは」
「陸奥を条約に何とか間に合わせた我々とは違いすぎるな」
「だが、これで終わりとするわけではない。
もっと多くを盗んで学ばなければならない。我々は、餌を自ら親鳥から奪わねばならない」
「牧野中佐、期待しているぞ」
「は、努力しましょう。ただ……」
「ただ?」
「仕事が増えたので、給与ははずんでもらいたいと」

こらえきれず、誰かが噴き出し、屈託のない笑いが緊迫していた会議の場に流れた。

418 :弥次郎:2016/09/11(日) 10:47:18
紀伊型戦艦

全長:253m
全幅:37.7m(バルジ含み)
喫水:10.27m
基準排水量:49000t
満載排水量:57000t
主缶:新艦本式イ号缶改大型8基
主機関:新艦本式タービン4基4軸
補助機関:VシリーズAC水素燃料ジェネレーター並列8基
機関出力:19万馬力(ジェネレーター含まず)
速力:32.6ノット(通常機関のみ)
主砲:45口径41センチ連装砲連装4基8門
副兵装(竣工時):
127mm速射砲単装14基
ボフォース40mm機関砲連装30基
20mm近接機関砲(CIWS)×4
25mm対空機銃単装26基

装甲
舷側装甲:主装甲帯280mm+有澤装甲120mm二重装甲(20度傾斜)
甲板装甲:装甲甲版140mm+有澤装甲70mm(最厚250mm)
砲塔装甲:前循430mm+有澤装甲60mm(傾斜12度) 天蓋220mm+有澤装甲50mm 側面240mm
司令塔:300mm+有澤装甲70mm

その他:
新三菱 油圧カタパルト×1

艦載機:
零式水上偵察機×4 or 97式回転翼機×3 or VシリーズAC×6(露天駐機)

同型艦:紀伊 尾張 駿河 近江 (土佐 天城)

419 :弥次郎:2016/09/11(日) 10:48:03
概要:
日企連の指導下で建造された高速戦艦。
主目的は老朽艦が多かった戦艦の更新であると同時に、史実側の技術の総集編としての立ち位置にある。
史実側の艦本も燃料の消費量が多く一点モノであった史実大和型ではなく、金剛型の延長にある高速戦艦を求めた。
その中で叩き台に上がったのが、八八艦隊計画において計画され、軍縮条約の締結によって計画で終わっていた
紀伊型戦艦と紀伊型と同期に計画されていた13号艦であった。設計をいくらか見直す必要はあったが、空母機動部隊に追従でき、
対空戦闘から対艦戦闘 対地砲撃までを手広く担うことができると期待された。

主砲は長門型と同じく45口径41センチ砲を連装で4基8門。比叡と同じく砲身の改良と自動装填装置の採用によって
連射性が非常に向上しており、41センチ速射砲と化している。航空機の発達を見越して対空能力の向上のための
砲塔や機銃の増設が比叡よりも行われており、余剰スペースには将来的には艦対空/艦対艦ミサイルの搭載が予定されている。
また、電磁投射砲の搭載スペースもあらかじめ確保されており、モニター艦としての拡張も考えられている。
46センチ砲の搭載も考えられたのだが、運用のしやすさや将来的にアメリカの建造するアイオワ級を意識して41センチ砲となった。
両用砲や機銃については概ね同期に計画され配備された艦艇のそれと共通ではあるが、比叡と比較して大幅に増設され、
航空攻撃に対する対空能力の向上を図っている。

防御についても日企連が提供した合金の採用で装甲の厚さと重量を抑えながらも質的に大きく向上している。
装甲自体も有澤重工謹製の装甲がバイタルパートを固めているほかにも、史実側では技術不足のために信頼性が低かった
溶接技術が日企連の指導によって十分なものとなって、惜しみなく投入されて防御性の向上と軽量化につながっている。
舷側装甲をはじめとした装甲帯とそれを支える接合部の間に防振用ゴム材を潤沢に使用しており、集中防御構造の他、
その他の間接防御と合わせることによって計算上の防御性能的には実質的に46センチ砲防御相当となっている。

機関部は比叡で搭載された新三菱及びムラクモ・ミレニアム監修の新艦本式高温缶が採用された。
また、VシリーズAC水素燃料ジェネレーターとのハイブリット方式とすることで潤沢な電力供給を可能としており、
光学兵器や電磁投射砲の搭載をも可能とする出力を確保している。他の特徴としてはムラクモ・ミレニアムの海水
ろ過/水素燃料精製装置の搭載を行ったことで、海水から順次水素燃料を精製し、さらに必要な燃料を水素燃料を
用いるVシリーズACジェネレーターで代替することで、平時の石油の消費量を抑えている点である。

史実側においては4隻建造されたのだが、日企連でも技術指導も兼ねて2隻建造している。
史実側大砲屋からの要望で、命名則を一部無視して、『土佐』『天城』と命名された。
言うまでもなく、加賀型戦艦2番艦土佐と天城型巡洋戦艦天城からとられている。
建造は1937年2月からアシハラナカツクニ内部ドックや拡張が完了した海軍工廠で順次起工し、1939年に順次竣工した。

420 :弥次郎:2016/09/11(日) 10:48:40
以上となります。wiki転載はご自由に。

WoWsとかだとまじで手が付けられないこと請け合いの紀伊型戦艦。
長門型以上の射程で、衛星による照準補正も受けて一斉射の命中率が初弾から90%いくでしょうな。
しかも、速射してきます。対抗するにはガチガチに装甲を固めるか、大和型のような46センチ砲を積むしかありません。
そして投入してきたら無言のレールガンですがw

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最終更新:2016年09月12日 09:07