747 :弥次郎:2016/10/04(火) 19:35:20
大日本企業連合が史実世界にログインしたようです 国家改造2 -黒部は輝く-


富山県沖 海上都市『新能登』 新能登国際空港



これはとんでもないものだ、と松永安左エ門は思った。
窓の外をズシリズシリと足音を立てて歩いていく『人型』には圧倒されっぱなしだ。
日企連が山岳地域踏破のためにと派遣してきた『人型』は、聞いたところによれば数十トン以上の荷物を運べるそうだ。
事実、今背中や肩には大量の資材が詰め込まれたコンテナを背負っている。建築やトンネル工事に必要な物資、食料、
衣類、仮設住居の建材。それが2本あるいは4本足に支えられて輸送機の中へと運び込んでいく。スケールが違いすぎる。
えっちらおっちら人に担がせて運び込むよりもはるかに効率的だろう。
あの人型は山を登れるのか、という不安もあった。しかし、それを無理やり解決したのは日企連の巨大な飛行機だ。
何と人型を荷物と一緒に積み込み、工事の予定場所、黒部峡谷周辺に空中から投じるというのだ。

「なるほど……だから軍人も来ているのか」

ちらほらと見えるのは、陸海問わずに軍人ばかり。そのほかにも三菱や中島といった航空メーカーの技術者が多数混じっていた。
工事の中に工兵や重工作兵(新しい兵科らしい)が混じっているのも、重機、とやらを実際に扱うための訓練と聞いている。
しかし、あの巨人機ならば、例えば戦車や車両を一気に運ぶことができるのだろう。
巨人機を開発し、維持し、それを飛ばすための空港までもきっちり整備する。
一体どれだけの資金と時間を要したのか。どれだけの困難を潜り抜けてきたのか。

「流石は日企連。金の掛け方が違う」

感心しきりだったが、ふと腕時計を見てみる。
ここに航空機で到着してから、上部区画の発電所や送電区画の見学をしているうちにすっかり時間が過ぎてしまった。

「いかんな、遅れてしまう」

慌てて走り出す。
松永がつけているこの腕時計というのも、この時代においてはオーバーテクノロジーである液晶時計であった。
パッと見には普通の時計なのだが、その実態はまさに常識外の代物だ。もっとも、本人は便利な時計程度にしか思っていなかったりするが。
史実において電力王の名をとどろかせた偉人は、思い描く計画を日企連と相談すべく、年甲斐もなくはしゃぎながら『新能登』を走り抜けた。

749 :弥次郎:2016/10/04(火) 19:36:47
鋼鉄の格納庫の中に、人型が大量に鎮座していた。
大型全翼機『コウノトリ』の格納庫は緊張に満ちていた。新能登を離陸して2時間余り。
緩やかに飛んできたコウノトリは予定の地点に到達しつつあった。

『チェック チェック。各小隊に通達。まもなく予定のポイントで切り離しを行う。
 その後はガイドに従い進め。順調に先遣隊が動いているとの報告がある。予定通り降下できるだろう』
「ケー」
「ケー」
「ケー」
「ケー」

良い返事だ、と総指揮官の板谷は思う。
新規精鋭のVシリーズの運用研究はかなり進んでいる。いずれはネクストからVシリーズへと主力は移る。
その時に向けて準備を重ねる彼らは、まさに気炎を上げているのだろう。活躍すればするほど、Vシリーズの高評価につながるのだから。

『この世界での貴重な実戦だ。これまでの訓練を思い出せ。一機でも失えば工期に響く。細心の注意を払えよ』
「ケー」
「ケー」
「ケー」
「ケー」
『よーし、いいな?絶景を眺めるのも良いが、きちんと仕事をしろよ?”コウノトリ・リーダー”アウト』

そして、徐々にコウノトリは速力を落としていく。
飛行船と飛行機のハイブリット方式のコウノトリは、その特徴として航空機らしからぬ低速で飛行、さらには滞空さえも可能としている。
やがて速力はほぼ0となる。与圧服を着ていない作業員が与圧室へと退避していき、後部のハッチが大きく口を開けていく。
空気がなだれ込む。綺麗な、コジマ汚染も汚染物質もあまり混じっていない純粋な空気。

『与圧ケー、周囲ケー、後続ケー、機体チェック、ケー。オールクリア』
『さぁ、鳥になってこい!』

そして、搭載されていたVシリーズは板谷の指示のもと一斉にハッチから飛び出した。
高度にして海抜6000m。無論Vシリーズと言えども自由落下で着地して無事という保証はない高度。
ふわりとVシリーズは空に舞う。暫くの自由落下。長くはないそれを、搭乗者達は存分に楽しむ。

『1番機、パラシュート展開。ケー』
『2番機、パラシュート展開。ケー』
『3番機、パラシュート展開。ケー』
『4番機、パラシュート展開。ケー』

そして、空に強靭な素材のパラシュートが広がる。さながら、花が咲いたかのようだ。
一気に減速。ぐっとGがかかるが、耐Gスーツがブラックアウトや失神を防ぐ。
さらに、増設された降下速度抑制の使い捨てロケットエンジンが起動する。強烈な噴射。
大気圏突入をした宇宙船を安全に惑星へと着陸させることを想定したエンジンは、期待通りの出力を発揮する。
テクノクラートの技術も盛り込まれたそれは、軽量ながらも十分な出力を誇っていた。

『1番機、ランディング、ナウ!』
『2番機、ランディング』
『3番機、ランディング!着地点確保!』
『4番機、ランディング。オールクリア』

数分の空の旅。
いかほど快適なのだろうかと思いながらも、板谷は合図を出す。

『続いて第二小隊、降下開始!』
『ケー』
『ケー』
『ケー』
『ケー』

この日、日企連は大型全翼機『コウノトリ』の複数投入により、重量にして10万t近くの物資が黒部峡谷に送り込んだ。
ついでに汎用重機を兼ねるVシリーズACが10個小隊40機が降下し、迅速に黒部ダムの工事に必要な拠点設営を開始。
さらに、総重量3600tを超えるTBMの空中からの投入という荒業を技術と持ち得る企業体力によって実現させた。
これらにより、史実よりも半分以下の工期で大町トンネルの開通させ、黒部ダム第四発電所、通称黒四の工事を極めて短期で推し進めた。
この工事によって黒部ダムは30万キロワットを超える電力の自力発電を行うことができる国内でも有力な発電所として稼働を開始。
海上都市に依存しない電力体制の構築に一役買った。

750 :弥次郎:2016/10/04(火) 19:37:51 以上となります。wiki転載はご自由に。

空輸は難しい

ならでっかくして載せればいいってことだな!?

ということでダイナミック投下。

ひゅうが氏のネタに刺激されて頑張ってみました。

752 :弥次郎:2016/10/04(火) 19:40:07 >>749
うげ、途切れてた

×テクノクラートの技術も盛り込まれたそれは、

〇テクノクラートの技術も盛り込まれたそれは、軽量ながらも十分な出力を誇っていた。

転載時に修正お願いします


修正

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最終更新:2016年10月10日 10:16