944 :トゥ!ヘァ!:2015/04/18(土) 20:32:00
女王の盾(大陸OCU版)


女王の盾。それは漫画版フロントミッション ドッグライフ&ドッグスタイルに登場した高出力レーザーによる飛翔体迎撃システム。
ミサイルやロケット弾のみならずマシンガンやライフルの弾丸ですらも全て迎撃しきってしまうような脅威の装置である。

一部の転生者達はこのシステムを実現させようと2080年代から研究を開始した。

だがそれなりの予算を割いたのに対し初歩的な研究を除けば殆ど開発が進まなかった。

高出力レーザーの開発。弾丸すら迎撃しきる正確無比なFCS。それらを搭載し十分に飛行可能な単独飛翔体。それらに必要な電力源の確保。
どれか一つだけなら未だしも、それら全てを内包し問題なく稼働する機械は現在の技術では再現不可能な代物であった。

ある関係者曰く「これ絶対出て来る作品違うだろjk もしくはガンハザ時空」と愚痴を零したという。

結果計画は半ばで凍結。
副産物として研究の最中で得られた技術を使い、より精度の高いFCSや基地もしくは艦搭載型のレーザー照射装置が進歩したことが慰めではあった。


このまま闇に消えていくばかりかと思われた女王の盾開発計画であったが凍結から半世紀近くが過ぎたころ。
半ば書類の中だけの存在になっていた女王の盾開発計画が新たな光を与えられたのは2130年のことであった。

凍結から50年近く経過していたが折しも当時進行中であった新機軸の迎撃装置開発計画に巻き込まれる形で再登場することとなった。
130年代に更なる高度化が進み主流となっていた超高速マイクロミサイルやレールガンの弾頭などを迎撃するに現在の迎撃装置では役不足とされ計画されたものである。

ミサイルやレーザー、レールガンなどによる迎撃の強化という手堅いものからバリアの開発という突拍子もないものまで幅広く研究されていた。
その過程でバリア開発と並び色物として発掘されたのが既に古い書類の山に眠っていた女王の盾計画であった。

結果だけを言うと結局は前者の既存兵器と迎撃に必要な電子装置のならなる発展強化と手堅い形が主流となったのだが、当時この計画を発掘した技術者は諦めきれなかったのかOCU政府から許可を取り、当時新興企業としてせり上がって来ていたサイバーダイン社(2115年創業)へと持ちこんだ。

サカタの子会社であったが115年に独立し設立されたサイバーダイン社は電子技術と無人機の製造に評価があり、新興ながらも子会社時代から優れた実績と信頼を持つ会社である。

サイバーダイン社は当初持ちこまれた女王の盾の計画書に訝しんだが持ちこんだ張本人の熱い説得に負け費用を出すことを了承。
微々たるものであったが研究費用を当てて貰えることとなった。

会社としては今のままでは子会社時代と変わらず下請けにしかならないという考えもあり何かしらインパクトのある代物の開発を願っていたからだ。

その後サイバーダイン社は今まで通り電子製品や無人偵察機のライセンス生産、FCSやPCソフトの開発を続けながらも技術者とそれに触発された人々によって研究が続けられた。

945 :トゥ!ヘァ!:2015/04/18(土) 20:32:39
無論何らかの成果がなければ会社としてはさっさと放逐していただろうが、この技術者、変な方向に情熱を傾けているが其の実国家プロジェクトに召集を受ける程には優秀であり、試験がてらに任せたプロジェクトを大成功に導いたり、数種類の無人機を最低限の動きとロスで動かすプログラムを組んだりと会社の利益になることも多数起こしていたので余り人材の替えが効かない新興企業としては変人だが優秀な技術者として割と重宝されていた。

なおこの技術者が組んだプログラムが評価され、30年代後半に企画された衛星による多数の無人機を操作する装置。通称フェンリルを開発する計画。
インターゲーン計画への参加を打診されることとなる。
サカタ、倉崎、イグチなどに混ざりながらも参加。
この計画は40年代半ばに成功し、原作のような他衛星へのハッキング能力や自立で作戦立案と実行する機能は再現されなかったが多数の無人機を正確に操作できるこの装置は紛争地帯への無人機の投入比率を高め、PKOなどで人材の消耗を限りなく抑えることに成功した。


そして150年代。計画書を発掘してから20年。
会社から支給される微々たる研究費用を使い、20年近くかかったが彼の念願である女王の盾も遂に完成した。
いささか・・・いや、大分当初計画されていたものとは違う形にはなりはしたが。

80年代に計画されていたヴァンツァーに搭載可能な迎撃兵器ではなく、
進歩した技術と電子技術関係で高い評価を受けるサイバーダイン社の協力のもと基地防衛システムとして生まれ変わったのである。

始動さえ済ませてしまえば、基地の各所に設置されたこのシステムは基地からの非接触電力伝送でエネルギー充填を可能とする空中浮遊する無数の迎撃レーザー照射装置と事前に備え付けられた防衛兵器を始めとする各防衛装置が事前に組まれているプログラムに従い今までの防衛システム以上に迅速的な迎撃と装置同士の連携を可能とした。
大は弾道弾から、小は歩兵携行用ミサイルまでの迎撃を可能とし、専用の制御艦を付ければ艦隊防衛システムとしても応用可能であった。

実験による迎撃率は脅威の90%以上を叩きだし、当時の軍事業界に多大な衝撃を生み出すこととなる。

基地や艦隊の迎撃装置としたのは単純にこれだけの効力を生み出せる装置を動かすだけの電力や電算装置をヴァンツァーサイズでは確保できなかったためである。

しかし、この女王の盾は一部の重要軍施設を除き、多くの基地や艦隊へは配備されなかった。

理由は簡単で全面的に採用するにはコストがかかり過ぎたのだ。

それによりOCUでは「迎撃システムとしては優秀だが高コスト過ぎる故に全ての基地へは揃えることができない代物」という評価を頂くこととなった。

結局は対費用効果の割合で既存の防衛システムを向上させていく方が勝ったのだ。

そしてサイバーダイン社としては本命のフェンリル開発の成功と女王の盾研究の際に開発されたソフトやFCSを売りだすだけで十分な黒字になったので特に気にも留めることは無かったという。

ただ女王の盾再現に血潮を燃やした技術者は今回のことだけでは懲りず、何がそこまで彼を駆り立てるのか、より小型、より低燃費、より低コストを目指し会社からの微々たる支援費用を元手に更なる研究を進めていくこととなったとさ。

946 :トゥ!ヘァ!:2015/04/18(土) 20:34:32
投下終了

一応モドキは再現できたけど結局採用はされなかったよというオチ。

まあ2150年代ともなればレールガンやレーザーを用いた迎撃兵器も開発されているでしょうから
過去の年代程の優位性も得られなくなったという理由もあるのですがね。

サイバーダイン社の元ネタはターミネーターでスカイネットを生み出した同名の会社から。

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最終更新:2016年10月10日 21:28