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日米蜜月(ユーラシア共産化)ルート考察擬き

大戦に置ける主要会戦記録 『第二次世界大戦~枢軸軍の大反攻~(アメリカ軍編その1)』


『第四次カリブ海海戦』


度重なるカリブ海連合国側植民地への補給船団の損害についに根負けした連合国が、カリブ海より全面撤退する為に大規模な輸送船団を編成し、又之を撃滅しに来るであろうアメリカ海軍に対して一撃を入れる為に、当時の連合国海軍の優秀な戦艦や空母等水上艦艇を多数派遣するも、連合国の想定を遥かに上回る戦力を有していたアメリカ海軍大西洋艦隊、そして遠路遥々増援に来た復讐心に燃え盛っている亡命オランダ海軍によって真正面から輸送船団ごと纏めて撃砕された戦い。
この海戦により連合国は多数の優良な大型艦艇、輸送船舶を喪失し、そしてカリブ海は実質的に『ステイツのプライベートビーチ』状態となり、アメリカ本土攻撃と言うアメリカ人にとって最悪の悪夢が正真正銘、永遠に幻へとなった。


インド洋でソ連海軍の至宝である中型正規空母が二隻とも漁礁になって、その一報を聞いたとあるソ連人が奇声を上げて気絶した頃より数か月後の事、連合国によるカリブ海植民地地域への補給作戦は少しずつ苦しくなり始めていた。『アメリカ本土への攻撃を行う事によりアメリカ人の戦意と士気を低下させ、アメリカをこの戦争から脱落させる』為に、カリブ海植民地を保持してアメリカ本土に向けて多数の潜水艦や航空機による通商破壊や本土爆撃を行っていたのだが、攻勢を掛けた初期は損害に見合う戦果を立ててはいたが、アメリカ海軍からの早期反撃によって独ソ潜水艦隊が一時壊滅状態なった例と同じく、輸送船団も四発爆撃機や対艦攻撃機、又ガトー級
潜水艦、更には高速戦艦や重巡洋艦が基軸に据えられた水上打撃艦隊によって多数が撃沈、撃破され続け、何とか届け事が出来た物資も通り魔的に襲撃して来るアメリカ艦隊や重爆撃機によって大多数が焼き払われたりと、最早アメリカ本土を攻撃する為にカリブを維持するだけの必要性が失われつつあった。これ以上意地を張っても戦力を失うだけの『百害有って一利無し』でしか無かった。

その為、カリブ海に喰らい付いている連合国側の兵員を撤退させるべく、連合国は大規模な救出船団を編成していたが、そんな折に『アメリカ大西洋艦隊、カリブ海連合国側植民地地域を制圧するべく出撃準備中』との諜報情報が舞い込む。だがこれをある意味好機と判断した連合国総司令部は『輸送船団を囮として、アメリカ艦隊に奇襲を仕掛けて大打撃を与え、その後にカリブ海方面軍を救出する』為に、イギリス、ドイツ、フランス、各国海軍の主要戦力を総動員した一大攻勢作戦を発起。半分『手段』が『目的化』していたが、連合軍はそれに気付かないまま、または気付こうとしないまま、気付かないふりをして、カリブ海に艦隊を送り込んでいった。

カリブ海救出艦隊の編成は、輸送船団に主にイギリスの駆逐艦と軽巡洋艦、商船改造の護衛空母が護衛に就き、主力の打撃艦隊には、ドイツから戦艦『ビスマルク』『テルピッツ』空母『グラーフ・ツッペリン』重巡洋艦『アドミラル・ヒッパー』『プリンツ・オイゲン』『ザイドリッツ』『リュッツオウ』、そして『ライプツィヒ級軽巡洋艦』の『ライプツィヒ』『ニュルンベルク』、駆逐艦十隻。

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イギリスよりフッド級戦艦の『フッド』『アンソン』、レナウン級戦艦の『レナウン』『レパルス』突貫建造と一部簡略化で何とか戦力化に成功したライオン級戦艦『ライオン』『テメレーア』、空母『イーグル』『グローリアス』『カイジャレス』、『コロッサス級戦時急造空母』である『コロッサス』『ヴェンジャンス』、重巡洋艦『ノーフォーク級』の
『ノーフォーク』『ドーセットシャー』、『ヨーク級重巡洋艦』である『ヨーク』『エクセター』、防空巡洋艦である『ダイドー級』に属する『フィービ』『ボナヴェンチャー』とその『ダイドー級』の改良型であるイギリス海軍の艦隊防空の切り札である『ベローナ級軽巡洋艦』の『ベローナ』『スパルタン』『ロイヤリスト』、駆逐艦多数。

フランス海軍からは最新鋭戦艦『リシュリュー』『ジャン・バール』、ジョッフル級空母『パンルヴェ』『ドゥメルグ』、『シュフラン級重巡洋艦』に類する『シュフラン』『コルベール』『フォッシュ』、就役して余り間の無いフランス海軍最新鋭防空巡洋艦の『ド・グラース』『ギッシャン』、防空と対潜に特化したフランス版史実秋月型の様な存在である『ル・アルディ級駆逐艦』十二隻。

これに加えて、既に通商破壊戦で苦しい状況でありながらも何とか生き残って、通商破壊から現在では船団護衛で成果を挙げ続けていたドイツ海軍のドイッチュラント級装甲艦『アドミラル・シェーア』『アドミラル・グラーフ・シュペー』(ネームシップの『ドイッチュラント』は『エンタープライズ』の艦載機隊により、既に戦没)が別働隊として駆逐艦と一緒に陽動に動き回っており、仮にこの連合国大艦隊が壊滅したら、大西洋の海上戦力の過半が消滅すると言う、連合国の大きな賭けであった。


独国より戦艦二隻、装甲艦二隻、空母一隻、重巡三隻、軽巡二隻、駆逐艦一〇隻。
英国より戦艦六隻、空母三隻、軽空母二隻、重巡四隻、防巡五隻、駆逐艦多数。
仏国より戦艦二隻、空母二隻、重巡三隻、防巡二隻、駆逐艦一二隻。


共同訓練を積んでいたとは言え、流石に此処まで多数かつ性能も其々違う各国の艦艇を、僅か一、二年程度の訓練で同一艦隊での艦隊運動を取るのは不可能である為に、この期に及んでも独英仏それぞれの艦隊は混ざり合う事無く、各国ごとに艦隊を編成していた。実際、連合軍内でも海軍関係では一日の長が有る英仏は共同での艦隊運動を行えるように訓練をしていたところ、信号、無電の受信、通達ミス等によって、イギリス海軍の駆逐艦がフランス海軍の戦艦『ダンケルク級』と衝突して艦首部分に突き刺さり、今海戦に参加出来る筈も無い損傷を負っていたりもしていたのだ。これについ先日まで『ポケット戦艦』ことドイッチュラント級装甲艦が最大の艦艇で、巨大戦艦や大型空母の運用経験が少ないドイツ海軍を混ぜた場合の末路は、大体予想はついていた。

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各個撃破される可能性よりも、無理に編成した同一艦隊での事故等が発生する可能性を危険視した連合国が、独英仏それぞれで一国での艦隊を編成して、安全な範囲での同一航路を取りながらカリブ海に進撃を開始した頃、アメリカ大西洋艦隊は、太平洋を横断して援軍に来た亡命オランダ海軍との共同訓練、編成作業を完了しており、五大湖生まれで初陣ながらも既に偵察、哨戒任務で活躍していたガトー級潜水艦『パファー』から齎された連合国海軍がカリブ海に到着するのを今か今かとオランダ人と一緒に首を長くして待ち受けていた。緒戦の『第一次カリブ海海戦』では、敵軍の卑劣な奇襲攻撃の前に、民間船の護衛も有ってずっと受け身の戦闘展開の末に戦艦『コロラド』その他多数を失う屈辱を味わっており、『第二次カリブ海海戦』では捕捉時点から遁走一択だった連合国海軍を捉えきれずに不十分な戦果に留まっており、『第三次カリブ海海戦』に至っては、新鋭空母を動員したとはいえただの潜水艦狩りであった。今まさに目の前に転がり込んでくる『艦隊決戦』の切符を手にした海軍軍人が、メジャーリーグのワールドシリーズ最終戦の試合観戦前の野球少年の様な状態になっても仕方が無いだろう。お蔭でこの頃には、異様に忙しなく落ち着かない水兵や海軍軍人の姿が良く酒場や港湾付近、軍艦周辺で多数目撃されている体たらくだった。未確認情報によると、その中には兵や下士官どころか佐官や将校すら混じっていたそうな。


そうした中で連合軍艦隊の出撃をガトー級の索敵にて確認した枢軸海軍は、文字通りに小躍りしながら艦隊を出撃させた。編成は、アメリカ海軍からは既存戦艦である『サウスダコタ』『インディアナ』『マサチューセッツ』『アラバマ』に加え、日本との技術協力によりこの世に生誕した46㎝50口径3連装砲4基の最新鋭の『アイオワ級戦艦』『アイオワ』『ニュージャージー』『ミズーリ』『ウィスコンシン』『イリノイ』『ケンタッキー』。航空母艦は既存空母枠から『レキシントン』『サラトガ』『ヨークタウン』『エンタープライズ』『ホーネット』、新造の最新鋭空母として『リプライザル級装甲空母』より『リプライザル』『シャングリラ』『レイク・シャンプレイン』『マックヘンリー』、既存重巡洋艦からニューオーリンズ級『サンフランシスコ』『ヴィンセンス』、初陣の重巡洋艦の『ボルティモア級重巡洋艦』の『ボルティモア』『シカゴ』『ロサンゼルス』『ピッツバーグ』、軽巡洋艦からはブルックリン級軽巡洋艦から『ブルックリン』『フィラデルフィア』『ホノルル』、最新鋭防空巡洋艦より『アトランタ級防空巡洋艦』の『アトランタ』『サンディエゴ』『フリント』『ジュノー』『スポケーン』『サンファン』、駆逐艦からは現在企業努力の甲斐も有って、既存駆逐艦全てを廃艦に追いやる勢いで政府の想定を遥かに上回る速度での無数に建造が進み過ぎていて水兵の方の養成が追いかない気配すら見られている勢いの『フレッチャー級駆逐艦』が推参していた。因みにこのフレッチャー級駆逐艦は『日本海軍の陽炎駆逐艦のアメリカ版』と言われる程、船体や防御装甲配置等が似通っているが、実際は日米で共同研究して出来た万能駆逐艦原案を、日米それぞれが使いやすい様に改変して建造したからである。

そしてアメリカ大西洋艦隊と轡を共にするオランダ海軍からは、太平洋での猛訓練の結果、日米海軍と遜色無い連度を有し、憎き連合国海軍と戦えると有って士気も極めて高い状態にある41㎝45口径3連装砲3基最大速力28ノットのアメリカ産『アムステルダム級高速戦艦』の『アムステルダム』『ハールレム』、改装により更に戦力価値が高まった35.6㎝45口径3連装砲3基のスペックを持つ日本産『セレベス級戦艦』『セレベス』『タラカン』、史実エセックス級クラスの能力を持つ日本産正規空母『マールテン・トロンプ』『ヤーコプ・ロッヘフェーン』、増勢の進む日本艦隊から格安で譲渡された飛鷹型軽空母『エーンドラヒト』『ブレデロエ』『レルウィッチ』トロンプ級軽巡洋艦『トロンプ』『ヤコブ・ヴァン・ヘームスケルク』、日本海軍水雷戦隊用軽巡洋艦の阿賀野型の設計図を購入して自力建造したデ・ロイテル軽巡洋艦『デ・ロイテル』『デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン』『エーンドラハト』、オランダ本国、そしてインドネシアで建造されていたホラント級駆逐艦。

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オランダ海軍こそ未だアメリカとの連携が日本と比べると少しばかり危うい為に連合国海軍側と同じく独立した艦隊編成ではあるが、そんな事は大した問題になりそうにほどに枢軸国、否、緒戦以外はマトモに大型艦艇を喪失せずに新造艦を大量に受け取り続けたアメリカ海軍は雪達磨式に強大化していた。また急激に増加した水兵の連度も、ベテランの戦前兵よりは劣りはするも、戦時徴兵、志願兵としては結構な高連度を誇っていた。その為に、今戦争では政治関係以外では殆ど外野状態に追いやられている亡命英仏政府所属の海軍がアメリカ海軍を正しく化け物を見る目で茫然と見ていた位であった。又、極一般的欧州列強の常識を持つ亡命政府の視点では、開戦から三年と経たない内に『超弩級戦艦』『正規空母』『巡洋艦』『大型駆逐艦』『潜水艦』『輸送艦』『戦車師団』『機械化、自動車化師団』『各種航空艦隊』その他諸々を、一切の抜けなくそれこそ怒涛の勢いで戦力化して行く速さが理解の範疇外に有った。理屈としては何となく分かっていても、感覚の方が付いていけていなかったのである。そして極東の列島型大陸国家でもコレと大よそ同等のスピードでの戦力編成が進んでいる事に関しては、半分別世界の出来事にすら感じている人間すら居た。


英仏亡命政府所属海軍の将兵からの見送りを受けながら出撃した枢軸国海軍は、流石にロイヤルネイビーの意地か、艦隊に張り付いていたガトー級潜水艦『ドラム』を発見して必死の爆雷攻撃の末に撃退した為に、『ドラム』が敵艦隊を失探した海域状況や事前情報から敵艦隊が存在する予測海域を、多数の最新鋭艦攻『A-1 スカイレイダー』が偵察に飛び立っていた。無論艦載機だけでは無く、『アルバコア』を代表例として最早連合国船舶、艦船に対する枢軸国艦船の中でも死神筆頭格になっているガトー級潜水艦や、枢軸国勢力圏から多数放たれる陸軍航空隊の『B-17 フライングフォートレス』、日米共同開発しロールアウト直後の最新鋭機で絶賛大増産中の『B-29 スーパーフォートレス』等も濃密な偵察網を敷き、大西洋艦隊と亡命オランダ海軍の支援に当っていた。因みに作戦としては至極単純に『輸送船団が諸島に取りつき、艦隊が逃げられない状態の時に殴りかかり、敵艦隊追撃から取りこぼした艦船は基地航空隊と潜水艦、余裕が有れば水上艦艇も参加した上で潰す』、である。無論、状況に応じて洋上撃滅に変更になる可能性も十分に考えられているが。

自らの位置が既に敵に発覚している気配を感じている連合国海軍だったが、枢軸側の思惑を何となく察しつつも、かと言ってカリブ海で必死に戦っている同胞を見捨てて逃げ去る訳にも行かず、イギリス海軍が切望し、配備された新型艦攻の『フェアリー バラクーダ』を中心とした機体が、索敵に回っていた。尚連合国側の艦載機開発だが、ドイツやイギリスの指導の下如何にか効率的な工業力の再編に成功したフランスだったが、戦前からの状況や赤化時の一時的停滞によって生まれた数年の新型機開発の空白期間が大きく響き、『新型機開発能力無し』と連合国総司令部から見做された為に、フランス人にとっては屈辱的な事に、フランスの航空機生産力は主にイギリス艦載機とドイツ、ソ連陸上機のライセンス生産に回されていた。ドイツの場合、やはり経験の少なさや国家的志向等の問題も有り、『Fw190』を艦載機型にして新型艦上戦闘機が開発されるまでの繋ぎとして提供出来た以外は、陸上機や戦闘車両、新型小銃開発に注力した為に余り手助けは出来なかった。盟主のソ連に至っては、死力を尽くして建造した中型空母二隻を呆気無くインド洋に沈めてからは、殆ど艦載機開発に興味を示していなかった。その為に相変わらずイギリス単独で艦載機開発を賄わされていた。フランスの生産力が一応マトモに使えるようになり、またソ連、ドイツ、フランス各国との技術共有、フィードバックが進み、艦載機開発する為の壁が一部取り払われて開発期間が短縮出来ていたりしたので、少し前と比べれば『多少は』楽になりはしていたのは事実だが。

792 :641,642:2015/11/21(土) 17:44:17
そんな艦載機開発では内実火の車の連合軍は、時折対潜哨戒の序に艦隊捜索に出撃していたと思われる『カタリナ』飛行艇を『Fw190T』『シーファイア』が叩き落したり、しつこく艦隊に張り付く潜水艦に大量に爆雷を浪費して行った末に、カリブ海の連合国側植民地域に無事到着。輸送船団が其々の島に接岸し、装備を爆破処理した裸一貫の陸兵や航空兵を拾いあげていった。そして回収作業工程の三割ほどが終了した頃に、苦労して進出して来たドイツ海軍潜水艦『U-511』より敵艦隊発見の一方が入る。爆雷攻撃にて頭を塞がれて艦体や通信機器が損壊し半死半生と言えるような状況だった為に『敵艦隊発見』しか報告出来なかったが、敵地に居る連合国艦隊にとって値千金の報告であった。
十中八九、枢軸国は動かせる艦艇全てを投入するだろうと、連合国側は想定していたからだ。但しカリブ海に出て来る敵戦力想定は『既存艦艇+新鋭大型主力艦艇4隻程度』と言う大きく的を外した代物であったが。

既にこの頃にもなると、連合国が日本やアメリカに潜入させた諜報員のことごとくが、日本では特別高等警察、アメリカではOSSに摘発されて牢屋か土の下、若しくは海底に放り込まれているか、現地の様々な意味で豊かな生活に全面降伏して自首した後枢軸国側に寝返ったかのどちらかの末路を辿っており、枢軸側は摘発した諜報員に成りすましたり、寝返った諜報員を使って連合国側に色々と適当な情報を流していた。そしてこの諜報網が綺麗サッパリと壊滅している現状が連合国に伝わったのは、枢軸軍が欧州本土に侵攻して暫く経ってからの事であった為、この時は枢軸側が選別して流した情報を元に連合国側は敵戦力判定、想定を行っていた。またこういう事情も有って、艦隊が欧州本土に引き籠っていた間、代わりに枢軸国に攻勢をかけていた潜水艦、航空機による戦果を過大に判定して、幻の戦果を国民に向けて大々的に発表したりもしていた。長引いてきた戦争で中弛み的士気低下の気配が見られる連合国の『人民』の士気向上の為にも、何かしらの戦果が必要だったのもあるが。


連合国側の戦力として、『戦艦八隻』『正規空母六隻』『軽空母二隻』『重巡八隻』『軽巡二隻』『防巡七隻』『駆逐艦』、枢軸国側…アメリカ大西洋艦隊の想定戦力として『戦艦八隻(既存戦艦6、新鋭戦艦2)』『正規空母七隻(既存空母5、新鋭空母2)』『重巡六隻』『軽巡、乃至防巡一〇隻』『駆逐艦』。見た目『何とかなる』様に見える戦力差であり、連合国側の艦載機も漸く誰から見ても完全に陳腐化した『ソードフィッシュ』から『アベンジャー』と対等の性能を持つと思われる『バラクーダ』に、戦闘機も『シーファイア』や『Fw190T』に完全に機種転換出来た事も、連合国側が積極姿勢を見せた要因の一つでもあった。

そんなある意味幸せな夢に浸っている連合国海軍だったが、冷や水を浴びせられる様に前触れ無く突然不信電波を至近距離で受信した事で一時混乱する事になる。先ず間違い無く
枢軸国の潜水艦による、自艦隊の所在を報告する電信で有る事は確実で有った。その為に、連合国艦隊は空母からは『バラクーダ』を、戦艦や重巡洋艦からは英仏独それぞれ特色のある水上偵察機を多数発艦され、押っ取り刀での偵察を開始した。因みに彼らはこの時点では知る由も無かったが、艦隊の位置情報を枢軸側に連絡した潜水艦は既に敵味方問わずに『連合軍有数の厄災』と呼ばれているあの『アルバコア』である。幾度も船団襲撃や艦隊発見による戦果を挙げ続けるのみならず、果てには欧州だけでなく、世界中の豪華客船の中でもトップクラスの優秀さを誇る『クイーン・エリザベス(書類上は『フリ-ダム(自由)』に改名されている)』が、徴用されて兵員輸送船としてカリブ海に航行していた際、完全なる偶然から『アルバコア』が捕捉して先行量産されたばかりの必殺の『磁気感応酸素魚雷』を三発直撃させ、一度の攻撃で轟沈させた事から既に『アルバコア』には連合国から多額の賞金が懸けられていたが、この偵察成功の事が連合国に知れ渡ると、今まで掛けられていた賞金額が五倍近くにまで跳ね上がったと言う。

793 :641,642:2015/11/21(土) 17:47:04

一方『アルバコア』から値千金の情報を受信した枢軸艦隊は、既に格納庫内に完全武装状態で準備していた『F6F ヘルキャット』『A-1 スカイレイダー』を、全艦に装備済みのカタパルトをフル活用して多数発艦させて『人類史上最大規模の艦隊決戦』に向けて勇躍進撃を開始した。新鋭の復讐の名を持つ『リプライザル級装甲空母』を率いるのは、アメリカきっての空母機動艦隊戦に関しての指揮能力の高さを誇り、日本の山口多門提督と同じ様な勇猛果敢さも併せ持つ闘将『ウィリアム・ハルゼー』、ヨークタウン級航空母艦のネームシップ『ヨークタウン』に座乗するのは、パイロット出身で、徹底的に自己主張を避ける寡黙な性格ながらも、その不思議な魅力と枢軸海軍内でもトップクラスの指揮能力を
持つ為に部下から絶大な支持を自然と集める『マーク・ミッチャー』、アメリカ海軍最強の鉄砲屋であり、今海戦ではアメリカ最新鋭戦艦のアイオワ級に乗りこむ事が出来て何度も神と日米の造船屋に感謝している『ウィリス・A・リー』、大規模な艦隊の総括指揮を任命されて「散歩する暇も無い」と苦笑いしている『レイモンド・スプールアンス』。艦隊の能力や数もそうだが、後の軍事研究家や軍オタが喜びのあまり気絶しかねない位のアメリカ海軍の歴史に残る名将や勇将を総動員した絢爛豪華な編成であった。


連合国側も、何とかニコイチ修理等で稼働状態を保っていたカリブ海方面軍の偵察機から、枢軸艦隊の位置を特定。偵察機は殆ど枢軸艦隊の位置情報以上の報告を出来ないまま、上空警戒に回っていた『F6F』に一撃で叩き落されていたが、この情報を受け取った連合国艦隊は即座に攻撃隊を出撃させる。攻撃機はイギリスの『バラクーダ』、護衛機は『Fw190T』と言う編成であった。本来ならば『シーファイア』も付けたかったのだが、増漕を満載にしても航続距離が相も変わらずな短さだったので、『シーファイア』よりも未だ長い航続距離を誇る『フォッケウルフ』が付けられたのだ。無論、『シーファイア』は論外とするも、『フォッケウルフ』自体も艦載機としてはかなり短い航続距離しか保持していないのだが。加えて補足ではあるが、連合国では艦載型急降下爆撃機の開発は全く進んでいない為、攻撃機は『バラクーダ』に一本化されている。一度『Ju87 スツーカ』を艦載機に改造してみたのだが、脚部強度による発着艦問題云々以前に試験段階で既に航続距離がどうしようもなく短く、仮に『スツーカ』を対艦攻撃させようとしたら、敵艦隊の鼻面まで近づかない限り発艦させられない事が判明した為に、制式採用される事無く没となった。

枢軸、連合双方から放たれた攻撃隊は、先に敵艦隊の位置を特定した直後に全力出撃させた枢軸艦隊の第一次攻撃部隊が連合国艦隊を敵攻撃部隊より先んじて捕捉。当然艦隊を守る為に上空で舞っていた多数の『シーファイア』『Fw190T』が枢軸軍の攻撃機『A-1 スカイレイダー』を撃墜する為に増速し、枢軸側も攻撃機を守る為に『F6F ヘルキャット』が、己の任務を果たすべく連合国戦闘機隊との航空戦へと突入した。…が、戦力や状況的に、連合国パイロットの闘志や技量で何とか出来る様な戦況では無かった。


倉崎とノースロップが台風の如くあらぶった末に生まれた『F6F ヘルキャット』。日本では『烈風』と『隼』の名前を与えられている、この戦闘機を操る天空の騎兵隊を指揮する『ジョン・サッチ中佐』の巧みな戦闘指揮により、当時の欧州戦闘機でもトップクラスの性能を誇った『スピットファイア』『Fw190』は、マトモに攻撃隊に喰らい付けないどころか、一部は慣れない海上戦闘の為か、『ヘルキャット』の巧みな戦闘機動に翻弄された末に海面や友軍機に激突したり、空中分解を誘発させられたりと言う、いわゆる『マニューバーキル』すら喰らった機体すらいた。ただ仮に連合国
海軍の艦載戦闘機隊の連度や機体性能が『ヘルキャット』と同等だったとしても、投入機数差が歴然としている為、結果は如何足掻こうが先ず大差無かったと後の歴史家から冷酷に結論付けられている。

794 :641,642:2015/11/21(土) 17:49:55
交戦開始から20分強で、連合国側の防空戦闘機隊の3割弱が撃砕され、残る部隊も『ヘルキャット』の猛攻の前に逃げ回るか防戦一方となった為に、『スカイレイダー』攻撃隊は悠々と『輪形陣の外側の駆逐艦と巡洋艦』に集中攻撃を開始した。無論これは第一次攻撃隊の独断では無く、図上演習等の結果『味方機や戦況に余裕が有る場合、なるべくなら防空陣形を崩してからの主力艦攻撃の方が望ましい』との答えが導き出されており、その答えに基づいての攻撃であった。実際の所、本命は第一次攻撃隊の出撃後に微妙にタイムラグを設けて出撃させた第二次攻撃隊であったりする。

連合国艦隊が『駆逐艦と巡洋艦』を集中的に撃沈すると言う戦術教本に無い行動を取った事に、艦隊の上下を問わずに衝撃を受け、そして防空陣形に巨大な大穴が開けられた事に大わらわとなるも、その連合国艦隊に対して間髪入れずに、第一次攻撃隊が穿った巨大な風穴を容易く突破した第二次攻撃隊による猛攻が直撃し、インド洋でソ連機動艦隊が味わった絶望を、今度は連合国主要国海軍全てが等しく味わう事になった。


枢軸軍の第二次攻撃隊が最初に襲い掛かったのは、艦隊規模が一番大きく、また正規空母3、軽空母2と空母の数も一番多かったイギリス艦隊であった。『コロラド達の仇』と言う意識が有ったとも言われているが、今海戦に参加したアメリカ人パイロットは皆その事に関しては否定若しくは沈黙している。この時のイギリス艦隊は、第一次攻撃隊により既に防空巡洋艦5隻の内『フィービ』『ボナヴェンチャー』『スパルタン』、重巡『ヨーク』、駆逐艦8隻を撃沈されて輪形陣の片側に配備された艦艇が丸ごと消滅しているような状況であり、微弱な妨害を難なく突破した第二次攻撃隊の『スカイレイダー』隊は、鈍重な艦体を必死に動かして生き残ろうともがく哀れな獲物を照準器に捉え、自らの機体に多数搭載した対艦魚雷を一辺の容赦なく叩き込んだ。

日米の空母と比べるとかなり防御力が低く、魚雷攻撃には特段に弱いイギリス空母の末路は悲惨であった。『イーグル』『カイジャレス』は片側に集中的に被雷し、総員退艦令を出す間も与えられる事無く短時間で轟沈。『グローリアス』は対艦徹甲爆弾が四発直撃し、艦内が爆圧と破片で大惨事となる中、衝撃で航空機用燃料が多量漏れ出した末に、未だ格納庫内に残存していた予備機、弾薬、そして艦体構造物全ての可燃性物質諸共引火し、被弾から15分と経たない内に爆沈。『グローリアス』搭乗員の生存者は一人も確認されなかった、壮絶な最期を遂げた。残っていた『コロッサス級軽空母』も、『ヴェンジャンス』は僚艦の正規空母達と同じ末路を辿り、唯一『コロッサス』のみがボロボロになりつつも航行可能な状態で何とか生存していた。

当然の事ながらも、この新時代の航空機がもたらした厄災はイギリスだけでは無く、フランス、そしてドイツにも分け隔てる事無く襲い掛かった。回避運動等の結果による連合国艦隊の位置関係から、第二次攻撃隊の次の標的はフランス艦隊になった。イギリス艦隊と同じく輪形陣を崩され、全速力で突入して来た攻撃隊により、ジョッフル級空母『パンルヴェ』撃沈、『ドゥメルグ』中破し戦闘不能、撤退中にガトー級潜水艦『カヴァラ』からの、爆雷攻撃を受ける直前に放ったまぐれ魚雷一発を受け、耐え切れずに沈没。被雷から沈没までにかなりの時間がかかった為に、生存した乗員の殆どが脱出に成功したのが『ドゥメルグ』にとって、唯一の慰め、救いだろう。フランス海軍最新鋭防空巡洋艦の『ド・グラース』『ギッシャン』は、防空艦である為に第一次攻撃隊に集中攻撃を受けて撃沈。イギリス艦隊に向けられた攻撃機隊よりも数は少なかったが、結局の所、対空兵器の火力も連射速度も『スカイレイダー』と戦うには不足気味であった以上、力負けするのは自明の理であった。ただ、艦載戦闘機に『シーファイア』で無くより攻撃力の有る『Fw190T』を採用していた為か、イギリス艦隊よりは気持ち被害が少なく感じられるが。

795 :641,642:2015/11/21(土) 17:52:39
英仏艦隊がアメリカ大西洋艦隊の空母艦載機隊の猛攻により、空母部隊が壊滅状態に追いやられていっているその脇で、ドイツ艦隊は亡命オランダ艦隊の艦載機隊と対決していた。
こちらはドイツ海軍がルフトバッフェから土下座して借り受けた熟練航空兵が『Fw190T』に乗って奮戦した為、機材は日米と共用ではあるも、コレと言ったエースパイロットや歴戦兵が居らず、割と平均的な部隊でしか無かった亡命オランダ機動艦隊は空母『グラーフ・ツッペリン』重巡『ザイドリッツ』『リュッツオウ』駆逐艦二隻を撃沈し、戦艦『ビスマルク』に僅かな損傷を与えるに留まった。因みに借り受けたルフトバッフェのエースたちは、その過半数が生存する事に成功するも母艦が撃沈された為に不時着水を余儀なくされ、駆逐艦に救助された後に一足早く撤退しており、この後の艦隊決戦に巻き込まれる事無く脱出に成功していた。

此処まで艦艇の被害が凄まじいと逆に清々しさを感じさせられる程なのだが、連合軍が放った攻撃隊に関しても、艦艇と同じく枢軸軍の圧倒的戦力の前に、空母や戦艦の元に辿り着く前に加速度的に磨り潰されていった末に、壊滅的打撃を受ける羽目に有ってしまう。連合軍の攻撃隊を護衛する『Fw190T』は、アメリカ、亡命オランダ両海軍の空母艦載機隊所属の『F6F ヘルキャット』によって形成された濃密な『蜘蛛の糸』に絡め取られて、大半が『バラクーダ』の護衛任務を全う出来ないまま『ヘルキャット』相手の空戦で多くの熟練パイロットが空中で爆散するか、海面にダイブするかの二択を強制され、魚雷や対艦爆弾を抱えた『バラクーダ』も殆どが叩き落された護衛機と運命を共にする事になるが、極一部の幸運、若しくは神ががり的技量を保持していたらしい『Fw190T』と『バラクーダ』が『ヘルキャット』の群れを突破して艦隊を目視で捉えるも、『アトランタ級防空巡洋艦』と『ブルックリン級軽巡洋艦』、『フレッチャー級駆逐艦』から遠慮無用かつ豪勢に放たれる『砲撃の暴風雨』によって『モンタナ級戦艦』や『リプライザル級装甲空母』が一発も対空砲を撃つ事すら無く、連合軍の攻撃隊は
撃滅された。唯でさえ『壁』と表現したくなる程の対空砲火の量に加えて、新規開発された『近接信管』によって、数値的には僅か数パーセントでは有るも、対空砲火の有効炸裂率は強化されていた。『たかが数パーセント』では有ったが、その数パーセントの差は『砲撃の暴風雨』にとって、極めて大きな差であった。



枢軸軍の二派に亘る猛攻により、膨大な補助艦艇に加えて、カリブ海まで連れて来た連合国海軍の貴重な航空母艦全てが消滅する事態に、連合国艦隊司令部は恐慌状態になった末に責任を他国に押し付け合う無意味な愚行を行ってしまうも、暫くして『敵戦艦部隊、自艦隊に向け突進中』の報告が飛び込んで来るにあたって、取り敢えず『全空母消滅』の事は棚上げにして、生存した艦艇を再編成し、輸送船搭乗に成功したカリブ海方面軍を本国へ撤退させるべく、進撃して行く事となる。公式では『戦友を必ず守る』との事にて悲壮感溢れた形なれど士気は高かったと書かれているが、実際には『スカイレイダー』のみならず、『ヘルキャット』にすら機銃掃射やロケット弾攻撃を受けて結構な艦艇には多数の死者、負傷者、行方不明者が続出しており、ズタボロになった戦友や『元戦友』への対処を殆どの乗員が否応無しに行わされており、その為に戦意はかなり萎えていた状態だったと証言する乗員も居た事から、連合国側の公式発表には疑問符が付けられて語られる事が多い。確かに公式発表の様に自己犠牲精神を発揮して乗員全てが死兵化して士気が極限まで高まっていた艦艇も存在していたとは有り得なくも無いが、公式発表では『艦隊全ての乗員』と明言していたのだから、眉唾扱いされるのは当たり前なのかもしれない。

796 :641,642:2015/11/21(土) 17:56:14

枢軸、連合両軍が会敵し、交戦を開始したのは、夕日の残り火が微かに残る日没直後であった。枢軸、連合共にレーダーは装備されている為、比較的視認し難い状況ではあったが、レーダーと弾着観測機のお蔭で敵艦隊を発見するのは大して問題無かった。だが、連合側がアメリカ大西洋艦隊の新造戦艦で編成されたと推定した艦隊を完全に捕捉した時には、
情報を受け取った人間全てが驚愕と絶望の絶叫を挙げる事になった。事前情報では、アメリカの新造戦艦は『サウスダコタ級戦艦』の拡大版、つまり亡命オランダ海軍所属の『アムステルダム級高速戦艦』の様な41㎝砲戦艦と言われていたのに、蓋を開けてみれば『46㎝50口径3連装砲4基』装備の、連合国所属のどの戦艦よりも遥かに強大な巨大戦艦であり、『有り得ない!』と叫ぶ人間に対して叩き付けられた『自戦艦の艦橋を超える水柱を生んだ砲撃』が、今自分たちが相対している戦艦が正真正銘、圧倒的格上で有る事を強制的に理解させられた。そして状況を遅まきながら理解した連合国艦隊司令部は即時撤退を下命するも、連合軍を逃さない為に敢えて『砲撃可能圏内に入っても沈黙していた』アメリカ艦隊の攻撃から逃れるには、『戦うには弱すぎ、逃げるには遅すぎ』た。


この時期だと同時期に就役し、インド洋に実戦投入された日本の『大和型戦艦』位しかマトモに殴り合える相手が居ない『アイオワ級戦艦』6隻と正面衝突する羽目に有ったイギリス艦隊は悲惨であった。隻数で言えば両艦隊ともに『6隻』ずつで有るのは確かなのだが、イギリス艦隊の戦艦は『巡洋戦艦上がり』が4隻に加えて、最新鋭の『ライオン級戦艦』も『41㎝砲戦艦』であり、『46㎝50口径砲戦艦』として極限まで昇華した性能を誇る『アイオワ級戦艦』の前では、彼女たちは『ライオン』では無くただの『子猫』でしかなかった。

交戦直後に、先頭に立って突撃して来た『アイオワ』の第二斉射によって『ライオン』の艦橋基部と第二砲塔付近に3発命中し、一瞬で轟沈。続けざまに二番艦『テレメーア』には『ニュージャージー』の砲撃が一発艦尾付近に命中。舵ごと艦尾を抉り取られた為に速度は一気に低下し、イギリス艦隊は衝突を避ける為に散々バラバラに回頭。伝統に則って先頭に立って突撃して来た艦隊指揮官を初っ端に『ライオン』ごと喪失したイギリス軍は統制を失い、『レナウン』に座乗していた次席指揮官が何とか体制を立て直そうとするも、遠路遥々と戦域に多数飛来したB-29を改造した電子制圧機『B-30 レッドアイ』の電波妨害によって通信を徹底的に妨害されて連携手段が喪失してしまった為に、イギリス艦隊は只々、初陣かつ初の歴史上最大規模の艦隊決戦で歓喜の砲声を轟かせながら縦横無尽に大暴れする『アイオワ』達に食い殺されるだけの存在にまで成り下がって行った。最終的に最大でも小破程度の損害しか受けなかった『アイオワ級』が他艦隊の援護に向い、駆逐艦や軽巡洋艦が救助活動を開始した時には、『ライオン』『テレメーア』『アンソン』『レナウン』『レパルス』は海上から消滅し、『フッド』のみが至近弾のみで済んで奇跡的に大破状態で浮かんでいるも、航行すら不可能な状態で交戦継続出来る筈も無く、『フッド』は枢軸軍に回収された後、アメリカの工廠で修理、大改装されて、自由イギリス軍に配置される事になる。

一方自軍の戦艦部隊を掩護すべきイギリス巡洋艦部隊のノーフォーク級重巡洋艦『ノーフォーク』『ドーセッシャー』、ヨーク級重巡洋艦『エクセター』、ベローナ級軽巡洋艦『ベローナ』『ロイヤリスト』だが、『B-30 レッドアイ』による電波妨害によって『直ぐ傍に居る僚艦とすら通信断絶状態』と言う経験した事の無い事態で混乱する中、快速そのままに勇躍突貫して来たアメリカ海軍のニューオーリンズ級『サンフランシスコ』『ヴィンセンス』ボルティモア級『ロサンゼルス』『ピッツバーグ』の強襲を受ける。隻数で言えば一応イギリス海軍側の方が多いのだが、電波妨害によって各味方艦との連携がマトモに取れる状況で無く、発光信号による通信も『経験不足で行う夜戦』『未知の攻撃による心理的衝撃』『通信途絶によって発生した艦隊行動の乱れ』と言う三個の要因によってイギリス艦隊は数の利を全く生かせないまま散発的に反撃し、設計思想の違いによる米英巡洋艦の直接的戦闘能力の圧倒的格差も相まって一方的に叩かれ続け、実質的に何もできないまま撃沈破されていった。

797 :641,642:2015/11/21(土) 17:58:54

ドイツ艦隊と砲撃戦を交わしたのは、亡命オランダ海軍所属の戦艦部隊であった。元々2対4と隻数の時点で倍の差が有る上に、後世から『ビスマルク級戦艦』は『最新鋭の旧式戦艦』と揶揄されたように、設計段階からして古い思考の元に建造されており、敵手の亡命オランダ海軍には、枢軸軍最新鋭戦艦の『アイオワ級』や『大和型』よりも一段劣るとは言え、同数で有れば連合国海軍所属の全ての新鋭戦艦と対等どころか優位に戦えかねない『アムステルダム級高速戦艦』の『アムステルダム』『ハールレム』が存在し、オマケとばかりに大改装を終えた『セレベス級戦艦』の『セレベス』『タラカン』も援護に来ていたのだ。日米海軍と戦前から濃密な交流、演習を積んでいたオランダ海軍と、陸軍国家で敗戦後の軍備制限やその他諸々の諸事情から海軍再建にかなり時間のかかったドイツ海軍とでは、練度的にもかなりの開きが有った。その為、ドイツ海軍は初手からランダム回避で輸送船団や艦隊離脱の時間を稼ぐべく、マトモに組み合おうともせずに全力で逃げ回った。


一応予想されていた事とは言え、本当に初手から逃げに走るドイツ艦隊に対して若干の呆れと多大な同情心を持ってしまった亡命オランダ海軍だが、それ以上の感傷も抱く事無く『アムステルダム』『ハールレム』が『ビスマルク』『テルピッツ』を、『セレベス』『タラカン』がドイツ艦隊に合流した『アドミラル・シェーア』『アドミラル・グラーフ・シュペー』に砲撃を加え、トロンプ級軽巡洋艦『トロンプ』『ヤコブ・ヴァン・ヘームスケルク』、デ・ロイテル軽巡洋艦『デ・ロイテル』『デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン』『エーンドラハト』、ホラント級駆逐艦が航空攻撃で既に中小破している重巡洋艦『アドミラル・ヒッパー』『プリンツ・オイゲン』、そして『ライプツィヒ級軽巡洋艦』の『ライプツィヒ』『ニュルンベルク』、そして『Z級駆逐艦』との砲撃戦を展開する。

時間稼ぎを念頭に置いて妨害の為の砲撃に徹するドイツ海軍に対して全速力で追いかける図式となった亡命オランダ海軍との砲撃戦は、『アムステルダム』から放たれた一弾が『ビスマルク』の第四砲塔の天蓋を撃ち抜き、爆砕した時より転換期を迎える。艦隊運動の結果、亡命オランダ海軍を主戦域から引き離せたと判断したドイツ海軍が僅かに注意をそらした隙に、砲術班全員のあらゆる感情が込められた砲撃によって引き起こされた物であった。弾薬庫誘爆と言った最悪の事態こそ免れたものの、被弾時、砲塔の爆砕時の衝撃により機関部に衝撃が走り、速度と動きが鈍った所に41㎝砲弾が二発命中。そこから先は逃走を諦めた『ビスマルク』と『アムステルダム』との一騎打ちになるも、既に損傷を負っていた
『ビスマルク』に勝ち目は無く、『アムステルダム』の副砲を破壊し小規模な火災を発生させたのを最大の戦果として、このカリブの海に没した。一方相方の『テルピッツ』に関しては、退避航路を取り続けた末最終的に追いついてきた『ハールレム』との殴り合いとなり、『ハールレム』との交戦の末に第一、第二砲塔が崩壊し副砲、対空砲群も全滅状態となった代償に、『テルピッツ』は『ハールレム』に対して命中弾一発、それも艦橋部分に直撃させて一時指揮不能状態にさせた末に、『ビスマルク』からの撤退命令に従い全力で遁走。奇跡的に落ち武者狩りのガトー級潜水艦と鉢合わせする事無く大西洋を突破して命からがらブレスト港へと入港し、ドイツ海軍で唯一生還に成功した大型艦艇となった。尚装甲艦『アドミラル・シェーア』『アドミラル・グラーフ・シュペー』は順当に『セレベス』『タラカン』によって撃沈されている。

798 :641,642:2015/11/21(土) 18:01:43
独海軍重巡『アドミラル・ヒッパー』『プリンツ・オイゲン』軽巡『ライプツィヒ』『ニュルンベルク』駆逐艦八隻と蘭海軍の軽巡『トロンプ』『ヤコブ・ヴァン・ヘームスケルク』『デ・ロイテル』『デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン』『エーンドラハト』ホラント級駆逐艦による海戦は、数に勝るオランダ海軍が、兎角手当たり次第に60口径20.3cm連装砲を撃ちまくるドイツ海軍の重巡に苦戦していた。仮に艦艇を喪失しても日米から幾らでも入手可能では有るが、人員損失は如何足掻いても免れない為、人的資源に限りがある為成る丈損害を抑えたい亡命オランダ軍の事情も有って、こちらではオランダ海軍の方が牽制と拘束戦闘を行っている状態だった。そして、この優位な戦況展開に勢いに乗ってしまった『アドミラル・ヒッパー』と『プリンツ・オイゲン』は、目の前に転がってきた戦功を打ち立てる機会に勇躍してトロンプ級軽巡洋艦『トロンプ』『ヤコブ・ヴァン・ヘームスケルク』に砲撃し続けたが、目の前の『獲物』に夢中になって仕舞ったが為に、独軽巡『ライプツィヒ』『ニュルンベルク』を砲撃戦で袋叩きにして手早く片づけたオランダ版阿賀野型軽巡の『デ・ロイテル』『デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン』『エーンドラハト』に急接近され、日本海軍直伝の酸素魚雷の一斉雷撃を受けた末に、『ビスマルク』達と同じく、このカリブ海にて永遠に漁礁となる末路を遂げた。


ドイツ艦隊が亡命オランダ艦隊に撃破された頃、イギリス艦隊並みに悲惨な戦闘を強いられたフランス艦隊は、こんな戦場に連れ出してきた連合国上層部全てを、有りとあらゆる表現で罵倒し、呪詛の言葉を吐き続けていた。何故ならば、戦艦『リシュリュー』『ジャン・バール』重巡『シュフラン』『コルベール』『フォッシュ』ル・アルディ級駆逐艦と言う小規模艦隊に対して、
枢軸軍は戦艦『サウスダコタ』『インディアナ』『マサチューセッツ』『アラバマ』重巡『サンフランシスコ』『ヴィンセンス』『ボルティモア』『シカゴ』軽巡『ブルックリン』『フィラデルフィア』『ホノルル』フレッチャー級駆逐艦多数と言う明らか過ぎる過剰戦力を叩き付けて来たのである。ドイツ海軍は亡命オランダ海軍を引き付けて戦域から離脱中である為に増援は期待できず、そして今海戦に参加した中でも最大の戦艦戦力を誇るイギリス艦隊は、良く分からない通信を友軍艦隊に投げて来て以降は音信不通になっていた。この様な状況で、自艦隊に勝る敵艦隊と交戦を余儀無くされたのだから、フランス人は色々と罵ったとしても責めるに責められないだろう。ただ主に罵倒する対象は飽く迄『イギリス艦隊』にであって、ドイツ艦隊は経験や戦力が少ない中、有力なオランダ艦隊を引き受けているから、フランス人からは素直に賞賛の言葉が送られていたが。

だが、そんな不利な状況でも、カリブ海に連合軍内でも多数の自国戦力を送り込んでいた為に何が何でも味方部隊を撤退させなければならなかったフランス艦隊は…崩れなかった。否、寧ろこの『第四次カリブ海海戦』に置いて、唯一全うに統制の執れた艦隊決戦を行い、奮戦の末枢軸軍にマトモな損害を与えたと高い評価を与えられすらもしていた。先ず、巡洋艦同士の戦闘では、その重巡洋艦として極めて高いレベルに纏まっていた事から一時連合軍から小型戦艦と誤認されたボルチモア級『ボルティモア』『シカゴ』対空火力が多少減少した代わりに戦前就役艦艇としては対艦戦闘力はかなり高い破壊力を持つニューオリンズ級『サンフランシスコ』『ヴィンセンス』を前にして、フランス海軍のシュフラン級重巡洋艦『シュフラン』『コルベール』『フォッシュ』は、初手から55㎝魚雷を放ち、又照明弾や探照灯を発射、照射する等してアメリカ巡洋艦部隊に対して機先を制して強引に戦闘の主導権を捥ぎ取り、数の不利を承知で果敢に海戦を挑みかかった。

799 :641,642:2015/11/21(土) 18:05:21
フランス艦隊からの想定外の心理的奇襲攻撃を受けた『ボルティモア』を基幹とするアメリカ巡洋艦部隊だが、主に砲撃が集中した『ボルティモア級』は基準排水量で一万五千トン強を誇る巨体であり、それに見合った強固な防御力や攻撃力も張り巡らされ『ボルティモア級を沈めたければ酸素魚雷か有力な高速戦艦を持って来い』と設計者が豪語する重巡洋艦であり、ベテランの既存艦艇乗員からの転籍者も居るとは言え、之が初実戦である新人が多くを占める乗員構成であっても大して問題無いと考えられていた。その為、フランス重巡洋艦の想定外の奇襲に虚を突かれて主導権を一時奪われ、シュフラン級重巡洋艦に先に命中弾を受ける失態を見せるも、ボルティモア級二隻の強固な防御力の前にシュフラン級の『Model 1924 20.3cm(50口径)連装砲』では機関砲や水上機設備を破壊する以上の事は出来ず、やや時間を掛けるも序盤の奇襲から立ち直った『ボルティモア』『シカゴ』の容赦無き砲火と、この二隻がフランス重巡洋艦の砲撃を集中して受け止めていた為に余裕を持って狙いを定めた『サンフランシスコ』『ヴィンセンス』からの砲撃で、主導権はアメリカ側に奪還された。

主導権がアメリカ側に渡った後は、フランス艦隊も覆せない劣勢を悟り、通り魔宜しく残っていた魚雷を敵艦隊に撃ち込んで撤収しようと目論むも、被弾炎上し火達磨になりつつもアメリカ艦に喰らい付いてきた『レペー』に代表されるル・アルディ級駆逐艦の猛追をあしらいつつ突入して来た軽巡『ブルックリン』『フィラデルフィア』『ホノルル』フレッチャー級駆逐艦が退路上に立ち塞がり、フランス重巡洋艦の針路を予測して撃ち込んだ酸素魚雷が、既に『サンフランシスコ』の主砲弾が2発被弾していた『シュフラン』には息の根を止める4発、『コルベール』には艦橋下部に集中して
3発被雷し、両艦とも爆沈。先行していた『シュフラン』と『コルベール』が盾となる形で酸素魚雷の網を逃れ『フォッシュ』は、逃走は不可能として撤退を断念し、転舵して絶望的戦力差での砲撃戦を展開。既に轟沈した二艦が与えた損傷と合わせて『ボルティモア』を如何にか中破判定に持ち込んだ代償に、『フォッシュ』はアメリカ海軍巡洋艦部隊から無数の砲撃を受けて大破炎上し、最終的に行き足が止まって止めを刺そうとしたフレッチャー級駆逐艦『ニコラス』が近づいた直後に、弾薬庫に延焼した『フォッシュ』は故国から遠く離れたカリブの海で散華した。尚『フォッシュ』爆沈後、吹き飛んだ艦艇構造物の一部が接近していた『ニコラス』に直撃して前部砲塔が全壊すると言う海戦史上前代未聞の歴史的珍事が発生したのもこの時である。


米仏軽快快速部隊の戦闘が終結した頃、同じくフランス海軍『リシュリュー』『ジャン・バール』とアメリカ海軍『サウスダコタ』『インディアナ』『マサチューセッツ』『アラバマ』による艦隊決戦も佳境を迎えていた。数にして4対2と言う劣勢下に置かれたフランス戦艦部隊だが、『連合国側海軍最強戦艦』と密かに語られている『リシュリュー級』がそう易々と膝を折る筈も無く、逆に最大30ノットを誇る快速を活かしてアメリカ戦艦部隊の砲撃を逃れ、反撃に『インディアナ』に対して痛打を与えて戦線離脱、『マサチューセッツ』に二発命中弾を与え副砲群が壊滅、『サウスダコタ』へ直撃弾を与えて一時通信設備を損傷させアメリカ側の指揮系統を一時攪乱する等、フランス海軍軍人の面目躍如の奮闘を新大陸人に見せつけていた。だがアメリカ人もただやられていただけでは無く、被弾する寸前に『サウスダコタ』が放った41㎝砲弾が『リシュリュー』の第一砲塔天蓋を貫通し爆砕。『マサチューセッツ』『アラバマ』も『ジャン・バール』に集中砲火を加え、此方は第二砲塔に重大な損傷を与え、砲塔旋回機能を封殺した上に測定儀やレーダーを破壊し、実質的に戦力外にする事に成功する。

800 :641,642:2015/11/21(土) 18:07:26
『インディアナ』撃破の代償に自戦艦部隊主砲の砲撃力が激減してしまったフランス艦隊は、これ以上戦闘を継続しても無意味に損害が増すだけだと判断し、撤退命令が下されるも『リシュリュー』『ジャン・バール』が転舵し始めた直後に『リシュリュー』のレーダーが特大の艦影反応を映しだし、フランス艦隊司令部に最悪の悲観的予測が過った瞬間『ジャン・バール』周辺に常識外れの巨大な水柱と四発の被弾を確認。『ジャン・バール』はマトモに何かしらの反応を示す事も出来ずに瞬時に轟沈。イギリス戦艦部隊を撃滅した後『サウスダコタ』からの通信を元にフランス戦艦を包囲する様に
展開し、脅しの心算で放った『アイオワ級』6隻の46㎝砲弾の仕業であった。その後、戦艦部隊だけでなく巡洋艦や駆逐艦すらも参加した包囲の中で完全に孤立した『リシュリュー』は突破を断念。
アメリカ艦隊からの名誉ある降伏勧告を受け入れ、この『リシュリュー』降伏を持って『第四次カリブ海海戦』は実質的に終結した。


その後、共産化欧州艦隊が全滅した一報と、イギリス製護衛空母の偵察機が捉えたアメリカ艦隊の威容を遅まきながら知ったカリブ海脱出船団は完全にパニック状態に陥る。輸送船不足と言う事で絶対に安全であると誤魔化して民間船も強引に持ち出した事も相まっての事態だった。そして、このまま船団を組んでいても殲滅されるのを待つばかりと判断して輸送船団の指揮官は船団を解体して其々独行で欧州へとのがれる事を指示。輸送船は指示に従い自らの出せる最大速力を持ってアメリカ、オランダ艦隊の魔の手から逃れようとするも、夜通しで再編成を完了した空母機動艦隊の艦載機、落ち武者狩りとして大量に配置したガトー級潜水艦、そして先ほどの海戦の興奮が未だに収まっていない米蘭打撃艦隊の砲口から逃げ果せられる道理は無く、船団の8割弱が撃沈乃至降伏を余儀なくされ、共産軍の一挙両得の目論みは完膚なきまでに粉砕された。インド洋海戦でのイギリス艦隊の惨敗と合わせて多数の艦艇を喪い、外洋に大きなリアクションを取る事が不可能になった共産欧州軍は、欧州本土防衛の整備を進めて行く事になる。


余談だが、共産欧州艦隊を殲滅後に、アメリカ陸軍や海兵隊がカリブ海の連合国側植民地を占領して回っていたのだが、その際に陸地に取り残された、若しくは撃沈された輸送船から命辛々上陸した少数の連合軍兵と交戦している。その際、黒人兵が味方兵と保護した現地住民に向って投げ込まれた手榴弾に覆いかぶさり、自らの命と引き換えに戦友と民間人を守ったと言う事件が有った。この事を知った軍上層部や政府は彼の勇気ある行動を称え、勲章を与える等して彼を英雄として戦意高揚の意味も込めて宣伝したのだが、これに白人至上主義者が噛みついた。白人至上主義者の主張を要約すれば『神に選ばれし白人様をさて置いて、捨て駒として扱うべき劣等愚劣な有色人如きを重用するばかりか、勲章授与や英雄として称えるとは何事か!』と言う事で有ったが、日本軍や亡命オランダ軍と言う頼もしい戦友が存在するとは言え、ユーラシア全てが敵に回っているような現在の状況を鑑みて、白人種だけで戦力編成したら確実に戦力不足になるのは目に見えて居た上、有色人種に対して差別的行動を取ったら、今までアメリカと共に『最高の友人』として歩み続けている日本帝国と要らぬ亀裂を生んでしまうし、加えて『自由と正義の国アメリカ合衆国』としては、ポーランド人やユダヤ人を迫害している情報が有る共産陣営と同一視される様な言動は、政治的にも国是的にもイデオロギー的にも経済的にも、身命を賭して何が何でも避ける必要が有った。

801 :641,642:2015/11/21(土) 18:09:23

一応既に日露戦争後より始まっていた各種宣伝工作や政府からの融和政策の甲斐も有って、有色人種と白人種間の対立は、確かに有色人種の列強である日本帝国やインドネシア人を大切に扱っているオランダよりは僅かに劣るものの、欧州一般の常識からしてみれば有り得ない位に少なかった。その為に、今回の白人至上主義者の猛抗議もアメリカ人の多くや有識者からは白い目で睨まれるか、過激な所では『友人を侮辱された』と激怒して名誉棄損を訴え、件の白人至上主義者に対して『白人』が何人も訴訟を起こしても居た。そしてそんな状況で白人至上主義者の要求が通る筈も無く、この戦死した黒人兵士への名誉はシッカリと守られた。

後世の歴史家からは、今回のこの事件によって、アメリカ合衆国史上二つ目の最大級のトラウマである、第二次世界大戦終結後に発生した白人至上主義者による武装蜂起である『テキサス・カリフォルニア暴動』…通称『第二次南北戦争』が発生する火種となったと言われているが、当時の政府は共産軍との戦争や中立・同盟国との様々な調整に忙しく、又様々な慰撫、教導政策とアメリカ人の良識と言う物を過信し過ぎており、まるで噴火直前の活火山の様にマグマを溜め込んだ白人至上主義者の鬱屈や不満を察知する事は出来なかった。当時の政府官僚曰く『まさか、あの馬鹿共が此処までやらかすとは思っても居なかった』と言う一言が、『周囲全てが敵』『頼れるのは自分達のみ』とまで思い込んで勝手に追い詰められていた狂信的白人至上主義者たちの状況を、世間一般のアメリカ人全てが完全に甘く見ていた事を表していた。


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802 :641,642:2015/11/21(土) 18:10:33
ハイ、以上になります。本当にスミマセン。こんなに長くなってしまいまして…

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最終更新:2016年10月13日 11:45