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日米蜜月(ユーラシア共産化)ルート考察擬き

大戦に置ける主要会戦記録 『第二次世界大戦~枢軸軍の大反攻~(日本帝国軍編その1)』


『インド洋撃滅戦 ~大艦巨砲主義終焉の海~』


時期的には『第四次カリブ海海戦』が発生した日時と、時差の関係で多少ズレこそ有るもほぼ同時期。既存の輸送艦に加えて、日本原産で日本軍が採用した直後にアメリカでもアメリカ流にリファインされた末に『エセックス型強襲揚陸艦』採用もされた『御神島(おんがみじま)型強襲揚陸艦』に多数の『九七式中戦車』や『零式突撃銃』に『九九式対戦車狙撃銃』等の重装備を使いこなす熟練兵が多数乗り込んだ輸送船団が、開戦初期に陥落以後は枢軸軍の重要拠点と変貌したシンガポールより一路チッタゴンとヴィシャーカパトナムに強襲上陸を敢行するべく出港後、イギリス艦隊釣り出しの為に一時アンダマンニコバル諸島に寄港。コレを撃滅し様と図り突撃して来たイギリスインド洋艦隊を、正規空母『赤城』『加賀』『翔鶴』『瑞鶴』に加えて、日本海軍が世界に誇る最新鋭装甲正規空母『大鳳型』6隻による航空攻撃によって逆に英艦隊を蹂躙。イギリスが必死に保とうとしていた『大英帝国の権威』が一気に崩れ去り、継ぎ接ぎだらけだった『パックス・ブリタニカ』が名実ともに完全に崩壊していく始まりの戦闘となった。


『セイロン島沖海戦』にて、セイロン島に配備されていた連合軍の陸上攻撃機部隊、並びにイギリス機動部隊艦載機隊、そしてソ連海軍中型空母『スヴェルドロフスク』『ミンクス』が、塚原大将率いる日本機動部隊の魔の手によってインド洋の海底に強制的に配置換えされた後、インド洋には暫しの間平穏が訪れていた。無論、インドからブリテン島へ向けて
航行するイギリス輸送船団に対する伊号潜水艦による熾烈な通商破壊戦は一時も止まる事は無かったが、少なくとも戦艦や空母と言った大型艦艇による大規模戦闘は発生していなかった。その唐突に訪れた貴重なインターバルの間に、イギリスは可能な限り有力な戦力をインド洋へと送り込もうと画策する。イギリス人は言うに及ばず、世界的にも『イギリスを大帝国足らしめている物はインドである』と認識され、それは殆ど事実である以上、枢軸軍による『インド侵攻』は連合の戦力を削り取る為に確実に行われると確信されていた。その結論に基づき戦力移動を行い、友軍からも戦力移動を依頼するのは極自然の行動であり、インドを守るイギリス人は『連合は即決で戦力を送ってくれるだろう』と楽観視していた。

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結論からすれば、インド洋への増援は一応なされた。但し、その送り込まれた増援は戦車や歩兵、トラックと言った『陸上戦力』であり、イギリスインド洋艦隊が最も欲した『水上戦力』は『カリブ海方面軍の撤退支援並びにアメリカ海軍を撃滅する為に』少数の駆逐艦や潜水艦以上の艦艇は送り込まれなかった。この事態にイギリス艦隊は『これではインドを防衛出来ない』と本国へ猛抗議を行おうとしたのだが、艦艇の代わりに俄かに増えたイギリス共産党の政治士官による圧力によって無理矢理封殺されていた。共産党司令部としては、満州に対して補給線がやや貧弱である為に少々息切れ感が拭えない中、中ソ連合軍による大部隊を差し向けている為に必然的に日本はそちらに傾注せざる負えないハズなので、枢軸軍のインド侵攻は未だ先の話しであると判断していたのだ。それにアメリカ海軍がカリブ海に籠る連合国軍を撃滅する為に出撃準備を行っていると言う情報も有り、此方の方が優先度が高いと判断された為でもある。付け加えるとすれば、
元々キングジョージ五世級戦艦やネルソン級戦艦、イラストリアス級装甲空母に就役したばかりのオーディシャス級空母『オーディシャス』全てがインドに配備されていた為、これ以上戦力を増強しても重油の無駄になるだけと言う意見が有ったのも有るが。その為『枢軸軍大規模上陸船団がシンガポールを出港』と言う一報が飛び込んで来た時のイギリスインド方面軍の狼狽具合は相当な物だったと言う。


一方大量の輸送艦や最新鋭の強襲揚陸艦を動員した日本軍だが、ある意味この第二次世界大戦を引き起こす切欠であった『世界恐慌』による経済的打撃は世界的にも比較的小さく、軍備増強もソ連の躍進に国民も警戒を抱いた為にそれなりにスムーズに進行した為にアメリカ海軍よりも数割増しの海上戦力を整えていた。そして、この時の日本海軍はその大量に揃えた艦艇の殆どを出撃させてインド洋に存在する連合国側の艦艇、船舶全てを『言葉通りの意味に』殲滅する事を企てていた。勿論、洋上で撃沈して艦艇乗員を多数戦死または負傷させて連合国側の海上戦力の再建を一秒でも遅らせる為にも、陸軍やアジア方面のアメリカ軍の諜報部にも協力して貰い、イギリス海軍に自軍戦力を誤認させて出撃させる為に欺瞞情報を流した上に先行して戦艦『扶桑』『山城』『長門』『陸奥』空母『飛龍』『蒼龍』を主軸にする中規模艦隊を、シンガポールに潜伏している連合国側諜報員に『これ見よがし』と言わんばかりに堂々と出撃させる等、イギリス艦隊の釣り出しに協力したタイ王国陸軍諜報部から『どれだけ海戦に飢えていたのだ日本海軍は』と呆れ顔で言われる程に怨念と執念が滲み出た用意周到さだった。

そしてその阿修羅化した日本海軍の努力の甲斐も有り、イギリスインド洋艦隊は輸送船団撃滅の為に艦隊を全力出撃させた。インド洋艦隊司令部の本音としては正直出撃したくは無かったのだが、『インド防衛』と言う事の重大さは理解して居たし、政府命令を受けた上に司令部や艦艇に政治士官が乗り込んでいる状態では滅多な事は言いだせなかった。必死の政治工作によって『敵輸送船団のみに攻撃対象を絞る』事だけは出来たのは当時権力保持に酔い始めていた共産党政権の実情を見る限り、大きな成果だったようだが。


全力出撃させたイギリスインド洋艦隊の艦艇編成は、機動部隊より戦艦KGV級より『キング・ジョージ・五世』『プリンス・オブ・ウェールズ』『チャールズ・ウィリアム・ヴェーン』『ハウ』イラストリアス級装甲空母『イラストリアス』『ヴィクトリアス』『フォーミダブル』『インドミタブル』『インプラカブル』『インデファティガブル』建造簡略化で漸く就役したばかりのオーディシャス級空母一番艦『オーディシャス』防空巡洋艦としてダイドー級軽巡洋艦『ナイアド』『ハーマイオニー』『ユーライアラス』『クレオパトラ』『シラ』『アーゴノート』アリシューザ級軽巡洋艦『アリシューザ』『ガラティア』『ペネロピ』『オーロラ』こちらも建造簡略化で戦線投入したスウィフトシュア級軽巡洋艦『スウィフトシュア』『マイノーター』『シュパーブ』、ウェポン級駆逐艦とバトル級駆逐艦と言う編成であり、速力的問題の為に本隊とは別に囮、若しくは敵部隊釣り出しの為の水上打撃艦隊として動くのは、ネルソン級戦艦の『ネルソン』『ロドネー』、ロンドン級重巡洋艦『デヴォンシャー』『シュープロッシャー』アンフィオン級軽巡洋艦『アンフィオン』『フェートン』コロッサス級軽空母『オーシャン』バトル級駆逐艦の二本立てであった。

509 :641,642:2016/01/27(水) 20:41:08
中々に有力な艦隊では有るが、日米がポンポン贅沢な最新鋭大型艦艇を配備しているのに対して、イギリスは本土の建造施設を全て酷使してまで建造していたと言うのに、戦艦や空母と言った主力艦艇は大して増えていなかった。旧式艦の代替建造や損傷艦の修理、潜水艦建造に政府上層部からの朝令暮改な命令が頻発して建造計画に混乱が生じた事は事実では有ったが、やはり大英帝国の黄金期は第一次世界大戦で終わってしまっていたのだ。装備に関しても、日米が開発した近接信管の様な大量の資金や資源と高度な工業力、大量の生産力を必要とする兵装は開発段階で多数が却下されており、だがその割には「17.8cm 20連装ロケット砲」通称UPと呼ばれたイギリス製イロモノ兵器筆頭格候補の一つである落下傘付爆雷空中散布機を大真面目に開発して開戦後暫くの間採用して配備していたり等もしており、後に戦争中にイギリス製イロモノ兵器の被害を受けた日本やアメリカから『何をやりたかったのかは分かったが、もうちょっとやりようは無かったのか』と評価されていた。言われた方の戦後イギリスからしてみれば『この国力でお前ら相手に正攻法でどうにかできる訳ないだろ』と言いたくなる状態だったが。


そして対戦相手である日本海軍の兵力であるが、無数の輸送船団に直接護衛として就くのは戦艦『扶桑』『山城』『伊勢』『日向』『長門』『陸奥』飛龍型空母『飛龍』『蒼龍』飛鷹型戦時急造軽空母『飛鷹』『隼鷹』『天鷹』『白鷹』『海鷹』『神鷹』最上型重巡洋艦『最上』『三隈』『鈴谷』『熊野』長良型軽巡洋艦『長良』『名取』『五十鈴』『由良』、対潜、対空装備を強化した白露型、朝潮型駆逐艦。……そして間接護衛隊と言う名目でその実イギリス艦隊を撃滅する事しか考えていないとすら言われた程に凄まじい戦意に猛っていた主力艦隊には、既存正規空母より『赤城』『加賀』『翔鶴』『瑞鶴』新鋭正規空母である大鳳型装甲航空母艦『大鳳』『白鳳』『迅鳳』『天鳳』『戦鳳』『海鳳』沙流型防空巡洋艦『沙流』『天塩』『鳴瀬』『鈴鹿』『那賀』『佐波』、大鳳型装甲空母と同じく今回が初陣の大和級戦艦『大和』『武蔵』『信濃』『甲斐』『越後』『讃岐』紆余曲折の大激論の末帝国海軍初の雷装全廃重巡洋艦として就役した高雄型重巡洋艦『高雄』『愛宕』『鳥海』『傘取』『摩耶』『大笠』水雷閥渾身の名作である阿賀野型軽巡洋艦『阿賀野』『能代』『矢矧』『酒匂』そして極めて高い汎用性から様々な任務に引っ張りだこ状態の陽炎型駆逐艦。


戦力隠蔽の為に徹底的に欺瞞情報を垂れ流し、敵国の諜報員を草の根分けても根こそぎ確保し続け、それだけでは飽き足らずに、輸送船団を目立つ様にシンガポールからマラッカ海峡を通過させたのに先行して、大和を旗艦とした主力艦隊はジャワ海から既に制圧済みのココス諸島沖合を抜けてベンガル湾に向けて北上すると言った構えを取り、大戦力にビビッてイギリス艦隊を撤退させない為に極限まで自らの大戦力の存在を隔そうと努力し続けていた。そしてこの努力は『イギリスインド洋艦隊の全力出撃を確認』と言う『伊 27』の報告により報われていた。とは言えここで調子に乗って存在を早期に暴露したら即座に逃走を図るであろうイギリス艦隊を取り逃す可能性も有る為に、情報管理が何処か甘い部分が有る日本人らしくも無く、何時にも増して慎重かつ慎重に行動していた。


改めて彼我の戦力差を確認すると、艦艇の物量差だけでもイギリス海軍は戦艦6隻、正規空母7隻であるのに対して、日本海軍は総合して戦艦12隻、正規空母12隻、軽空母6隻、その他多数を同海域に投入していた。船団護衛から余り離れられない護衛艦隊を敢えて除外すれば、日本側は戦艦6隻、正規空母10隻と数的には一見『何とかなりそう』な差になるが、中身の質の差は最早絶望的な格差が広がり切っていた。因みにこの場に居ない金剛型戦艦に関してだが、元々艦齢が艦齢である上に以前セイロン島沖まで遠出した事が響いたのか、艦体や機関に不調の様相が見られた為に、今回は大事を取って本土に戻り整備を受けていた。

510 :641,642:2016/01/27(水) 20:45:30
第二次世界大戦に置いて急激な進化を遂げ、一昔前では『偵察任務主体の補助戦力』扱いでしか無かったのに、今となっては『戦争の主役』と言っても過言では無い程の性能を誇っている航空機。海戦に置いてもそれは例外では無く、各国海軍でも国力や技術力に優れた列強は新型航空機の開発に血眼になっていたが、その巨体から勘違いされやすいが、本質的には『海洋国家』である日本帝国やアメリカ合衆国が主軸となった枢軸国とは違い、国力、工業力、国威全てが第一次
世界大戦以降下落傾向が止まらなくなってきたイギリスを除けば、共産連合を編成する国家は全て『大陸国家』であった。個々の技術力は兎も角、戦艦や正規空母と言った大型艦艇を建造出来る様な設備と技術力を『多数』保有した国家はイギリス唯一国だけであり、必然的に連合国全ての負担が圧し掛かっていた。そしてこの時のイギリスには、日米による急激な艦載機開発の進化スピードについて行けるだけの技術力や国力はもはや存在していなかった。


イギリスインド洋艦隊がこの時空母部隊に搭載していた艦載機は『シーファイア』『バラクーダ』『ソードフィッシュ(対潜用)』と言う、遠く離れたカリブ海の海にて展開された『第四次カリブ海海戦』で投入された機体と大よそ同じである。違いとしては『Fw190T』は生産数が未だに少ない為にこちらには配備されていない程度だろうか。一方日本側の艦載機と言えば『零式艦上戦闘機 烈風』『零式艦上攻撃機 流星』に完全に更新されており、連度に関しても『セイロン島沖海戦』に参加したパイロットに加えて、初陣メンバーに関しても彼らから直々に教えを受けた人間が多く、戦前から比較的余裕のあった予算の為に訓練には比較的多くの実弾を用いた対艦攻撃訓練が行われていた。この時点でどうしようもないのだが、戦艦戦力に関しても、日本海軍が投入した新型の大和型戦艦はアメリカのアイオワ級戦艦と同じく『46㎝50口径3連装砲4基』のモンスター戦艦であり、ビッグセブンの一角であるネルソン級戦艦やキング・ジョージ・五世級戦艦ではマトモに組み合えば一支えも出来ずに鎧袖一触にしかならない戦力差だった。だが幸か不幸か、ある意味イギリスにとって既に一定度の事前知識のある航空戦以上に絶望するであろう『艦隊決戦』は発生しなかったのだが。


自らの説得の結果とはいえ、本国共産党から鬼の形相で『敵輸送船団の撃滅』を厳命されて、もう何処へも引く事は出来ない、前に進むしか選択権が残されていなかったイギリスインド洋艦隊は、『日本艦隊の輸送船団護衛戦力は『フソウ型二隻』『イセ型二隻』『ヒリュウ型二隻』加えて旧式軽巡洋艦、旧式小型駆逐艦の編成であり、他艦艇は日本本土やシンガポールにて整備中若しくは輸送船団より離れた海域を航行している』と言う、劣勢下の戦況で落ち込み始めた自分たちの権威の前に、見たい物しか見なくなった本国共産党や政治士官に腹いせ交じりに粛清され始めてその能力が落ち始めたイギリス諜報部からの盛大な誤認情報に
基づき、アンダマンニコバル諸島に一時停泊している日本輸送船団への攻撃を画策する。そしてこの時、イギリス艦隊は結果的にある判断ミスを行ってしまう。早期攻撃、早期撤退に焦るがあまり『敵艦隊を確認するかなり前から格納庫内に事前に魚雷、爆弾装備の攻撃機を多数準備』させたのだ。無論、通常であれば問題無い行為だったかもしれないが、イギリス艦隊に気付かれない様に追尾していた伊号潜水艦『伊168』からの情報を受け取った『大鳳』や『赤城』と言った空母機動部隊がイギリス艦隊に向けて全力出撃させていた状況では、知らなかったとはいえ余りにも不用意かつ性急な行動であった。

511 :641,642:2016/01/27(水) 20:48:40

当時イギリス艦隊空母『インプラカブル』所属の『シーファイア』に搭乗していた『Conan・Fergus(コナン・ファーガス)元少尉』の証言によれば、彼は同僚と共に早朝からの防空任務に就いていたが、防空任務工程の2割近くを消化した時に艦隊旗艦の戦艦『キング・ジョージ・五世』より『敵編隊発見、直ちに迎撃に向え』とだけの命令を受けたと言う。少尉が敵編隊の情報を問い返しても『キング・ジョージ・五世』からはあやふやな返答しか返ってこず、仕方が無く緊急で上がってきた僚機と共に指示された空域に進出した。そしてその時、Fergus少尉は自身の自慢の目を疑い、そして自分の目の良さを後悔し、『キング・ジョージ・五世』のあの煮え切らない返答の意味が理解できたと言う。
彼、そして彼の同僚が見た物は『青い空を埋め尽くす日の丸航空機』、そして『タイプ97(九七式戦闘機)とは全く違う制空迷彩がなされた新型戦闘機』の大群であった。Fergus少尉はその『新型戦闘機』つまりは『零式艦上戦闘機 烈風』の大群に、一機でも撃墜しようと同僚と共に足掻こうとするも、結局彼我の機体性能の格差とそもそもの物量差の前に成す術も無く飲み込まれた末に撃墜され、長時間一人で海上を漂流した末に日本海軍の陽炎型駆逐艦『秋風』に救助されたが、彼と共に出撃した顔見知りの同僚は、誰一人として故郷へ生きて帰ってこなかったと言う。


『Conan・Fergus(コナン・ファーガス)元少尉』の証言や公式戦文を見る限り、当時のイギリス艦載機部隊は実質奇襲を受けた様な状態でありながらも、十二分以上に努力しようともがいた様子が見られた。海戦間のインターバルの間に可能な限り効率的な防空指揮を行う為に訓練を繰り返し、この時も訓練の成果を見せるべく防空指揮を必死に
行ったのだが、そもそもの艦載戦闘機の質と数が圧倒的にイギリス側にとって劣勢であり、『シーファイア』はその殆どが時速700㌔弱の高速で突進する『烈風』の大群に飲み込まれた後は逃げる事も戦闘機動も取れずに撃墜される機体が続出し続け、一部エース級やベテランパイロットが意地を見せて『烈風』数機を撃墜または撃破するも、大勢には全く影響は無かった。


そして『零式艦上攻撃機 流星』攻撃隊は『敵戦闘機の妨害を全く受けず』、しかも『味方戦闘機の機銃掃射やロケット弾により輪形陣の一部が解囲している』と言う相当な好条件での攻撃を行う事が出来た。無論、イギリス艦隊からの対空砲火も熾烈では有ったが、『流星』は最大速度600㌔弱の、下手をすれば戦闘機である『シーファイア』を
置き去りに出来るだけの高速と、多少20ミリ弾を被弾してもビクともしない堅牢さを誇っており、イギリス艦隊の対空砲火の機器の殆どが、爆装の為にやや落ちていたとは言えそれでも攻撃機としては脅威的な『流星』の速度に対応しきれなかった事も有り『撃っても撃っても全然落ちない!ニホンの攻撃機は化け物か?!』と一部イギリス水兵が恐怖と絶望の絶叫を挙げていた事が、戦後の調査にて確認されている。そして戦闘機による迎撃も対空砲火による反撃も大して効力を発揮しなかったと言う事は、イギリス艦隊の主力艦艇は命中しない事を神に祈りつつ回避運動を取るしかなかったが、日本人はそう易々と『獲物』を逃すほどの柔い訓練を積んでいた訳も無く、イギリス人が祈った『神』にも見放されていたらしく、イギリスがインド洋に持ち込んだ装甲空母全てに雷撃、そして爆撃が幾多も突き刺さり続けた。


日米が建造した新型装甲空母とは違い、イギリス製装甲空母は旧来の技術や思想の元に建造されていた事も有って重心が高い、つまり転覆しやすい構造的欠陥が有った。その代わりに爆撃には滅法強かったのは事実では有るが、雷撃を複数受けてしまえばその装甲は全く意味を成さないばかりかかえって自艦の転覆を早める『重し』にしかならないと言う皮肉的な結末を迎えざるしか無かった。しかもこの時、格納庫内には即時出撃を可能とする為に燃料を注入し、魚雷や爆弾を装備した攻撃機が多数存在していた。戦闘開始までに可能な限り魚雷や爆弾を取り外し、弾薬庫に戻そうと努力されたが、日本の攻撃隊が襲来した時には、ほとんどの空母の格納庫内には『燃料注入済みの魚雷や爆弾を搭載した多数の攻撃機』と言う危険物を抱え込んでいたままだった。そして多数受けた雷撃や爆撃は、それらを誘爆させるには十分な条件であった。

512 :641,642:2016/01/27(水) 20:52:02
始めに膝を屈したのは、建造簡略化で就役したばかりの『オーディシャス』だった。新造艦特有の輝きの様な物を放っていた『オーディシャス』には、航空魚雷四本と対艦徹甲爆弾が四発命中し、内徹甲爆弾一発が甲板装甲を貫通し格納庫内で爆発。『オーディシャス』水兵の連度は既存艦からベテランが多く回されたとはいえ、割合的には戦時徴兵の促成栽培水兵が多く、ダメージコントロールの精度は通常と比べて劣っていた。しかも被弾により格納庫内の攻撃機や弾薬が誘爆。イギリス海軍最新鋭空母は被弾から僅か一時間と経たずに横転転覆し、多数の水兵を艦内に残したまま波間に没して行った。そして真っ先に新人が撃沈されたのを皮切りに、『オーディシャス』の先輩たちも容赦無く繰り返される日本軍艦載機隊の猛攻の前に、次々と撃沈されていった。


そして主力艦隊による第一次攻撃隊によって無情なまでにイギリス装甲空母が撃沈され続けていく中、間髪入れずに再度主力部隊から第二次攻撃隊が出撃。彼らの目標は、既に全艦が撃沈済み、若しくは沈没間近の空母では無く、未だに戦闘航海中の撃沈記録が無い『戦艦』であった。第一次攻撃隊の猛攻でイギリス空母は全て撃沈確実の損傷を与えていたのだが、逆に言えば第一次攻撃隊は空母とその護衛艦を潰す為に全ての対艦兵装を使い尽くしてしまったのだ。その為、第一次攻撃隊の中でも損傷度合が少なかったり燃料消費量が少ない機体は、一機でも第二次攻撃隊が戦艦へ攻撃が可能になるように駆逐艦や巡洋艦に対して機銃掃射を続行していった。無論機銃掃射やロケット弾程度では艦艇を撃沈する事等到底不可能だが、対空射撃を妨害する事は十分に出来た。特にイギリス海軍の巡洋艦は数を揃える為に小型に建造されている為、被弾時の即応能力が余り高くは無かった。本当の所はただの印象論だったかもしれないが。


イギリス機動艦隊の護衛として就いていた『キング・ジョージ・五世級』戦艦。35.6㎝45口径10門と中々の高火力と厚い防御装甲、そして高速戦艦と名乗れるだけの速力と言うバランスのとれた性能を誇り、国内外でその高性能を宣伝されているこのイギリスの新鋭戦艦だが、実の所は機関部の小型軽量化に失敗しており、日米戦艦の機関と比べれば性能不足感が否めない代物であった。そして機関の能力不足は他の性能の何れかを削らなければならないと言う事であり、イギリス海軍が選択したのは『防御力の削減』だった。とは言え、枢軸国が『キング・ジョージ・五世級』戦艦の事を調べようとした時にはすでに、赤化時や戦争中の混乱に加えて機密書類の焼却、更には詳しい人間の死亡と言う事が有った為に、当時のイギリス海軍が正確に何を考えていたのかは今一良く分かっていない。現段階で分かっているのは『KGV級戦艦は水兵甲板の装甲は長門型にも劣り、バルジを装着せず、傾斜装甲から垂直装甲に原点回帰し、日米で対策された水線下の防御を行っていなかった』と言う事だけであった。

防御関係の欠陥もそうだが、KGV級戦艦だけでなく、当時のイギリス艦艇の対空砲火力に関しても余り高くは無かった。日米は既に近接信管を大量生産し新鋭の防空巡洋艦や戦艦、空母、駆逐艦に至るまで対空砲弾を近接信管付の新型砲弾へと更新済みで実戦にも投入しているのに対して、共産連合国側は未だに研究室段階ですら近接信管の開発は成功していなかった。それ以外でも、スウェーデンが開発し、大戦中は枢軸連合問わずに大量に採用され、現代でも一部国家では改良を重ねて採用されている兵器の歴史史上でも屈指の名作である『ボフォース 40㎜機関砲』や大戦中日米で進化し続けた両用砲等が当時主流の対空火器であるが、枢軸側が『壁』程度で満足せず、次は『津波』を生み出そうとしているのに対して連合国側の対空火力の強化具合は、枢軸側と比べると不徹底だった。ただ『ボフォース 40㎜機関砲』のボフォース社に対するライセンス料金の納入が、戦争中期頃より連合側は滞っていた事例を見ると、連合国は艦載新型防空火器の開発、更新費用の捻出にすら苦労し始めていたのかもしれないが。

513 :641,642:2016/01/27(水) 20:55:15

話しがそれたが、兎に角言いたい事と言うのは『イギリス艦艇の対空火力不足』と言う事であった。加えて広大かつ世界各地に存在する自国領植民地を統治する為に、海軍のワークホースである巡洋艦は『小型多数主義』と言うべき、戦闘力を一定度に抑える代償に長大な航続力と高い居住性を有した小型の軽巡洋艦を重点的に整備し続けていた。日米海軍が予算で回せられるだけの大型巡洋艦を整備しようとしたり、実際に建造していたりしたのとは対照的であった。無論、これはイギリスには本国から離れたところに多数の植民地が有るのに対して、日米には自国から近距離にしか植民地が存在しないか、友好国に囲まれた場所に存在していたと言う戦略状況の違いが影響していたのも大きいが、この時ばかりは小型で防御力の弱い巡洋艦を建造し続けた昔の自国を恨まざる負えなかった。何故なら第一次攻撃隊が真っ先に殲滅対象としたのは『航空母艦』に加えて『空母護衛艦艇』、つまりは巡洋艦であり、防御力が弱い事も相まって続々と自らが守るべき空母が沈むのと同期して沈没、乃至は戦闘不可能か実質的脅威がなくなる程に痛めつけられていた。第二次攻撃隊が乱入したのは、正しくイギリス『元』機動艦隊の防衛陣形が完全に崩壊した瞬間であった。


KGV級戦艦たちの最後のあがきとして、戦艦砲から榴弾を日本軍機に撃ち込むなどの奮闘を見せるも、元々戦前や開戦後での演習や訓練で『敵性戦闘機が健在な状態』『味方機との連携が取れない状態』『少数機で敵艦隊へ攻撃せざる負えない状態』等々、兎に角母国日本や同盟国アメリカの軍備を鏡として、自軍にとって絶対的に不利な状況でも確実に戦果を挙げられる様に機動部隊の艦載機部隊は開戦前から予算の許す限り連度強化に狂奔していた為、大した効力は発揮しなかった。因みに日本軍の良癖であり悪癖でもある通称『キチガイ練度』と言う日露戦争頃に勃興した『伝統』が日本軍全体に染みついたのは、大体この時の艦載機部隊の連度強化訓練のせいだといわれている。江戸時代から続く『職人魂』等の例から、こういった行動は日本人にとってはただの本能的行為でしかないと言う説も中々に強いが。

四方八方から自由自在に襲い掛かる『流星』からの雷爆撃の前に『キング・ジョージ・五世級』戦艦は、艦隊陣形を崩されていた上に殆ど間を開けずに『流星』が連続的かつ正確に投弾した為に、ほぼ全ての戦艦が同時に被弾、被雷した。そして前述した様に『日米と比べて対空火力が低く』『水平防御と水線下の防御が弱い』KGV級戦艦にとって、航空機による雷撃や爆撃はある意味大和型戦艦やアイオワ級戦艦以上に相性最悪の強敵であった。

ネームシップである『キング・ジョージ・五世』には雷撃が三本、爆撃が二発命中した。しかも命中箇所は戦場の偶然からか全て艦艇前部の第二砲塔付近に集中しており、日本製高性能魚雷はイギリス製防御壁を苦も無く食い破り、艦内にて炸裂。ダメ押しの急降下爆撃こそ雷撃が『効き過ぎた』事も有って少々無駄になった感が見られるも、第二砲塔に搭載されていた砲弾群にも誘爆した為に船首部分が全て消し飛び、雷撃体制に入っていた『流星』が慌てて攻撃中止し、空中に退避後『戦艦って、こんなに沈みやすい物だったのか』と呟かれた程に急速に沈んでいった。そしてその茫然とした呟きは、この海域の其処彼処で同時多発的に呟かれていた。

献身的に空母部隊を守っていた『チャールズ・ウィリアム・ヴェーン』には既に流れ魚雷が二発艦尾部分に命中しており、右舷側のスクリューが破壊されて速度が激減した上に左旋回しが出来なくなっていた所に爆撃が4発命中。内二発が水平装甲を貫き機関部で炸裂し、排水ポンプなどの機能が停止。『脅威無し』と見限られた『流星』隊が他戦艦を襲い続ける中、『チャールズ・ウィリアム・ヴェーン』は周りの喧騒を余所に静かに沈んでいった。

哀れを極めたのは『ハウ』であった。第一次攻撃隊からの被弾を最小限に抑えた為に『プリンス・オブ・ウェールズ』に次いで比較的多くの対空火器が生存していた『ハウ』には、『キング・ジョージ・五世』があっさり沈没した事も有り多数の『流星』が殺到。爆撃こそ全て回避するか水平装甲で何とか弾き返したものの、自艦の進行方向目がけて放たれた
両舷から迫る多数の航空魚雷は、どうやっても避けようが無く、最終的に雷撃八本が命中と判定されていた。『判定』止まりで確定では無いのは、『流星』隊が雷撃成功と喜ぶ中一瞬で爆沈した為であり、救助された『ハウ』の乗員2名も『被雷したかと思ったら次の瞬間には凄まじい衝撃と共に気を失い、気付いたら日本艦艇のベッドの上だった』と言う
証言であり、正確には分からなかった為である。

514 :641,642:2016/01/27(水) 20:58:56


姉妹艦が次々と脱落する中、唯一気を吐き、最後まで奮闘したのは『プリンス・オブ・ウェールズ』であった。初陣の対オランダ本国艦隊戦で早々に大破し多数の乗員が戦死すると言う散々な始まりのこの戦艦だったが、その大破後の修理で対空火器が比較的新型かつ有効的な物に早くから換装されていて、乗員がその火器の扱いに熟練していた上に、大破した影響からか今までイギリス人から『不幸艦』呼ばわりされていた程に繰り返し不調や事故を繰り返していた機関等の各種設備も、今回ばかりは乗員が『POWは今、初めて戦艦へとなった』と言ったまでに今までの不調がまるで嘘の様に快調に動き続け、更には初めに『流星』隊から挨拶代わりに受けた雷撃二本と爆弾一発が不発で終わると言う『不幸艦』の異名が完全に詐欺になる奮戦と幸運ぶりを日本人に見せつけた。

ただ、いくら『プリンス・オブ・ウェールズ』が力戦奮闘しようとも、所詮はたった一隻の戦艦でしかない。艦隊決戦で有ったら奇跡の逆転勝利と言う可能性も一応零では無いが、今回の戦場は航空戦である。連合国内では優秀な対空火器を揃えていたとは言え、雲霞の如く襲い掛かる『流星』の大群の前に『プリンス・オブ・ウェールズ』が膝を屈するのは、
時間こそかかりはしたものの、必然的であった。ただ『プリンス・オブ・ウェールズ』の乗員にとって唯一救いとなったのは、敵手である日本人が『プリンス・オブ・ウェールズ』の奮戦に敬意を表した上に、一切脚色せずに有りのまま彼らの奮戦具合を世界に伝えてくれた事だろう。


そしてイギリス機動艦隊が二度の猛攻によって壊滅する中、少し離れた海域では『ネルソン』を旗艦とした別機動部隊が、輸送船団がアンダマンニコバル諸島に寄港した為に一時護衛から離れられた『飛龍』『蒼龍』に加えて飛鷹型軽空母6隻からの反復攻撃で徹底的に叩かれ続けていた。元々ネルソン級戦艦は最大速力が25ノットにすら届かない低速であり、尚且つ自国の将官からすら『低速時の運動性能は劣悪』『水線下を含む大部分の防御力不足』『艦艇後方への砲撃力は絶望的』と言う散々な言われ様であり、付き添ってきたコロッサス級軽空母『オーシャン』の艦載機も『飛龍』『蒼龍』所属の『烈風』隊に一瞬で蹴散らされ、本隊と比べたら連度的に劣るとされていた飛鷹型軽空母の艦載機隊も世界的に十二分に一線級を名乗れるだけの連度を有していた為、『飛龍』隊と『蒼龍』隊が操る『流星』隊の猛攻と合わせて、イギリス別機動部隊が壊滅させられるだけの破壊力は必要十分であった。




最終的にイギリスインド洋艦隊は、奇跡的に逃走に成功した少数の駆逐艦とロンドン級重巡洋艦『シュープロッシャー』を除く多数の艦艇をインド洋に喪失若しくは損傷放棄する大損害を受け、字義道理に全滅した。『第四次カリブ海海戦』と合わせて、この損害は連合国の海上戦略を根底から崩壊させる物であり、その事から盟主のソ連による発言力や圧力が今まで以上に増して一部国家間で不和が発生する等の連合国側に対して予期せぬ副次効果が生まれたりもしたが、そんな事は知る由も無い、日本軍を主力とする枢軸軍西方方面軍は潜水艦以外の脅威は消え去ったインド洋を『御神島型強襲揚陸艦』を筆頭とした輸送艦で押し渡り、『インド洋海戦』で友軍が成し遂げた『世界初の航空攻撃による作戦行動中の敵戦艦撃沈』の戦果に『次は我らが』と意気込み、当初の作戦通りにチッタゴンとヴィシャーカパトナムへの強襲上陸を敢行する。そして彼らの意気込み通りに始まった『南アジア電撃戦』では、後にアメリカ軍がブリテン島で体験する悪夢が日本軍やタイ軍、フィリピン軍にも襲い掛かるという事に、この時の枢軸軍は知る由も無かった。

515 :641,642:2016/01/27(水) 21:01:12

尚陸軍部隊がインドの人間の海に頭を抱えだす頃、満を持して出撃したのに全ての獲物を艦載機部隊に持って行かれた大和型戦艦部隊だが、戦艦部隊の血判状事件などのゴタゴタの末最終的に上陸部隊支援の為の艦砲射撃後、弾薬の許す限りビルマからインドに至る海岸線に存在する連合国側拠点を艦砲射撃にて灰塵に帰していた。その中にはセイロン島やイギリス海軍の秘密基地として整備されていたアッドゥ環礁も含まれており、その際停泊していたロンドン級重巡洋艦『シュープロッシャー』を環礁内にて撃沈しており、現在は一種のアトラクションの様な存在として、安全に整備された上でアッドゥ環礁内にて自由に見学出来るようになっている。



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516 :641,642:2016/01/27(水) 21:04:06
はい、以上になりまするー。

…ホントにスマンなイギリス。どう足掻いても今回みたいに『流星』に蹂躙されるか、大和型に消し飛ばされるかしか無かったんや…

今ちょっと眠気凄いのでちょいと転寝してますわ

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最終更新:2016年10月13日 17:04