854 :陣龍:2016/03/15(火) 22:04:33
日米蜜月(ユーラシア共産化)ルート考察擬き

大戦に置ける主要会戦記録 『第二次世界大戦~枢軸軍の大反攻~(日本帝国軍編その3)』


『スエズ運河打通作戦 ~砂漠のキツネと南アジアの虎~』


日本軍、そしてタイ軍、フィリピン軍によって南アジアに配備されたイギリス軍を主体とする連合軍は壊滅した後、戦力の再配置をさせるまえにスエズまで占領しようとした日本軍に対して、様々な理由によって中東方面に留め置かれていた『世界最強の大隊長』エルヴィン・ロンメル中将率いるドイツ機甲師団とソ連軍精鋭部隊、マレー半島とインドで勇名を馳せた『南アジアの虎』山下奉文中将が率いる諸兵科連合師団による砂漠地帯での激戦となった戦い。最終的に補充能力で圧倒する枢軸側の勝利に終わるも、慣れない砂漠地帯での戦闘による損耗に加え、ロンメル将軍による巧みな戦闘指揮により相応の損害をドイツ軍に与えたとはいえ自軍も多数の兵力を失っており、交戦した日本軍からは『試合には競り勝ったが、勝負では完敗だった』と言うある意味ドイツ軍とソ連軍にとって最上級の称賛に等しい感想が抱かれる事となった。


インドに投入した共産英国陸軍の兵力が砂漠に水を投げ込む様に溶けて行った末、結局日本軍を主体とする枢軸軍はインドの完全開放を宣言するに至った。イギリス軍…否、イギリス政府は体面と実利、そして歴史的要因によって最後の最後までインドに固執し過ぎたせいも有り、最終的には中東方面の兵力が一部の鉄道移動する治安維持任務の軽装歩兵のような存在を除けは実質的に空っぽに近い状態にまでこの方面の兵力を減退させていた。引き際を誤るどころか引く事すら考えずにイギリス陸軍と言うチップをインドと言うテーブルで賭け続けた結果とはいえ、無残な結末であった。そうしてある意味イギリス軍の自爆とも言える行動のお陰で戦略的に大分楽が出来る様になったと判断した日本軍は、余勢を駆って中東方面へと進撃するも、そこでは新たな脅威が待ち構えていた。正確には『そこで待ち構えるしか無かった』と言うべきだろうが。

南アジア方面のイギリス陸軍高級将官が軒並み日本軍とフィリピン、タイ連合軍に討ち取られるか捕縛される惨状の結果繰り上がりで中東方面の共産連合軍の指揮を任される事になったドイツ軍所属のロンメル中将。彼は本来はとっくにインド入りして日本軍と戦っている筈だったのだが、イギリス政府が『イギリス人の手でインドを取り戻す』と言う現実無視の方策を進めていたせいで中東に留め置かれていた。そのお陰でインドで次々と蒸発するイギリス軍に巻き込まれる事無く難を逃れられたばかりか実質的に自由に日本軍と戦える状況が作られたと言うのは色々な面で皮肉である。また同じ理由、そして慣れない中東の気候で政治将校が全員本国に搬送されるばかりか一時的に兵員の体調も悲惨な事になっていた為に中東に滞在していたソ連軍が『ロンメル将軍なら』と言う理由で指揮権を預けて来たのもロンメル中将にとってうれしい誤算だった。中東に派遣された彼らソ連軍は、クレムリンが何を考えていたのかは分からないが、ロシア人らしく兵員の大半がウォッカ好きなのを除けば上下ともにかなり優秀な部隊で編成されていた。少なくともロンメル中将の戦闘に十二分に着いて行けた事が、彼らがこけおどしや張り子の虎では無かった事を証明している。

855 :陣龍:2016/03/15(火) 22:07:13
一方俄か仕立ての筈なのに息の合った連携を取る精鋭独ソ軍と戦う日本軍に関してだが、こちらに関しては少々驕っていた部分が見られていた。インドシナでは相手の自滅とも言うべき行動によって共産軍が現地軍に叩き出された末に塗り絵するだけに終わり、マレー半島では海上からの濃密な支援の下、激戦とは言え短時間でシンガポールまで一点突破に成功し、誰もが難関だと考えていたビルマとインドでは、ビルマ方面で一部イギリス陸軍の名将『クルード・オーキンレック』による苛烈な防衛戦で戦術的に一敗地に塗れた物の、全般的には日本軍の優勢に他ならなかった。
むしろインドではイギリス軍よりも指数関数の勢いで味方として膨れ上がったインド人の方で頭を抱えさせられた。この様な戦闘経緯では驕り高ぶらない方がおかしいと言うべきであろう。彼らは軍神でも仮想の物語の英雄でも何でもない。軍服を着て、武器を持ち、訓練を受けただけの普通の人間なのだから。

対地砲弾が弾切れ寸前になるまで最終的には南アフリカに至るまで長躯遠征して砲撃し続けた大和型戦艦部隊が、いい加減補給しなければならなくなったのと対地砲撃で多少は気の晴れた面々の和やかな笑顔の元爽やかかつ鮮やかに撤収して行ったのを横目に、日本軍は飛鷹型戦時急造軽空母や最上型重巡洋艦、そして残弾が多く残っていた旧式戦艦の『扶桑』『山城』『長門』『陸奥』等が援護に付いた上で今度はケシュム島に上陸し、哨戒基地要員以外は殆ど存在しなかったこの島を制圧。多数の航空機を運び入れて中東に対してプレッシャーを掛ける事を目的としていたこの作戦は、元々この島は欧州にとってかなりの僻地扱いでまともなインフラが整っていなかったのは日本軍の機械力でどうとでもなるので兎も角として、想像以上に過酷な気象環境によって早期に制空権を確保してプレッシャーを掛けるのは早々に頓挫する羽目になる。航空機も整備兵もパイロットも、事前に予習して来ていたとは言え日本とは全く違う環境相手に苦戦し、悲鳴を上げていた。砂塵が舞う環境での航空戦など元々の想定戦場は草原が広がる満州などの中華大陸方面と海上が基本だった日本軍にとって、この砂漠地帯での戦闘は想定外かつ未知の代物以外の何物でもなかった。物的な準備は可能な限りして来ていたが、人員の方が完全には対応しきれていなかったのだ。

そして戦争では常に絶対的に制空権を確保するか、そうでなくとも優勢な状況下で戦ってきた日本陸軍は初めて不十分な制空権と航空偵察の元で連合軍と戦う事になるのだが、敵手の連合軍は先に中東地帯にそれなりの時間駐在して居た為に日本軍よりも多くの砂漠地帯での教訓や経験を豊富に持っており、航空機もドイツ本国が生産する端から送り込んでくる『Fw190A』に加えて『Fw190D』型の先行量産型も根こそぎ持ち込んでいた。
『Bf109』シリーズは既に時代遅れと判断された為にラインを閉じてまで生産したこの時のドイツ空軍の戦力は決して侮れるものでは無く、陸軍部隊と同じく日本軍よりも先行して中東地帯に来て居た為に砂塵地帯での前線、後方それぞれの『戦い方』もその身で持って会得していた。戦車に関しても『T-34/85』『Ⅳ号戦車H型』に加えて『Ⅴ号戦車パンター』が纏まった規模で稼働状態にあった。ドイツに関しては本国配備の戦車が『Ⅲ号戦車J型』や退役状態の『Ⅰ号戦車』『Ⅱ号戦車』、輸送問題で留め置かれたごく少数の『Ⅵ号戦車 ティガー』しかいなかった時点で、ドイツがどれだけ中東に力を入れていたのか、そしてドイツの国力が限界だったかが分かるだろう。

856 :陣龍:2016/03/15(火) 22:09:40
後世ドイツの一部団体では共産軍に与した事に加えて中東に多数戦力を派遣して日本軍に打撃を与えた事を殊の外非難しているが、当時のドイツ政府としては中東の石油を長時間確保しなければこの先どうなるにしても選択肢が大きく狭まると考えており、また日本軍にドイツが『共産軍の有象無象の一種』で無く『勇敢なるドイツ騎士』である事を教えて『ドイツは使える』と言う事を印象付かせようと狙っていたと言う都市伝説の様な未確認情報がある。何も出来ずに転ばされる様な赤子では交渉も何もあったものではないが、少なくとも銃を持って戦える気概と意気、そして能力を見せれば
交渉できる可能性も出てくる。ある意味国家としては普通の考えからである。特にこの時交戦した日本軍はお誂え向きに『忠義』や『孤軍奮闘』と言った物が大好きな国家国民の軍隊だったのだから、仮に一部団体の言う様にまともに戦わずに逃げるような行為をしていたら日本軍のドイツへの印象は最悪になっていただろう。

兎も角今までの戦果でやや慢心に近い状態の日本軍に対して精鋭独ソ陸軍が急襲を掛けると言う図式で始まったこの中東攻防戦では、慣れない砂漠地帯での戦闘、故障と発動機不調等を連発する戦闘機が続出したせいでの今までにない不完全な制空権、そして『史上最強の大隊長』エルヴィン・ロンメル中将の巧みな戦闘指揮で、初めに先鋒として派遣されて独ソ軍と接敵した日本陸軍機甲師団が壊滅寸前の大打撃を受けて敗走すると言う波乱の幕開けで始まった。
日本戦車の『九七式中戦車 チハ』は攻防走全てがバランスのとれた良い戦車であったのは確かだが、今まで戦ってきた『英国面』呼ばわりされるほど中途半端な性能のイギリス製戦車とは全く違って『T-34/85』『Ⅳ号戦車H型』は『九七式中戦車 チハ』とやや劣勢ながらも撃ち合える性能を持ち、『Ⅴ号戦車パンター』に至っては乗員次第では互角以上に渡りあえかねない良戦車だった。日本軍は初めて本当の意味での『陸戦の恐ろしさ』を知ったと言えるかもしれない。

事態を重く見た前線指揮官の山下奉文中将は、その能力の高さから首輪を嵌めて引っ張り出された末に後方の政治的折衝に駆り出されて今以上に毛根が死滅しかけている東条英機大将に正確な状況報告を行って更なる東条の毛根への打撃を与えつつ、様々な増援、特に航空機が砂漠地帯で確実に戦えるような装備の補充を要請した。そして増援にはインドでの掃討戦が終了した部隊が、現地インド人鉄道員の協力を受けて次々と運ばれてくるも、航空機関係の方はそう易々とは
いかなかった。ハード面は兎も角として、根本的問題は『砂漠地帯への戦訓がほとんどない』と言うソフト面での問題で有る為だ。余りにもインドでの戦闘が収束するのが早すぎて、砂漠地帯での戦訓を十分に得る前に独ソ軍と交戦してしまったと言う皮肉的な状況だった。かと言って独ソ軍よりも額面上の戦力としては日本軍の方が優勢で有る為、流石にそう易々と撤退して占領地を明け渡す訳にも行かなかった。

857 :陣龍:2016/03/15(火) 22:12:07
そう言った状況下にて、数的優勢を誇るはずの『南アジアの虎』山下奉文中将率いる日本軍は、その巨体が災いして正しく『砂漠のキツネ』の如く神出鬼没に暴れまわるエルヴィン・ロンメル中将率いる共産軍に何度も苦杯を舐めさせられる事になる。戦後に公開された資料では共産軍も終始補給不足に悩み、何度砂漠の海に沈めても押し寄せてくる日本軍の物量攻勢の前に内情は時間が経つにつれてどんどん疲弊し、スエズ運河方面に押し込まれて行ったのではあるが、当時戦っていた日本軍にとっては『砂漠のキツネを追い詰めたと思ったらこっちが追い詰められていた』と言った戦闘が頻繁に発生しており、戦後公開されたドイツ軍の損耗が書かれた資料を見ても山下中将含めて中東戦線の日本軍将兵は理解はしても納得は出来ていない状況だったとか。
それだけ、ロンメル中将の戦闘指揮は巧みで有り、自軍の不利を感じさせない巧妙さだった。

だが時間は枢軸軍の味方であり、遠く向こうのブリテン島ではアメリカ軍が上陸後イギリス本国軍と激闘を繰り広げている中、中東でもソフト面での砂漠戦対応がようやく完全に出来た日本軍の全面攻勢の前に、既に補給も損耗も限界一杯で実質的にロンメル将軍の戦闘指揮頼りだった中東共産軍は戦術的勝利を繰り返しつつもスエズ運河目指して撤退する他無く、やっと本来の性能と稼働状態を取り戻した日本軍の航空機が中東の空を乱舞するに至れば、戦局の天秤は一気に日本軍に傾いた。たった一人の英雄では、近代戦に於ける戦略的絶対的不利を覆す事は出来ず、出来たのは時間稼ぎが精いっぱいだったのだ。


『砂漠のキツネ』と『南アジアの虎』による最後の決戦は、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教の聖都であるエルサレム近くに存在する死海とヨルダン西部の都市『マダバ』との間で発生した。本来はロンメルの巧みな遅延戦闘の結果、日本軍に共産軍が捕捉されるのは共産海軍からの支援砲撃を受けられる地中海沿岸部の筈だったのだが、日本軍は輸送機どころか長距離飛行可能な航空機全てを空中補給に投入しての強行追撃を決行。多数の遺失物資が出るも物量でゴリ押しして
戦闘部隊への補給を間に合わせ、ロンメル将軍率いる共産軍を捕捉したのだった。後に様々な議論が起こるも『ロンメルを欧州本土に逃せば、きっと欧州本土に上陸した枢軸軍の損害は数割増しどころでは無く最低倍以上に増大しただろう』と言う山下中将の一言には、誰も反論出来なかった。『日本陸軍を恐れさせたのは二つしか存在しない。日本帝国の大蔵省とドイツ陸軍のロンメル将軍だけだった』と言うとある小説家の一文は、この時の日本軍中東方面部隊の思いを代弁しているだろう。

歴戦だが疲弊しており数的にも劣勢な共産軍では、追撃で士気の上がる日本軍の大群を支えきるのは到底不可能だった。共産軍の航空支援も性能、稼働率ともに復活した『隼』『烈風』の前に徹底的に遮断され、ルフトバッフェが操る『フォッケウルフ』の神通力も既にドイツ人、ソ連人エース達と共に消え去った。万策尽きたロンメル将軍が出来た事は、最後の意地で稚拙にも先行して突入してきた日本軍機甲師団を半壊させただけであり、後は名誉の降伏を行うしか選択肢は無かった。

858 :陣龍:2016/03/15(火) 22:14:53

『砂漠』と言う特殊環境、そしてドイツとソ連の二大陸軍大国の精鋭部隊、そしてなによりエルヴィン・ロンメル中将の存在によって、日本軍は中東で多数の戦力を損耗させるも、痛手では有るが国力的にはそこまで大きい物では無かった。だが『九七式中戦車 チハ』では既に、力不足とまでは言わないが敵軍の戦車に対して性能は互角相当まで迫られているという現状は、共産国家の技術や経済力を何処か侮っていた政治家や技術者を驚愕させ、アメリカではAGFが大反対しているのを他所に急速に新型戦車の開発、製造促進を行っていくことになる。量産されつつある『一式中戦車 チヘ』では性能不足と断じられ、『第二次世界大戦型主力戦車』と後世で呼ばれた『三式中戦車 チヌ』へと生産ラインをすべて変更する事になる。



なお余談だが、後にアメリカで蜂起した白人至上主義者が『アメリカに全てを押し付けて日本だけは良い思いをしている』と一方的に断じられたが、実際にはそんな事は無かった。特に資源や市場関係は兎も角として『インド』と『中東』と言うイギリスが大量に残していった政治的核爆弾を現地住民と一緒に解体すると言う政治的な大問題に日本は喉元までどっぷり浸かっており、ある意味普通の列強国に攻め込んだアメリカとは異質な面倒事を満身に抱え込む羽目に有っているため、衛星放送で占拠されたテレビ局からのその白人至上主義者の一方的な断罪を聞いた日本人は等しく『ふざけた事を抜かすな』と激怒している。その優秀さから陸軍大将なのに、いや大将だからこそなのか、日本政府に引きずられる形で政治的アレコレに首を突っ込まされた東条英機大将の悲哀を写真や映像で見た人間なら、その様な妄言は言うはずが無かった。因みに東条大将は性格は兎も角政治的にも軍事的にも極めて優秀なダグラス・マッカーサー将軍を、本国に手回ししてまでこの政治的アレコレの処理に引き摺り込んでおり、そのために良くこの二人の大将が写真に写っていたり一緒に新開発の即席めんをすすっている姿が目撃される等様々なエピソードが残っている。

そのせいで21世紀の日本では、『大戦略』シリーズのような硬派な戦略ゲームやNHKが誇る資金、技術、設備、そして新進気鋭のアニメーターが悪魔合体した結果世界規模でのヒットを飛ばして日本アニメの存在を世界に刻み込み、最近リメイクも決定した史上空前前人未到の世界的ギネス記録を持つ歴史学習アニメ『地球学園近代学部の勉学日誌』や史実エピソードをある程度改変しつつも忠実に再現した『ストライク・ウィッチーズ』の様な極一部の例外を除いて女性化した上で百合百合しい関係で描かれている事が多い。何時もの事と言えば何時もの事では有るが。

859 :陣龍:2016/03/15(火) 22:18:03
はい、以上になりまするー。六千五百字。うん、今回はすくないですね。
…今回は可能な限り縮めた訳では無くて中東方面が色々と訳分からんから何ですけどねぇ…。そういう訳で今回はロンメル無双(尚勝てるわけでは無い)でお茶を濁ささせて頂きました。多分違和感は無いはず…

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最終更新:2016年10月13日 21:04