31 :陣龍:2016/06/21(火) 20:26:25
日米蜜月(ユーラシア共産化)ルート考察擬き

大戦に置ける主要会戦記録 『第二次世界大戦~終演の序曲~』


『イタリア半島攻防戦 ~ローマの栄光、未だ滅びず~』


『あのソ連兵共は、マトモな戦い方も知らないようですな』

『ならば近代戦と言う物を教育してやろう。何、古代ローマ時代からイタリア人は何も知らぬ蛮族に芸術と言う物を教えて来たのだ。今からやる事も、千年以上の昔と変わらない事だ』

『ならせめて授業料くらいは頂戴したいものですなあ』

『ソ連兵の命では不満か?』

『全く持って足りませんね。上手いパスタにピッツァ、洒落たスーツにイイ女。この程度は欲しい物です』

『今のソ連に要求しても出てくるのは、水増しウォッカに冷めた麦粥、ボロイ軍服に痩せた男のソ連人だけだぞ』

『ちくしょうアカ共め!絶対俺は許さない、許さないんだからな!そして俺がモテる為の糧となれソ連兵!!』

『………こんな兵士で大丈夫なのか、これから戦争すると言うのに』

 ~~アルプス山岳要塞に対して人海戦術で進行するソ連軍を見て、要塞警備に付くイタリア兵が交わしたとされる言葉




共産連合とイタリア国境線にて発生した武力衝突を切欠としてソ連軍主体の共産軍が『中立侵犯』を名分としてイタリア半島に侵攻しようとするも、既にアルプス国境地帯に準備されていた補給拠点と重厚な山岳要塞、そして祖国、故郷防衛で士気が最高潮状態のイタリア兵による獅子奮迅の戦闘、加えて日米による戦略爆撃の影響で補給が減少傾向にあったソ連軍内部の事情も有り、電撃的侵攻制圧を意図した共産軍の思惑は早々に破綻し、余計な戦線を抱え込むだけの無意味かつ害しか無い結果を齎すだけに終わった。尚地中海に残存していたイギリス地中海艦隊が欧州本土に逃げ込んだイギリス共産党政権の命令でイタリア首都ローマへの砲撃を意図して出撃した物の、全力出撃したイタリア艦隊の猛反撃、そして戦闘中に乱入してきた日本海軍旧式戦艦部隊による艦隊決戦で文字通り全滅した『シチリア島沖海戦』が発生したのもこの時である。


欧州大陸での戦争も後半を過ぎて終末期に差し掛かるか否かと言った頃、地中海どころか世界でも唯一の中立列強国であるイタリア王国は、逼迫する国際情勢を鑑みての国力と軍備の増強と更新に余念が無かった。軍事関係こそ不足する物が多いが、内政と外交に関してはイタリア半島の歴史の中でもトップクラスと称えられる程の才覚を持つ『ベニート・ムッソリーニ』の指導の元、イタリア王国は周囲が戦乱のエンジン音と銃声に包まれている中、着実かつ堅実に国力を高めつつあった。元手となる資産はイタリア領植民地リビアに存在した大規模油田と日系資本による良質な資金注入、そして戦争中の枢軸、連合双方に対する貿易による利潤であり、それによるイタリアンマフィアの殲滅による治安の向上や国内再開発により、今までの列強としてはブービークラスに貧弱だった基礎工業力は順調に強化されていった。因みにリビア油田の石油の山の恩恵を受けたのは経済界や国民だけでは無く、イタリア陸海軍にも主に訓練の為に必要とする石油が比較的豊富に与えられた為、混迷を極める世界大戦に対応出来るだけの各種訓練を行えることが出来ている。


勿論、順調に国力と工業力を伸ばし続けている、戦略的に重要な地中海の大部分が庭の様な存在である列強国家のイタリア王国を枢軸、連合の両陣営がほったらかしにしている訳も無く、第二次世界大戦開幕からずっと両陣営によるイタリアを自陣営に引き込むための外交合戦は続いていたが、イタリア王国首相『ベニート・ムッソリーニ』は上手い具合に両陣営からの誘いを煙に巻き続けていた。はっきり言ってイタリアに取って見れば連合に肩入れする理由など欠片も無いに等しいが、かと言って下手なタイミングで枢軸に入ってイタリアが連合に蹂躙されたら洒落にならない、と言う事である。それに第二次世界大戦が始まって中盤まで、つまり連合側の劣勢が明確になってくるまでは、連合つまりソ連からの交渉もそこまで活発では無かった。枢軸からは比較的活発では有ったが、求めたのはタイミングを見計らっての横撃で有る為、実際には貿易取引の話の件数の方が多かった位だ。

32 :陣龍:2016/06/21(火) 20:28:54

変化が訪れたのは、連合軍の賭けがいっそ清々しいまでに大失敗した『第四次カリブ海海戦』『インド洋海戦』の後からであった。連合軍の有力な高速海上戦力が見事に蒸発し切った為、連合軍は早急に海上戦力を補充しなければならなかった。だがドックでは現在も艦艇は多数建造中だが到底危急の様に耐えられる状況に無く、早急に戦力を欲していた連合軍、と言うよりソ連は辺りを見回し、直ぐ傍に地中海専用とは言え、多数の優秀な艦艇を保持しているイタリア王国に目を付けた。そこからはお分かりの通り、ソ連やイギリス、フランスの外交官や政治家が日参してイタリアに連合軍側に入る様に説得に入ってきた。彼らが繰り出す言葉や紙面上での連合軍側の言葉は、華美の果実以外の何物でも無かった。当然、『第四次カリブ海海戦』と『インド洋海戦』の顛末を知っているイタリア政府がこのような口車に乗る訳も無く、イタリア国民も戦争には乗り気ではない上に、連合側の美辞麗句を胡散臭い目で見て居た為に、交渉は速攻で暗礁に乗りあがっていた。

そうして連合とイタリアとの間で一切進展しない外交交渉が行われ続けている中、アメリカ軍によるブリテン島制圧作戦『Operation Enduring Freedom』と日本軍による『スエズ運河打通作戦』の完遂によって欧州大陸にも全方位から爆撃機が多数飛来し戦略的重要拠点を爆撃し始めるころ、イタリアは秘かに対連合との戦争を前提とした戦略を完成段階へと進めて行った。連合とイタリアとの国境線より一歩引いた場所に隠蔽した高度かつ重厚な要塞を建築し、ライセンス生産した『M4 シャーマン』や『九七式中戦車 チハ』を研究開発し、自国産戦闘車両の実戦配備とライセンス戦車の増産。新型航空機の開発を進め、WW2におけるイタリア空軍最優秀戦闘機に選ばれた『フィアット G.55 チェンタウロ』、最大750㎏まで爆装可能な上に『Fw 190A』となら渡り合える汎用戦闘爆撃機『Re.2005 サジタリオ』、イタリア発の4発型戦術用戦略爆撃機と言う歴史に残る謎ジャンル機種を生み出した『サヴォイア・マルケッティ SM.84』を生産し、戦力化していた。海軍に対しては特に言う事は無いが、海上航空戦力に関しては大型商船を改造した軽空母『スパルヴィエロ』と、日本がイタリア用に作り上げた設計図を買い取った上で自力建造に漕ぎ着けた中型正規空母『アクィラ』『ロンディネ』の三隻のみだった。とは言え、既存戦艦の多くを維持しながらも追加でこの三隻を保有出来たと言うのは、戦時特需に加えていくら増強されて居るとは言えイタリアの国力を鑑みれば、国民生活を圧迫しないギリギリのラインで相当頑張ったのだが。

そんな折、イタリア王国と連合との境界線にてとある事件が発生する。シベリア送りとなる予定の人間を集めた収容所から多数の人間が脱走。全方位に散らばった事、又ドイツや一部フランス人の意図的乃至意図無きサボタージュも重なって大半を取り逃がしたのだが、その内3割ほどの人間がイタリアへと逃げ込んだ。取り敢えずイタリア軍国境警備隊は『国境侵犯』名目でこの人間を保護し、移送したのだが、それに対してソヴィエト連邦筆頭の連合国は引き渡しを要求。これに対してイタリア政府は『国境侵犯の容疑について取り調べをする』と言う事にて兎に角時間を稼ぎ出し始めた。未だ連合に対して戦争を吹っ掛けるには戦力がそこまで揃っていないとイタリア政府や国民どころか軍すらもそう認識していたし、かと言って今引き渡したら外聞的に問題大ありだった。その為言を左右にしてソ連からの声高な要求をのらりくらりと躱し続けていたが、ある日判を押したかのように同じ事しか言わない外交交渉の場で、ソ連はイタリアに対して中立法違反の証拠として『イタリアによる連合への破壊工作』と『イタリア軍の対連合軍との戦争時の戦略設計の断片』を突如突き付け、『直ちに連合軍に加盟』するか『連合への脅威が無いまでの軍備縮小並びにイタリア国境地帯に設けられた要塞の破壊』を要求し即時返答を要求。イタリア外交官も粘りはしたが、対イタリア開戦する決意を固めたソ連に対しては、殆ど意味が無かった。

尚、この時に連合から出された中立法違反の証拠となった『破壊工作』と『対連合軍戦争戦略』に関してだが、前者に関しては旧ポーランド軍主体で作り上げられた『欧州解放同盟』による破壊活動を、被害を調査したソ連が何故かイタリアによる仕業と誤認した事。そして後者に関しては、ムッソリーニによる赤狩りを奇跡的に逃れた共産党シンパによる成果である。後者のイタリア半島にしがみ付くアカ共は、開戦後の再粛清で今度こそ壊滅するのだが。

34 :陣龍:2016/06/21(火) 20:31:16


連合からの宣戦布告後即座に始まった、イタリア半島に対する総攻撃。一説には『イタリアを先に勢力下に収めて枢軸軍の攻勢を受け止める縦深へとする』目的だったとも『ソ連軍は階級の上下問わずにイタリア兵の弱兵を信じていた』と言う真偽不明な話が有る位には、ソ連が終戦前に機密文書を多数処分し続けていた事から正確な情報は少ない為に、今回は主にイタリアの情報を元に記すが、早期制圧を目論んでいたらしいソ連軍と東欧軍主体の連合軍による初期攻勢は、連合軍にも枢軸軍にも、それどころか戦争当事国で有るイタリア王国は愚か最前線で防戦していたイタリア兵すらも初めは誤報で無かったかを疑うまでに、完膚なきまでに失敗した。詳細を調べてみると、確かに数的には国境要塞に籠るイタリア軍の5倍以上の兵力を連合軍は叩きつけてきたが、投入された連合軍の兵士の質や士気は正直宜しくないレベルであり、対するイタリア軍はアルプス山岳地帯と言う天然の要害に作られた巧妙な要塞と言う地形効果だけでも頭が痛くなる代物だったのに加えて、当時のイタリア軍の有していた備蓄物資や兵站能力に一流列強と言えるだけの正面装備、そして祖国防衛で目に炎を灯らせるイタリア兵と言う、冷静に考えると『当然の結果』であった。ただ、国民どころかイタリア軍すらも自認しかけているまでの『イタリア兵の弱さ』と言う負の信頼感を払拭出来るまで、自信を積み重ね切るまでには行かなかったが。

『敵兵の軍装を強奪後、何食わぬ顔で敵陣地に侵入して敵重要拠点を偵察し気付かれないまま無傷で撤収』『戦闘中に捕虜になるも、移送中に脱出して敵軍の戦車を奪取、序に敵軍弾薬庫も爆破して敵軍中央突破後味方陣地に帰還』『落伍した友人の陸兵を救う為に戦闘機一機で突入し、機銃掃射で敵兵を追い散らした後着陸して救出と脱出に成功する』等の後世のFPSやハリウッド映画でもおなじみとなる嘘のようなホントの伝説をちょくちょく発生させつつも、稚拙な物量突撃しか出来ない連合軍に対して、イタリア軍による防衛戦は極めて有効的に機能していた。基本的に攻勢側に不利な地形である山岳を攻略するには、陸兵に加えて航空戦力による攻撃が必要不可欠なのだが、此方に関してもドイツ、フランス空軍はブリテン島から無数に飛来するアメリカ軍機の防衛に手一杯な上に最新鋭機は必然的に此方に吸い取られ、イタリア攻略軍に投入された機体は一段劣る機体で有る事が多い上に、速成教育のお陰でこちらも最低限の技量しかないパイロットが多かった。当然、数的には劣勢では有るが中身の質が段違いである上に、機体性能も相対的にワンランク上のイタリア空軍の方が、戦局を優位に展開していた。反撃で敵軍の頭上に銃爆撃するのも日常茶飯事である。


陸地ではソ連+東欧諸国主体である連合軍新米将兵の悲鳴がとどろく中、海の方ではイギリス地中海艦隊に属し、現在ではフランスのツーロン港に逼迫していたクイーン・エリザベス級戦艦を複数要する打撃艦隊が抜錨。連合国沿岸を航行しながらイタリア王国首都、ローマへの砲撃を目論んでいた。当然ながら、この戦闘行動を指示した殆ど形骸化し切ったイギリス正統政府は兎も角、この臨時打撃艦隊を指揮していた司令官は、この行動に賛同している訳では無かった。後に回収された航海日誌には『もはやこれ以上の戦闘継続になんの意味が有るのか。私は結果がどうなるのか知りながらむざむざ部下を死地に送り付けた愚将にはなりたくない』と言う本音が書かれていた位には。出撃命令に従ったのも、一部兵士どころか僅か一隻とは言え駆逐艦の枢軸に対する逃亡が発覚した為に、それを予防する為にも政治士官が乗り込んでいた為に過ぎない。後は『元』ロイヤルネイビーとしての意地だろうか。

編成としては、クイーン・エリザベス級戦艦『クイーン・エリザベス』『バーラム』『ヴァリアント』『マレーヤ』リアンダー級軽巡洋艦『リアンダー』『アキリーズ』『ネプチューン』『エイジャックス』C級駆逐艦12隻。空母は全て全滅して居る為、海上航空戦力は文字通り無し。リアンダー級軽巡洋艦にはそれぞれ一応水上偵察機が存在するものの、烈風や疾風の陰に隠れて存在感が泣けるまでに薄く、日本海軍が開発したものの生産自体は少なめに抑えられた悲劇の機体である、250㎏爆弾を抱えて急降下爆撃可能な高性能水上機『瑞雲』とは違い、ごく普通の偵察しか出来ない水上機である。例え瑞雲相当の水上機だったとしても、僅か4機で何かできるとは到底思えないが。

35 :陣龍:2016/06/21(火) 20:34:30
対するイタリア海軍だが、イタリア海軍最強かつ最新鋭戦艦であるヴィットリオ・ヴェネト級戦艦『ヴィットリオ・ヴェネト』『リットリオ』『インペロ』『ローマ』中型正規空母『アクィラ』『ロンディネ』ザラ級重巡洋艦『ザラ』『ポーラ』一番艦の名前がかなり長いのと重巡並みに重い船体重量と言う二点で遠く極東某国のとあるブラウザゲームでつとに有名であるルイジ・ディ・サヴォイア・デュカ・デグリ・アブルッチ級軽巡洋艦『ルイジ・ディ・サヴォイア・デュカ・デグリ・アブルッチ』『ジュゼッペ・ガリバルディ』マエストラーレ級駆逐艦6隻、アルフレード・オリアーニ級駆逐艦4隻。残りの艦艇は殆ど例外無く対連合軍に対する対地攻撃任務に従事しているか、今なお訓練中である。艦載機に関しては、新規開発する暇が無かった為に『Re.2005 サジタリオ』を改造して使用しているが、どういう訳か『サジタリオ』に関しては艦載機化との相性が良かったらしく、連合国で発生した脚部問題等は殆ど発生していない。付け加えるとこの艦載機化『サジタリオ』、イタリア流職人魂が発揮された結果爆装のみならず雷撃装置すらも取り付けられた、後世『レシプロ界のレガシーホーネット』と呼ばれるまでの汎用性を確保するまでに変貌を遂げており、お陰でこの機体を見たとある極東の飛行機狂いの企業が大暴走する切欠ともなっている。高性能化する分、しっかりと調達費用に響いているが。因みにこの時点でのイタリア軍用機のエンジンの多くはカナダに存在していたマーリン、グリフォンエンジンや日米の大型空冷エンジンを、それぞれの用途に応じてライセンス生産して運用している状態で、イタリア航空産業が有力な物となるのは戦後になってからの話である。


沿岸部を航行して陸上機の援護を受けつつ進撃するイギリス地中海艦隊に対して、イタリア海軍史上初の艦載機攻撃が開始される事によってシチリア島沖海戦は開幕する。連合国からの唐突な宣戦布告と猛攻によって混乱していた事も有って、イタリア海軍の偵察や行動が後手後手になったのと、腐っても鯛であるイギリス海軍の欺瞞行動によって、イタリア海軍がイギリス地中海艦隊に接触したのは夕刻に入るか否かという時間帯で、仕掛けられた航空攻撃は僅かに一度だけだった。だが、初陣かつ夕刻での攻撃、そして陸上機による妨害が存在した状態で有るにも拘らずイタリア人パイロットはそれなりに奮闘し、軽巡洋艦『リアンダー』』『ネプチューン』C級駆逐艦2隻を撃沈若しくは大破戦線離脱させ、戦艦『クイーン・エリザベス』には副砲を全て爆砕させる戦果を挙げた。その後の攻撃隊の収容が完了する頃には殆ど周囲が暗闇になりかけていた状況の為に全力で灯りを灯しててんやわんや状態の空母『アクィラ』『ロンディネ』を他所に、空母二隻を分離した戦艦『ヴィットリオ・ヴェネト』を旗艦としたイタリア打撃艦隊は、勇躍イギリス地中海艦隊に向けて進撃を開始。対するイギリス海軍ももう後には引きようが無い状況の為、このイタリア艦隊からの挑戦状に対して真っ向から受けて立った。

周囲が完全に暗闇に包まれた地中海にて、最初に敵艦隊を捉え、砲撃を開始したのは、やはり先に戦争を始めた事も有って一日の長のあるイギリス艦隊だった。装備するレーダーによって大型の反応を探知したクイーン・エリザベス級戦艦の砲撃によってイタリア艦隊の周囲に水柱が立つ中、ヴィットリオ・ヴェネト級戦艦も負けじと応射を開始。そしてこのイタリア戦艦の砲撃は、イギリス艦隊が予想して居なかった程の至近弾を多発させた。政治士官がマグレだナンダと喚き立てる中、第三射目のイタリア戦艦の砲撃が戦艦『マレーヤ』に対する夾叉を発生させ、尚且つ逆探に反応が有った事から、この時になって連合国はイタリアが有効なレーダーを開発、配備している事に気付くも、既に砲撃戦で組み合っている上にクイーン・エリザベス級戦艦はヴィットリオ・ヴェネト級戦艦よりも6ノット近く遅い為、艦隊運動で如何にか出来る状況では無かった。因みに、連合軍がイタリア海軍の電探配備状況を知らなかったのは『イタリアは弱敵』と見縊っていた上に枢軸軍の脅威に対処する方が優先された為に情報収集が後回しにされたのと、イタリア戦艦にレーダーが実装されたのは徹底的に機密にされた為でもある。

36 :陣龍:2016/06/21(火) 20:36:41
そんなイギリス地中海艦隊の事情など知った事では無いイタリア海軍、旗艦である『ヴィットリオ・ヴェネト』を先頭にして砲撃を展開する中、『バーラム』の砲撃がイタリア戦艦『リットリオ』に二発命中。その二発は綺麗に第一砲塔の側面に命中し貫徹、爆砕。綺麗に爆砕されたが為に航行には全く支障が無い状態では有ったが、この損害を皮切りにイギリス、イタリア戦艦双方の意地の殴り合いによるWW2最後のマトモな形での艦隊決戦の祭りが盛り上がり続けて行った。


イギリス地中海艦隊旗艦である戦艦『クイーン・エリザベス』の第6斉射目が、同じくイタリア艦隊の旗艦である『ヴィットリオ・ヴェネト』に3発命中。二発は舷側装甲にて弾かれるも、一発が第一砲塔に命中し、給弾装置が一時使用不可になるが、返す刀で放った第一砲塔以外での第4斉射が『クイーン・エリザベス』の第二砲塔を爆砕。その後は給弾装置も修理にて復活した『ヴィットリオ・ヴェネト』が一方的に押し続け、煙幕を張って逃走を図ろうとした直後に主砲弾が3発命中し、艦橋を丸ごと消し飛ばして指揮不能へと追いやり、最終的にはイタリア駆逐艦の魚雷にて雷撃処分される。

『バーラム』と交戦した『リットリオ』は、先に被弾して第一砲塔を爆砕された状態による、劣勢での砲撃戦を強いられるも、双方の竣工年月日にして実に30年近い差は、いかにクイーン・エリザベス級戦艦が優秀艦でかつある程度の近代化改装済みあったとしても、いくらなんでも大きすぎた。『バーラム』の必死の砲撃にて実に合計8発の命中弾を確認するも、その全てが最初の二発以外は『リットリオ』の装甲にて弾き返されるか若しくは微少な損害を与える程度に終始したのに対して、『リットリオ』が『バーラム』に放った反撃の第7斉射が第一、第三砲塔を貫徹し、砲塔内で発砲直前だった砲弾に即座に誘爆。誘爆した爆炎と爆風は『バーラム』の艦体を駆け巡って近くに居たイギリス人水兵の肉体を一瞬で跡形も無く消し飛ばし続けた末に、船体を3つに破断させ、『バーラム』を極めて短時間で沈没させる結末を齎した『リットリオ』の目立った損害は第一砲塔が爆砕したのと、最後の最後に『バーラム』の放った砲弾が、主に予算的意味合いで苦労して設置したレーダーをピンポイントに消し飛ばした程度だろうか。

『ヴァリアント』『マレーヤ』に対するはそれぞれ『インペロ』『ローマ』だったが、この二隻は『ヴィットリオ・ヴェネト』『リットリオ』と比べると少し遅めの竣工だった為に連度が少しばかり未熟だった為か、旧式艦である『ヴァリアント』『マレーヤ』に対して有効弾を幾つか撃ち込みつつも小規模の火災を発生させた程度で決定打を打ち出せないまま続いていた。代わりに『ヴァリアント』と『マレーヤ』の砲撃は比較的精密で、『インペロ』に第一砲塔に損傷を与えて使用不能にし、『ローマ』には左舷側の機銃群全滅、第二砲塔が砲身の根元から砲塔内部に飛び込んで爆散し火災発生していた。だが先頭の1,2番艦が次々と戦線離脱し始めた為、そして巡洋艦と駆逐艦同士の戦闘もイギリス側に不利な状況のまま推移して居た為、『クイーン・エリザベス』の艦橋が吹き飛んでからの音信が不通になった為に、艦隊の指揮を継承した『マレーヤ』は撤退を指示。追撃するイタリア艦隊も、魚雷や主砲を乱射し炎を全身に纏いながら殿を務めるイギリス水雷戦隊の反抗への対処に手間取られ、このままでは『マレーヤ』と『ヴァリアント』を取り逃がす可能性が有った。長時間の砲撃戦で暫くもすれば日が昇り、陸地から連合軍の陸上機も妨害してくるだろうからだ。因みに英海軍旧式軽巡の『アキリーズ』『エイジャックス』は最終的に重巡『ザラ』の砲撃と駆逐艦の雷撃で撃沈されているが、反撃で
『ポーラ』と『ルイジ・ディ・サヴォイア・デュカ・デグリ・アブルッチ』が『アキリーズ』と英駆逐艦の雷撃で大破させられる損害にて終わっている。

37 :陣龍:2016/06/21(火) 20:38:20
そんな中、『ヴァリアント』『マレーヤ』が離脱できる一抹の希望を叩き潰す存在が、イギリス艦隊のレーダーにて映り出す。スエズ運河を封鎖する為に沈めた大量の機雷や船舶を如何にか取っ払った直後に、先行して地中海に殴り込んできた日本海軍の旧式戦艦である『扶桑』『山城』『伊勢』『日向』『長門』『陸奥』、それに加えて多数の新鮮な巡洋艦、駆逐艦を引き連れた打撃艦隊だった。既にイタリア艦隊からの通信でイギリス艦隊の位置を把握していた日本艦隊は、単縦陣にてT字を描き、効率良く発砲を開始し、水雷戦隊も『ヴァリアント』と『マレーヤ』に対して突撃を開始する。前門に無傷の日本艦隊、後門には想像以上の戦果で猛り狂うイタリア艦隊。殆ど挟撃状態に置かれたイギリス艦隊の末路は、『ヴァリアント』大破からの自沈処分。『マレーヤ』が艦上構造物全てを破壊させられ、交戦意欲を根本から叩き折られた末の降伏。日伊空母部隊の出番はイギリス小艦艇の取りこぼしの一掃と、諦めずに日伊艦隊に向かって突撃してきた連合軍機を叩き落す事だけに終わった。




最終的には、連合軍による電撃的イタリア半島攻略は、国境地帯すらも突破出来ずに枢軸軍が大挙イタリア半島に駐留すると言う、連合にとって最悪以外の何物でもない結末に終わった。頼みの綱であったソ連軍お得意の物量攻撃も、イタリア兵の勇猛果敢かつ創意工夫溢れる防戦の前に効力を発揮せず、海でも地中海の最後の艦隊が壊滅。海に関しては、日本海軍がスエズを超えたら確実に機動部隊の手によって殲滅させられる事が明白だった為、コレはこれでまだ有効的な処分法だったかも知れないが。そして戦略的に完全に欧州が包囲下に置かれ、尚且つレジスタンスによる対連合への攻勢が
激化する中、日本軍秘匿名称『零号作戦』アメリカ軍名称『オペレーション・オーバーロード』が発動される。既に飛車桂馬は取り払われた。後は王将を殺るだけだった。


尚、今回もスエズ運河を超えられなかったが為に目前の艦隊決戦を傍観せざる負えなかった日本海軍が最新鋭戦艦の大和型戦艦だが、イタリア艦隊、並びに日本海軍旧式戦艦の活躍を聞いた乗員は口々には称賛の言葉を発していたが、その戦果が艦内に知れ渡った日には大和型戦艦全てで例外無く酒保から酒とツマミの在庫が消え去り、艦内には多種多様な怨嗟の声が響き渡っていたと言う。だが、当時素面であった乗員は艦内状況の詳細な証言を拒否している。酔っぱらっていた乗員からは比較的多く集められたが、大半はあやふやな記憶であったり、明確な物でも『巫女服を着た女性に酌して貰った』等の明らかに泥酔していたとしか思われない証言が見られたが、後に匿名で証言して貰った乗員より『赤道を超える時に使う衣装を着た、女装水兵が居た』との事だった為、艦内はかなりの狂乱沙汰かつ凄まじい絵面だった様子だった。証言を纏めると、巫女服水兵が二か所以上に同時に存在したりしているが、恐らく重複報告された物とは推測される。尚勿論のこと、公式資料にはこの事は乗っておらず、海軍もこの事は無かった事にしているが。

38 :陣龍:2016/06/21(火) 20:39:37
アイ、今度こそ終了となりまするー。最初のは削除希望出してきます。
初手でこんな物みせてどうすんのよ自分……

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最終更新:2016年10月13日 22:38