159 :yukikaze:2016/12/04(日) 00:16:41
ひゅうが氏のSSと相違がありますが、yukikaze版酒匂改装案を。

酒匂型軽巡洋艦

基準排水量:7,200t
満載排水量:9,000t
全長:174.5m
全幅:18.2m
喫水: 5.3m
速力:31kt
機関:艦本式高中低圧タービン 90,000馬力
兵装:54口径5インチ単装速射砲Mk 42  2基(砲配置は史実しらね型と同一)
  :Mk.13 単装ターター発射機 1基(後部。配置は史実あまつかぜと同一)
  :62式対艦ミサイル発射機3連装2基(Yシステム:配置は艦中央部。旧魚雷発射菅のあった箇所)
  :ボフォース375mm対潜ロケット・ランチャー 4連装発射器 1基
  :Mk.2短魚雷落射機 2基
C4I :WDS Mk.4
   Mk.74 ミサイルFCS 2基
   Mk.63 mod.14 砲FCS 2基
電探:AN/SPS-39 三次元式 1基
   AN/SPS-29A 対空捜索用 1基
   AN/SPG-51B ミサイル射撃指揮用 1基
ソナーAN/SQS-4A 捜索用 1基
   AN/SQR-8 深度探知用 1基
電子戦 NOLR-1B 電波探知装置


改装終了 1963年11月


(解説)

阿賀野型軽巡洋艦『酒匂』は、終戦時、生き残っていた数少ない大型艦であり、その手ごろな大きさから、水上艦艇用旗艦として重宝される存在ではあった。
しかしながら、『水雷戦隊旗艦用軽巡洋艦』として設計されていた彼女は、就役段階から砲撃及び防空能力の陳腐化が指摘されており、早晩、旧式艦の烙印を押されるのは免れなかった。
本来ならば、新時代に適用した能力を持つ新型艦を整備するのが筋なのだが、現状を維持するだけでも青息吐息な国防海軍に新型艦艇を建造する余力などどこにもなくアメリカからの供与も、太平洋戦争で、他ならぬ日本海軍がアメリカ海軍の巡洋艦を悉く漁礁にしてしまった後遺症で、駆逐艦はともかくとして、巡洋艦の供与など不可能と言ってよかった。
それでもソ連海軍が弱体のままならよかったのだが、ソ連海軍はソユーズ級2隻、スターリングラード級2隻だけでなく、スヴェルドロフ級巡洋艦の大量就役が始まると、もはや笑っていられる状況ではなく、1958年に、スターリングラード級重巡洋艦『スターリングラード』と、スヴェルドロフ級巡洋艦『アドミラール・セニャーヴィン』と『ドミートリー・ポジャールスキー』が旅順港に回航されることが発表されると、その焦りは頂点に達することになる。
(実際には、1962年に、上記艦艇のみならず、ソユーズ級戦艦『ソビエツカヤ・オケアン』も含めた艦隊で回航している。勿論その原因は『ハイチ危機』後のソ連側のプレゼンである。)

こうしたことから、日本海軍は『酒匂』の大改装を決定する。
正直、費用対効果的に割に合うかと言えば、非常に疑問に残るものではあるのだが、現時点で取れる手段が限られている以上どうしようもなかった。
何より、国防海軍の新たな牙である『Yシステム』でも、戦艦クラスに致命傷を与えるY(N)-1を運用できる母体が『酒匂』以外ないという切実なる問題(甲型駆逐艦3隻も大改装により『Yシステム』の運用を可能にしたが、艦の大きさなどの問題から、弾頭を縮小し、中型以下を対象とするレベルにまでミサイルを縮小せざるを得なかった)の前では、費用問題については割り切らざるを得ないものであった。

以下、改装内容について列記する。

主砲

主砲については、50口径15cm連装砲 3基6門を撤去し、旧一番砲塔と二番砲塔の跡地に、54口径5インチ単装速射砲Mk 42を2基設置している。
本砲システムは、新型のMk 18砲を採用しており、揚弾、装填機構を自動化し、毎分40発という高い発射速度を実現している。その発射速度は、交互に装填する2つの給弾機構によって実現されているが、この機構の複雑により故障を招いているきらいはあり、実際には、発射速度を毎分28発程度まで落として運用していることが多い。
本砲システムは、露天甲板上の砲塔部と、その直下の上部揚弾機構、管制盤を備えた換装室、さらにその下の下部揚弾機構と、2基の円筒型弾倉を備えた弾火薬供給所から構成されている。
弾火薬供給所においては、弾火薬倉から取り出された砲弾・薬莢が人力で弾倉に装填される。
上部揚弾機構から弾倉に至るまでの部分は2系統が設置されており、交互に給弾される。
操作要員は16名で、砲塔内に4名、換装室に2名、弾火薬供給所に10名(給弾手4名、給弾手1名が2組)が配置される。即応弾数は40発である。
なお、後述する他の装備もそうだが、これらの装備については、OSP(米海軍調達供与)を用いた取得により、可能な限りコスト低減に努めている。

160:yukikaze:2016/12/04(日) 00:17:11
対空

同時期に計画された『天津風型』と同様、ターターミサイルシステムを旧三番砲塔跡地に搭載している。
これは、『天津風型』が当初計画での8隻ではなく、大蔵省査定により3隻にまで減少された(その後、アメリカ政府の後押しで5隻にまで復活)ことへの代替としての色彩が強かったのだが、結果的に、当初想定よりも同艦は電力を食うことになり、慌てて燃料区画や弾薬庫の一部を削る代わりに、発電用ディーゼル区画を設けるなどして対応することになったのだが、それでも電力状況はギリギリな部分があり、運用に苦労することになる。

対潜

開発が完了していたアスロックの搭載が考えられたものの、アメリカ海軍においても最新装備であり、まずは自軍の装備が最優先であった事から、アスロックを諦め、ボフォース375mm対潜ロケット・ランチャーを、艦橋と二番砲塔の間に設置している。
もっとも、無誘導であることから「ヘッジホッグよりはマシ」という評価が上層部からなされており後述する理由でトップヘビーが取りざたされたことから、弾数も予備弾を入れて16発という状態である。

対艦

本型の価値を高めている最大の要因である。
酒匂が搭載している『Yシステム』は、前述したように、戦艦クラスに致命傷を与えるY(N)-1が装備されており、それを3連装2基6発に纏めている。
これは、大和型戦艦用の46センチ徹甲弾(1.5トン)を改造使用した代物であり、慣性誘導装置と終末赤外線誘導方式を採用した同ミサイルの命中率は、約6割と見積もられ、条件にもよるが3~4発は、敵戦艦に命中させることが期待されていた。
勿論、当たり所にもよるだろうが、司令塔や機関室、弾薬庫に突入すれば、中破以上は確定である事を考えると、国防海軍が同システムに期待するのは当然であったろう。
もっとも、誘導管制システムを艦内に組み込む関係上、その装置は当然のことながら巨大化することになり、艦橋の大型化及び、当初あったマスト群を撤去し、新たにMAC構造を採用することになるが、その結果、国防海軍の基準では『極めて劣悪』『友鶴・初春の再来』と言わしめるほどのトップヘビーによる復元性能の悪化が見込まれたため、速度の低下は承知の上で、大型のバルジを設置することで、艦の安定と航続力の維持に努めている。

機関

機関については、予算の問題から換装を断念している。
また、就役から15年近く経つことから、機関の老朽化も目立つことになり(戦後直後の劣悪な整備状況が老朽化を進めていた)定格を1割近く落として運用する羽目になっている。
そうしたことから、就役時の35ノット強から31ノット弱にまで大幅に落ちることになったが、それでも運用には特段影響は生じていない。


同艦は、3年かけての大改装の末、1963年に再就役をしたのだが、これは水上艦艇戦力で、ソ連海軍と差が縮まっていた日米海軍にとっては待望の戦力であり、諸手を上げて歓迎されている。
同艦の注目がいかに高かったかは、翌年の観艦式において、他国の駐在武官たちがこぞって見学を申し込んだ事からも分かるのだが、同時に旧式艦を無理矢理に戦力化したことから、あちこちに不具合が生じたりもしており、同艦が退役まで運用できたのは、乗組員及び整備員たちの不断の努力によるものが大きい。

同艦は、カンボジア紛争において、南遣艦隊の一員として出撃し、同紛争終結時まで、笠置の護衛任務についたのを最後に、予備艦へと編入。
退役後は、生まれ故郷である佐世保において、記念艦として余生を過ごすことになる。

161:yukikaze:2016/12/04(日) 00:27:42
以上、簡単ではありますが投下終了。

コンセプトとしては『戦艦スレイヤー』
まあその分、対空と対潜は割を食ったというか、継戦能力という点で
幾分不満が残ることになります。
もっとも、『酒匂』の運用が、川内型に繋がっていきますので、トータルでみると、決して悪い買い物ではありませんが。
まあ個人的にはアスロック詰みたかったのですが、阿賀野型の平面図見ればわかるのですが、本当にきつきつなんですよねえ。あの艦は。

しかし・・・考えれば考える程『帝国海軍水雷戦隊用軽巡洋艦』の正統なる進化になってしまったなあとw
ぴゃぁっも苦笑いしてそうですが、いざ海戦となったら、大和型の主砲弾(強化ver)を6発ぶっぱなすんですから、清霜辺りが本気で羨ましがりそうです。

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最終更新:2016年12月06日 22:39