355: 陣龍 :2016/12/15(木) 17:02:01
日米蜜月(ユーラシア共産化)ルート考察擬き

大戦に置ける主要会戦記録 『第二次世界大戦~始まりの終わり・終わりの始まり~』


『フランス首都パリ解放戦 ~西欧大乱戦~』


『あの時は皆楽観していたよ。これだけの大兵力。これだけの大火力。これだけの航空戦力。戦争は相手が居て、そうそう簡単に行く事など無い事を、皆忘れてしまっていたんだ』

~第二次世界大戦を最前線で戦い抜いたとある兵士の言葉~

『表面上の戦力は極めて脅威の一言なのは事実であるが、連度に関してだけは、素人と言う訳では無いが、最精鋭と言えるまでには熟練していない。付け入るスキは、全くない訳では無い』

~上陸した枢軸軍の戦力を評した連合軍のとある前線指揮官の言葉~

『奴ら、死体を乗り越えてこっちに突撃してくるとか、死ぬのが怖くないのか!?ここは満州じゃ無いんだぞ?!』

~即席のキルゾーンを構築して迎撃した筈が、力技で正面突破を図る連合軍を直視した枢軸軍軍曹の絶叫~

『損耗が激しいが、こっちが辛いのならば向こうも辛い筈だ。ここフランスで可能な限り資本主義の豚共を括り付けなければ、我らの母なるルーシは奴らに蹂躙されるのだ!総員、死力を尽くせ!!』

~とある政治士官による督戦した際の激励の一言。尚この激励よりもウォッカの支給の方が士気は高まった模様~

『ハァーッハッハッハッハ!!此奴は良い!見渡す限りのアカの大軍勢だ!!』『今こそ我らは伝説となる!欧州を最初に開放した、勇気ある英雄たちとしてだ!』『……アメリカさんは何時でも何処でも元気だなぁ、ホントに』

~仏ソ連合赤軍親衛軍団を眼前に見定めたアメリカ海兵隊とアメリカ陸軍、日本陸軍の御言葉~

『頼もしいと信頼されている証であり、尚且つ個人的に嬉しいのは事実だが、こうやって丸投げされるのは苦笑いするしかないな、全く』

~パリ攻略戦後の軍政指揮権を事実上移譲された際の『Far East of the saint (極東の聖人)』今村仁大将の苦笑しながらの一言~


橋頭保を完全に確保した枢軸軍による占領地拡大、つまりはフランス本土の完全開放を目標として始まった進軍に対して、連合軍は年単位の時間をかけて構築した要塞陣地を持って防戦を開始。切り札として残していた謀略電波なども使用し、文字通り『フランス全土を血で染める』激戦を展開。ノルマンディー上陸作戦での圧倒的勝利で目の曇った一部の楽観的軍人の語った『一月も有ればフランスは大した損害も無く落ちる』と言う言葉は、山の如く積もった双方の鉄屑と多数の死体、そして3枚もめくられたカレンダーによって否定された。



枢軸軍によるノルマンディー上陸作戦が、結果的には大成功を収める一週間前。過酷な内戦に勝利して、政治体制としては独裁国家状態であるも国民からは高い支持を受け続けていて人気も高い、スペインを統治する『フランシスコ・フランコ・イ・バアモンデ』総統は、国内調整を行ったうえで共産連合軍に対して宣戦を布告。開戦理由としては『連合国によるスパイを用いた国家転覆工作や軍隊による領土侵犯等の著しい国権侵害、侵略行為』『フランス第三次共産政権並びにソヴィエト連邦による在外スペイン財産の不当な凍結と強奪』であり、賠償として『金塊による多大な損害賠償』『1713年4月11日に不当に奪われたジブラルタルの返還』を共産連合軍が認めなかったからとし、尚且つ宣戦布告より72時間も期間を開けた上で戦闘を開始すると言う、宣戦布告された共産連合軍は兎も角国際法上は文句の着けようの無い完璧な宣戦布告で有った。実体としては通常は見過ごせそうな小さな連合軍側の瑕疵を都合の良い様に上げ繕ったりちょっとした行き違いを作り上げたりした結果では有るが、基本国際社会的には付け入る隙を見せた共産連合軍側の負けである。

356: 陣龍 :2016/12/15(木) 17:04:40
ピレネー山脈と言う天然の要害に籠る事で一定のフランス軍を誘引する事によりノルマンディー方面への側面援護を行いつつ、スペイン軍は本命のジブラルタルの攻略を開始。既に補給が完全に途絶同然の状況でも有った事に加え、狭い領土の為必然的に大した兵力を置きようが無かったが故に、スペイン軍の攻勢にアッサリと敗退し、陥落。その際奇跡的に生存していた英仏海軍の駆逐艦四隻と、これまた紆余曲折の末生存していたスペイン海軍のエスパーニャ級戦艦が洋上で交戦。死なば諸共とやけくそ的な士気だけは高くは有ったが、流石に駆逐艦四隻程度でド級戦艦を擁する艦隊に勝利するのは不可能であり、必殺の雷撃を放つ事も無く戦艦砲によりアッサリと射抜かれて爆沈した。尚その後枢軸軍へと合流したスペイン海軍エスパーニャ級戦艦に対して日本海軍某戦艦部隊より『ライス・ジュース』と『イモ・ジュース』なる物が多量贈呈され、喜んで飲みまくったスペイン水兵が翌日酷い目に合ったりしたのだが割と毎度の事かつ極めてどうでも良い出来事でも有るのでここでは割愛する。


そんな風にスペインが憎きイギリス軍相手に満面の笑みでジブラルタルで遊んでいる中、肝心の日米枢軸軍によるフランス制圧は遅々として進んでいなかった。理由は明白で、今は亡き『ミハイル・ニコラエヴィチ・トゥハチェフスキー』元帥の遺言で緻密に計画され、建造されていた多数の永久要塞の群れと意外と精強な部類に入る共産連合軍の為である。カーチス・ルメイ中将は『戦略爆撃により西欧全てを石器時代に引き戻す』と息巻いて爆撃し続けていたのだが、政治的ストップによりある程度のインフラ破壊は兎も角ルメイ中将の思い描き、遠慮無用にぶち上げていた無差別爆撃が行えなかったのがこの要塞群の建造を阻止出来なかったと考察する軍事研究家もそれなりに存在しているが、そもそも共産連合軍による欧州地方への要塞建築は枢軸軍の戦略爆撃が始まる以前より推し進めていた為、余り適切な指摘とは言えない。それに加えて爆撃だけでは何ともならない事は、今第二次世界大戦並びにアフリカ内戦等の戦史が証明している。


戦車の時代を数段蹴っ飛ばした『三式中戦車 チヌ』『M25 パーシング』の登場によって旧式化が確定的になりつつもそれでも侮れない戦闘力を持つ『T-34』系統の戦車に加え、製造が比較的簡易と言う事で量産されている各種突撃砲やロケット砲、そして仏ソ共に陸軍国と言う事も有り豊富な重砲群、変わり種としてはフランスが『テルピッツ』の一件で激怒しているドイツを宥めすかす意味も込めて自国の黄金とバーダー取引で購入した列車砲『ドーラ』と言った多彩な戦力を揃えていた。
兵員に関しても、フランス共産党政権は『自国防衛』の名の下に自国民の全てを軍属扱いにして多数を動員。『畑から兵士を収穫する』ソヴィエト連邦赤軍も、工業力に輸送力と現地物資の許す限り兵力を増強。ソ連に関しては枢軸軍の爆撃やポツポツ蜂起し始めたレジスタンスによるインフラ破壊にて線路がいくつも破壊された事もあり紙面上の計画通りには行かなかったが。因みに突撃砲に関してだが、赤軍期待の新鋭突撃砲たる『SU-100』とは別種に、既に旧式化の為
前線に出しようがないが数だけは有ったBT戦車シリーズを強引に改造して新型突撃砲『BU-100』として採用し、不足する対戦車火力をそれなりに補っている。
元が元である為に車内容量も搭載弾薬も少なく、又戦車砲や航空爆撃どころか歩兵用対戦車ロケットランチャー、下手をすれば現地生産型集束手榴弾に治療用アルコールや鹵獲したウォッカ等を使った即席火炎瓶攻撃にすら簡単に引火し炎上爆散する悲惨さであったが。

357: 陣龍 :2016/12/15(木) 17:05:49
そして辟易する敵兵士の多さに前線後方問わずに頭を抱えるか苦い顔をせざる負えない枢軸軍の主力部隊たる日米連合軍だが、装備の優越性は絶対的でこそあったが、その装備を操る『アメリカンボーイズ』と『ジャパニーズチルドレン』はその大半が実戦初参加のルーキーで有った事や『何考えているんだアカ共は』『何も考えていないんだろう』と言われる程になりふり構わずに地雷を大量散布する等の進撃妨害により、最初期の楽観的考えは完全に消し飛んでいった。地雷犬が枢軸軍機甲部隊に突入を仕掛けて、地雷犬を発見した新兵が反射的に発砲したら地雷犬が怯えてソ連軍陣地に戻り塹壕内に飛び込んでご主人諸共爆散する、と言った本国のみならず事態を直視した兵士や後に取材した従軍記者も俄かに信じなかった事件が後世に大げさなまでに伝播しているせいで一部勘違いされる事もあるが、この頃の仏ソ連合赤軍は物量に加えて自軍が迎撃側であると言う優位を徹底的に活かし、枢軸軍が把握していない秘匿通路から後方補給路を襲撃したり、兵舎や陣地へ昼夜問わずに攻撃を仕掛けて枢軸軍の精神、体力消耗を狙う、隙を見て取ると連合軍機甲部隊による強襲を掛けるなど、あの手この手で枢軸軍へ打撃を与えんと奮闘した。

ただ、共産連合軍にとっての最大の不幸は、既にドーバー海峡を埋め尽くさんばかりに航行する多数の航空母艦から毎日放たれる様になった艦載機の群れに対して今なお対処し切れて居なかった事に加え、枢軸軍の主力を務める日米両国は確かに分類こそすれば海洋国家なのでは有るが、その中身は大抵の陸軍大国を正面から撃破可能な陸上兵力を集め、そしてその陸軍大国の名将と互角又は優位に渡り合える陸将を何人も揃えられるという反則国家だった。特にアメリカ合衆国陸軍は『敵戦車の処理は砲撃と空爆で済む為、輸送が容易な歩兵戦車を配備するべき』と強硬に主張していたAGFがパットン将軍直々の(某魔王式)説得によりパージされており、日本陸軍が開発終了間際だった『三式中戦車 チヌ』を同盟国価格で技術導入し、そしてアメリカ式に改良して制式化となった『M25 パーシング』の大量生産を行っていたのだから、最早戦術的優勢や勝利程度では手の施しようが無かった。『共産連合軍の最強装備は、鹵獲した枢軸軍装備』と言うのは、双方の兵器の質の差を示したとある戦史家の有名な言葉である。


主観的には兎も角キルレート的には連合軍側にも血河屍山を積み上げて枢軸軍ルーキー勢が経験値を稼ぐ中、大空では枢軸軍陸兵からの連絡一本ですぐさま最低でも50機単位の艦載機が飛来して陸上標的を精密に吹き飛ばし続け、フランス本土に配置された連合軍側防空部隊は『Battle・of・Euro』による航空撃滅戦によってその大半の戦力を喪失していたことに加え、機動部隊の柔軟かつ集中的航空攻撃と言うルールの違う戦闘を強要され続けたが為に補充や増強が全く追い付かず、フランス本土制圧戦の中期ごろに共産連合軍西欧航空部隊は物理的に壊滅し、その戦力価値を完全喪失。またそれと関連して、ソ連空軍が鳴り物入りで導入し、技術力不足で幾名ものパイロットや技術者を消滅させながらも実戦試験配備していた【メッサーシュミット Me 163 「コメート」】も、最初期に『B-29』や『富岳』を数機撃墜する等いくらか戦果を挙げた直後に飛来した枢軸軍の『疾風』『FH-1 バンシー』によって撃墜破される散々なデビュー戦となったのだが、被害甚大とは言え超空の要塞こと『B-29』『富岳』の撃墜に成功したこのロケット戦闘機部隊は最終的にヨーロッパロシアの都市防衛に多く配備され、ソヴィエトが誇る革命戦士の多くを溶かしながらも枢軸軍戦略爆撃機部隊に幾度となく纏わりつき、練度不足から予測不能な軌道を描くが為に枢軸兵から恐れられ、そして鬱陶しがられる事となる。

358: 陣龍 :2016/12/15(木) 17:08:16


たたき上げの実戦経験から編み出された徹底的なゲリラ戦によって、精強無比を体現した日本軍特殊作戦群を手古摺らせた『ワシーリー・チュイコフ』中将と、『ゲオルギー・ジューコフ』大将に並ぶ赤軍の双璧と名高い『イワン・ステパノヴィチ・コーネフ』大将等ソ連系将校が実質的な指揮を執る連合軍西欧方面軍に対して、『アメリカ最強の猛牛』と唄われた『ジョージ・パットン』元帥と『猛将の手綱取り屋』こと『牟田口廉也』大将、『Fox Hunter』こと『山下奉文』大将に機甲戦、歩兵戦双方共に小器用な良将であり、一部の人間には慰問試合にて沢村栄治から対戦したアメリカ軍人チームで唯一ソロホームランを打った事で有名な『オマール・ネルソン・ブラッドレー』中将等の日米の名将達、そして枢軸軍内でも最高峰の調整能力を買われてこれら一癖も二癖も百癖もある魑魅魍魎とした名将達を率いる、と言うより率いらされた『偉大なる大元帥閣下(中間管理職)』こと『ドワイト・デヴィッド・アイゼンハワー』元帥と言った第二次世界大戦を彩る名将の博覧会状態となったフランス本土。各々の戦争中に磨き上げられた智謀や戦力をぶつけ合い、じりじりと進軍を続ける枢軸軍とそれを必死に防ごうと足掻く連合軍。この状況が変化する切っ掛けは疲弊の一途を辿り続けるフランス本土の状況を見たとある将官が『現地民を味方に付けるのと、戦後統治を楽にしたい』と言う思い付きから相談され、実行された『Operation:Demeter(豊穣の女神作戦)』だった。

フランス本土の占領地が拡大するにつれて必然的に枢軸軍は連合国側の住民を統治下へと収めて行っていたが、共産革命に長引き続ける総力戦、そしてレジスタンスと政府軍との抗争により保護された住民の大方は疲弊していた。欧州内では比較的豊かな穀倉地帯で有った為に飢餓状態にまでは如何にか陥ってこそいなかったが、枢軸国側の本土に住む国民はおろか、戦闘が終結して間もない当時、現地住民は兎も角日本政府としては極めて不本意ながらも半占領統治状態を継続している中東諸国民よりも食糧事情は悪かった。当然ながら芋などの主食となる穀物類やヴォッカの様な一部アルコール品を除く嗜好品支給率は極端に低く、捕虜や保護した住民からの聞き取り調査でこの事を知った枢軸国将官の一部が『これまで以上に我等を『解放軍』だと認識させる為に、住民へ嗜好品や食料を投下しよう』等と言い出し、その提言を是とした枢軸国上層部はフランス本土上空の制空権を殆ど確保していた事もあり余剰の輸送機や一部爆撃機を使用し、パラシュート付き木箱に大量に嗜好品や缶詰を詰め込んで投下した。ほんの僅かとは言え上層部の都合で自らの兵力を前触れもなく削られた『カーチス・ルメイ』中将が激怒したり、補給側の手違いで海軍側へ供給予定だった間宮羊羹を丸々投下用に流用された為に約一か月程羊羹支給が無くなり水兵の士気がエライ事になり、この事態を招いた補給側の責任者が纏めて海に投げ込まれる等、この思い付きを実現する為に各所へしわ寄せやちょっとした犠牲が発生した物の、この行動によって派生した事件は極めて大きかった。

枢軸国による泥縄的に行われた食糧爆撃作戦は、連合国の住民に対して晴天の慈雨とも言うべき幸運だった。食糧事情は破断し掛けながらも最後の一線を越えてこそいなかったのは確かだが、かと言って軍への供給を最優先としていた政府からは芋や水、極極々稀に肉片の入ったスープだけの供給しかされず、それらに加えて隠し持っていた物資の切り崩しや自力での耕作によって多少補う程度の最低限の食事しか食べれない毎日を送らざる負えなかった一般住民にとって、枢軸国がばら撒くチョコレートや缶詰、ビールやワインに炭酸飲料、果ては菓子類やタバコ等の嗜好品は悪魔的な魅力を発揮した。そして当然ながら嗜好品満載の木箱には枢軸国によるプロパガンダも混ざっており、長引く戦争による貧窮と徴兵、戦死者激増の極限化、そして本土爆撃からの本土決戦が開始した為にフランス人が今の今まで持っていた共産主義への幻想も旧列強国民のプライドも政府への求心力もようやく崩れ、住民の集団投降や共産軍へのレジスタンス活動の増加が加速した。ただこの行動は、戦略的包囲下に置かれた為に渋々参加しただけでしかない筈の共産連合軍の暴走に引き摺られ、振り回され続けたドイツ人や一部東欧諸国人からしてみると『何を今更』と大分冷めた目で見られたのだが。

359: 陣龍 :2016/12/15(木) 17:09:19

そして既にぐらついていた足元が崩壊しつつあるフランス共産政権だが、扇動やソヴィエトコミンテルンの援助によって政権を獲得した彼等フランス人革命家たちは、この後に及んでも戦争を止める気は更々無かった。ただ彼らは世間一般が想像する『自身の快楽や私腹を肥やす為に国家国民を食い潰す独裁者』とは少し趣が違い、政権を獲得してから徹頭徹尾外交の場等必要とされる場所以外では贅沢などせず、自身の食事は三食とも住民へ支給されている配給品、自身の財産はとっくに自国の為に使い切っている等、彼等自身の性根は少なくとも清廉ではあった。ただフランスを貧窮に追いやる原因を生み出しながらも自身は繁栄しているアメリカを憎み、そして恐慌時には欧州を見捨ててアメリカと同じく繁栄し、しかも有色人種でありながら自国以上の列強に成りあがった日本を逆恨みし、誇り高きフランスをボロボロにした資本主義を嫌う、演説や扇動が上手く真面目で政治的才能や適性が壊滅的な愛国的インテリ革命家たちでしかなかった。初めの一歩から道を踏み外して奈落の底へ落ちた彼等には初めから『撤退』や『降伏』『妥協』の言葉は存在せず、だからこそ敵国がばら撒く物資に群がる困窮したフランス人の存在を知った彼らの行動は、極めて激烈だった。『誇り無き繁栄もひも付きの未来も、フランス人は皆お断りだ』と言うある共産政権高官の言葉が、彼等の独り善がりな妄執的善意の一端を示していたが、洋の東西を問わずこう言った『善意の正義』で暴走する人間ほど質の悪い存在は無い。



優良な軍部隊は例外無く最前線に送り込まれていたフランス首脳部だったが、彼らの手駒は軍だけで無く、ソヴィエト連邦に習って編成された秘密警察も一定数存在し、政権を奪取してから国内統治体制の強化に一役買っていた。首脳部は大々的に『枢軸国による謀略』に乗らない様に自国民へ喧伝し、それに国民が従わないと見るやその秘密警察を動かして投下された物資を強行に回収。『悪しき資本主義に同士が惑わされない為』等と言って、しかも回収した物資は例外無く軍や国民への支給に回していたとは言え、貴重な物資を奪われる住民は当然ながら抵抗するか、そうで無くとも隠蔽に走り、強引極まりない捜査で『反革命分子』を摘発する秘密警察の殆どは自身の功績を誇る為か、それとも長引くレジスタンス活動への対抗でモラルハザードでも起こしていたのか、明々白々な冤罪でも即決裁判による強制収容所送りや拷問等を行った。物資回収は兎も角この事は首脳部の指示した事では無かったし、後にこの事を知ったフランス首脳陣は即座に粛清を行おうとしたものの、完全に手遅れだった。


戦争中盤頃より潜水艦によって後方に潜り込み、共産化されてより零細とは言え作られていた現地フランス人レジスタンス組織を強大化させた日系工作員ととの愛弟子たるレジスタンス組織による、フランスに展開する共産連合軍の後方地にて一斉蜂起が発生した時、フランスに住まう住民はそのほとんどが『触らぬ神に祟りなし』とばかりに今まで見て見ぬふりをしてきた彼等レジスタンスを支持し、様々な形で援護を開始した。そして住民が多数離反したこの事は前線部隊にとって曲がりなりにも身を休められ、最悪は撤退先となる後背地が消滅した事を意味し、必然的にどれだけ共産連合軍の名将達が鼓舞しようとも共産連合軍兵士の士気は激減。当然ながら枢軸軍はこの隙を見逃すはずも無く、各種重砲や自走砲、そして航空部隊による猛爆撃によってこじ開けられた共産連合軍防御要塞陣地の隙間を見逃す事無く、日本軍第二近衛師団、アメリカ陸軍第一機甲師団を先頭にした機甲軍による後先考えない全力突撃によって、数年の月日をかけて建築された要塞地帯は貫かれた。『ワシーリー・チュイコフ』中将による後方攪乱作戦も現地住民の民心が完全に枢軸国側に傾いていた状況下では、どれだけ巧みな戦術を整えようとも根無し草の机上の空論にならざる負えず、指揮統制の効く精鋭と歴戦の部隊を纏めて撤退しようとして、結局『牟田口廉也』大将の説得も意味を成さなかったどころか、逆に何度も説得する根性を気に入って本人の意志も聞き流して前線に引き摺って連れ込んだ『ジョージ・パットン』元帥直卒と鉢合わせ。撤退の為に一時終結していた所に圧倒的戦力差で殴り掛かられた為に『ワシーリー・チュイコフ』中将指揮下の部隊は即日壊滅し、チュイコフ中将も戦闘中に一式自走型多連装ロケット砲(通称:Nadesiko・Flute)の至近弾にて重傷を負い、前後不覚となった末に牟田口大将率いる機械化歩兵部隊に捕縛された。共産連合軍、とりわけソ連赤軍に取っては未だ余裕のある歩兵戦力よりも、この『ワシーリー・チュイコフ』中将を失ったのが大きい痛手だった。
チュイコフ中将以外にもソ連には良将、名将は未だ多数存在したが、彼ほど歩兵戦の実戦経験が豊富な将軍は居なかった。

360: 陣龍 :2016/12/15(木) 17:10:36


そして共産連合軍にとっての凶報は連鎖する。ジブラルタル要塞とその対岸を攻略後は動きを見せていなかった為に、これ以後はピレネー山脈に籠っていると予測されていたスペイン軍が、その自然要塞を越えてフランス本土へと侵攻を開始したのだ。勿論日米連合軍の様な山を消し飛ばすが如きド派手な砲爆撃こそない常識的な部類のスペイン軍で有ったが、それでも共産連合軍と比べても圧倒的に疲弊も消耗もしていない新鮮な戦力が、しかもスペイン軍上層部に加えて
フランコ総統の厳命も有り、共産連合軍を侮る事も無く一歩一歩堅実に歩みを進めるスペイン軍に付け入る隙は殆ど無く、又例え隙を見つけたとしてもその隙を突く為の機動力に優れた優良戦力は例外無く日米連合軍相手に掻き集めており、動かせる歩兵部隊とある程度の重砲、多連装ロケット砲部隊程度ではスペイン軍に大して打撃を与える事は出来なかった。ブリテン島からは毎日枢軸国側の航空部隊が飛来している為、攻勢の為に集まりでもしようものなら集結地点ごと爆撃で吹き飛ばされ、ゲリラ戦を仕掛けようにも住民は挙って枢軸国側に寝返ってどうしようもなく、破れかぶれに突撃すればスペイン軍の反撃で常識的に撃破された。



最終的に南北両面から殴り掛かられたフランス本土に配備されていた共産連合軍は、一定の歴戦部隊が犠牲を払いつつもドイツ側への脱出に成功したが、取り残された大半の部隊はフランス本土から脱出出来ずに様々な形での骸を晒すか、枢軸国への降伏を余儀なくされた。一部に不満が残る出来ではあったが、総評としては永久要塞と言えるだけの防衛陣地を構築して奮戦していた共産連合軍であったが、想定を遥かに超える物量や兵器、火力と機動力を叩き付けた枢軸軍の方が
一枚上手であった。当然ながら枢軸国側の犠牲も中々に酷い物では有ったがそれでも十分に許容範囲内に収まっており、犠牲以上に多数の戦訓を獲得し、『戦争』を経験して新兵の多数が『兵士』となった事が極めて大きかった。加えて、全力投入した『三式中戦車 チヌ』『M25 パーシング』を筆頭とした新型兵器が実戦でも問題無い所か共産連合軍相手に凄まじい猛威を振るう程の性能を発揮出来る事が証明された事も大きかった。このフランス戦によって、枢軸軍は慢心しない程度に自身と自身の操る兵器への信頼と自身を持つ事が出来た。ある意味において、この時を持って枢軸軍…特にアメリカ軍は、本当の『軍隊』へと進化したのかも知れない。



尚フランス共産党政権、並びに自称正当政権を名乗るイギリス共産党の首脳陣の顛末だが、完全な包囲下に置かれたパリが形式上自由フランス軍を先鋒とした枢軸軍によって『解放』された後にしらみつぶしに捜索されたのだが、数名の大臣級が自殺若しくは自殺に失敗して前後不覚になっていた所を確保した以外、身柄は確保出来なかった上に行方不明となっていた。ソ連に亡命したとすれば正当性確立の為に亡命政権を樹立するであろう物だが、ソ連側からはそう言ったリアクションは取られておらず、その為戦時中は戦争に注力する必要性とそもそも大したことは出来ないと言う事で『行方不明』扱いとされて処理されていた。彼らの行方が判明するのは、戦後の捜索にて廃棄された秘匿防空壕内を発見し、発見者の内数名が嘔吐を催す位に損壊と腐敗した死体が身に着けた装備品と遺留品によって発見されるまでであった。

361: 陣龍 :2016/12/15(木) 17:11:20
取り敢えず今回はこれにて以上となります。遅れてすみませんでした…

風呂入ってきます

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2017年01月16日 14:10