211: 第三帝国 :2017/04/06(木) 21:32:18
銀河連合日本×神崎島ネタSS――——「藤堂の驚愕」
「前方に艦影視認!
主たる戦艦は大和型戦艦2、扶桑型戦艦2、伊勢型戦艦2、クイーン・エリザベス型戦艦1、ビスマルク型戦艦1、アイオワ型戦艦1です!」
「上空にプロペラ機を確認。
機種は「烈風」それと「流星」
さらに複数の水上機がありこちらは「瑞雲」だと思われます」
「大和型戦艦より発光信号を確認。
『ワレ、神崎島鎮守府ニ所属スル艦隊ノ旗艦大和。
海上自衛隊、及ビアメリカ太平洋艦隊ノ来航ヲ歓迎スル。
コレヨリ日米外交官ヲ搭乗サセル艦ヲ派遣ス、ヨウコソ』です!」
「よし、こちらも返信送れ、『出迎え感謝す』とな
それと戦艦以外の艦種、巡洋艦と駆逐艦について識別と確認をしてくれ」
いずも型護衛艦の1番艦「いずも」は「天岩戸作戦」で施した改装を解き、ようやく本来の艤装を施した上で自衛隊に配備されたばかりで塗装の香りも残っている。
加えて艦に乗員が慣れていない所もあるが、日ごろの訓練のお陰か今の所的確に動けている。
「本当に戦艦ですね、艦長。
報告を聞いたときは耳を疑いましたよ。
何故ドイツのビスマルク、イギリスのクイーン・エリザベス型。
果てはロサンゼルスや真珠湾で記念艦となっているアイオワ型までいるのですから。
お陰様でアメちゃんは慌てて各地の記念艦に問い合わせたとか聞きましたけど・・・」
「らしい、な。
宇宙人が来て、日本で暮らしたり観光したりと、今までじゃ考えられないような事が起こっているから何が起きても不思議じゃない。
何て思ってたが・・・やはり、こう実際に見ても現実味を覚えないというべきか、不思議な気持ちだ」
副長と共に双眼鏡で艦隊を見つつ藤堂定道艦長は呟く。
212: 第三帝国 :2017/04/06(木) 21:32:57
「それにここに来るまでの道中も、奇妙奇怪極まりなかったな」
「はい。
昼夜が短時間で入れ替わり、場所によっては電波が極端に通じない海域があり、気象情報にない嵐。
気温も時には冬のオホーツク並みに低下し、氷山まで流れていましたからね」
現代のアトランティス、と今日マスメディアを賑わかせている島周辺海域は、これまでの常識が通じない場所で海域として端的に表現すれば難所極まる場所であった。
そのため領有権獲得に勇んだはいいがこの超常現象に躓く国や個人冒険者や愛国主義者が相次いだ。
しかしそんな中、経験豊富な海軍である自衛隊とアメリカ軍は失敗する者たちを余所に目標の海域に到達することに成功した。
「後はお客さんの到着を待つだけですね。
柏木特務交渉官とドノバン大使はあのデロニカで来るそうで」
「事が事だからな。
で、なければ『フェルフェリアの友人であるドノバン大使を柏木交渉官と共に運ぶだけ』
なんて理由まで作ってヤルバーンが動くはずがない、実際あの島が大陸の手に渡れば大変な事になる」
神崎島の位置は大陸からすれば第二列島線を形成する場所にふさわしく、逆に日本からすれば沖縄を東西から挟まれ、日本本土が直接脅威を受ける。
またアメリカ側からすればもしも島が大陸の影響下に陥れば、日本列島という大陸への蓋が破れてグアムが脅威に晒されてしまう。
場合によっては最悪ハワイまで戦線を後退させることすら考慮することが求められる。
だからこそ鉄砲玉扱いな柏木をティ連合が運ぶだけでなく、それらしい理由を作って駐日アメリカ大使まで引っ張り出して来たのだ。
加えて日米政府は「島の主権者を尊重する」との共同声明を発表。
ヤルバーンのヴェルデオ・バウルーサ・ヴェマ大使による「地球に新たな国家が誕生した事実を祝福する」との談話を発表してもなお、
「島は人民の核心的利益であり我々は主権を主張することが出来る」との公式声明を大陸は出しており、東シナ海での緊張感を高めている。
「デロニカが到着次第、転移装置で一度いずもに降りてもらい、それから向こうに行く手筈だったな・・・。
天岩戸作戦と続いてどんな事をしてくれるか・・・ふむ楽しみだな」
「自衛隊の艦でアニメを大画面で映す」
という破天荒なアイディアでヤルバーンとファーストコンタクトを成功させた柏木の顔を思い出し呟く。
少なくともそこらの政治家や役人などよりもよっぽど「面白い」人間であることに違いなく、会うのが楽しみだと藤堂は感じた。
「外交官を搭乗させる予定の艦が間もなく到着します!
艦種は駆逐艦、艦名は「シグレ」で恐らく白露型の・・・ん、!?」
「どうした?
一体何を見た?」
見張りの困惑した声に藤堂が問う。
とあるゲームを嗜み、偶によく分からない事を口にするが、任務には生真面目で見張りの報告も正確なのを藤堂は知っていた。
「駆逐艦から飛び降りた女の子が海の上を歩いています!?」
「何!?」
慌てて双眼鏡で海面を見る。
そこには確かに海の上を歩く三つ編みの少女がおり、こちらが注目しているのに気付いたのか手を振っている。
他の艦でも少女に気づき俄かに無線が騒がしくなり、いずもの艦上で作業していた自衛隊員にも動揺と一部では浮かれた気分になる。
やがて少女は「いずも」から降ろされた舷梯で艦に乗り込むと艦橋へ上がり、藤堂たちの目の前に現れた。
「初めまして、僕・・・。
私は神崎鎮守府所属駆逐艦「時雨」の艦長、神崎時雨です。
神崎提督より日米の外交官を案内せよとの任務を受けました、よろしくお願いします』
目の前にいる三つ編みの少女に藤堂だけでなく誰もが答礼を忘れ絶句した。
おわり
213: 第三帝国 :2017/04/06(木) 21:34:46
以上です。
一緒に楽しんだり、議論したり、あるいは我もと創作意欲を刺激できたら幸いです。
誤字修正
最終更新:2017年04月09日 10:31