776: 陣龍 :2017/04/26(水) 14:36:47
【Present for you The Kamizaki Family's】


「……うぅー……みんな、何処に行ったのです…?」

 暗がりで間接照明が頼りない光を醸し出す何処かの通路。その中を一人歩くセーラー服を来た少女。背中に砲、両腰に魚雷発射管、両手に魚雷を心細げに抱く姿のコスプレ少女の名前は、暁型駆逐艦の電。【いなずま】であり【でん】ではない。漢字変換は【でん】の方が手っ取り早いが。


「……こんな事になるのなら、乗り込まない方が良かったのです……うぅ、司令官さーん……」


 半分泣きかけなこの心優しい少女が何故一人でこんな所に居るのか。それは、時間にして約30分程遡る……






「……一体なんなの、コレ?」
「電に聞かれても、分からないのです……」
「響。司令官から、何か通信来てない?」
「……Не хорошо(駄目だ)、全然通信出来ない。故障とは思えないけど」


 神崎島が転移して早幾日。転移先の世界に色々と騒動であったり衝撃が走りまくっている最中、第六駆逐隊の面々は近隣海域の哨戒中に【変な物】を発見した。


「……うーん、明石さんの船体……が、近い?」
「でも、こんなに大きい船舶なんて、知らないのです……」
「船舶と言うよりも、工廠がそのまま海に浮かんでいる感じだね」
「そうね……」


 駆逐艦の船体とは比べ物にならず、見知った大和型戦艦よりも遥かに巨大な海上構造物。響が呟いたように、外見からの情報だけでもドックにしか見えない埠頭や建造物、司令塔と思わしきビル状の建物、更には飛行場も存在するのが見えた。艦橋最上部から妖精さんに肩車して貰って漸く見えた物だけで、だが。


「……ちょっと見てくるのです」
「え、ちょ、電?」
「電、危なくない?」

 とは言え、このまま外から様子見し続けるのもアレかと思った電。通信にも反応が一切見られないこの不明巨大物体に乗り込み、調査をしようとして……

「はわーーーーーーーー?!」

「電ー?!」
「え、何今の?!ビーム!?ビーム!?」
「……これは、不味いかも知れないな」


 降り立った瞬間に、青色の光線の様な物に一瞬で捕まり、建物内へと連れ去られたのであった。俗に言う【トラクタ〇ビーム】である。



「……うう、電、またやってしまったのです」

 そんなこんなで一人この巨大な海上構造物内部を彷徨っている電。あの【トラク〇ービーム】は電を内部に引き摺り込んだ後文字通り何処かに消え去ってしまった為、電は地図も無しに歩く羽目に会っていたのだ。


「……お姉ちゃん……何処なのですかー……」

 93式酸素魚雷を抱え込んで歩き回った末、疲れて壁にもたれ掛かる電。艦娘の身である故身体能力や体力はそこらへんの若造等より遥かに有るのだが、疲れる物は疲れる物なのだ。



「……えっ」

 そうしてふと視線を床から見上げた電の眼に入った物。

「……指令、室……?」

 どういう訳か日本語で書かれた部屋のネームプレートと扉だった。

778: 陣龍 :2017/04/26(水) 14:38:05
「……何だか、映画のセット見たいなのです」

 【良いよ来いよ】と言わんばかりで有ったが為に性懲りも無く入室した電。そして彼女の眼には、暗がりの中薄っすらと見える、未来のSF戦争物の映画か近未来の戦争ゲームで出て来そうな、中央に正四角形の机の様な形状で光るパネルが鎮座し、そこかしこにタッチパネル型と思わしきコンピューターが整然と配置されていた。


【……engksla,vjd,xxpekdjjfjqpkdkmvhgndlzmxaadkseflfccv】
「はわぁ?!な、ななななななんなのです!?何が起こったのです?!」


 ある種未来的な幻想的光景に見入ってしまっていた電の身に起こった次なる事件。それは、唐突に中央の机のパネルから飛び出した4つの光を発する物体による全身スキャンと聞いた事等まるでない言語により次々と立ち上がり続ける部屋中のコンピューターの群れだった。


「あの、その、ご、ごめんなさい!勝手に入ってしまってごめんなさいなのです!ごめんな…」

「……よろしいでしょうか、艦長」
「なのです!?!?」


  完全にパニック状態に陥った電がそこかしこに繰り返し深々と謝罪の言葉と共に頭を下げ続ける中、誰も居なかったはずの後方からかけられた一声に文字通り飛び上がってひっくり返る。五月雨辺りだとスっ転んだ末に下着を丸見えにさせる可能性が極めて大だったが、今回の電はそのような事にはならなかった。


「あの、その……どちら様でしょうか?」
「は、もうし遅れましたが……」


 見れば、電の目指す『長身で素敵な女性』を絵に描いたような、灰色の瞳に腰まで伸びた白絹の如き髪を持つ美女。顔立ちは白人よりのモンゴロイド系…
つまりはハーフの様な、と表現すれば良いのだろうか。


「私は、ドック艦の【スキズブラズニル】です。お召しに預かり参上いたしました。これからよろしくお願いしますね、私の可愛らしい艦長さん」


 そんな彼女から優しい声色かつ微笑みられながらいきなり言われた、衝撃的な言葉。


「……な」

理解するのにたっぷり30秒かけた電。そんなちびっこの口から出る言葉は、一つしか無かった。





「なのですぅぅううーーーーーーーーーー?!」






発:駆逐艦【電】
宛:神崎提督

 我、どっく艦【すきずぶらずにる】ト名乗ル巨大艦ヲ保護セリ。コレヨリ神崎島ヘト帰投セリ。指示ヲ乞ウ。


追伸:電ガ【すきずぶらずにる】ノ艦長サンニナッチャッタミタイナノデス。

779: 陣龍 :2017/04/26(水) 14:42:18
以上完了

Q.何でこんな物突っ込んだし A. だって艦娘の皆に傷付いてほしくないし(真顔)

Q.どれだけの物作れるの? A. 思いつく限りは大体何でも。暴走しない超兵器機関も有るし、15個程

Q.死ぬ前の遺言は? A. 青葉 Is God!!青葉 Is God!! 青b(銃声)

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最終更新:2017年05月04日 14:07