32: ひゅうが :2017/05/28(日) 00:09:22
とりあえず、戦後夢幻会世界におけるEND的な悪ふざけが完成しました。投下いたします。

33: ひゅうが :2017/05/28(日) 00:10:19
エピローグ



――西暦2047年某日


「来たか…」

「質量観測系に反応。太陽系中央座標系観測所(ピーピング・トム)も確認しました。」

うん。と、男は頷く。
永遠の夜の閉ざされた世界にあって、この場所は若干「ふわふわ」するものの、光に満ちあふれている。

「本当に突然現れるんですね…」

「神の善意か、それとも底意地の悪い異星人の悪戯か…いずれにせよろくでもないだろうな。
その向こうからやってくるものを含めて。」

「環境保護を旗印にした異星人。考えついたときはしめたものだと思いましたが。」

「ウソつけ。どうせニュースで見た連中の狼藉を見て邪悪な笑みを浮かべていたんだろう?
三州公を突撃させたときみたいに」

「まいったな。」

肥満体の男は左右に広がった髪を乱暴に掻きむしりながら顔の半分だけで笑みをつくってみせた。
しぜん、凶相になる。

「どうやったら信じてくれます?」

「続きをかけ。」

「いやですよ。あの世にまできて仕事するなんて冗談じゃない。そんなに見たいなら、ちょっと長生きしてください。」

「そんなだからVネットじゃ悪口雑言ぶちまけられるんだ。」

「いろんな世界で存在そのものをいじくりまわされているあなたよりはましですよゥ」

日米英三国連合が共同で運営するこの軌道迎撃基地「アルファ」――その名は、かつてのISS計画により宙に浮いた米国の軌道基地の計画を引き継いだことによる――に詰めていた男達は、ぴっちりしたスーツを着てはいない。
そんなもので肉体の線を見せて喜ぶほど、人類はSFを好んでいるわけではなかった。
同じように、後天的な遺伝子操作技術も、さらに人体の機械化置換術もこの世界の主流になっているわけではなかった。

「で、どうします?司令官殿?」

「決まっているさ。」

国際連合緊急軍――先の第3次世界大戦(というには規模は小さかったが)による極東アジア情勢の変化に伴い常設の地球統合軍じみた存在へ変質したこの遊星最大の軍事組織の一部を束ねている男は、相対過去で三文小説家だった副官に負けず劣らずの凶相を浮かべ、
託宣を下す。

「初手、純粋水爆2000発あまりの斉射だ。
連中にはそれがお似合いだろう。」

「環境保護のために地球侵略に来る物好きですからね。歓迎してやりましょう。」

「財務長官殿とか、地球防衛軍参事官とあだ名される皆さん、あと国連軍事参謀委員長閣下とかもお待ちかねだからね。」

彼らには、大なり小なり、よくわからない平行世界の情報を受信したのか、それとも生まれ変わったのかで胡蝶の夢的な経験をした共通項があった。

「巨大な目をしたサッカー少年だの、あとどこかの2Dフィルムの名優たちっぽい兵士を地球におろされる前にかたをつけるさ。」

男――かつてある弧状列島国家の宰相として君臨した証明しがたい記憶を持つ――は、簡潔な指示を出す。

冥王星型準惑星のかたわらに出現した「ハイゲート」の向こうを見つけて以来、平和国家に華麗なる転身を遂げた大陸中華はもとより、またぞろ地域大国の血がうずきだしたインド、そしてEUを構成する諸国やロシアの過去の例を出すまでもなく人類は欲望に正直になっていた。
もちろん、この世界における超大国とその同盟国たる日米英三国はいうまでもない。
新たなる星系、そして手つかずの惑星。その政治的衝撃は、コロンブスのそれにも匹敵するからだった。

「蹂躙せよ。奴らに、我々こそが連中の守るべき自然の産物であることをたたき込んでやる。」

のちに、ヲルラと名付けられる「おやさしい」環境保護主義者で構成される生物による地球環境保護艦隊が、欲望に目の色を変えた地球圏諸国の連合艦隊により迎撃される数時間前のやりとりであった――


【Happy END!】

34: ひゅうが :2017/05/28(日) 00:15:19
【あとがき】――Next…
[The Rise and fall of Earth Federation]?

36: ひゅうが :2017/05/28(日) 00:29:25
言い訳すると、この世界、21世紀初頭時点でサターンロケット改良型がスナック感覚で量産される状況。
つまり、ちょっと金出せば遙かなる星のヘヴィ・リフターがバンバン打ち上がるおっかない世界。
この時代に至れば、核融合技術の実用化に伴い、ジャブローから打ち上げられるサラミス級とかマゼラン級みたいな感じで宇宙空間戦闘艦が…
しかも予測したように、21世紀半ばに絶望的な抵抗を試みた大陸中華をさくっと日米英連合が叩きつぶしたパクス・アメリカーナの完成期。

早い話が、ポエニ戦争期かガリア戦争期のローマと、アショーカ王期のインド、そしてダレイオス1世時代のペルシャ、そして始皇帝時代の中華の連合軍に喧嘩を売った蛮族状態。

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最終更新:2017年06月17日 19:57