651: ハニワ一号 :2017/12/22(金) 22:33:21
現代ドイツが憂鬱世界に転移ネタSS

第二次世界大戦も終結した戦後の某日、大日本帝国宰相である嶋田繁太郎はドイツ首相であるメルケルと共に日独同盟を結ぶための歴史的な調印式に臨んでいた。そして調印式は無事に成功に終わり日独の首相たちは腹の底にある本音を隠して笑顔で会話して日独の親密さと友好さを世界にアピールしていた。

(笑顔で話しているが平行世界とはいえ半世紀以上のアドバンテージを有効に生かすことも出来ずに下風に立たされているのだから腹の底ではとてつもない屈辱に打ち震えているだろうな東ドイツ出身の女宰相殿は・・・。だが転移という不測の事態に巻き込まれたとはいえ防衛や発電など国家として必要最低限の備えを維持する事すら怠った貴国の自業自得というものだ・・・。)

内心で嶋田は憂鬱世界に転移してきた現代ドイツとメルケル首相を冷笑していた。

ここまでくればお分かりのように大日本帝国(憂鬱日本)が同盟を締結したドイツは憂鬱ドイツではなく、戦後のある日突然に憂鬱世界の大日本帝国の勢力圏に転移してきた現代ドイツだったのだ。

大日本帝国の勢力圏に未知の巨大な島が転移してくるという驚天動地の事態に一時はパニックになった大日本帝国と夢幻会であったが転移してきたのが現代ドイツである事が判明すると大日本帝国はともかく現代からの転生者であるために現代ドイツの実情を詳しく知っている夢幻会は落ち着きを取り戻した。そして夢幻会は大日本帝国の勢力圏に転移してきた現代ドイツに首輪をはめて現代ドイツが保有する半世紀以上も先の科学技術を大日本帝国が独占するべく陰謀を開始したのだ。

一方で現代ドイツは転移した世界がアメリカは滅亡してアメリカに勝利した大日本帝国が列強筆頭となり、冷戦時代にアメリカと世界を二分した超大国であったソ連は独ソ戦でナチスに支配されたドイツに敗北して大きく国力を衰退してしまい、将来的には滅亡して勢力圏を大日本帝国とナチスドイツに分割される可能性が高かった、英国はバトル・オブ・ブリテンに敗北しチャーチル英首相が死亡してドイツと停戦中、そしてヒトラーとナチスドイツが滅亡せずに英国や北欧以外の欧州を支配する三大大国の一角として存在する現代ドイツにとって悪夢の世界である事に驚愕することになる。

史実の第二次世界大戦で敗北して以来の戦後のドイツでヒトラーとナチスを徹底的に否定してきた現代ドイツにとって認めることのできない世界だった。

突然の転移によって資源や発電の購入先をいきなり失ったことによって現代ドイツは国家存亡の危機に立っていた。しかも現代の進んだ軍事力で周辺国家を侵略して確保するという選択は過度の軍縮で弱体化した現代ドイツ軍には不可能だった。転移によって島国となってしまった現代ドイツが保有する現代ドイツの海軍力は弱体といってもよかった。大陸国家なので海洋国家と比べると海軍力が弱体なのは当然なのだが現代ドイツ海軍の保有する潜水艦は全て使用不可能というような転移前は世界第4位の経済大国でEUの盟主である国力を持つ国家の海軍とは思えない惨状だった。

652: ハニワ一号 :2017/12/22(金) 22:33:59
現代ドイツが転移したところは大日本帝国(憂鬱日本)であり必然的に現代ドイツの交渉相手となるのだが列強筆頭である憂鬱日本は史実の大日本帝国と違って核兵器や弾頭ミサイル、アングルド・デッキを備えた大型空母や疾風、富嶽など1940年代当時の水準の兵器としてはオーパーツとしか呼びようのない先進的な兵器を配備していたのだ。そしてこの世界の大日本帝国の科学技術力は同時期の史実の10年~20年位は先行していると見られていた。

史実の大日本帝国よりも遥かに進んだ科学技術や強大な国力、そして憂鬱日本の勢力圏に驚愕しながらも現代ドイツは交渉する憂鬱日本に足元を見られないように自国の窮状を隠して半世紀以上も進んだ科学や軍事力によって現代ドイツの方が有利な状態にあると憂鬱日本にはったりを利かせて憂鬱日本との交渉を有利に運ぼうとするも想像以上に現代ドイツの内情を掴んでいた(主に現代を知る夢幻会のせい)憂鬱日本側の一方的有利に交渉は展開する事になるのである。

そして表向きは憂鬱日本と現代ドイツは対等な同盟関係ながらも資源や発電、憂鬱日本の持つ市場の参入の許可など現代ドイツに対して有利なカードを持つ憂鬱日本が現代ドイツに対して夢幻会の目論見通りに首輪を厳重に架けることに成功したために憂鬱日本の方が立場は上だった。

そして憂鬱日本と現代ドイツの同盟の調印式が終わった後の夢幻会の会合では今後についての会話や転移後の現代ドイツの現状についての会話が交わされていた。

「ようやく現代ドイツとの同盟がなりましたが油断はできませんよ。現代ドイツが余計な事をしないように厳重に監視するのは当然として現代から来たという事は現代ドイツが史実にはない大西洋大津波の真実に気づく可能性もゼロではありませんので気を付けなくてはなりません。」

「転移して島国とのなった以上は現代ドイツにも海軍を増強して日本の忠実な同盟国として我が国の負担を楽にしてほしいものだが将来に日本の楔から脱しようと増強された現代ドイツの海軍力が我が国にむけられる可能性もゼロではない。何しろ転移前は米国、中国、日本に次いで世界第4位の経済大国でEUの盟主だった現代ドイツの国力を侮る事は出来ん。」

「幸い現代ドイツの敵対心は大日本帝国よりもヒトラーとナチスドイツ打倒の方に向いています。何しろ国是的にヒトラーとナチスドイツの存在を認めることができませんからね。現代ドイツの連中本気でいつか必ずヒトラーとナチスドイツを打倒してヒトラーの手から欧州を解放しようと考えていますよ。」

「現代ドイツ国内では転移した世界がヒトラーとナチスドイツの存在する世界と判明して以来、国内からヒトラーとナチスドイツに呼応する親ヒトラー勢力の誕生を恐れてシュタージのごとくの厳重な監視網を整備し親ヒトラー勢力には人権はないとばかりに令状なしの拘束や拷問の許可、死刑の復活など発狂したように反ヒトラー、反ナチスが現代ドイツ国内を席巻していますね。しかもこの政策に対する現代ドイツ国民の支持率は90%以上とか」

「支持しない現代ドイツ国民は親ヒトラー勢力として問答無用で刑務所送りか即時射殺ですね、わかります。」

少なくともヒトラーとナチスドイツに現代ドイツが協力する事だけは永遠にないと確信は出来るもの油断はできない憂鬱日本の新たなる隣国にして同盟国である現代ドイツの取り扱いにこれからも夢幻会が苦労する事になるのは確実なようだった。

653: ハニワ一号 :2017/12/22(金) 22:34:35
あとがき
久しぶりにネタSSを投稿しました。
かなり前に現代ドイツが異世界に転移したらの雑談をして以来、もし現代ドイツが憂鬱世界に転移したらのネタを形にしてみたくて、頑張って現代ドイツが憂鬱世界に転移ネタSSをなんとか完成させてお届けする事が出来ました。このSSがきつかけ現代ドイツが憂鬱世界に転移したらどうなるかの議論が活発化されればうれしいですw

なお現代ドイツが憂鬱世界に転移した年は憂鬱世界の第二次世界大戦が終結してから数年以内の出来事で憂鬱世界に転移した現代ドイツの位置は南沙諸島の真ん中あたりか神崎島のある位置の二通りを想定しています。

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最終更新:2018年01月01日 11:38