38: 名無しさん :2018/09/10(月) 02:31:47
なんか、唐突に降りてきたんで単発ネタいいっすか?
まぁ、本当に唐突にネタが降りてきただけなので、面白さは保証しません

39: 名無しさん :2018/09/10(月) 02:32:55

 ―― 皇紀1936年、文永13年8月、博多にて ――――――

 無数の船が博多の港より出港する。それらはその装いや乗っている者たちから
まちがいなく軍船であると言える船舶たち。
すなわち、艦隊。
その1隻の甲板にて、2人の武者。それをのぞき見る女性たちがなにやら算術の勉強を始める中、
2人の武者たちは親しげに、そして周りから聞こえぬ小さな声で話をしている。

「「やっぱりおかしいよなぁ……」」
2人の武者の意見が一致した。

「なんで鎌倉時代の日本で元寇の報復攻撃として、5万の軍勢を大陸に送り込めるくらいの国力と統制が保たれているんだ!?」
どこぞの一つの歴史軸、世界線にて富永と呼ばれていた武者は己の中にある妖気をこの日ばかりは封印に成功し、かつての世にて
東条と呼ばれた武者と会話する。

「やっぱり原因はコレしか思いつかないんだよ」
そう言って東条が差し出したのは金色に輝く『和同開珎』。

「皇朝12銭……が、ここでは皇朝25銭になっている。その上、まだ廃止されていないばかりか当たり前のように貨幣経済が全国
一律で普及している。調べてみたところ、歌名を『辻』と表した貴族がかつていて、財政のすべてを担ったという文章が……」
「…………」
本来の時代であれば、今頃宋銭が出回っているハズだが、史実以上に大量の宋銭を国家主導で輸入しているはずなのに
なぜーか、宋銭そのものはほとんど流通せず、ほぼすべての宋銭を朝廷貨幣に改鋳しているという事実。
しかも大判金貨、金貨、大判銀貨、銀貨に銅貨、鐚銭、一部でアレだが、信用通貨で金・銀本位制的な貨幣体制という微妙に
古代中世を離れた近世的なそれになっている。

「この和同開珎の大判金貨は基本的に朝廷とそれが許した一部貴族だけが所有できる。金貨10枚でこの大判金貨1枚と交換できる。
同じように銀貨10枚で大判銀貨1枚と交換できると朝廷が宣言して100年近くたとうとしている。これにも歌名を『辻』と名乗るのが」
「……でもいないよなぁ……。探したけど、夢幻会……見つからなかったよなぁ……?」
「……いや、そうなんだよなぁ……。多分だけど夢幻会を組織できるほど人がいなかったとかか?」
「「…………」」
2人の答えを返す物は誰もいなかった……。

40: 名無しさん :2018/09/10(月) 02:34:07

  ―― 皇紀2468年、文化5年8月、長崎にて ――――

「旗を掲げよ!!」
そのかけ声とともにそれが掲げられる。国王陛下万歳! 我らの偉大なる王国の旗。
その名は、ユニオンフラッグ。

その日、その時、その場所でフェートン号は絶頂期にあった。
かつて、掲げられていたオランダの旗はうち捨てられ、代わりに翻るユニオンフラッグ。

「オランダの船を探せ! 焼き払え!」
その叫び声とともに、船員たちは勝利の高揚感に身を任せ――――

――――飛び散る轟音と水しぶきにその気が霧散する。


「なんとか間に合いましたか……」  「辻さん……」
「イヤ、ほんと。大変でしたよ。なぜーか皆さんは2度目、3度目程度の用ですが、私は何故か6回ぐらいこの世界線を
転生している気がします。しかも、夢幻会を組織できるだけの人員も資産も無いというないないづくし」
*1
ここ10年ほどの時間をかけてようやく再結成されるに至った、夢幻会といつもの会合の面々が長崎奉行所の一室にて
ラーメンを食べながら集まっていた。

「……まぁ、正直、我々が今更何をしなきゃいけないのかっていいたくなる程度にはこの日本は強い気がするんですけどね」
「まったくだ……」  「いえいえ、色々と爆弾自体は見えているじゃ無いですか」
辻が広げるのは一枚の地図。
日本人が見慣れた日本列島。だが、真の問題はその地図の縮尺。とある世界線の21世紀日本人が日本地図を見るときには
明らかに見慣れない物の数々が写っている。

「樺太、千島列島、アリューシャンにアラスカ、南洋群島にフィリピンルソン島とその周辺のいくつかの離島。台湾に中国福建省の
一部沿岸部に、従属国という名目で地図に載る高麗王国にハワイ王国。イギリスやフランス、アメリカと言った後の列強諸国が
いい加減ぶち切れそうです。これらの領域が全部日本の物で鎖国なんですからね」
歴史研究により、鎖国とは正確には中央統制に基づく管理貿易であった事がわかるようになったのだが、江戸時代これらの貿易政策を
外から検証した、つまりヨーロッパ人の学者が『鎖国』と体制と政策を分析したことが輸入された洋書より日本人にも伝わり
何時しか日本は『鎖国』を国法とすると勘違いに至る訳なのだが、ソレはともかく閉鎖的なシステムであることはまぁ、確かな訳で

「これらの島々の住民は必ずしも我々が知る『日本人』として同化してしまったわけではありません。むしろ江戸の封建制が
よりこれらの地域の住民の地域性を強化してる側面に着目せねばなりません。コレでは下手な中央集権改革なんて必ず凄惨な内戦を呼び込みます」
「なるほどなぁ……しかも列強は虎視眈々と狙っている訳で」  「列強じゃ無くても清王朝さんが福建省と台湾を殴りたくてうずうずしてますが」
「「「仕方ないね。建国期からの最大の敵だから」」」
日本乞師は途中まではうまくいったようだが、結局止められなかったようで。

41: 名無しさん :2018/09/10(月) 02:35:11
「でも、どうしてこうなった?」  
「平安時代に徐々に進行した国力の衰退や中央統制能力の壊滅を結果的にとはいえ辻さんをはじめとする先人たちが何とかして、モンゴル相手に
鎌倉武将がヒャッハーしまくったからでは?」
「あと、戦国武将もヒャッハーしてますね」  「豊臣もヒャッハーして本家は滅びましたが、羽柴の方は大名として海外利権で生きてますしね」
「つまり、史実より国力は強化されたが史実より火種も増えた?」
「史実の国力が1だとすれば、この時代の日本の国力は10程度にはなってるかと。ただし、史実の火種が1だとすれば、こっちの日本は20」
「国力の2倍じゃ無いですかー!」  「しかもなぜーか、大事な戦国時代、江戸時代前期には1人も転生者がいた痕跡がないんですよ!?」
「何者かの悪意を感じる」  「正直、今の結成されたばかりの夢幻会で何とかなる自信が無いんですが」
「でもやるしか無いのでは?」
結論:やるしか無い。

「とにかく今はフェートン号だ。とりあえず『完成度たけえなおい』で押さえているがどうする?」
「ごめんなさい、私達若者世代じゃないみたいなの」
「まぁ、わかるけどな!」  「お帰り願いましょう。その際、今回の件の謝罪を正式にイギリス本国に要求します」
「そこから、国際社会に入り込むと?」
とある世界線で近衛と呼ばれていた公家は替え玉を頼みつつ、そろそろ自分の出番と鼻息を荒くする。

「であるならば、朝廷の出番になるな」  「外交は朝廷主導で大丈夫ですか?」
「正直不安はあるし、幕府の方が最後はいい結果になる可能性も高い。だが、今のままでは史実の尊皇攘夷なんてなったとき、余計に暴発しそうでもある。
それに、史実でも幕府が朝廷に申し立てを行って大問題になっただろ? それなら最初から朝廷主導だ」
「では嶋田さん、あなたには是非とも老中あたりを目指して頂いて……」  「無理です!」

 続かない

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最終更新:2018年09月13日 16:52

*1 (そのないないづくしで、あそこまで暴れてたあなたがおかしいという事では……?