847: 第三帝国 :2018/10/31(水) 23:21:04 HOST:70.244.32.202.bf.2iij.net
銀河連合日本×神崎島ネタSS――——――「出発」


「はい、吹雪ちゃん、黒雨ちゃん。
 おはぎだよ、宇宙船でみんなで食べてね」

「間宮の羊羹もあげるっぽい。
 吹雪ちゃん達だけでなくフェルさん達の分もあるっぽい」

「わぁ、おいしそう。
 睦月ちゃん、夕立ちゃん、ありがとー!」

「アリガトウ」

「こっちはカレーで向こうはおはぎに羊羹、
 宇宙行くって話なのに遠足かハイキングな気分だなぁ・・・」

記者会見でガークによる騒乱騒ぎがあってから数日。
ついに宇宙へ旅立つ日が訪れ羽田空港のVIP用待合室に待機していた。

記者会見での投石騒ぎがあっただけに、
周囲だけでなくVIP用待合室内部にも護衛が隙間なく警戒している。
とはいえ、睦月、夕立、吹雪、駆逐棲姫、もとい黒雨のやり取りは完全完璧に遠足気分で思わず柏木がぼやく。

「遠足ではなくてどちらかと言えば二ホンで言うところの、
 『ふぇりー』の旅に近いデスヨ、マサトさん・・・んぐんぐ」

白木の手土産であるカレー弁当を早速口にするフェルが回答する。
なお【原作】あるいは平行世界ともいうべき世界線と違って2人で堂々とイゼイラへ行くことになっている。

何せ、

「私達結婚することにしました、
 世界初の異星人間婚姻でちょっと嫁の実家へ行きます」

と派手に記者会見で発表したもんだから隠す必要なんてまったくない。
ついでにこのお陰で「日本だけ異星人国家に行くなんてずるい!」という批判も、
「嫁の実家に行く」という大正義を前にして表面上祝福モードとなって政治的批判は抑え気味となっている。

「いや、無理もねーぜ。
 考えてみろよ今人類が宇宙に行くためにはどれほど訓練が必要なのかと、
 民間による宇宙旅行計画はあるがまだまだ先に話だしそれがお前でも行けるから相当なもんだぜ」

「お前でも行けるなんて失礼だな、白木。
 まあ、確かに宇宙服なしでスーツ姿で問題なしなんて地球にとってはチートだわな。
 ・・・しっかし、なんか似たような話をどこかで読んだ記憶がするな、学生時代読んだ小説で」

白木の言葉に突っ込みつつ首を傾げる柏木。

848: 第三帝国 :2018/10/31(水) 23:21:41 HOST:70.244.32.202.bf.2iij.net

「星新一の『空への門』ですね」

と、ここで入室してきたサラトガが答えを提示した。

「おお、それだ!
 いやあ、よく知っているなぁ」

「ふふふふ、
 最近二ホンの小説を読むのが好きなのです」

と、笑顔で答える。
あふれ出る母性とお嬢様オーラに部屋に男衆は思わずときめく。
      • 既に既婚者で神崎提督の嫁であるという事実は一時的にフェードアウトする。

そしてフットボールといえばキチンとした制服を着こんでいても、
なお自己主張する胸部装甲の大きさも丁度フットボールぐらいありそうで思わず視線が・・・。

「マ・サ・ト・サ・ン?」

などとアホな事を考えていた柏木だったが、
先祖は鳥さんな嫁ことフェルがとってもとっても良い笑顔を浮かべていた。
しかし目はちっとも笑っておらず米神にはうっすらと青筋が走っている。

―――――笑うという行為は本来攻撃的なものであり、獣が牙をむく行為が原点である。

そんな言葉が脳内に浮かび、
片腕のない某侍のように神妙な表情を浮かべると・・・。

「ご、誤解だ、フェル!
 というかすまなかった、ごめん!」

「ふ~ん、ふ~ん。
 いいですもーん、どうせ男の人はみんなおっぱい星人なのデスカラ」

即座に平謝りを始めた。
フェルは『3』な口元を作りそっぽ向いている。

「ぶはははは!
 相変わらずだな先生」

「仲がよくて何よりです」

2人の様子を見ていた三島が爆笑し二藤部が微笑まし気に見ている。

「・・・で、先生よ。
 そろそろ出発の時間だけど、
 陛下から託された物だからくれぐれもよろしく頼むぜ」

「フブキさん、黒雨さん。
 提督から託されたのを必ずサイヴァル議長閣下へ渡してくださいね」

「はい、必ずや」

「分かりました!」

「・・・ウン」

柏木は天皇陛下、吹雪と駆逐棲姫は提督。
それぞれから託された物の重みを再度確認した。

「んじゃ、いこうか」

そして間を開けず、
柏木がピクニックに行くような口ぶりでVIPルームからロビーへ踏み出た。

849: 第三帝国 :2018/10/31(水) 23:22:42 HOST:70.244.32.202.bf.2iij.net

んで、予想はしていたがそりゃもう凄い人手であった。
仕事がら人に囲まれることは慣れている柏木も思わずたじろぐ程で、
群衆から噴出している熱気と歓声からかかるプレッシャーは半端ない、とはいえ。

【祝!!しばふ村代表吹雪殿、宇宙開拓!】
【フェルさん結婚おめでとう!だが柏木、テメーは絶対許早苗】

「頑張れ」というプラカードに混じって、
ネタに走った物がチラホラと見受けられ思わず吹き出しそうになる。


名前: 名無しさん@T督たちの憂鬱投稿日:~

柏木氏ねええええええーーーー!!!


名前: 名無しさん@T督たちの憂鬱投稿日:~

堂々と手をつなぎやがって・・・ぱるぱるぱるぱる


名前: 名無しさん@T督たちの憂鬱投稿日:~

で、ブッキーといえば何度見ても芋である
今夜もお芋の味噌汁だべ!


名前: 名無しさん@T督たちの憂鬱投稿日:~

あっさりーしっじみーはーまぐーりさーん


名前: 名無しさん@T督たちの憂鬱投稿日:~

芋をよこせ! 芋をよこせ!
しばふ芋の見返りに我が鎮守府をくれてやる!


名前: 名無しさん@T督たちの憂鬱投稿日:~

リチャード3世提督乙


なお電子空間でもやんややんやの大騒ぎである。
柏木に対する嫉妬団が大量発生し、しばふ村の住民がしばふ芋を称えるカオス空間と化しつつあった。

「アハハ・・・すごい人手ですネ」

女性から熱烈な歓声を浴びるフェルが苦笑気味に呟く。

「それだけ注目されているってことですよ!
 これを機会に私も那珂さんみたくアイドルデビューしたり、したり!?」

「ソレハナイト思ウカモ、吹雪チャン」

すっかりテンションが上がっておのぼりさん丸出しな吹雪。
対して黒雨(駆逐棲姫)が突っ込みを入れる。

などと言っている間にやがて出発ゲートに到着。
空港で停止しているデロニカまで送り届ける黒塗りの政府公用車が待機している。

乗ってしまえば後は宇宙へ行ってしまう。
そう思って一物の寂しさを感じたのか吹雪が振り返る。

「・・・・・・・・・」

振り返った先にいつもいる提督はいない。
あるのは歓声の声を上げる群衆だけだ。

「・・・行ってきますね、司令官」

吹雪は小さく呟き、踵を返して再び歩き始めた。






おわり

851: 第三帝国 :2018/10/31(水) 23:27:47 HOST:70.244.32.202.bf.2iij.net
以上です。
皆様方の創作意欲を刺激できたら幸いです、では。

追記
以前自分のゲートネタで盗作疑惑云々の話がありましたが、
見たところ内容丸パクリとかが特に見受けられなかったのでそのままにします。

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最終更新:2018年11月07日 09:45