967: 陣龍 :2018/11/05(月) 16:26:23 HOST:124-241-072-147.pool.fctv.ne.jp
『奴らはとんでもないお方を怒らせてしまったようです(震え声)』(銀連神崎島i f話)


「……法隆寺のみならず、今度は日光まで襲撃かよ。あいつ等には罰当たりとか畏れ多いとか言う感情は無いのか。無いか、有ったらこんな事する訳ねぇしな」

 車の中、自身のスマートフォンに入った臨時ニュースを見て呟く一人の大学院生。そのスマートフォンには、法隆寺への放火に続き、韓国人集団による計画的
犯行により栃木県日光に有る二荒山神社が被害を受け、大黒殿の裏に存在するしめ縄にて結界が施された高天原が踏み荒らされたと言うニュースが流れていた。


「下手人は相変わらず韓国領事館に逃げ込んで今回の行動を満天下に向けて喜色満面で叫んでるし、そしてマスメディアは相も変らぬ短時間でサラッと流すか
異様に韓国擁護するコメンテーター呼んでたりするし、どうしようもねぇなぁ」


 ネット上では当然の如く法隆寺に引き続くこの暴挙に大炎上しているのだが、テレビや新聞、またリベラルを自称する知識人等では下手人が韓国人で有る事を
隠したり『被害は軽微』とか抜かしているのだから困ったモノである。神界と俗世界との境目である神聖な領域を踏み躙られ、そして注連縄も刃物で複数に渡って
切断されていた事も、彼らに取っては至極如何でも良い程度の事らしい。


「……何か悪い事でも起きないと良いんだが、俺には関係無いか。正直、出来る事何か何もねぇし」

 そう愚痴りながら、車を降りて自宅に向かう大学院生。実家から遠く離れた大学に通っている為に一人暮らしで有り、誰もおらず真っ暗で有る筈の自宅。

「……ん、電気付けたままだったか……?」

 消灯したと思っていたが、何故か付いている自宅の電気。最近疲れが溜まってるのかなぁとか、夕飯作らねぇとなぁとか、男一人暮らしらしい思考を持ったまま
扉を開けると……


「……足音?」

 パタパタと響く、いくつかの軽い足音。一人暮らしの部屋に他人が居る筈が無い。そう思いつつも、何故か異様に冷静かつ内心から喜びの感情が沸き上がって
来ている自分に動揺しつつも、張り付いたかの様に動かない両足から目線を上げれば、そこには……


「お帰りなさい!提督!」


 扉を閉める。


「……うん」


 扉を開ける。


「司令官!お疲れ様!」


扉を閉める。


「……………古鷹と長良にしか見えなかったな」


 扉を開ける。


「……さっきから一体何やってるのよ」

「……ちょっと、夢と現実の境目がぶち壊れている感覚に戸惑ってまして」

968: 陣龍 :2018/11/05(月) 16:28:51 HOST:124-241-072-147.pool.fctv.ne.jp


 扉を閉め…


「提督……早くしないと、ご飯冷めちゃうよ?」

「アッハイ……お邪魔します?」

「司令官の家でしょ、御邪魔しますって何言ってるのよ」

 ……ようとするも、ひょっこり顔を覗かせた一人の少女に呼び止められ、大学院生は自宅に足を踏み入れる。そして開口一番……


「……何で皆さん此処に居られるのですか?」

「ようやく出会えたのに何よその言い草は!!」


 現実を目の前にしている筈なのに思考と理解が全く追い付かない大学院生、玄関にて自身の艦隊これくしょんにて初期艦として選択し、
ゲーム内で激戦を戦い抜いていた叢雲に哀れにも顔を真っ赤にして??責される。そしてこの大学院生と同じ様に困惑し、後に歓喜の台風が
巻き起こった提督は日本各地で発生して居たのだった。




「一体何がどうなってるんだ……」
『コッチも全くワカリマセン……』
「ティ連さんでもそうか……」


 数日後の神崎島島内にあるとあるバーカウンター。其処には一人の日本人と一人の異星人が共にカウンター席で突っ伏していた。


「ふふっ……大変そうですね」
『本当に大変デス……』
「神崎島の皆さんだけでも相当だと言うのに、今度は日本人からも艦娘と一緒になった提督が出て来るとは、幾ら何でも予想外ですよ、早霜さん……」


 愚痴る二人の目の前には、その不思議な雰囲気で一部熱狂的人気を持つ、夕雲型駆逐艦が一隻の早霜。因みにこの二人は某銀河突撃
馬鹿と後に日本国外務大臣になる女性ティ連人では無く、別個の存在である。前者二名は日本本土で色々と仕事をしている。


「幸いなのが、日本人から出て来た【提督】は全員反社会的勢力でも何でもない善良な市民で、押っ取り刀での政府や自衛隊との関係構築も
良好かつ自身の艦娘と仲睦まじい事ですか。臨時に艦娘保護の為の予算が少額とは言え飛びましたけど」
『でも前触れも無く、行き成りこうなった原因がワカリマセン……』
「……『前触れ』なら、ちゃんと有りましたよ」

 何てことの無い様に爆弾を投下した早霜の言葉に、まるでバネでも仕掛けられていたかのように飛び跳ねて次の言葉を待つ。正し、日本人の方は
『前触れ』の言葉で本能的かつ直感的にあの『事件』と組み合わせていたが。


「先日発生した、日光二荒山神社で発生した、高天原結界の損害事件……」
『テレビでミマシタ。シメナワを切って踏み荒らした犯人は韓国人だとか。一体何考えてるんでしょうか?』
「どうせ『日本人の大切なモノは全部壊してやる』とかそんなモノだと思うよ……。それで、それが一体……?」
「ふふっ……」


 怪しくも妖艶な微笑みを見せ、コップを拭きながらも、早霜は語り始める。


「……そもそもの話ですが、この『神崎島』がこの世界に持ち込んで来た『モノ』……それは、私達『艦娘』や『深海棲艦』、それに『資源』や『兵器』
だけでしょうか?」
「……えっ?」

 行き成り話がよく分からない方向へ飛んだ事に、ティ連人である相方は頭の上に疑問符を飛ばしまくっているが、日本人たるこの男は何かしら
とんでもない地雷を踏んでしまったのでは無いかと悟ってしまっていた。


「鎮守府とは、それぞれ『妖(あやかし)を鎮め』『敵手から民を守る』『全ての中心たる府』の意味を込められた物……そして、地縁、血縁と言う様に、
日本ではありとあらゆる物に『縁』が存在します。地鎮祭も、その土地との『縁』への挨拶の様なものでしょう」
『エ、エ、エッ……?』
「……」

 早霜の言葉に、頻出するよく知らない単語に追い付けず検索して頑張って理解してを繰り返しているお隣を他所に、真剣な表情で早霜の言葉の
一言一句を漏らさぬと聞き入る日本人。


「……そして、本来『縁』と言うモノは、適切な形を取らなければ『切れる』存在では有りません。今のこの世の中でも、紙一枚で『縁』が本当に
切れる事は殆ど有りません。どうしても、何かしらの形で残ってしまいます」
「……つまり、若しかすれば、この『島』にも……」
「……『神崎島』には、目に見えない、数え切れない無数の『縁』が、とても固く、深く、強く結びついています。最早、誰にも断ち切れはしない程に」


 そう言うと、早霜はクスリと笑い。


「『現世』と『常世』の『縁』は、この『神崎島』によって新しく結ばれました。……では、『現世では無い常世の世界』が『現世』と『もう一度』『縁』を『結ぶ』
……そうならない様に作られていた結界が破壊されてしまった今、『古来より繋がっている常世との縁』が『現世』に出て来ても、おかしく無いでしょう?」
『……『別の世界と繋がっている神崎島の存在にヨッテ、コノ世界の理が書き換えられた』、ト言う事デショウカ?』
「それでは、合格点はあげられませんね」

969: 陣龍 :2018/11/05(月) 16:30:14 HOST:124-241-072-147.pool.fctv.ne.jp


 どちらかと言えば脳筋よりなティ連人が、頭に血を登らせつつ哲学的であやふやな早霜の言葉を何とか呑み込んで噛み砕いて出した答えに、
早霜は軽く苦笑いで返す。


「古来から、この日ノ本は神々、そして物事との『縁』がとても深い国です。21世紀となっても『生きて』いる付喪神思想と同じように、日本人は
誰しもが知らず知らずのうちに、他国では既に絶えた『神様との縁』を持ち続けています」

 そして早霜は、最後のこの言葉に微笑みを添えてこう言った。

「この『島』が現れたのは、単なる切っ掛けに過ぎません。この日本は、昔から続く『神様との縁』を、一度も絶やす事無く持ち続けていたのですから。
そしてその『神様』と現世を隔てていた結界が壊されれば、日本人の『縁』を手繰って、『皆様』が此方に来るのも、明白と言えるでしょう」






 現代的な思考を持つ日本人に、早霜の言葉は極めて深い畏怖の想いを抱かせつつも、余りにもオカルト的な事も有って正式な報告書に認めるのは、
日本本土に戻ってから『中国本土での核兵器連続誤爆発生』『法隆寺、日光二荒山神社襲撃犯の突然死、事故死多発生』『自称国連団体組織本部の
唐突な崩壊』等の余りにも【奇妙過ぎる事故】が多発してからであった。



「司令官!司令官!次はアッチに行きましょう!」
「はいはい。ホント可愛いなぁ吹雪は」

「とても良い景色ですねー司令官!早く!一緒に写真撮りましょう!」
「あ、あぁ……青葉見たいな綺麗な娘と撮るのって滅茶苦茶緊張するなぁ……」

「えーっと……もう少し向こうか。てか、望月、リュックサック内に居て身体大丈夫なのか?主に背骨とか足とか」
「だいじょーぶー。コレだと歩かなくて楽だしー、それに司令官の直ぐ傍に居れるしねー」

「キミ!その憐れみの視線は一体何なんやアホー!」
「いや俺ビルの壁くらいしか見てないし」


 一方日本の提督どもは揃いも揃って元気で平和であった。

970: 陣龍 :2018/11/05(月) 16:34:15 HOST:124-241-072-147.pool.fctv.ne.jp
以上色々とアウトライン踏み越えてるかも知れないお話ですた。法隆寺に襲撃噛ましている以上同類の事件を
引き起こさない保証とか無いですしなぁ(適当

因みに中の『縁』に関する話は、ゲームの『深夜廻』でのあの赤い糸の縁から連想したりしています。あの赤い裁ちバサミ
出ないと切れない=適切な『儀式』でないと縁は切れない、とか色々膨らませたりしなかったりして。

取り敢えずコレでひゅうがさんトコに吹雪とか艦隊の皆様が押し寄せて来る事でしょうから存分に爆発して
下され(砲撃準備)

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最終更新:2018年11月07日 10:08