253: 224 :2019/01/13(日) 14:32:21 HOST:16.176.138.210.rev.vmobile.jp
ありがとうございます。では投下させていただきます。ネタと言うには重い内容ですが


お名前と以前のお仕事をお聞きしてもいいですか?

「問題ないとも。エルン=ツァイサー、元国家保安省の職員だ。」

『ある元シュタージの証言』

それではエルンさん。まずは国家保安省時代のお仕事を聞かせてください。

「ああ、君も知っているだろうが国家保安省は内務省に従属する省庁であり、その任務は国内外の諜報活動と国民の監視にあった。
もっとも私が入省した75年には前者はともかく、後者の仕事は激減していたがね。」

それはやはりソヴィエトの意向を受けて東ドイツが体制を緩めたからですか?

「いや、もっと単純に好景気のためだよ。私が入省する数年前から東ドイツは好景気に沸いていたからね。配給は滞らなくなり
労働者は成果に応じて日本製か、日本製に習って格段に性能が上がった家電や車を比較的容易に得られるようになった。餓えず
自身の働いた成果を肌で感じられるようになれば、国民は体制に不満を持つことなどそうはないよ。なので私達若手の
監視対象はもっぱらゲームばかりする子供達で、監視内容といえばその子達への叱責がほとんどだったよ。」

しゅ、シュタージがゲームをする子供たちを叱るんですか?

「ああ、今の40前後東ドイツ人が持つシュタージのイメージは【遊び呆けていると叱ってくる制服のオジサンやオバサン】
だろうね。日本のヘル・高橋が言った【ゲームは1日1時間】はシュタージの標語にもなったほどさ。とはいえやみくもに
叱っていたわけじゃない。急激な景気拡大は労働者やその家族の負担を強いる。あの時代は長時間労働対策がまだ不十分で
それに対応した保育施設も不十分だった。だから我々は彼らの健やかな成長の一助として、ある時は共に遊び、ある時は
叱っていたんだ。ちなみに先程言ったヘル・高橋の【16連射】を私はある程度模倣できてね。子供たちからは14連射の
エルンと呼ばれていたよ」

そ、それはなんともシュタージのイメージが変わりますね。それでは前者の仕事、西ドイツへの諜報はどうだったのでしょう?

「(息を吐き出してから)それも私が務め始めた頃には意味が変わっていた。70年代以降、東西の格差は酷くなる一方で
西の連中はその理由を知るために躍起になっていた。つまりは諜報から防諜が主な仕事になっていったんだ。あとは…西の
民間業者や個人が行う密輸の手助けなどが私の主な仕事だったね。」

密輸、ですか?

「ああ、もう政府も明らかにしているがベルリン近辺には秘密の【ショッピング道路】があったからね。それを使って
我が国の優れた製品を西側に流すのを手伝い、西の商業動向を知るのも立派な諜報活動だったよ…80年台まではね」

80年台…戦う民主主義とネオナチの本格台頭ですね

「そうだ。西は困窮の果てに民主主義と全体主義の区別までつかなくなったらしい。確かにナチスは共産主義と戦った。
しかしその一点で【民主主義の守護者】としてナチスを復活させた西を、少なくとも私は正気だとは思わない。」

西側の主張としてはネオナチは一部の過激派であり、政府は容認していないらしいですが

「(吐き捨てるように)なら、あの狂った夜に泣き叫ぶ子供たちの縄に縄を括り付けていたゴミどもが、なぜ西ドイツ議会の
席に座っているんだ!たしかに彼らの両親は密輸に関わっていたが、あの子らは10歳にも満たなかったんだぞっ!」

254: 224 :2019/01/13(日) 14:33:02 HOST:16.176.138.210.rev.vmobile.jp
【紅壁の夜事件】ですか

「ああ、ネオナチのクズどもが個人レベルで嗜好品や小型家電を密輸していた連中を一斉に【共産主義者】として処刑して
ベルリンの壁に吊るした狂った事件だ。知っているかね、連中にとってニンテンドーのマリオは土管から侵入してくる
テロリストらしい。彼の衣服も相まって滅ぼすべきレッドマンだそうだよ。」

え、そ、それはさすがに…

「事実さ。それを理由に処刑され、粉々に砕かれたマリオのカセットと共に野ざらしにされいた女の子の遺体を片付けたのは
私なんだから間違えるはずはない。だから、改めて言いたい。冷戦の空気を知らない若い連中の中に、のんきにドイツ統一を
叫んでいる連中がいるらしいが、狂犬と人間は交わってはならない。私たちにできることはあの狂犬共がやせ細ってくたばる
その日まであの壁と軍事力を維持する、それだけなんだ。この点は是非とも記事にしてくれたまえ」

はい、今日はありがとうございました。

エルン=ツァイサー氏は我々のインタビューが終わると足早に去っていった。氏は今でもベルリンの壁に花束とニンテンドーの
ゲームソフトを捧げており、それを買うためだったらしい。任務とはいえ、間接的に無垢な子供たちの命を奪ってしまった
という自責の年は、今も氏に暗い影を落としている。
 なお「レッドマン事件」に対して西ドイツ政府は「冷戦末期に悲劇」としているが、事件関係者の処分等は一切行っていない


以上です。転載等はご自由にどうぞ。というわけで史実と違い「反共」の一点で極大化したネオナチです。これには総統も
草葉の影で号泣していることでしょう。あと書いてあるとおり西ドイツはネオナチは認めていません。認めていないだけで
何もしませんし、名簿もありませんし、そもそも誰がネオナチかもわかりませんし、本当の意味でネオナチが存在
しているかも謎ですけどね(邪笑)

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最終更新:2019年01月26日 13:53