834： 635 ：2019/02/19(火) 07:16:30 HOST:p1898232-ipbf412souka.saitama.ocn.ne.jp
銀河連合日本×神崎島 ネタSS 練習艦
「またこの服に袖を通す事になるとは思わなかったなあ。」
工廠のドックにて手摺の上で組んだ腕に顔を乗せながら比叡はボヤいた。
比叡が着ているのはいつもの巫女服風の服、所謂金剛装束や鎮守府の制服でも私服でもない。
練習巡洋艦である香取や鹿島に近い服装だ。
そう練習戦艦として招集を受けた比叡はこの服装へと着替え現在は練習艦としての立場なのだ。
彼女が練習戦艦として招集を受けたのは現在日本で建造計画が進められている戦艦、もとい護衛艦の存在があった。
端的に言ってしまえば建造予定の護衛艦、それも大型水上打撃艦を運用するノウハウが海上自衛隊に欠如していたからだ。
海自は旧帝国海軍の伝統を受け継ぐ組織であるが、戦艦の運用ノウハウなんぞ受け継いでいる筈もなく、
世界を見ても戦艦が完全に退役して四半世紀も経ってしまっている。
運用ノウハウを保持している筈もなく神崎島頼りとなってしまったのである。
そこで白羽の矢が立ったのが比叡であった。
戦前、長期に渡り練習戦艦として過ごしていた彼女は正に打って付けの存在であり、提督の指示により練習艦へのコンバートが決定したのであった。
「比叡、ここにいたの？」
「あ、山城…。」
比叡を探していたらしい山城が近づいてきた。
山城も比叡と似た服装をしている。
彼女も練習艦としての時期があったために同様に練習戦艦としてのコンバートが決定している。
「全く戦艦の次女には練習戦艦にならなきゃならない決まりでもあるのかしらね？」
「どうなんだろ？それだと陸奥や武蔵も練習戦艦になるのかな？」
そんな話をする二人の前では今まさに比叡の艦体の練習戦艦へと改修作業が行われていた。
ベッドの増設に最新造水機など艦船での生活向上の為の設備は練習艦だからまだ分かる。
1門毎分10発の発射速度を誇る新型主砲、液体装薬に換装した76mm砲に127mm砲、メガワット級レーザーにレーザーＣＩＷＳ、
ついでに熱核ガスタービンを搭載というまさに『ぼくのかんがえたさいきょうのせんかん』であった。
完成予想図もデザインがB65型超甲型巡洋艦を現代化してAESAを艦橋基部に設置した感じだから柏木某から
「まさかの現代型超甲巡！？」
というコメントを頂いているがこの改装には理由がある。
「しかし、貴女も艦娘になってからも次世代艦のテストヘッドになるなんてね。というか核融合炉とかレーザー砲とかなんなの(汗)」
「因果めいた物かんじるけどね。後艤装に関しては明石と夕張の暴走の結果、核融合炉は物理の先生方が理論構築頑張ったらしいよ。」
そう比叡の改修は新型護衛艦の各種装備の試験艦としての役目も帯びていたのだ。
比叡で得られたデータを元に新型護衛艦に反映することがすでに決定している。
「というか山城、貴女も似た改装される予定だよね？」
「その話はしないで！扶桑姉さまに『山城にも負けたくないの』と言われて凹んでるんだから！！」
「私もお姉様に似たようなこと言われたわ…。」
「この話は無かったことにしましょ…。お互いダメージが大きすぎるわ…。」
「そうだね…。」
835： 635 ：2019/02/19(火) 07:17:28 HOST:p1898232-ipbf412souka.saitama.ocn.ne.jp
「練習艦の話に戻すけどホント因果な物よね。現世に戻って祖国でまた練習艦をやる事になるとは…。」
「山城さんは練習艦になるのはお嫌ですか？」
山城のボヤキに答える者がいた。
練習巡洋艦の香取だ。後ろには鹿島がいる。
彼女達も海自へ練習艦として派遣され本来の役目を果たすことになっている。
「私達は今回の提督のご指示は有り難いと感じているのですけれど。」
「まあ、貴女達の場合はそちらが本来の役目だしね。」
山城の返答に我が意を得たりと香取は頷いた。
彼女達はかつて次代の艦隊を育てるために生まれた。
しかし、行うべき遠洋演習航海は生涯一度きり、そのまま戦争へと突入してしまった。
その遠洋演習航海も途中で取りやめとなってしまった。
「精一杯頑張って、今度こそ次代の艦隊を立派に育て上げます！」
鹿島はそう宣言した。
『平和の海で次代の艦隊を育てるために建造されました。その本来の役目を果たせる時間はあまり長くありませんでしたが、艦隊旗艦や船団護衛、精一杯頑張りました。』
今の鹿島の言葉にどれ程の思いが込められているのであろうか。
そう思うと比叡も山城も目頭が熱くなる。
だけど泣かないお姉さま達の誇りも背負ってるから。
「そういえば他にも練習艦になる艦はいるのかしら？」
山城はふと気になったことを呟いた。
「大井さんは決定ですね。後は青葉さんと古鷹さんも予定されていますね。」
「他にも駆逐艦娘も何人か予定されていますね。響ちゃんと雪風ちゃんは決定みたいですが。」
「そういえば提督が自衛隊で練習艦やっていた名前の艦娘も行けるかなとぼやいてたなあ。」
何やら結構な人数が練習艦となる予定のようだ。
「ちょっと待って比叡！それって朝潮、満潮、親潮も含まれるってこと！？」
何やら山城は戦慄している。
「？海自で練習艦だったならそうじゃない？」
「「？？」」
比叡達は疑問符を浮かべている。
「その三隻は練習艦は練習艦でも潜水艦よ！？絶対変な想像する馬鹿がいるわよ！？」
「「「あっ！！」」」
戦艦と練習巡洋艦の脳裏に提督指定な格好をし三隻の駆逐艦が浮かんだ。
「「「「……。」」」」
「…貴女達何やってんの？」
後から来た大井に呆れられた。
尚、全員練習巡洋艦に近い服装になったそうな。
836： 635 ：2019/02/19(火) 07:18:16 HOST:p1898232-ipbf412souka.saitama.ocn.ne.jp
練習戦艦比叡
高速戦艦比叡が練習艦として改装を受けた姿。
新型護衛艦のテストヘッドという意味合いもあり徹底的な改装がなされ元の姿と全く異なっている。
柏木曰く「でかくなった現代のB65型超甲巡」。
主砲35.6センチ連装砲は新型を四基搭載し合計毎分八〇発という脅威の弾薬投射量を誇っている。
また、14センチ砲を撤去した所に液体装薬式の76mmスーパーラピット砲やら127mm砲が大量に配置され対空火器も大幅に増強されている。
これが後に外国戦艦に影響を与えたとか与えてないとか議論の的となっているが。
ミサイルに関しては練習艦ということもありVLS等のミサイル発射機は搭載されていないが訓練を可能にするためコンソール等の機器は装備され、
発射シミューレーションなどを可能としている。
航空艤装として噴式にも対応した耐熱航空甲板及び後部艦橋と一体化した格納庫が以前のカタパルト等の代わりに設置されている。
このために第三砲塔は艦尾側へ若干移動され、F-35Bこそ搭載出来ないものひゅうが型以前のヘリ搭載護衛艦相当のヘリ運用能力を獲得し航空系の訓練も問題なく行える。
艦橋は超甲巡に近いデザインになり基部に新型護衛艦に搭載予定のAESAを設置され、新規設備のバランスを考え艦体も延長、艦首も凌波性の良好な物に換装されている。
また、甲板上はは可能な限り徒歩で移動出来るようになっている。
これは乗員の運動の為であり、この比叡にもまた通称オランダ坂と呼ばれる個所が存在している。
内装は練習艦として訪問先で様々な儀礼行事を行う神崎島の顔として公式儀礼を行うのにふさわしい和風モダンな内装が施されている。
艦内には来賓対応の為の特別公室も設置され、国家元首級の来賓にも対応した神崎島の職人妖精が手を振るった最高級の内装となっている。
ある見学者曰く『まるで豪華客船のようだ』とコメントしている。
また、艦内には数百人収容の大講堂も設けられており、練習艦としての機能を高めている。
そして比叡の改装の最大の目玉が試験的に搭載された熱核ガスタービンの存在である。
これにより燃料と機関区画が大幅に空いた為に居住区画が拡充され練習艦としての機能を増し、防御区画も拡大されている。
大講堂などが設置できたのもこの動力のおかげでもある。
また有り余る出力から「10メガワット級レーザー砲」と「レーザーＣＩＷＳ」も搭載され、ある海自の幹部からは、
「ぼくのかんがえたさいきょうのせんかん」「現実が火葬戦記を追い抜かした」とのコメントを頂いている。
ちなみにこれだけの改装がなされているが有事の際には短期間で高速戦艦に復帰可能となっている。
改装後公の場に初めて姿を表した時にはあまりにも艦影が違うことから『艦これ未実装戦艦』と誤認されている。
度々、観閲艦や御召艦としても用いられ日本国内で最も目にする戦艦であり、遠洋航海演習により海外を訪れることも多いので国外での人気も高い、
ある欧米の記事に『昭和帝が最も愛した戦艦』と紹介され本艦のニックネームとなっている。
ひゅうが氏の提案して下さった比叡改装案そのままになります。
ひゅうが氏にお礼申し上げます。
練習艦で神崎島の顔となることから豪華ではあるが気品ある内装となっております。
また、練習戦艦というインパクトから主砲は四基のままです。
礼砲の際に主砲を撃つ姿を見てみたいものです。
837： 635 ：2019/02/19(火) 07:19:10 HOST:p1898232-ipbf412souka.saitama.ocn.ne.jp
以上になります。
転載はご自由にどうぞ。
最終更新：2019年02月20日 17:28
