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銀河連合日本×神崎島 ネタ 連合艦隊観艦式


日本国相模湾

夏の青空が広がる相模湾を一隻の空母が駆けている。
その航空甲板にはいつも載せている航空機でなく大勢の人々を乗せていた。

航空母艦赤城、八八艦隊計画の巡洋戦艦を改装して建造された大型航空母艦であり、鳳翔と共に航空母艦黎明期に日本海軍機動部隊の基礎を作り上げた空母だ。
現代型航空機への対応により元の公試排水量4万トンから巨大化し、その艤装もAESAや電磁式カタパルトなど最新の装備で固められている。

その艦橋では艦長の赤城が乗員らと打ち合わせをしていた。
本日行われるもの、それは『観艦式』と呼ばれていた。



観閲艦である赤城の飛行甲板上では大勢の人々でごった返していた。
親子連れ、学生、ミリタリーファン、在日米軍、ティ連人とにかくこれといった統一性がない。

それだけ人数がいるので乗組員は迷子に救護、物販の販売など大忙しであった。
応援で乗り込んだ海自隊員などは艦これグッズなんぞ販売していたりする。

観閲艦隊の先頭には赤城と同じ八八艦隊計画にて建造された戦艦陸奥が先導艦を務めていた。
この陸奥も改二となり主砲は40センチ10門に強化されている。
たまに51センチ連装砲四基なって大型化するのは内緒だ。

艦橋では赤城により二藤部総理と神崎提督に観艦式の説明が行われ、同席しているヴェルデオヤルバーン州知事も耳を傾けていた。
広い航空甲板上では引っ張り出された記者妖精や歌劇団妖精に航空兵妖精などが説明を行い、各国武官や民間人、政治家達が聞いていた。
BGMに艦これのBGMも流れていたりする。



『皆様、間もなく受閲艦隊が参ります。先鋒を務めるのは軽巡神通率いる神崎島鎮守府第二水雷戦隊通称『華の二水戦』です。
 本日は朝潮、満潮、大潮、荒潮の朝潮型四隻を率いての参加です。』

水樹○々ボイス妖精さんの声が流れ人々は受閲艦隊が見える位置に移動した。
波を切り中小の艦艇で構成された艦隊が赤城に近づいてきた。
人々から歓声が上がる。

先頭を務めるのは日本の軽巡の中でも最大の武勲を持つ神通である。
駆逐艦達もそれに続く。
各艦共に主砲は現代技術を使用した速射砲、魚雷も最新の誘導魚雷や対艦ミサイルへの換装も可能となりその牙はさらなる鋭さを得ている。
波を切り裂きながら進み、最新の機関へと換装されたその韋駄天ぶりを示している。
近づいた艦をよく見るとAESAや対空ミサイルを装備され対空火力を増しているのが分かる。
第二次大戦時の駆逐艦の面影を残しながらも近代的なその姿は現代の駆逐艦よりも強そうに見えた。

そして近づいた艦の上に艦娘の姿が見えると歓声が大きくなった。
ある老人はかつて乗った艦の姿に涙し、ある少年は駆逐艦のおもちゃ片手に目を輝かせている。
そしてある少女は駆逐艦娘の人形を手に持ち母親に興奮した様子で話しかけていた。

興奮冷めやらぬ内に水雷戦隊は通り過ぎていく。



『続きましては重巡洋艦によって構成された重巡高雄率いる第四戦隊です。神崎島の重巡は新型の重対艦誘導弾を装備してその打撃力が格段に強化されております。』

イージス艦に似た高雄型重巡四隻が接近してきた。
イージス艦に似た艦形はそのまま同様のシステムを搭載し、神崎島連合艦隊の防空システムの中心を担う艦となっている。
それより注目すべきは新型重対艦誘導弾だ。
神崎島、日米等が有する大型艦以外をほぼ一撃で葬り去るその性能は各国で話題となっている。
また主砲の20.3センチ砲も自動装填装置や長口径化、新型弾薬により対空火力と対艦火力が格段に向上している。

乗員が視認出来る位置まで近づいてきた。
高雄や愛宕、艦娘達の姿が見えると各国武官、大きなお友だち、お父さん方がカメラを向ける。
女性から冷ややかな目で見られ冷や汗を流している男性も多い。
武官達は完全なとばっちりだ。

何やら変な沈黙が周囲を包む。
その様子に高雄達は首を傾げているようだった。

『サプライズではありますが、主砲の射撃をご覧頂きます。』

甲板上の人々がどよめいた。

『撃ち方始め!』

その声と共に高雄、愛宕、摩耶、鳥海の四隻は主砲を撃ち始めた。
まるで駆逐艦やフリゲートの速射砲の様な速射性だ。
みんな圧倒されている。

『撃ち方やめ!』

数十秒ほどで射撃は終わった。
人々からは大きな拍手が湧いた。

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『有難うございました。続きましては装甲空母翔鶴と戦艦金剛が参ります。翔鶴は本艦赤城と同様の改装が行われております。
 実際に乗っている艦と比較してみるのも面白いと思いますよ?』

波を掻き分け空母が姿を現す。
装甲空母翔鶴だ。
姉妹艦瑞鶴と共に神崎島機動部隊の中核を担う存在であり、最新技術で強化されたその航空機運用能力は米最新鋭空母にすら匹敵すると言われている。

艦上にはF-35ステルス艦上戦闘機が並び、その力の源を示す。米海軍を除けば最強の航空母艦であろう。
甲板のF-35が急加速をする。
艦首のカタパルトからは一昔前の蒸気カタパルトのように水蒸気は昇っていない、最新の電磁カタパルトだから当然だ。

いつもの低視認迷彩ではなく暗緑色に塗られ、日の丸を背負う機体が翼を翻す。
武装も普段のウェポンベイではなくビーストモードで全てのハードポイントを解放して搭載している。
ASM-3や最新の空対空ミサイルを大量に搭載している。
ある少年が妹にあれはビーストモードだと得意げに説明していた。
そんな事を気にもとめずF-35は軽やかに飛んで行く。



今度は巨大な戦艦が目に入った。
戦艦金剛だ。
先般行われた遣欧艦隊の旗艦を務め世界にその名を知られることとなった艦だ。
艦娘金剛の人気も高いが戦艦としての金剛も人気も高い。

まだよちよち歩きだった日本が初めて手にした超弩級戦艦。
長門も大和も、自衛隊の打撃護衛艦達も彼女がいなければ誕生しなかった日系超弩級戦艦の母ともいえる存在だ。
主砲や艦橋等の艤装が比叡と同型のものに交換され、かつての姿を見ても同じ艦だとは思わないだろう。
しかしどこかしら日本の戦艦だと思わせる雰囲気を残している。
その主砲が回転を始め、十メートル以上ある砲身を持ち上げる。
人々がざわめき始めた。
そして、

腹から響くような轟音が辺りを覆った。

全員が呆然としていた。
しかしすぐ歓声に変わる。

知らない子供同士がすごいね!とはしゃぎ、日本人と外国人の老人が自分の乗っていた戦艦の話を始めた。
ある子供が戦艦てすごいと言うと知らないおじさんが戦艦は最高だと応えた。
イゼイラ人とアメリカ人は肩を組み海行かばを歌い始めた。
戦艦というものの存在をこの場にいる全員が感じている。



『名残惜しいですが次で観艦式最後となります。観艦式最後を飾るのは潜特型伊400型潜水艦の伊400及び伊401と世界最大の戦艦大和が参ります。』

アナウンスの終了と共に二つの巨大な影が水中から姿を現した。
まるでクジラのような急速浮上に人々は驚く。
潜特型伊400型潜水艦の伊400と伊401だ。

建造された当初世界最大の排水量を持つ潜水艦であり、通常動力型潜水艦としても二十一世紀に入るまでその記録が破られることはなかった。
神崎島の情報が出るに連れ、コラボしていた蒼き鋼のアルペジオの霧の艦隊の実在が明らかとなった、
その主人公潜水艦として活躍していた伊401の人気も高くなったので最後に持ってきたのだ。

サービスか伊400と伊401の艦体は蒼く塗られ、霧の艦隊のイデアクレストが描かれている。
しかも発光するという気合の入れようだ。

軍事ファンや子供にねだられた父親たちがカメラを除き込み撮影をしていた。
そんな中、格納庫が開けられた。
何事かと人々が見守っているとなんと中から航空機が出された。

晴嵐か!?と誰かが叫んだ。
その予想はハズレた、斜め上方向に。
瑞雲であった。しかも噴式である。

噴式瑞雲はジェットエンジン特有の甲高い音を出すとカタパルトから射出された。
前の自分と違うのだぞと主張するように赤城の周りを飛び、
そして飛行甲板の上をフライパスをする。

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「あ…。」

それを追う人々の目線の先に『彼女』がいた。


大和型戦艦一番艦 大和


原子力航空母艦すら超える巨体に世界最大の51センチ連装砲四基八門搭載へと生まれ変わった世界最大の戦艦だ。
その大和は長門、武蔵に加賀、瑞鶴、大勢の艦と共に赤城に乗る人々の前に姿を現した。

そして甲板上の人々を無数の影が覆う。
見上げれば上空には艦載機に爆撃機、哨戒機、飛行艇まで飛んでいた。
現代の戦闘機ばかりでなく、零式艦上戦闘機や烈風、一式陸攻なども飛んでいる。

そして各艦の艦舷に立つ大勢の軍人達。
一斉に敬礼をした。
大和のすぐそばを航行する小さなまるゆの乗組員達も。
自分達がここにいることを示すように。

「総員敬礼!!」

誰かが叫んだ。
赤城の乗員や自衛官達が答礼を行う。
皆自分の作業をやめ敬礼を行っていた。

赤城の乗員と自衛官達の姿を人々は見つめた。
様々な妖精達と日本人、イゼイラ人、ダストール人にカイラス人、ディスカール人。
姿形は違えどその瞳に映る決意と意志は同じだった。

そう彼らの、英霊達の魂は受け継がれているのだ。
その願いと祈りと共に。
確かに今を生きる人々の中に息づいていた。



しかし『彼女』は、『彼女達』は…。



静まり返った甲板に誰かが落としたスマートフォンが音楽を流し始めた。
勇ましい軍歌でも郷愁を誘う歌謡曲でもない。
『彼女達』を描いた映画の主題歌だった。

誰かがすすり泣く声が聞こえた。
ここにいる人々は皆『彼女達』の最期を知る者達ばかりだ。
歌が重なるのだ。

帰れなかった『彼女』に、たどり着けなかった『彼女』に、沈み朽ちゆく『彼女』に。


一人の幼い少女が泣いていた。
彼女は祖母が語る『彼女』を知っていた。
戦争を生き残った曽祖父達がかつて乗り、語った『彼女』の最期の姿を。
炎により内部を焼き尽くされ、全て燃え尽き、焼け焦げた『彼女』とその悲鳴を聞きながら『彼女』を看取った『彼女達』。
そしてもう一人の曽祖父の乗っていた『彼女』。
沖縄を救う為に数少ない『彼女達』と共に出撃し、数時間もの間米軍の猛攻に耐えながらも終にたどり着けなかった『彼女』。
それを思い出し『彼女達』を想うと涙が止まらなかった。


少女の瞳を誰かが拭った。

「ありがとう。私達の為に泣いてくれて。」

少女は優しい声に涙が滲む瞳を開けた。
赤と白が大きく開かれた瞳に映る。

大日本帝国海軍第一航空戦隊・航空母艦赤城

微笑んだ『彼女』がそこにいた。

赤城は少女を抱き上げた。
少女の父よりも力持ちかもしれない。
そんなことを少女は考えた。

そしてそのまま『彼女』が見える広大な航空甲板の艦舷へと移動する。
海が預言者を通す様に人々は少女と赤城に道を譲った。

「すごい…!!」

少女の瞳に何十隻もの軍艦が見えた。
加賀、蒼龍、飛龍、赤城と共に散った『彼女達』がいた。
嵐、萩風、野分、舞風、赤城を看取った『彼女達』がいた。

矢矧、冬月、涼月、磯風、浜風、雪風、朝霜、初霜、霞
『彼女達』と『彼女』。

人だかりで見えなかった『大和』がそこにいた。
少女の知る『大和』と大きさも艤装も違うでもそこにいいたのは間違いなく曽祖父の乗っていた『大和』だった。

隊列を組み、円陣を組み海上を滑る様に進む『彼女達』、『艦娘達』が艦娘大和を中心に姿を現した。
人々の歓声が木霊する。

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「大丈夫。私達は確かにここに還って来ましたから。」

あやしながら言う赤城の言葉に少女は自分を抱く赤城を見上げた。
春の日の陽だまりの様な人を安心させる笑顔だった。

海上を進む軍艦である『彼女達』と艦娘である『彼女達』。
その姿に自分の中で航空母艦『赤城』と目の前の艦娘『赤城』が等号で結ばれた。
彼女達は還ってきたのだ。あの歌の通り。
ならば、

「わたしたちと手をつないでくれますか?」

「ええ。」

「わたしたちといっしょにに歩いてくれますか?」

「ええ、私達を忘れない限り…。」

少女は赤城を抱きしめた。
二度と忘れるものか、曽祖父達の分まで覚えているのだ。彼女達を。


「赤城さん…お帰りなさい。」

「ただいまでいいんでしょうかね?」

「嘘ついたらハリセンボンですよ。」

「それは怖い、怖い。」


紀元二千六百年特別観艦式より七十年以上の歳月を経ての連合艦隊観艦式。
その後規模、参加者を増やし定期的に行われるようになった。

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以上になります。
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最終更新:2019年03月17日 12:11